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往年のタイプライター型感熱プリンター「レトロプリンター」を衝動買い

ASCII.jp / 2023年4月6日 12時0分

レトロな50年代のタイプライターを模した感熱式ラベルプリンターを衝動買いした

ちょっとレトロなタイプライターのオマージュ製品

 紙やフィルム系素材を使う業務用ラベルプリンターから生まれ、1990年ごろに米国内で登場した日本製のパーソナル用ラベルプリンターは、のちに日本国内市場にも登場した。しかし、当時の感熱モデルのほとんどは、パソコンにつながる仕様のモノはなくスタンドアローン型(独立型単体印刷モデル)だった。

 いつの頃か米国出張のたびに、ラベルプリンターのニューモデルを買って帰ることもなくなり、昨今はネット通販やクラウドファンディングなどでも、これらのラベルプリンターがたやすく入手できる時代となった。

 一括りにラベルプリンターと呼んでも、パーソナル市場向けの製品はレシート印刷やバーコード、QRコード印刷などがメインではなく、俗に言うパーソナルプロダクティビティーの向上や個人向けのホームアプリ系の印刷などに主眼が置かれている。

ファンシーなレトロプリンターと比べて素っ気ない外箱に入って配送されてきた

 今回ご紹介する感熱紙専用のレトロプリンターも、そのセグメントに向けた商品だ。パッと見て分かるとおり、外観は1950年代〜60年代のちょっとレトロなタイプライターへのオマージュ製品だ。筆者はグリーン色のモデルを購入したが、レッドカラーもラインナップしている。

同梱物は本体、充電用USBケーブルと取説

 使用するロール紙は、52mm幅の一般に言う「レシート用感熱紙」だ。感熱紙と言えば昨今、印刷コストの大部分を占める高価なインクカートリッジが不要という宣伝コピーが前面に登場してくるが、感熱紙自体がかなりコスパが悪いので一概に信用はできず、価格対効果のジャスティフィケーションもあるべきだろう。

側面のレバーを横に引くとボンネットのようにカバーが大きく開く

 パッケージの中は、本体であるレトロプリンターと充電用の短いUSBケーブル、取説だ。筆者の場合は、最初の印刷用の52mm幅の感熱紙カートリッジは、内部に収納されたまま届いた。カートリッジの交換は、側面のレバーを指先で横に引くことで上蓋が自動車のボンネットのように大きく開き、簡単だった。

感熱用紙の交換は簡単だ

 今回、商品が届いた当日に内部を開けてみたところ感熱紙の残量が少なく心配になって早速購入先を探したが、52mm幅の感熱紙の販売店は意外と少ない。今回はアスキーストアで購入した。感熱ロール紙の入手に関してはいろいろ気掛かりなことが多く、最後にもう少し詳しく状況を記述した。

専用の感熱ロール紙。芯が太く実質的な長さは5.8mと短い。コスパはかなり悪い

「写真プリント」と「ラベルプリント」では プリントの精細さが大きく異なる

 さて今回のレトロプリンターも従来の海外向けのDNAをもつ製品なので、スタンドアローンプリンターではない。印刷データはスマホとBluetooth接続することで、スマホ内に蓄積された写真やイラスト、文章などすべてのデータが対象となる。接続するスマホは、今回も筆者のGalaxy Z Fold4を使用した。

 導入するアプリは「iLabel」(アイラベル)と言うアプリで、Google PlayやAPP Storeからダウンロード、インストールする。導入後に実施するユーザー側の作業はほとんどない。使用するプリンターとして「モデルWP9520」を選択することくらいだ。

専用アプリのiLabelを導入しプリンターのWP9520を選択するだけで設定は終了だ

 無事プリンターとスマホがBluetooth接続できれば、さっそく印刷系のメニューを見てみよう。今回のレトロプリンター(WP9520)を活用するiLabelアプリは、WP9520単体をラベルプリンターとして活用するラベルプリント・メニューがその1つだ。

WP9520用の最上位メニュー。ラベルプリントはその中のメジャーな機能の1つだ

 そしてそれとは別に、写真をより美しくディザリングして印刷する「写真プリント」やレイアウト機能のある「グラフィックエディタ」、「テンプレートプリント」「線画に変換」などより多様なメニューを含んだ「より多くのモデルとツールメニューを表示」という上位のメニュー画面があり、使い分けが大事だ。

 写真印刷などで単純にラベルプリントだけを選択してしまうと、2値のモノクロ印刷になってしまい300dpiのレトロプリンターの高機能を無駄にしてしまう。ラベルプリンターはあくまでラベルを鮮明に印字するのが目的であることを、忘れてしまわないことだ。

