ゲーミングPCらしさを120%放つド派手なLED、デスクトップ級の性能を持つ17型最新ノート
ASCII.jp / 2023年4月5日 11時30分
MSIから「Raider GE78 HX 13V」シリーズがリリースされた。CPUにIntel第13世代Core、GPUにNVIDIA GeForce RTX 40シリーズという最新スペックを搭載する17型ウルトラハイエンドゲーミングノートPCだ。今回はRaider GE78 HX 13Vシリーズの中でもっともハイスペックな「Raider-GE78HX-13VI-321JP」をレビューしよう。
Core i9&RTX 4090/4080を中心としたラインアップ
まずはRaider GE78 HX 13Vシリーズのラインナップとスペックをまとめておこう。ウルトラハイエンドをうたうだけあってCPUの選択肢はCore i9-13980HXまたはi9-13950HX、GPUの選択肢もGeForce RTX 4090/4080 Laptop GPUのみとなっている。
Core i9-13980HXもi9-13950HXも24コア36スレッド対応のCPUで、マルチスレッド性能がきわめて高い。異なるのはブースト時のクロックくらいで、Core i9-13980HXが最大5.6GHz、i9-13950HXが最大5.5GHzとされている。TDPは最小45W、ベース55W、最大ターボ時157Wといったスペックだ。
GeForce RTX 4090/4080 Laptop GPUは、現在デスクトップPC向けにリリースされているGeForce RTX 40シリーズ同様、コードネームAda Lovelace世代のアーキテクチャを基にしたモバイル向けGPUだ。リアルタイムレイトレーシングはもちろん、DLSS 3、Reflexといった機能をフルサポートしつつ、デスクトップ向けRTX 40シリーズの上位GPUと同様、GPU内にハードウェアエンコーダーを2基搭載している。
GeForce RTX 4090 Laptop GPUのCUDAコア数は9728基、メモリはGDDR6(256bit接続)を16GB搭載する。もちろんデスクトップ版のGeForce RTX 4090とはスペックが異なるが、およそGeForce RTX 4080相当のコア/メモリ仕様となっている。GeForce RTX 4080 Laptop GPUはCUDAコア数が7424基、メモリがGDDR6(192bit接続)を12GB搭載するといった仕様で、デスクトップ版GPUではGeForce RTX 4070 Tiの仕様に近い。ただし、GeForce RTX 4090 Laptop GPUは80~150W、GeForce RTX 4080 Laptop GPUは60~150Wと、消費電力はノートPC向けの設定で、このあたり動作クロックなども調整が入っている。
GPUがデスクトップ版の1グレード下という点は、デスクトップPCのように大型クーラーを搭載できないノートPCの筐体に落とし込むためには仕方がない。一方、デスクトップ版GeForce RTX 40シリーズのパフォーマンスはすでに知られるところで、4KやWQHDといった高解像度で高画質設定のプレイを可能にする。CPUもコア/スレッド数がデスクトップ版に並ぶこうしたスペックは、ウルトラハイエンドと呼ぶにふさわしいものだ。
また、Raider GE78 HX 13Vシリーズではメモリが最小32GB~最大64GB、ストレージもM.2 NVMe SSDを最小1TB~最大4TB(2TB×2、RAID0)、SSD×1基のモデルの空きスロットはPCI Express Gen5 x4対応とされている。
これらCPU、GPU、メモリ、ストレージの組み合わせでラインナップは5モデル。各モデルによって取り扱い店舗が分かれているので、詳しくはMSIサイトを確認したい。今回の最上位モデルRaider-GE78HX-13VI-321JPは量販店向けモデルで、価格79万9800円前後。最廉価モデルと言ってもCore i9-13950HX、GeForce RTX 4080 Laptop GPU、メモリ32GB、1TBストレージといった構成の「Raider-GE78HX-13VH-1103JP」は、同社直販サイトの価格が57万9800円※となっている。 ※4月16日までは期間限定セールで54万9800円
今のゲーミングノートPCでは電力配分がポイント
こうしたスペックのウルトラハイエンドゲーミングノートPCは他社からもリリースされている。MSIではパフォーマンス面での差別化ポイントも用意しているのでここを先に紹介しておこう。
