YouTubeもリルタイムに3D表示可能のタブレット「nubia Pad 3D」
ASCII.jp / 2023年4月19日 12時0分
Nubiaから3D表示が可能なタブレット「nubia Pad 3D」がグローバルで発売になった。NubiaはZTEの関連会社であり、ゲーミングスマートフォン「REDMAGIC」シリーズなどを展開している。nubia Pad 3Dは製品名からわかるように、3D表示が可能なタブレットである。
裸眼で3D表示が可能なタブレット
nubia Pad 3Dは、専用の眼鏡を必要とせず裸眼で3Dコンテンツを見ることができる。内蔵カメラで3D写真に加え3D動画の撮影が可能なほか、YouTubeなど既存の2D動画をリアルタイムで3D化して視聴することもできる。さらに技適を取得しており、ZTEのプレスリリースによると日本での発売も予定されているとのことだ。
nubia Pad 3DのスペックはチップセットがSnapdragon 888、通信はWi-Fiのみに対応し、4G/5G通信は非対応。メモリー8GB、ストレージ128GBという構成で、最大1TBのmicroSDカードに対応する。ディスプレーの解像度は2560×1600ドット、120Hz駆動のIPS液晶で3D表示もできる。カメラはフロントに800万画素を2つ、リアに1600万画素を2つ搭載している。バッテリーは9070mAhで、33Wの急速充電に対応し、110分で満充電できる。
本体右側面にはUSB Type-C端子を、下部には5ピン端子を備える。専用のレザーケース「nubia Pad 3D Protective Case」(別売)の装着が可能だが、外付けキーボードは現時点では提供されない。なお、本体サイズと重量も現時点では正式な数値は公開されていない。同サイズのタブレットと比べると若干厚みがあるようだが、これは3D表示をするためのディスプレー構造ゆえだろう。
OSはAndroid 12でホーム画面にはプリインストールアプリが多数並ぶ。nubia Pad 3Dの3D表示はLeia社が開発したDLB(回折型ライトフィールドバックライト)技術を採用しており、同社が開発した3D関連アプリが内蔵されている。そのほかのアプリケーションはグーグル系の基本的なものがインストールされている程度だ。
ベンチマークを計ったところ、AnTuTuのスコアは673115だった。Snapdragon 888搭載のためSNSやブラウザなど一般的なタブレットとしての操作にストレスを感じることはない。一方で、3D関連のLeiaのアプリは若干動作にもたつきがあるものもあったが、これはアプリ側がより高い性能のパフォーマンスを必要とするからだ。3D表示そのものは後述するが良好だった。
3D写真や動画も撮影可能 YouTubeもリアルタイムに3D化
nubia Pad 3Dの魅力はもちろん3Dコンテンツの利用だ。プリインストールアプリはnubia Pad 3Dを買ったその日から3Dコンテンツを楽しめるものばかりであり、専用眼鏡も不要なので誰でも手軽に3Dを体験できる。nubia Pad 3Dのフロントにある2つのカメラは、ユーザーの目の動きをAI処理でリアルタイムにトラッキングし、どの角度からディスプレーを見ても3D表示を途切れずに行なってくれる。
これまでも3D表示可能なスマートフォンなどが販売されてきたが、画面サイズが小さいことや解像度が低いことなどから実用性があるものとは言えなかった。nubia Pad 3Dを使ってみると過去の製品とは異なり、本格的に奥行きのある画像や映像を表示してくれる。顔を多少動かしてもフロントカメラがアイトラッキングを続けてくれるため、3D表示が乱れることもない。3Dの実際の表示はまだ多少の荒さもあるが、使ってみると「3D表示もようやく実用レベルに達したな」と感じられた。個人でのエンタメユースだけではなく、ショップの3Dデジタルサイネージなどにも使えそうだ。
それではnubia Pad 3Dではどんな3Dコンテンツが楽しめるのだろうか。キラーアプリと感じられたのは「LeiaCam」と「LeiaTube」だ。
LeiaCamは背面の1600万画素カメラ2つを使って3D写真・動画を自分で撮影できる。nubia Pad 3Dを購入して身の回りの物を撮影し、それを表示してみれば3D表示の楽しい世界にのめり込んでしまうかもしれない。操作は簡単で画面右にシャッターボタンがあるのでそれを押すだけで撮影できる。動画に切り替える際はカメラ型のアイコンをタップするだけ。解像度の切り替えなどの設定はない。小さいウィンドウに見えるのはモノクロの深度表示で、コントラストが高く見えるほど深度が深く、より深い3Dのレベルで撮影ができるようだ。
使ってみるとシャッターボタンをタップしてから保存されるまで、AI処理もあるため4~5秒の時間がかかる。そのため連写には向かないが、そもそも3D撮影を連写する機会はあまりないだろうから慣れれば気になるものではない。タブレットを両手でしっかり持って撮影するので手ぶれもしにくいが、気軽にかばんから取り出して3D撮影するという機動力には欠ける。とはいえ、撮影した写真が次々に3Dで表示できるのはとても楽しい経験だ。
撮影した写真のサイズは4656×2910ドットで、ファイルサイズは12~18MB程度。nubia Pad 3D状では3Dと2D表示への切り替えが可能で、非3Dディスプレーの端末では当然だかが2D表示のみとなる。本記事では3Dで飛び出しているイメージを表現できないのが残念だが、ファミレスで撮影したこの食事の写真はnubia Pad 3Dで表示するとしっかりと奥行きのある画像として表示される。
また動画撮影は解像度は1920×1200ドット、フレームレートは固定ではなく映像によって30fps前後に自動で変わる。使ってみるとタブレットを動かしての撮影は手ぶれが目立ってしまう。タブレットを固定して被写体が動くシーンを撮影したほうがよさそうだ。
YouTubeも3D表示で見られるように!
