1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. IT
  4. IT総合

BA型ドライバー追加で高音質化、AVIOTの骨伝導ヘッドホン「Openpiece Elite」を試す

ASCII.jp / 2023年4月3日 19時0分

 耳をふさがないタイプのヘッドホン/イヤホンが一つのトレンドになっている。耳に取り付けるタイプでさえも、Appleの「AirPods Pro」シリーズのように、従来のカナル型イヤホンのように耳穴に深く挿入しないものが増えてきている。これは快適性、完全ワイヤレスイヤホンのユーザー層拡大、コロナ禍での生活様式の多様化など、さまざまな要因から派生してきたものと考えられる。

Openpiece Elite

 こうしたイヤホンにはさまざまな種類があるが、最近伸びてきているのが骨伝導タイプである。普通のイヤホンが音の振動を空気を介して鼓膜に伝えるのに対して、骨伝導タイプは頭蓋骨の一部に振動を伝えることで音を届けるイヤホンのことである。従来はニッチな市場にのみ存在していたが、さきのトレンドの影響もあるのか、様々な一般向け製品が登場してきている。

骨伝導ヘッドホンは耳をふさがずに使えるため、テレワークや散歩、ワークアウトなど、周囲の音を聴きながら音楽や会話を楽しみたいという用途で注目されている。

BAドライバーと骨伝導デバイスのハイブリッド型

 その中で、最近注目したのが、AVIOTの「Openpiece Elite(WB-E1M)」だ。ダイナミック型の骨伝導ドライバーとバランスド・アーマチュア(BA)型ドライバーの2種類を組み合わせたハイブリッド構成の骨伝導ヘッドホンである点が特徴だ。従来の骨伝導タイプは、音質の点ではいまひとつだったのだが、その点がいかに改良されているかに興味がわいた。

ハイブリッド型のドライバー構成となっている。

 完全ワイヤレスイヤホンのメーカーとしてつとに知られるAVIOTが骨伝導イヤホンを開発した背景は、「骨伝導をながら聴きという新しいリスニング体験と捉え、さまざまなシーンで使うことで、生活者に新たな体験を感じてほしい」という狙いがあるようだ。

 Openpiece EliteはBluetooth 5.2に対応し、バッテリ持続時間は通話時で6時間。音楽再生時で12時間前後。同時に2台のデバイスと接続できるマルチポイント機能も備えている。重量は約29.5g(イヤフォン単体)。

メタリックで高級感のある外観、上部に操作用のボタンが確認できる。

 手に取ってみると、本体自体は軽量で長時間装着しても負担は少ない。また、ドライバー部はメタリックな外観で素材は不明だが高級感があるので大人が装着していても違和感はないと思う。

 ペアリング方法は普通のBluetoothヘッドホンと同じだが、日本語の音声ガイダンスがある。この音声ガイダンスも完全ワイヤレス型イヤホンになれているとやや違和感はあるが、聞き取りやすいと思う。マルチポイント接続に対応しているので、実用的で様々な使いこなしができるだろう。

着脱式のブームマイク
ブームマイクを装着したところ
接続端子部

 着脱式の専用ECMブームマイクも用意されている。価格はオープンプライスだが、マイク同梱モデルの実売価格は2万3870円前後。マイク別売りモデルが、2万1890円前後で。3月下旬に発売したばかりだ。

快適な装着感と、期待を上回る高音質

 Openpiece Eliteを装着してみた。違和感が少なく、締め付けも軽いので快適に使用ができる。音は骨伝導という点から想像していたよりも良い。骨伝導ヘッドホンの音が不明瞭で不鮮明というイメージを持っているのなら、それとは異なった感じのサウンドだ。というか、普通に(一般的なイヤホンと遜色がなく)聞こえることに軽く驚いた。中高域の楽器音は思ったよりも鮮明で、特に音の広がり感が良い。音の広がり感や包まれ感に関しては普通のイヤホンよりも良いほどだ。

 ただし、これは再生する楽曲によってだいぶ異なる。例えばピアノの伴奏にヴァイオリンが鳴っているような音楽についてはかなり良く合う。また、アンビエントミュージックなど、電子音が主体の楽曲も音場感が広くてかなり良い。ただ、メタルやロックを聞くには、さすがに低音が軽すぎるので、物足りなく感じられる。BGMや瞑想といったシーンに添える音楽を聴くのに向いた製品だと思う。そうした意味では“ながら聞き”に適した、オーディオグラスなどと近い性質の製品とも言えるかもしれない。

付属ケースに入れたところ

 音の良さは搭載されているBA型ドライバーの働きもあるのだろう。BA型ドライバーは、骨伝導ドライバーの特性上、歪みが出やすい中・高音域を補うという考え方で搭載しており、骨伝導ではなく普通に空気振動で伝わる。ただし普通のイヤホンよりも耳道までの距離があるので、一種の耳掛け式スピーカーのような形ではあるかもしれない。

 もちろん耳を塞がないので、周りの音はすべて普通に聞こえる。例えば、映画をテレビスピーカーから聞いている際、その音はイヤホンで再生している音楽と一緒に聞こえる。音漏れは少なめで、音漏れ抑制モードにして数十センチ離すと、静かな室内でも音はあまり聞こえない。なにか音がしているのが分かる程度だ。BA型ドライバーは、空気伝導なので、音が周囲に漏れそうだが指向性が高いため、音漏れがしにくいのだという。こうしたデバイス自体の特性に加え、音漏れ抑制モードではさらに音が漏れにくいチューニングを施しているようだ。

 Openpiece Eliteは電車の中でロックを楽しむのには向いていないが、静かな屋内や戸外でBGM的に音楽を楽しむのには向いている。静かな部屋でリモートワークをしながら音楽を楽しむ用途では、専用のマイクも便利に使えるだろう。戸外での音楽を楽しむのにオーディオグラスを検討しているユーザーも一考してみる価値はあると思う。音の包まれ感はこの機種独特の良さがある。聴く音楽と用途を考えて、自分に合うかどうかを検討するといいだろう。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

記事ミッション中・・・

10秒滞在

記事にリアクションする

デイリー: 参加する
ウィークリー: 参加する
マンスリー: 参加する
10秒滞在

記事にリアクションする

次の記事を探す

エラーが発生しました

ページを再読み込みして
ください