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ガラケーで格安SIMに移行する際の壁となるキャリアメールを「メール持ち運び」サービスで解決する

ASCII.jp / 2023年4月9日 12時0分

 最近では格安SIMを積極的に導入するような層は、すでに移行してしまった印象があるが、最後の砦になりそうなのが、いわゆる“ガラケー”と呼ばれる従来型携帯電話のユーザーだ。こうしたユーザーの場合、キャリアメールを使っていることも多く、これを利用し続けるにはキャリアを変えることはできなかった。

 しかし2021年末に、キャリアを乗り換えても、キャリアメールだけ使い続けられる「メール持ち運び(メールアドレス持ち運び)」サービスを3大キャリアが開始したことで、従来型携帯電話でも格安SIMに移行して、そのままメールが使える可能性が出てきた。そこで本当にそれが可能か、今回試した。

今回テストに用いたドコモの「AQUOSケータイ SH-02L」

一般的なインターネットのメールが利用できる携帯電話がある

 実は従来型携帯電話でも、キャリアメール以外のメールが使える。一部の機種ではPOP3やIMAPといった、一般的なインターネットのメールサーバーにアクセスする仕組みが備わっているからだ。

 たとえば、mineoは従来型携帯電話のユーザーも想定したプラン「マイそく スーパーライト」を登場させた際、mineoのメールアドレスが使えるか対応表で記載している。mineoのメールは前述のような一般的なインターネットメールの仕組みを用いている。そしてキャリアメールの「メール持ち運び」サービスも同じくIMAPを使っているので、同様に対応できる可能性があることを示している。

mineo「マイそく スーパーライト」は月250円で使える格安SIM。データ通信は最大32kbps

 mineoの対応表を見ると、最近発売された従来型携帯電話の主要機種が並んでいる。これらはいずれも4G LTE対応のいわゆる“ガラホ”で、3Gの停波とともに使えなくなる種類の機種ではない。

mineo「マイそく スーパーライト」発表時の資料から。かんたんケータイ系以外は、一般的なインターネットメールを利用ための機能が入っていることがわかる

 ちなみに、従来型携帯電話は機種数は限られるが、最近も新製品が登場している。新製品と言っても、充電端子がType-Cに変更されたり、LINEが非対応になったことでLINEアプリのプリインストールを削除したなどの小変化がある程度だが、まだまだ現役であることには変わりない。今後も特定用途では一定の需要はあるはずなので、いずれ5G対応モデルも登場すると想像している。

持ち運びのメールも、一般的なメールと同じ方法で設定できる

 前置きが長くなったが、実際に従来型携帯電話でIMAP方式の設定をして、「メール持ち運び」サービスが使えるか試してみよう。今回テストしたのはドコモの「SH-02L」で、シャープ製の4G LTE対応モデル。サービスは「auメール持ち運び」を使っている。

 「auメール持ち運び」では、最初にIMAPサーバーの設定項目を確認しておくことが必要になる。サービスを契約しているau IDでログインして、サーバー名やユーザー名、パスワードを設定する。

「auメール持ち運び」を使う際は、まずはメール設定情報を確認する

 若干ややこしいのは、「auメール持ち運び」では、メールサーバーのユーザー名がメールアドレスではなく、乱数のような文字列となる点。端末側の設定の最初でメールアドレスを入力するが、メールサーバーの設定に進んだところで、ユーザー名は指定されたその文字列に変更する必要がある。

 また、「auメール持ち運び」の設定ではSSL有りになっているが、指定されたポート番号でメール設定の用語が異なるので、適宜変更する応用力も必要となる。最初にうまくいかなくても、何度が少しずつ設定を変えて試しているうちに成功することもあるので、あきらめないで挑戦してほしい。

 ちなみにSH-02Lでは「メニュー」→「設定」→「#その他」→「アカウント」から「アカウント追加」で、「PCメール」を選択。メールアドレスから順に設定していく。

「アカウントを追加」を選ぶ
「PCメール」を選択
メールアドレスを最初に入力する
サーバーの種類を選ぶ、今回はIMAP

 設定項目はメールアドレスのあと、アカウントの種類として「IMAP」を選び、サーバーのパスワードを入れ、次の画面の受信サーバーの設定で、あらためて指定されたユーザー名を設定。サーバーのアドレスも指定されたものに変更する。

