1台7役の「RELAX マルチレトロラジオ」を衝動買い
ASCII.jp / 2023年4月20日 12時0分
もうかれこれ1年半ほど前に、ネットをうろついていて見つけて衝動買いしたモノがある。とても便利で楽しいガジェットだったけど、原稿書き待ちアイテムを置いている出窓の周りにずっと置いたまま、その存在すら忘れてしまっていた。
もう10年以上昔になると思うが、アプリで有名だった「メディアプレーヤー」とは別で同じように「メディアプレーヤー」と呼ばれるハードウェア基盤が脚光をあびた時期があった。数多くの商品が登場したが、昨今は深セン辺りの企業のメディアプレーヤー基盤が標準の汎用品のようになって、いろいろな応用製品が登場している雰囲気だ。
ちっちゃくて丸くてちょっとレトロ なかなか個性的な「RELAX マルチレトロラジオ」
今回ご紹介する「RELAX マルチレトロラジオ」と呼ばれる商品も、おそらくその中の1つの基盤を採用した製品だろう。商品そのものは名前の通り外観は、ちっちゃくて丸くてちょっとレトロで、その時代にマッチしたカラーリングが施されている、なかなか個性的なモデルだ。
筆者の購入していたモデルは、レトロカラーでは定番色のブルーグリーンにうっすらとグレーが混じった「ミントグリーン」色だ。ほかにもブラックやオリーブグリーン、クラウディサンドなど、全部で7色ほどのカラーモデルがある。同梱物はmicroUSB、USB Type-A、イヤホンジャックの付属した専用の白いケーブルと取説だ。
あまりにも多機能なマルチレトロラジオなので、最初にこの商品が提供する7つの機能の要約をしておきたい。その7つは①モバイルバッテリー機能、②TELEC認証取得済のSW/AM/FMラジオ機能、③トーチライト(懐中電灯機能)、④SOSアラーム発信機能、⑤外部スピーカー機能、⑥MP3再生プレーヤー機能、⑦時計機能だ。一部の機能の詳細に関しては以下で追加の解説をしたい。
多機能だがそれに対抗するようにレトロ感のデザイン的充実も楽しい。オールディーズなラジカセの最大の特徴であるハンドル(持ち手)や曲面を数多く取り込んだ全体デザイン、緩い暖色系の真空管のような灯りの円型チューナー、シルバーカラーでプリン型の音量ボタンなど、誰にでも分かりやすいレトロデザインの採用が特長だ。
レトロな時代には、音楽ソースのほとんどはカセットテープやCDだったので、そのソース再生やコンテンツのコピーを考えると、当時人気だったダブルカセットやダブルCDなどのサイズ感は、容易に想像が付く。今やデジタル系のソースの99%はネット経由で、生き残った物理的メディアはmicroSDやUSBメモリーなどの超コンパクトなメディアだけだ。
必然的に外観サイズは極めてコンパクトになり、テクノロジーの進化でメインの機能を果たすメディアプレーヤー基盤や内蔵バッテリーの類いも小さくなり、全体として外観サイズは幅128×高さ98×奥行き57mmで、たった395gなのも納得がいく。これは1970年代に流行った肩に担ぐサイズの軽く1Kgは超える巨大なCDラジカセとは対極だ。
各種機能の操作部を6面を巧みに使って配置
マルチレトロラジオは、名前の通りラジオ機能をメインの再生ソースとして内蔵している。搭載しているのはSW(短波)とAM、FMの3種類。マルチレトロラジオの右側面にある電源をオンすると、前面にあるオールディーズな丸いチューナー部分が暖かいオレンジ色に輝き、チューニングダイヤルを回すことで、お好みのラジオステーションを選択できる。
大きな丸いチューニングダイヤルの上側には、バッテリー残量ランプや充電ランプ、Bluetooth/SW/AM/FMのソース切り替えのためのスライド式バンドスイッチが、きれいに収まっている。左前面にはスピーカーや再生ソースの曲戻し、曲送り、再生/一時停止のボタン、そしてソースの再生機能とは関係のない懐中電灯のスイッチも、マルチレトロラジオを片手持ちした時に押しやすい位置に配置されている。
右側面には音量調整ダイヤル、電源オン/オフスイッチと各種ポート(AUX/microUSB入出力ポート、USB出力ポート、USBメモリーポート、microSDカードポート)がある。左側面にはLEDの懐中電灯が配置されており、前述の懐中電灯スイッチを押したり底面の機能セレクタスライドスイッチをSOS方向にスライドさせるとSOS信号としてアラームと一緒に機能する。
