検証の果てにたどり着いた静音PCの完成形、13700K&RTX 4070 Tiでもめっちゃ静か
ASCII.jp / 2023年4月8日 11時0分
高性能なCPUやビデオカードは発熱が大きく、冷やしきれないと性能が低下してしまうため、高回転ファンを搭載したモデルが多い。しかし、ファンは高回転になると風切り音が大きくなり、振動によるビビリ音も出やすくなる。つまり、うるさくなるのだ。
となると、静かに運用するためには、当然ファンの回転数を下げる必要がある。そのぶん、冷却能力を補うためにヒートシンクを大きくしたり、大型ファンで低回転でも十分な風量を確保するといったアプローチが行われる。
そして、どのくらいの回転数まで落とせば静かになるのか、風量は十分確保できるのかといった部分はPCの構成によって変わってくる。また、音が漏れにくいPCケースを使えば、同じCPUクーラーでも騒音の感じ方は大きく変わるため、「これが絶対に正解」といった方法はない。
静音PCを自作する場合、こうした冷却性能や騒音に関する要素を少しずつ詰めていき、納得できるレベルになるまで試行錯誤していくことになる。自作PCファンにとってはある意味「ご褒美」みたいな過程だが、サクッと静音PCが欲しいという人にとっては、時間と手間の無駄に感じるかもしれない。
そんな方にオススメしたいBTOパソコンが、サイコムの「Silent-Master NEO」シリーズ。実際に無響室でアイドル時や高負荷時の騒音を測定し、最高の結果が得られるPCパーツとセッティングを突き詰めた本格静音PCだ。
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もちろん、BTOパソコンなので構成によって騒音は多少上下するが、同程度の性能でもほかのPCより断然静かに運用できる点が最大の特徴だ。今回紹介する「Silent-Master NEO Z790/D5 」は、第13世代インテルCoreプロセッサー+DDR5メモリーの組み合わせで、同シリーズ内でも高性能な位置付けのモデルだ。
今回の試用機は標準構成からCPUを「Core i7-13700K」、ビデオカードを「GeForce RTX 4070 Ti VENTUS 3X 12G OC」、電源ユニットを「V750 Gold-V2 MPY-750V-AFBAG-JP」にアップグレードしている。どのようにして高性能なPCパーツを静かに運用しいるのか。その秘密を探っていこう。
水冷よりも静かな一般用途を前提とした空冷仕様
近年のCPUは論理コアが10コア以上は当たり前で、簡易水冷クーラーはもはや常套手段になりつつある。というのも、空冷クーラーよりも冷却効率が高く、高負荷が長時間続くシーンでも安定して冷やせることが多いからだ。一方で、ラジエーターを冷却するファンのほか、冷却液を循環させるためのポンプも稼働しており、音源は多くなる。
対して、空冷クーラーであれば騒音源はファンのみ。アイドル時や低負荷時であれば低回転でも十分冷却できるため、簡易水冷クーラーよりも静音化しやすいこともある。もちろん、騒音の大きさはクーラーによって大きく変わる。Silent-Master NEO Z790/D5 は、空冷ながら冷却性能が高く、静音性にも定評があるNoctuaの「NH-U12S」を標準採用している。
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また、背面には同じくNoctuaの120mmファン「NF-S12A FLX」を配置し、CPUクーラーからの熱気を効率良く排出できる点もいい。もちろん、このPCケースファンも静音性に定評があるモデルで、CPUクーラーと並べることで見た目にも良いアクセントになっている。
なお、PCケースは騒音を漏らさないよう通気口が少なく、排気は背面のみ。冷却効率はいかに熱をPCケース内に拡散させることなく、すばやく排出できるかがポイントになるだけに、このレイアウトには大きな意味がある。
さらに、吸気には大型の140mmファンが使われている。こちらもNoctua製の「NF-A14 FLX」だ。配置がよく考えられており、ビデオカードに冷たい外気を効率良く送り込める。
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ちなみに、CPUクーラーに排気ファン、吸気ファンがNoctua製で揃っているが、これはたまたまだという。多くのファンを試し、静音性と風量のバランスが優秀だったものを選んだ結果、すべてNoctua製品になったということらしい。
そんな試行錯誤で生まれた効率的なエアフローを無駄にしないよう、裏配線でしっかりサポート。組み立て技術が高いサイコムらしく、PCケース内は驚くほどスッキリとしている。
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裏側を見てみると、ケーブルを無理に押し込んでいる印象はまったくなく、キレイに整理されている。取り回しの方向ごとに結束され、どのケーブルがどれにつながっているのかわかりやすくなっているため、SSDやHDDを増設する際に悩まなくていい。
