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ソフトバンクの技術イベントは量子コンピューターから衛星用の電池まで紹介

ASCII.jp / 2023年4月12日 12時0分

ソフトバンクが研究を進める 先端技術のすべてが集結!

 ソフトバンクはイベント「ギジュツノチカラ ADVANCED TECH SHOW 2023」を開催した。同社の研究開発を紹介するイベントで毎年開催されているが、2022年4月に社長直轄の「先端技術研究所」が設立されてからは初の開催ということもあり、力が入っていたようだ。技術展示とトークセッションが行なわれたが、筆者は、報道向けに実施されたメディアツアーに参加し、主要な展示を見学してきた。

昨年設立された先端技術研究所として初のオープンハウスとして開催

 メディアツアーに先駆けて、ソフトバンク社長の宮川潤一氏のビデオメッセージが映された。宮川氏は、先端技術研究所について「ただ新しい技術を開発するだけでなく、社会に山積みされるさまざまな課題をテクノロジーで解決することを目指して、日々研究に取り組んでいる」と紹介した。

ソフトバンク 代表取締役 社長執行役員 兼 CEOの宮川潤一氏はビデオで登場

 続いて、先端技術研究所 所長の湧川隆次氏が登壇。「ソフトバンクと聞いて、あまり技術的なイメージを持っている方は少ないと思うが、実際にはさまざまな技術開発に挑戦しています。たとえば、2016年に世界初で導入したMassive MIMOなど、5Gの基盤になる技術にも早くから取り組んでいます。これからも、論文を書くための研究ではなく、実際に社会に役立つ研究を進めていきたい」と挨拶した。

ソフトバンク 先端技術研究所 所長の湧川隆次氏が、同研究所のこれまでの実績を紹介した

6つの研究をコーナーごとに見られる

 展示会場には、「次世代ネットワーク」「HAPS」「次世代電池」「自動運転」「次世代コンテンツ」「量子技術」の6つのコーナーが設けられていた。

 「次世代ネットワーク」のコーナーでは、5Gの次のBeyond 5G/6Gに向けた取り組みを紹介。ソフトバンクが実用化に向けて開発を進めているテラヘルツ波を利用する通信の最新技術として、回転反射鏡アンテナと超小型受信アンテナで実現する日本初のテラヘルツ追従デモなどが披露された。

一般的に、100GHzから10THzまでの周波数の電磁波が「テラヘルツ波」と呼ばれる。ソフトバンクは、次世代の超高速無線通信の1つとして研究開発を進めている。今回は、回転反射鏡アンテナと超小型受信アンテナで通信エリアを構築するデモが披露された
次世代の映像圧縮システムのデモも見られた

 「HAPS」とは、ソフトバンクが“空飛ぶ基地局”として開発を続けているもの。地上から約20kmの成層圏に、携帯電話の無線機を搭載した無人飛行機を長期的に飛行させ、地上の広域を通信圏とする。会場にはHAPSの模型やシミュレーター操作用の操縦桿などを展示。これまでの実証実験の結果などが紹介された。

HAPSの模型が展示され、これまでの研究成果がパネルで紹介されていた。すでに飛行実験も行なわれている
フライトシミュレーター用の操縦桿なども展示
HAPSによって日本全域のカバーを目指している

 「次世代電池」のコーナーでは、電池の小型・軽量化を目指す取り組みについて展示。先述のHAPSでは、電池の軽さが求められることに加えて、成層圏は地上に比べて気温が著しく低く、気圧も低いため、その環境に耐え得る性能も必要になるとのこと。

次世代の電池の素材として研究開発されている樹脂箔を展示
現代の市販の乾電池と次世代電池の重さを比較するデモも実施
HAPS向けに開発されている電池も展示されていた

自動運転の分野でもソフトバンクは存在感をアピール

 「自動運転」のコーナーでは、ソフトバンクが目指す自動運転の姿や、社会実装に向けた課題への取り組みなどが紹介されていた。自動運転のレベルは5段階あり、4月1日から施行された改正道路交通法によって「レベル4」の自動運転が解禁された。レベル4では、特定条件下における完全自動運転が認められる。しかし、コストや安全性など克服すべき課題は多いとのこと。ソフトバンクは、2023年1月から東京の竹芝エリアにて、自動運転の走行経路の設計や沿革監視の運行業務などをAIで完全無人化する実証実験も行なっている。メディアツアーの最後に、その様子も公開された。

ソフトバンク本社がある竹芝エリアで行なわれる実証実験の概要
自動運転の監視システム
実証実験に使われている車
自動運転の実用化に向けては、精密な3Dマップを生成する技術も必要であることが解説された

 「次世代コンテンツ」のコーナーでは、5Gと映像配信やデータ処理の最新技術を融合させた次世代コンテンツへの取り組みを紹介。「XR基盤技術」を用いて、バーチャルで提供されるエンタメコンテンツに、現実世界にいるユーザーがスマホの操作で一体感を味わえるデモを体験できた。

 なお、ソフトバンクは2022年10月にMixalive TOKYOで初開催した「講談のおそ松さん」など、すでに一般向けにXRライブの提供を始めている。

ディスプレーにスマホをかざしてARでコインを投げると、ディスプレーの映像にも連動するなど、バーチャルとリアルの垣根をなくす臨場感を体験できた
「講談のおそ松さん」は、観客はスマホの操作でリアクションを示せて、それが演出に反映される趣向

量子コンピューターの時代が来る前に

 「量子技術」のコーナーには、IBM製の量子コンピューターの模型を展示。非常に大きいが大半は冷却装置で、約0.01K(ケルビン)という宇宙よりも冷たい温度でないと演算ができないとのこと。ソフトバンクは自社で量子コンピューターを開発するのではなく、量子コンピューターを活用する技術の研究開発を進めているとのこと。

 量子コンピューターは2030年代に本格的な実用化が想定されているが、悪用されると従来の暗号アルゴリズムでは簡単に解読されてしまう。そのため、量子コンピューター時代の到来に備えて、より強固なセキュリティー技術の開発に取り組んでいるのだ。

IBMの量子コンピューターの実物大のモックアップを展示
実際に計算に使われる心臓部は下にある
量子コンピューターは現在のスーパーコンピューターをはるかに上回る計算能力を持つ。そのため、新たなセキュリティー技術が必要になる

 なお、今回の「ギジュツノチカラ ADVANCED TECH SHOW 2023」に展示されていた技術の詳しい内容については、下記の先端技術研究所の公式ウェブサイトに紹介されている。

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