現在のCPUやGPUは、パフォーマンスを引き出すためにブースト機能を搭載しているほか、Power Limitのような電力的な制限を一時的に引き上げることも行なっている。ブーストをどれだけ効かせられるかはまず冷却機構が重要だ。
Raider GE78 HX 13Vシリーズの冷却機構は「Cooler Boost 5」。CPUとGPUそれぞれにヘッドが乗り、ヒートパイプを介してヒートシンクへと熱輸送をし、ファンのエアフローによって外部に熱を排出する。このヒートパイプの設計に「ハイブリッド型」を持ち込んだのが新しい。ハイブリッドと言うのは、CPUとGPU双方を経由しヒートシンクに導くシェア型ヒートパイプと、CPU専用・GPU専用の独立型ヒートパイプを組み合わせていることに由来する。トータルでは6本のヒートパイプを用いているが、うち3本がシェア型、残り3本が独立型とのことである。
電力面では「MSI OverBoost ULTRA」を搭載。先ほど、CPUのTDPが最大ターボ時157W、GPUが最大150Wと紹介した。ただし、ノートPCではまずACアダプタ駆動という制限があり、CPUとGPUで電力を融通することによりACアダプタの出力内で電力とパフォーマンスのバランスをとる。つまりCPUとGPUで利用できるトータルの電力がポイントだ。Raider GE78 HX 13VシリーズのOverBoost ULTRAでは、CPUとGPUのトータルパワー250Wを実現している。これはけっこうな大電力。CPUとGPUで電力を融通する機能としてNVIDIA Dynamic Boostがあるが、ゲームなどでの高負荷時、GPUの電力が150Wからさらに+25Wした際、CPUの電力を25W引き下げるといった動きをする。OverBoost ULTRAではGPU側を+25Wブーストしたとしても、CPU側を25W引き下げることなくパフォーマンスを維持できると言う。もちろんACアダプタ出力という上限はあるが、その枠内で大出力を扱える、主にCPU側のパフォーマンス低下を抑えられるといった理解をすればよいだろう。
なお、CPUのCore i9内には統合GPUが搭載されており、本製品でもバッテリー駆動時などではこれを用いる。基本的にはこの利用方法だが、Raider GE78 HX 13Vシリーズは「ディスクリートグラフィックスモード」を搭載しており、これを有効にすると統合GPUは無効になり、ディスクリートGPU単一のノートPCと同等になる。統合GPUが利用するわずかな電力、MUX(マルチプレクサ)を介すオーバーヘッド程度だが、MSIによれば最大5%のパフォーマンス向上があるとのことだ。この機能は統合ユーティリティのMSI Centerから簡単に設定できる。
最新ゲームもDLSSオンならレイトレーシング&最高画質&最大解像度でOK
それでは気になるパフォーマンスを見ていこう。まずCPUはCINEBENCH R23で計測。Multi Coreのスコアは29037、Single Coreのスコアは2092だった。3万に迫るマルチスレッド性能はさすがCore i9といったところ。2000を超えるシングルスレッド性能もノートPCトップクラスと言えるだろう。
次にPCMark 10。Standardスコアは9212。Essentialsが11552、Productivityが12116、Digital Content Creationが15159だ。各シナリオのスコアはどれも1万点を超えており、とくにDigital Content Creationのスコアはすばらしい。メニーコアCPU、そして強力なGPUによって、写真補正、映像編集といった用途もなんなくこなす。クリエイターの要求にも応えてくれる製品と言えるだろう。
そして3Dグラフィックスの3DMark。Speed Wayで5668、Time Spy Extremeで10681と、強力な3D性能をあらためて確認できた。ノートPCとしてこのスコアはすばらしい性能だ。また、デスクトップゲーミングPCに置き換えても、およそGeForce RTX 4070 Ti相当と言える。GPUスペック的にはGeForce RTX 4080に近いものの、電力枠が異なるためクロック等が抑えられており、GPUだけでなくCPUも同様の制限がある。そうした条件下でもこれだけのパフォーマンスがノートPC型で実現できているというのは驚異的だろう。
VR性能をVRMarkで確認してみよう。まずOrange Roomは13863ポイント。平均フレームレートは302.21fpsで、これはターゲットfpsに対して277.3%の数値だ。また、Cyan Roomは17450ポイント(380.42fps)、Blue Roomは6610ポイント(144.10fps)で、いずれもターゲットfpsを超えている。
