ソニー製パソコン「VAIO」を選ぶというコトは周りとは違うと証明すること
ASCII.jp / 2023年3月30日 12時0分
数あるPCの中からVAIOを選ぶ それはソニーだから!
たくさんのメーカーがある中の1つにソニーがあって、みんな好きな度合いも違います。なにかをきっかけにどこかのメーカーを好きになったり。筆者の場合は物心ついたときからソニー製品に囲まれて、着々とオタクの道を歩んでいくわけですけれども。そんなソニー人生の中で、最も影響を受けたのは間違いなく「VAIO」だったと思います。
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MSXやPC-88を触っていた小中学生時代はほとんどゲームがメインで、プログラミングもベーシック止まりで使いこなすには程遠く、PC雑誌の後ろのほうに掲載されているプログラムを入力して遊ぶ程度でした。もちろんPCのできる事も限られていて、それで何かを生み出すなんて事もなく、PCで何でもできてしまうなんてことは映画やアニメの世界だけで、現実とはまだ乖離がありました。
1990年代は、ソニーといえば黒物家電のメーカーであって、まさかPCやゲームを出してくるなんて思いもよりません。1997年に、ソニーがPC市場に本格参入するなんて青天の霹靂でした。1年早く北米で投入されていたVAIO(バイオ)が日本で登場したのです。
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見た目に惹き込まれるようなボディーデザインに、ライトグレーとバイオレットのツートンカラー。白か黒の四角くい色気のないものがパソコン、という概念とかけ離れたその姿に、ガッチリと心を掴まれました。
「Video Audio Integrated Operetion」の頭文字をとって名付けられたVAIOというブランド名には、ビジネスを前提としたWindows PCに、ソニーの得意とするオーディオとビジュアルを持ち込み融合させるというコンセプトがありました。
日本で登場したのはタワー型とノート型モデル
1997年、初めて投入されたVAIOシリーズは、デスクトップタワーの「PCV-T700MR」と、A4サイズノートブックの「PCG-707/PCG-705」。以降、デスクトップバイオ、バイオノートと呼ばれるようになりました。そのデスクトップバイオ「PCV-T700MR」は本体とディスプレーがセットで約50万円。当時としてもかなりの高額でしたが、この時、買わないという選択肢はなく即ゲット。
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スペックは、CPUがPentium II(266MHz)に、3Dグラフィックアクセラレーター「ATI 3D RAGETMII+」、メモリー32MB(EDO RAM)、HDDは4.3GB。当時、この性能は神スペック! 「すっげ! HDDが4GBもある! ギガだよギガ!」とか「サイバーショット(30万画素)からワイヤレス(赤外線)で写真送れる!(ただし1枚あたりの転送時間約1分)」とかすべてが新鮮でした。
2倍速でCD-Rに書き込めるCDドライブはカートリッジ式。TVチューナー内蔵・MPEG1エンコーダーを搭載して、前面には黄白赤のコンポジット入力にS端子入力を備えています。利用しないときは前面パネルを閉じることで、美しく凹凸表現されたVAIOロゴが輝くボディー。自分で撮影したビデオ映像などを素材にしてオリジナルビデオCDが作れるビデオCD制作ソフト「Slipclip」や、静止画を管理できる「PictureGear Lite」といった、映像系ソフトがバンドルされていました。
ディスプレーはブラウン管の17インチトリニトロンモニター。もともとソニーはPC向けディスプレーを作っていたこともあって、精細感と色鮮やかは最高峰でした。両サイドにステレオスピーカーが埋め込まれ、台座部分にはウーファーまで備える変態さを極めます。そのモニターのデザインすら計算されつくされ、すべての佇まいがカッコイイ。VAIOの前に座っているときのテンションの上がりっぷりは相当なものでした。
一方バイオノートは、「PCG-707」がCPUにMMXテクノロジーPentium プロセッサー(166MHz)、12.1型XGA TFT液晶パネルを搭載して、約50万円。「PCG-705」は、CPUがMMXテクノロジーPentium プロセッサー(150MHz)、12.1型SVGA TFT液晶パネルを搭載して、約40万円。厚さ37.6mm、重さ約2.4kgという大きさは、バッグに入れて持ち歩ける薄型軽量ボディーなんて言われていました。
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そしてこれまたオタク心をくすぐるのが、バイオノート本体にフロッピーディスクドライブかCD-ROMドライブ、はたまたサブバッテリーのいずれかを選んで換装して内蔵できるマルチパーパスベイです。必要に応じて自分が使いたいパーツを選んで出撃! なんてもうテンション爆上がりです。
バッテリーの持ちは公称値で約1.5~3時間程度だったので、サブバッテリーを載せることで公称値約3~6時間に延ばせることもとても魅力でした。
ドッキングステーションを使えば 男のロマンを再現できる
さらに、別売で2種類のドッキングステーション「PCGA-DB7/PCGA-DH7」まであって、合体可能です。ドッキングステーションには、ビデオ出力端子やDV端子を備えて、DVハンディカムからの静止画をキャプチャーできるうえ、上位モデルの「PCGA-DB7」は8万5000円もするシロモノでしたが、イーサネットやSCSIポートも備えていました。
加えて、本体にCD-ROMドライブを装着、ドッキングステーションのマルチパーパスベイにFDドライブを内蔵してといった拡張性はもう男のロマンを地で行くスタイル。それぞれに彫り込まれたVAIOロゴがほかのノートパソコンを圧倒する存在感だったのです。
当時、パソコンは表計算やワープロといったビジネスのためのものという意味合いが強かったこともあって、VAIOにExelやWordといったOfficeアプリがプリインストールされていなかった事も話題になりました。
いくら映像や音声が扱えるといっても、実際にはそんなに甘くはなく、インターネット回線も当時は33.6kbpsという超超貧弱回線で、たった1枚の写真を表示するのに何十秒もかかったり、お約束でWindowsが定期的にフリーズしたり。そんな不便さがたくさん同居しながらも、メモリーやハードディスクを増設したり、拡張ボードを追加したり、そのすべてが最高に楽しい体験だったのです。
ここから、ソニーのVAIO伝説がいくつも紡ぎ出されていくわけですが、あまりにも印象深い思い入れのある名機たちが多いので、またそれは1つ1つ紐解いていきたいと思います。
筆者紹介───君国泰将
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