ラベルとして印刷するか写真として印刷するかで結果は大きく変わる

 実際に写真プリントとラベルプリントを双方、同じ写真を比較してみるとその違いは明快だ。ラベルプリントでも画面上の「解像度スライドバー」を左右に微調整することで印刷イメージの変化を画面上で確かめることが可能なので、一番理想的なイメージで印刷をスタートすることができる。

アプリ内の「解像度スライドバー」でビジュアルの微調整は可能だ

 実際に我が家の愛犬ボビーじいちゃんの同じスマホ写真データを、ラベルプリンターモードと写真プリントの2つのモードで印刷した結果を見ていただければ、その差は明快だ。

我が家の愛犬ボビーじいちゃんをラベルプリントした場合と写真プリントした違い。写真プリントはアプリのディザー処理が効果的に働くと300dpiのイメージだ

 レトロプリンターも個人用のホームアプリとしてのテンプレート集を、いろいろ提供してくれている。付箋ややることリスト、カリキュラムそしてラベルプリンターの中にある「アイコン」などを探すと食べ物や植物、動物、日常、装飾、パターン、絵文字、インターネット、業界認定などの項目別に多くのアイコンやクリップアートが見つかる。

さまざまなテンプレートやアイコン、フレームなどを活用して楽しいホームアプリの世界を楽しむことができる

 これらから目的のモノを選び出し、サイズ変更したり回転させたりして最終的なラベルデザインをし、印刷するのがレトロプリンターの王道の使い道だ。また既存の用意されたデータ以外に、QRコードを読み取りURLとして活用することやそのままQRコードを再度印字することも簡単だ。

アプリでQRコードを読むことができる出力形態は自由度が高い

 筆者が個人的に特に興味を持ったのは、「線画に変換」という一風変わったメニューだ。対象はスマホ内のアルバムに収録された「画像データ」や「カメラでこれから撮影する写真」の2つだ。実際にカメラを選んで撮影すると、たった今撮影された画像を瞬時に線画に変換してくれる。これがなかなか楽しく、2値のラベルプリンターにももってこいの印刷ソースだ。

「線画に変換」を使いこなしてラベルプリントの価値をアップできそうだ

 最後にご紹介するのは「グラフィックエディタ」機能だ。テンプレートのなかから好きな背景を選択、複数の画像(写真など)を選びレイアウトする、さらにお気に入りのアイコンやシンボルを選択、お好みで手書きの落書きやテキスト入力をして、すべてのエレメントを自由にレイアウトできる往年のDTP(Desk Top Publishing)のイメージだ。そして満足できるレイアウトとコンテンツに仕上がれば、ラベル印刷を開始する。

レガシーなDTPイメージのコンパクト版のような「グラフィックエディタ」機能

 今回ご紹介したレトロプリンターは、なかなか楽しくハードウエア単体ではコスパに優れた楽しい商品だが、唯一気になったのは52mm幅という比較的珍しい紙幅の感熱ロール紙を採用していることだ。多くのこの手の感熱プリンターは、レジスター業界のデファクトスタンダードでもある58m幅の感熱紙を使用するのが一般的だ。

HWもSWも合格点クリアのレトロプリンターだが、サプライ商品であるレアな52mm幅の感熱ロール紙が引っかかる。長くたくさん愛用したいユーザーは、その入手経路と価格を事前に考慮してみる価値はある

 「インクカートリッジ不要で安い」というふれこみの感熱プリンターだが、今回、やむなく購入した補充用感熱ロール紙(52mm幅:長さ5.8m)3ロールは送料別で1320円、筆者が別の感熱プリンターで使用中のコクヨ製・補充用感熱ロール紙(58mm幅:長さ11m)は3ロールでAmazon.co.jpで939円。単純計算すると前者は1m当たり76円、後者は1m当たり28円となんと2.7倍も高いことが分かる。

 当然、筆者はほかの感熱プリンターや感熱プリントデジカメなどで共用している58mm幅のリフィルを今回のレトロプリンターにも使ってみようと試みたが、どうもギリギリ難しそうだった。実際の印字幅は52mmでも良いが、用紙だけでも58mmを使える仕様にしてほしかった。どっかに52mm幅の印刷装置や感熱紙が、大量に安価にあまっていたのか? 筆者の知るところではないが、唯一極めて残念なところだった。

 
T教授

今回の衝動買い

・アイテム:AREA「レトロプリンター LetSketch」 ・購入:ジャストマイショップ ・価格:7590円

T教授

 日本IBM社でThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

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