評価機のストレージは2TB SSD×2基のRAID 0。ここのパフォーマンスも見ておこう。まずCrystalDiskMark 8.0.4 x64では、シーケンシャルリードが12318.41MB/s、同ライトが9585.01MB/sと、PCI Express Gen4 SSDながらGen5 SSDの世界を垣間見える結果だった。
PCMark 10と3DMarkのStorageテスト結果も掲載しておこう。
そして3DMarkのCPU Profileも添えておくので、比較検討の際に活用いただきたい。
では、どのようなゲーミング性能なのか。実ゲームのベンチマーク結果を紹介していこう。解像度はすべて本製品の標準解像度であるWQXGA(2560×1600ドット)とし、設定側を変更してベンチマークを計測している。
まずホグワーツ・レガシー。もっとも高い画質設定プリセットは「最高」。それとは別にAIを用いたスーパーサンプリング(NVIDIAならDLSS)、リアルタイムレイトレーシング(低~最高)を設定できる。グラフでもっとも上にある画質:最高、DLSS:ON、RT:最高は、DLSS利用時でもっとも高画質の設定、その次がDLSSをオフとしたすべてを演算した場合の最高画質設定で、下2つは平均60fpsを目指して調整した設定だ。DLSSオンならリアルタイムレイトレーシングを最高としても余裕のフレームレートが実現できる。DLSSオフとすると同設定では負荷が大きすぎるのか60fpsを割り込むが、リアルタイムレイトレーシングの品質を引き下げるか、ベースの画質設定を調整することで60fpsを満たすことができた。とはいえ、基本的にはDLSSオンでプレイすべきだろう。
次もリアルタイムレイトレーシングが楽しめるCyberpunk 2077。プリセットをレイトレーシング:ウルトラとしても平均88.72fpsと、最高の画質でプレイできることを示している。そしてForza Horizon 5もエクストリームプリセットではリアルタイムレイトレーシングが有効。そのエクストリームで115fpsが得られている。
そして本製品のパネルのリフレッシュレートは240Hz。eスポーツで使いたいという方も多いだろう。Tom Clancy's Rainbow Six Siegeで2560×1600ドット、プリセット:最高画質で計測してみると、平均393fps、最低340fpsと、240Hzパネルのスペックを最大限引き出せるスコアが計測できた。
このとおり、ゲーミングノートPCでもリアルタイムレイトレーシングの美麗な光、美麗な影といった表現を、普通に楽しめる時代になったと言える。DLSSの効果も大きく、それもGeForce RTX 40シリーズとなったRaider GE78 HX 13VはDLSS 3.0が利用できるのでクオリティ、パフォーマンスも向上している。もちろん、非リアルタイムレイトレーシングのタイトルも3DMarkスコアのとおり、十分なパフォーマンスが見込める。
ハデな発光、シンプルとゲーミングが共存するデザイン
Raider GE78 HX 13Vは、17型ということからも分かるとおり大型筐体で、サイズは幅380×奥行き298×高さ29mm。狭額縁パネルを採用しているため、17型と言っても専有面積はそこまでとらないので、デスクトップのゲーミングPCよりもコンパクトに運用したい方に向いている。厚みも3cmを下回っていること、幅や奥行きの比からもスリムにまとめられている印象を受ける。
実際、スタイリッシュと言ってよいだろう。もちろん、同社ノートPCでもモダンデザインのKatanaシリーズとは異なり、RADERシリーズのゲーミングノートPCらしさを演出しつつも今風にアレンジされたデザインと言うのが正しいだろう。
とくに目を惹くのがLEDだ。ここはゲーミングらしさを120%放っている。液晶天板部のロゴやキーボード、加えてパームレスト部。キーボードは個別にLEDを搭載しており、発光色やパターンを細かく設定できるほか、通常のキーは周囲と文字刻印部分が光るのに対し、ゲームの操作で用いるWASDキーや電源ボタンは面で光る。また、パームレスト部はライトバーのようなデザイン。「Matrix Light Bar」と名付けられ、ドットのような発光、アニメーションをする。