マルチレトロラジオの特徴的なのは、単なる自宅内での通常使用だけではなくアウトドア、防災、被災時の使途もカバーしていることだ。例えばマルチレトロラジオ本体の充電は、普段は一般的なUSB/ACアダプターと付属のUSBケーブル経由で、本体のmicroUSBポートですれば充電時間は3〜4時間だ。ほかの充電手段として、緊急時には手回しハンドルによる蓄電が可能だ。満充電状態なら中音量再生で、最大20時間稼働するようだ。
手回し充電機能を搭載した防災系ラジオは、マルチレトロラジオ以前にも多くの家電製品メーカーからも発売されている。そして機能的にはほとんど同じモノだ。マルチレトロラジオの場合、約1分間の手回し(回転方向はなし)による蓄電で懐中電灯なら30分、ラジオは5分間の使用が可能となっているので、緊急時には極めてありがたい存在だろう。
約70時間の太陽光照射で満充電になるソーラー充電は、手回し人力充電同様メインのUSB(5V1A)充電に対して、あくまでサブやそのサポート的充電手段として考えるべきかもしれない。しかし充電実現手段としては、ないよりも確実に有り難い手段であることは間違いない。
昨今のメディアプレーヤー系ハードウェアの特徴でもあるが、マルチレトロラジオも音楽データを収録した再生ソースメディアを接続することで、対象メディアが何であるかを本体が英語で発話して、ソースの切り替わったことをガイドして再生してくれる。
バンドスイッチをBt(Bluetooth)モードに切り替えておくことで、再生ソースがBluetoothの先のスマホなのか、専用ケーブル接続のAUXなのか、microSDなのかUSBメモリーなのかを自動判断して発話してコンテンツがあれば自動的に切り替えて再生してくれる。再生ソースはもちろんどれか1つだが、マルチソースを同時接続してウエイトすることは問題なくできる。
例えば内蔵microSDカードのスロットで音楽を再生中に、後から音楽データを収納したUSBメモリーを挿入するとマルチレトロラジオは「USBモード」と発話し、音楽再生をUSBメモリーに内蔵の音楽ソースに自動的に切り替えてくれる。
そしてUSBメモリーを引き抜くと、今度は「SDモード」と発話し、再生音楽もmicroSDカード内蔵の先ほどの曲の続きを再生してくれる。microSDカードも抜いてしまうと、あらかじめ設定されたスマホなどのBluetooth接続先が存在すれば「CONNECTED」と現在の接続形態を発話してくれる。基本的に最後に挿入したソースを一番に再生するLAST-IN−FIRST PLAYBACKモードだ。
7つもの機能を内蔵したマルチレトロラジオだが、コンパクト性能と可搬性に優先度を置いているので、内蔵バッテリーサイズも2000mAhと昨今のモバイルバッテリと比較すると遠慮がちだ。充電ロスを考慮すると懐中電灯やラジオ受信なので、バッテリーをまったく使っていない状態でも、昨今のスマホなら30〜40%程度の充電結果となるだろう。
1年半ほど自宅の窓際で眠っていたマルチレトロラジオだが、ここ1ヵ月ほど使った結果は極めて満足している。約8500円のマルチレトロラジオに対して敢えて欲を言うなら、ラジオ試聴時に何もしないとノイズが乗ってしまうことだ。
ただし受信中にマルチレトロラジオのハンドルや一部の金属部分に人が手を触れると、そのノイズはなくなってしまう。どうも内部のアンテナの受信能力が足りないので、人間の体がアンテナを支援しているイメージだ。
ずっとマルチレトロラジオのどこかを指先で持っている訳にもいかない。ノイズマルチレトロラジオ本体の設置角度で変化することもあるが、できれば次期モデルでは内蔵アンテナの強化での解決を待ちたいと思う。
そしてもう1つ、マルチレトロラジオにイヤホン端子がサポートされていないこと。ラジオにせよ音楽データの入ったmicroSDやUSBメモリーにせよ、そのサウンドは内蔵スピーカーからの再生だけに頼ることとなる。これはちょっと残念だ。昨今のメディアプレーヤー基盤にはBluetoothイヤホンもサポートしているはずなので、次機種ではその辺りをアップグレードしたモデルの登場に期待したい。
今回の衝動買い
・アイテム:RELAX マルチレトロラジオ ・購入:SiNCERE store(シンシアストア) ・価格:8580円
T教授
日本IBM社でThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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