 ポート番号は993と指定されているが、セキュリティの種類で「SSL/TLS」を選ぶと993になる。なお、受信サーバーの設定の終わりに「次へ」を押すと一度受信を確認するようで、設定が間違っていると次に進めない。

 受信設定が終われば、次は送信設定。これも同様に進めていく。ポート番号は587が指定されるが、「SSL/TLS」として、ポート番号465でも送信可能だった。こちらも設定後に確認があるので、正確でないと次に進むことができない。

受信サーバーの設定
設定を確認する通信を実行し、間違っていると先に進めない

 最後に名前を設定したら完了だ。これでドコモ機ではあるが、「*****@au.com」のメールが送受信できることがわかった。これなら格安SIMなどに変更しても、従来型携帯電話で以前のままのキャリアメールのアドレスを使い続けることが可能になる。

受信と送信の設定のあとはオプションを選ぶ。同期頻度は最短で15分間隔。本来のキャリアメールのようにプッシュでの受信はできない
最後に名前を設定して終了
アカウント設定が完了。これでメールの送受信ができる
PCメールでの操作画面

とは言え、現実的には使いにくいのが難点 設定も詳しくないユーザーには難しい

 設定を完了して、メールが送受信が可能なことはわかったが、問題は使い勝手だ。スマートフォンを使いこなす自信が無いから、従来型携帯電話を使っている人も多いはずだが、それで使い方が今以上に面倒になってしまっては元も子もない。

 たとえば、上記の設定は誰かが手助けして完了したとしても、実際に使いこなすのはたいへんだ。SH-02Lの場合、それまでは本体にあるメールボタンを押せば良かったのだが、今後はメインのメニューからメールを選び、そこからさらにPCメールを選ぶことが必要なる。また、PCメールは複数設定できるので、その切替方法も覚えておかないといけないかもしれない。

メニューから左上のメールから、さらにPCメールを選ぶ
側面のボタンの長押しのメニューでは、直接PCメールに移動できる

 mineoの対応表ではmineoのメールは使えることになっているが、「auメール持ち運び」は使えなかった機種もあった。au「GURATINA KYF39」だ。受信はでき、送信も設定できるが、実際のメールが飛んでいかない。筆者の設定が悪いのかもしれないが、SH-02Lと似たような設定項目ながら、SH-02Lのようにうまくいかない。

 実は「auメール持ち運び」での注意書きで、「4G LTEケータイ」では使えないと記載されている。4G LTEケータイのすべてがIMAP対応メーラーを備えているわけではないという意味か、4G LTEケータイのメールボタンを押しただけでは使えないから、こうした注意書きがあるのかとも思ったが、通常のIMAPサーバーとしての設定に何らかの制限がある可能性もある。

今回試した範囲ではうまく送受信ができなかったau「GRATINA KYF39」

逆の発想で今からGmailシフトする手もある

 「メール持ち運び」サービスを有効にし、従来型携帯電話で格安SIMを使い続けることを今回は考えたが、逆転の発想で、今から従来型携帯電話でGmailを使い始めて、少しずつシフトし、徐々にキャリアメールを使わないようにして、Gmailになじんだころに格安SIMに乗り換えるという方法もある。

 前述のSH-02LはGmailの送受信も可能だ。方法は前述のPCメールの設定のところで、最初にメールアドレスを入力するが、そのときGmailを設定すると、Googleアカウント認証のページに飛んでアカウントの確認。あっさり設定が完了した。リアルタイムで通知が来ないなどの違いもあるが、Gmailも従来型携帯電話でも扱える。

アカウントの設定をするところ。Googleにログインという選択が表示される
GmailもほかのPCメールと同じUIで使える

従来型携帯電話のユーザーでも、格安SIMを使う意味がある

 以上のように、従来型携帯電話でもキャリアメールを使いながら、格安SIMに移行できそうなことがわかった。

 たとえば、SH-02Lでmineo「マイそく スーパーライト」(Dプラン)を契約。キャリアメールの「メール持ち運び」サービスを維持すれば、合計月額500円程度でメールも通話機能も使え、さらにプラス月1210円でかけ放題も可能だ。

 ただ、mineo「マイそく スーパーライト」は通信速度が最大32kbpsと実用的ではないので(通話機能は問題ない)、データ通信もある程度使うのであれば、OCN モバイル ONEの「500MB/月コース」のように月数百円クラスのサービスはほかにもある。ぜひ、オトクな組み合わせを考えてみてほしい。

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