もう1つのキラーアプリ「LeiaTube」は名前から想像できるように、YouTubeなどのストリーミング動画をリアルタイムにAI処理を行ない、3D表示してくれる。動画をダウンロードしてコンバートする必要がないので、お気に入りのコンテンツを3Dで見ることができるのである。対応しているサービスはYouTubeのほかにVimeo、Twitch、Facebookだ。
LeiaTubeから動画を検索することもできるが、カテゴリーに分類されている動画をスクロールしながら探すため使い勝手は悪い。LeiaTubeは直接使うのではなく、ほかのアプリからシェアで起動するのが使いやすい。たとえば、YouTubeで動画を再生中にシェアからLeiaTubeを選ぶ。するとLeiaTubeが起動して3Dへのコンバートを行ない、YouTubeの動画が3Dで再生されるのだ。
3Dへのコンバートは10~20秒程度。一度コンバートされれば、あとはそのままYouTube動画を最後まで3Dで再生できる。使ってみたところ、たとえば人物がよく動く動画は3D表示による迫力を感じられた。K-POPのライブやバスケットボールの試合などは、3Dで見ると病みつきになるほどだ。広いフィールドに人物が小さく写るサッカーの試合中継も、これはこれでそれぞれの選手がわずかに浮かび上がるだけでも印象は変わる。また料理番組は食材が目の前に本当にあるように感じられ、3Dで見ていると空腹感が高まる。LeiaTubeでYouTubeの視聴はかなり楽しめる。
「自分で3Dコンテンツを作れる」「動画サービスを3Dで視聴できる」だけでも楽しいnubia Pad 3Dだが、さらに3D写真や動画を楽しみたいユーザー向けにはLeiaの3Dコンテンツシェアサービス、LeiaPixがインストールされている。世界中のLeiaの3Dカメラを使っているユーザーの写真や動画がアップされているのだ。
実はLeiaの3D技術は2018年に発売されたスマートフォン「Red Hydrogen One」が先に採用した。そのためLeiaPixを見ると2018年頃の3D写真も多く上がっている。nubia Pad 3Dが発売されたことで、今後はこれで撮影された3D写真や動画が増えていくだろう。なお、筆者も「hkyamane 3D」でユーザー登録を行ない、いくつか3D写真をアップしている。
サンプル3D画像や映画、ゲームなども配信
nubia Pad 3Dには他にも3Dコンテンツ関連のアプリがあるので紹介しよう。
LeiaChat
LeiaViewer
LeiaPlayer
LeiaFlix
3D映画を配信。現時点ではアメリカ国内からしかアクセスはできない
LeiaFrame
フォトフレームアプリ。Leiaのサンプル写真、動画や自分で撮影した写真、動画を自動的に表示していく。
Leia Appstore
nubia Pad 3D内蔵のLeiaのアプリケーションや、今後追加されるアプリケーション、さらにサードパーティーのゲームやアプリケーションをダウンロードできる。ゲームは有料だ。
【まとめ】メタバース時代に向いたタブレット
nubia Pad 3Dを実際に使ってみるまでは「たいした3D表示はできないだろう」と期待していなかった。しかし自分で撮影したばかりの写真がしっかりと立体表示されたり、YouTube動画を3D表示できるなど、nubia Pad 3Dは3Dコンテンツを日常的に使いたい思わせるほどの魅力が感じられた。
海外での価格は1199ドル(約15万9000円)と高めだが、大手メーカーによる実用性のある唯一の3Dタブレットとして考えればその価値はありそうだ。日本での発売に期待したい。
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