キーボードは10キー付き日本語配列。一般的な配列だが、本製品はゲーミングモデルなので、左Ctrlを大型とし、通常その横にあるFnキーを右端上下左右キー横に移設している。普段の操作でFnキーを併用する場合はここにとまどうこともあるが、ゲームプレイ中の誤操作は少なめ(Windowsキーはプレイ中にOffとする設定ができる)。同社ハイエンドモデルでは定番のSteelSeries製Per-Key RGB日本語キーボード。LED制御などもSteelSeries製ユーティリティを用いる。
ディスプレイは17型で、解像度はWQXGA(2560×1600ドット)。17型パネルの表示面積が大きいため、フルHDよりも少し解像度を上げたWQXGAはテキストが小さくなりすぎることもなく情報量が増え、一方ゲームにおいても負荷が増えすぎることなく高画質を楽しめる。ゲーミングスペックなのでリフレッシュレートが240Hz(60/240Hzの切り換え)でノングレア。視野角も十分なのに加え、DCI-P3相当の発色とされている。
ディスプレイ上部ベゼルにはWebカメラを搭載している。プライバシーシャッター付きで顔認証対応というのはゲーミングノートPCとしてはめずらしいだろう。また、207万画素という高画素なので、別途外付けタイプの高性能Webカメラを用意せずとも、本体Webカメラである程度高画質の映像が得られるだろう。
インターフェースは、Thunderbolt 4(Type-C)×1、USB 3.2 Gen2 Type-C×2(2系統とも映像出力に対応、1系統のみUSB PD対応)、USB 3.2 Gen2 Type-A×2、そのほか有線LAN(2.5GbE)×1、HDMI×1、オーディオコンボジャック×1となっている。そして無線LANがWi-Fi 6E、Bluetooth 5.3にも対応している。
とくにUSBについては非常に便利だった。USBは規格世代が複雑で、どのポートがどの速度か覚えておかないと、高速USB機器を低速ポートに挿してしまい性能が発揮できないといったこともよくあるからだ。どこに挿しても高速USB 3.2 Gen2(またはThunderbolt 4)の本製品はType-A/Cさえ覚えておけば、どこに挿しても性能を出せる。
なお、こうしたノートPCにつきもののDisplayPortは、USB 3.2 Gen2 Type-Cの映像出力機能に置き換わっている。外付けディスプレイがDisplayPort接続(HDMIでもよいが……)という方は、変換ケーブル等を用意したい。サウンドはステレオ2スピーカー+4ウーファー構成。Sound by DYNAUDIOということで、けっこう臨場感ある音質だ。オーディオチップは定番のRealtek製が採用されていた。
バッテリーは4セル99.9Whrのリチウムイオン。かなり大容量で、もちろんディスクリートグラフィックスモードではなく統合GPU使用、各種省電力機能をONとした状態だが、JEITA 2.0測定法で最大10時間駆動とされている。ACアダプタは、現在のゲーミングノートPCでも最大級。もちろん弁当箱と揶揄された昔のゲーミングノートPCのACアダプタよりはひと回り小さいものの、決して持ち運びに適したサイズではない。
本体重量は3.1kg。搭載するCPUとGPUのスペックから想像するに、この重量のかなりの部分は冷却機構にとられているだろう。もちろん可搬性としては軽いほどよいが、本製品を持ってみると、この重さがパフォーマンスとイコールであると感じる。
デスクトップに比肩! 派手なLEDにレイトレーシング時代のパフォーマンス
ここまでRaider GE78 HX 13Vシリーズのスペックとパフォーマンス、そしてデザインと分けて見てきたが、いかがだろうか。スペックは当然最上級(ただしMSIにはさらに上のモデル「Titan GT77 HX 13V」も控えている)、パフォーマンスもWQXGA解像度で最高画質設定、さらにリアルタイムレイトレーシングを加えても60fps以上を得られる性能がノートPCサイズで実現できる時代に驚きを隠せない。
そしてデザイン。ややゲーミングノートPCらしさを主張しつつも比較的落ち着いた形状で、一方LEDはめちゃくちゃ目立つというのは、現在デスクトップのゲーミングPCで人気があるシンプルな形状でもガラスサイドパネルで内部はド派手LEDというスタイルに近いように思える。すでにゲーミングデスクトップPCをお持ちの方のサブ機、あるいはゲーミングノートPCにゲーミングデスクトップPCのトレンドスタイルを求める方のメイン機としてよいのではないだろうか。
MSI Raider GE78 HX 13V詳細ページ 購入する MSIサイト
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