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ファーウェイ創業者の娘でカナダで拘束されていた孟晩舟氏がトップに 昨年の売上は横ばい、利益は大幅減

ASCII.jp / 2023年4月6日 12時0分

 ファーウェイは3月31日、2022年度の業績報告を行なった。売上高は横ばいだが、利益は前年比69%減。同社は「市場以外の要因が経営に悪影響をもたらしている」と米国の制裁が影を落としたことを強調している。

トップは複数人での輪番制をとるファーウェイ。カナダで1年以上にわたり拘束されていた創業者の娘でもある孟晩舟がここから半年、トップを務める

売上は前年と同水準、利益は減少

 恒例のファーウェイの業績報告が今年も3月末に開催された。同社は非上場企業であり、開示の義務はないが、自主的に報告している。米国の制裁を受ける前は、いかに好調かをアピールする場となっていたが、ここ数年は米国の制裁にも関わらず、いかに生き延びているのかを示す状況となっている。

 2022年の売上高は6423億人民元(約12兆3000億円)、2021年の6369億人民元とほぼ変わらず。一方の利益は355億人民元(約6750億円)、こちらは前年の1137億人民元から大幅な減益となった。純利益率は5.5%で、CFOのMeng Wanzhou(孟晩舟)氏は「ファーウェイ史上最低レベル」と述べた。この背景として、研究開発に売上の約25%に相当する1615億人民元(約3兆円)を投資していることなども挙げた。

売上は横ばいも利益は大きくダウンしている

 同社の輪番会長Eric Xu(徐直軍)氏は、「外部環境と市場以外の要因により経営に悪い影響が出ている」「嵐に襲われながら走り続けている」などと自社の状況を形容する。一方で、「2022年に危機から脱することができた」「2023年は成長の道筋をつけて、レジリエンスを高める重要な年になる」と位置付けた。

やはりスマートフォンが米国制裁の影響を一番受けた 独自のパブリッククラウドが大きく伸びている

 分野別では、通信機器のキャリア事業の売上高は2840億人民元(約5兆4000億円)、サーバーなど法人事業は1332億人民元(約2兆5000億円)、端末のコンシューマー事業の収益は2145億人民元(約4兆円)となった。キャリア事業は前年の2815億人民元から微増、法人事業は同じく1024億人民元から増加、コンシューマー事業は同2434億人民元からのマイナスとなる。

 コンシューマー事業はマイナスだが、「HarmonyOS」の開発を進めていることなどをアピールした。Xu氏は後半、記者からの質問に答える形で、「スマートフォン事業が米国の制裁の影響を最も受けた」とする。また、3月23日に発表した折りたたみ式の「HUAWEI Mate X3」を手に、「制裁により4Gチップしか入手できない、それでもカメラ、折りたたみ式、ユーザー体験の改善により端末の魅力を感じている消費者がいる」と語った。

制裁下で5G対応のスマートフォンを提供できないファーウェイだが、折りたたみスマホなどでいまだ革新的な製品をリリースしていることをアピール

 今回の決算発表が従来と違った点は、ファーウェイの各事業の扱いだ。これまではキャリア事業、コンシューマー事業を2軸とし、法人事業を新規事業として、3事業について報告してきた。今年、Meng氏はパブリッククラウド「Huawei Cloud」、クリーン発電や交通電動化などの「Huawei Digital Power」、車載システムやセンサーなど「Intelligent Automotive Solution (IAS:インテリジェントオートモーティブソリューション)」についても進捗を公表した。

 Huawei Cloudの売上高は453億人民元(約8600億円)に。「急速に伸びている」と語る。現在、29リージョン/78アベイラビリティゾーン(AZ)で展開しており、「100万社のパートナー、1000万人の開発者、1000万の顧客」を目指すとした。Huawei Cloudは法人事業の内の1事業として2017年に発表したものだが、今回は単体での数字で語られた。

 このように、米国の制裁を受けて急ピッチで事業を多角化していることがうかがえる内容と言える。

創業者の娘であるMeng氏がついに輪番会長に 制裁を科しているアメリカにはどう見えるか

 Meng氏といえば、2018年12月に乗り継ぎで降り立ったカナダで、詐欺罪などの容疑で逮捕、2021年9月に釈放されるというドラマチックな出来事が記憶に新しい。

 Meng氏は2021年のレポート発表時にプレスの前に姿を現し話題に。CFOに加え輪番会長も務めることも明らかになっていた。いつ実際に輪番会長になるのかが注目されていたが、この4月1日から輪番会長に就任した。

 同社は6ヵ月おきに会長が交代する輪番制を導入しており、Meng氏は先述のEric Xu氏、Ken Hu氏と共に輪番会長を務める。Meng氏がトップに立った一方で、これまで輪番会長の1人だったGuo Ping氏は監査委員会委員長となっている。

 輪番会長は、変化するビジネス環境や社会に対応するために1人ではなく複数が企業を率いるべきだという創業者のRen Zhengfei氏(任正非)の考えに基づく制度だ。任期中は、CEOとして行動する権限を持つ。

 その輪番会長にMeng氏が就任するということが、米国に対してどのようなメッセージとなるのか。なお、決算発表時に記者からの質問に対し、「ファーウェイの輪番制は個人のリーダーシップではなく集団的なもの。個人と会社の運命を結びつけることはしない」と返している。

 Meng氏はまだ輪番会長がスタートする前の決算発表にて、研究開発への投資に触れながら、デバイスの入れ替え、基板の再設計、OSなどの開発を進めているとしている。

 

筆者紹介──末岡洋子

フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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