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高遮音PCケース、Silencio S600を採用
ファンにこだわり、エアフローを高める裏配線を徹底する。これは騒音そのものを減らすための工夫だ。そして、静音性に優れたPCケース「Silencio S600」を採用することで、さらに耳に届く騒音を低減している。
そもそもPCの動作音はPCケースの吸排気口から聞こえる場合が多い。排気口は背面にあるため大きな問題になることは少ないが、前面の吸気口はユーザーとの距離が近いのでうるさく感じやすい。
Silencio S600は前面から漏れる騒音を減らすため、フロントパネル内側に吸音材を装着。フロントパネル左右と下の隙間から吸気することで、前面の音漏れを最小限に抑えている。
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また、サイドパネルからの音漏れやビビリ音対策として、遮音材が貼られている点も特徴の1つ。指で叩いてみるとわかるが、一般的なPCケースであれば「カンカン」といった高い音がすることが多い。対して、Silencio S600のサイドパネルは「ゴツゴツ」という鈍い音。内部からの騒音が響かず、振動に強く、しっかりと遮音してくれている証拠だ。
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ちなみに、Silencio S600のフロントカバーは通常は右開きだが、左開きにも変更できるリバーシブルシステム。壁際など、設置スペースの都合が悪ければ調整できるので、設置自由度は高いと言えるだろう。
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静音性はさることながら使い勝手も◎
マザーボードはASRockの「Z790 Pro RS」。背面インターフェースのUSBポートはType-Aが7基(USB 3.2 Gen 2が1基、USB 3.2 Gen 1が2基、USB 2.0が4基)、Type-Cが1基(USB 3.2 Gen 2)と、多数の機器を接続しても余裕があるだろう。
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前面インターフェースは天面手前。USBポートはUSB 3.2 Gen 1に対応したType-Aが2基のみで、最近増えてきたType-C機器を接続できない点は惜しい。しかし、SDカードリーダーを標準搭載している点はすばらしい。いちいちSDカードリーダーを接続する必要がなく、スマートにSDカードを読み込める。
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Silencio S600には5.25インチベイもある。こちらも今や珍しい仕様の1つだが、Silent-Master NEO Z790/D5 はDVDスーパーマルチドライブを標準搭載しており、書き込みソフトも付属している。
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データの受け渡しはUSBメモリーやクラウドストレージを使うほうがラクだが、運動会などの映像を親族に渡す場合など、返却不要で配れるDVDのほうがいいといった需要もあるだろう。
特に年配の人が相手の場合、テレビで見たいからDVDにしてほしいという要望も考えられる。古いイベント会場では持ち込める映像がDVDに限定されていたりと、そんな時に別途外付け製品を買わずに済む。
もちろん、まったく使う予定がない人なら、BTOで「なし」も選べる。2610円安くなるので、必要なければ外してしまっても構わない。カスタマイズで自分の求める仕様を最適な価格で手に入れられるところが、BTOパソコンのいいところだ。
まとめ:静音性に極振りしながら性能も追及
ほか、電源ユニットは低負荷時はファンの回転を停止するセミファンレスタイプを採用している。このように、Silent-Master NEO Z790/D5 はあらゆる部分で静音性に極振りしたPCだが、ゲーミング性能を重視するとビデオカードの騒音からは逃げられない。
アイドル時は静かだが、高画質設定でばりばりゲームを遊んでいる時は、さすがに「静音」とはいかないもの。しかし、一般的なゲーミングPCと比べれば騒音は明らかに小さい。感覚的にはノートPCよりも静かなほど。「タワーPCは高性能だけどうるさいからなあ……」といった先入観を持っている人ならかなり驚くだろう。
純粋にうるさいPCが嫌だという人はもちろんだが、深夜にPCを使うことが多く、家族に迷惑をかけたくないという人にとっても本機は有益な選択肢になってくれるはずだ。
今回は主にPCの内部や静音化のポイントを紹介したが、次回は性能面を詳しくチェックしていく予定だ。
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