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ラズパイオーディオで有名なVolumioが取り組む、ネットワークオーディオの国内正式発表

ASCII.jp / 2023年4月23日 8時0分

 トップウイング・サイバーサウンドグループは4月19日、イタリアのVolumio製品を新たに取り扱うと発表した。

 デジタルストリーマーであり、DACを内蔵しない「RIVO」、DACを内蔵してネットワークプレーヤーとして使用できる「PRIMO」、そしてネットワーク入力とデジタルアンプが一体化した「INTEGRO」の3種類のネットワークオーディオ機器を販売する。

Volumio RIVO PRIMO INTEGRO
デモに使用したシステム

 Volumioはラズベリーパイで音楽再生をするためのOSとして広く知られているが、同社が取り扱うのはあくまでオーディオ機器のハードウェアであり、ソフトウェア単体のサポートはしないそうだ。

ハードウェアに合わせてソフトウェアもカスタマイズ

 来日したVolumioのCEO、Michelangelo Guarise(ミケランジェロ・グゥワリゼ)氏は、Volumioという名前が「音量を表すボリュームとイタリア語で私を意味する“ミオ”の合成語であり、自分に合った形で最高の音を楽しんでほしいという意味が込められている」と語った。

 3製品についても、オーディオを楽しむ人はマニアから一般まで広いレベルがあり、そのレベルに合わせたものを用意したということだ。つまり、PRIMOはアナログストリーマーであり、後段に好みのアンプを組み合わせる人向き。RIVOはマニア向けでDACを持っている人向け。そしてINTEGROは、一体型であり最も使いやすい。このように初心者であれ、マニアであれ、同じように音楽を体験してもらいたいという意味を込めたラインアップと言える。

Volumio RIVO PRIMO INTEGRO

 Michelangelo氏がVolumioを始めたのは「若い頃にターンテーブルで得た感動をデジタルで得たいという願いがラズベリーパイの出現によって実現できそうだ」と考えたためだそうだ。そこからオンラインで反響が広がり、会社も大きくなってきた。しかし、ソフトウェアだけでは自分の理想に届かないことにも気が付いたので、究極の音を届けたいという思いからハードウエアを提供することにしたという。

 実際に低レベルの最適化にはハードウェアとソフトウェアの組み合わせが必要になるということで、3種類のハードウェアはそれぞれ個別にソフトウェアの調整もしている。これはすべてのプロダクトに対して、それぞれ最適のチューニングを加えているということだ。

Volumio RIVO PRIMO INTEGRO
Volumioの設定画面。Spotify Connectの項目が確認できる。

 RIVOはデジタル出力のみなので最も調整は少なく、PRIMOはネットワーク回路からDACに至るI2Sドライバーを最適化している。また、ビット落ちを防ぐためにPRIMOにはデジタルボリュームを搭載しているが、このソフトウェア部分も最適化を図っているとのこと。さらにアンプ一体型のINTEGROでは、アンプ内蔵のためのさまざまな調整がソフトウェアでも必要となる。

 これは「箱で提供して5分で良い音が出せる形が望ましいという理念によるもの」で、いわばアップルのように完全な形でサービスとハードを届けたいという考えだそうだ。また、製品共通の特徴として、外観デザインも洗練されたものに仕上がっている。ボタンを押すだけで立ち上がって使え、さらにそのボタン自体の意匠によりイタリアらしさも提供したいということだ。

Volumio RIVO PRIMO INTEGRO
Roonの再生デモ

 3製品は基本ソフトウエアとしてすべて「Volumio 3」が搭載されている。内容はFree版でなくPremium版と同等とのこと。具体的には、プラグイン機能やクレジット検索、CDリッピングなどの付加機能が利用できるが、通常Premium版で発生する月額使用料は含まれている。ネットワークサービスとして、BandcampやSpotify Connectもプラグインとして使用可能だ。TIDALやQobuzにも対応できる。発表会で行われたデモでは実際にiPadから操作して、日本語表示がされることも確認した。

Volumioのネットワーク製品の特徴

 製品の特徴を詳しく紹介する。ちなみにVolumioのハードウェア製品には、Volumio 3が動作するSBC(Single Board Computer)が搭載されているが、現在ではKhadas製のものが採用されている。これは当初搭載されていたASUS製のSBCよりも高い性能を発揮できるためのようだ。

RIVO

 RIVOはネットワークからの入力をデジタル信号で出すトランスポート製品で、ネットワークブリッジとも呼ばれるタイプの製品だ。そのためにDAC製品やDAC内蔵製品に接続することが前提となり、アナログ出力はない。最も早く発売される製品だ。発売日は4月25日で、価格は16万5000円だ。

Volumio RIVO PRIMO INTEGRO
RIVO

 RIVOは電気的な絶縁を意味する“ガルバニックアイソレーション”に加えて、電源フィルターを備えるなど、ハードウエアのレベルで徹底した低ノイズ化が図られている。デジタル出力はUSB、SPDI/F、AES/EBUを装備している。またハードディスク用のUSB端子やLAN、Wi-Fi、microSDスロットなどを経由した音楽ソースの入力も可能だ。HDMI端子があるが、これはI2S出力ではなくディスプレーを接続するためである(全機種共通)。

PRIMO

 PRIMOはDACを内蔵し、アナログ出力ができるネットワークストリーマーで、日本ではネットワークプレーヤーとも呼ばれるタイプの製品だ。発売日は6月下旬で価格は13万2000円。

Volumio RIVO PRIMO INTEGRO
PRIMO

 DACチップとしてESS Technologyの「ES9038Q2M」を搭載している、内部でネットワーク入力をI2S変換してDACに送ることで高音質化を図っている。さらに内部では先にも書いたようにソフトウェアボリュームではなく、ハードウェアボリュームを採用することで音質の低下を防いでいるのもポイントだ。

INTEGRO

 INTEGROはネットワーク入力を含めた各種デジタル/アナログ入力とスピーカー駆動用のアンプまで搭載した一体型の製品だ。8月下旬の発売予定で、価格は20万3500円。

Volumio RIVO PRIMO INTEGRO
INTREGRO

 これはMichelangelo氏から詳細に話を伺ったのだが、INTEGROはデュアルモノのフルデジタルアンプという点で最も注目すべき製品である。フルデジタルアンプブロックには、ドイツInfineonの「MERUS multilevel class D audio amplifier」の技術が搭載されているようだ。従来のD級アンプは出力レベルが1つであるために非効率でノイズが発生することがあったが、MERUSはその名の通り、複数の出力レベルを経ることで出力レベルの切り替えをより素早くスムーズに行うことができ、これにより高い効率と低ノイズが実現できるという。ボリューム部分はやはりビット落ちを防ぐためにハードウェアボリュームが採用されている。

Volumio RIVO PRIMO INTEGRO
背面から見たところ。太いスピーカーケーブルが接続されている。

 INTEGROについては試聴させてもらったが、まず音像イメージがピンポイントに空間に結ばれることに驚く。これはフルデジタルアンプなのでジッターが抑えられるからだそうだ。また、デジタルアンプらしく低音のコントロールもかなり良い。短時間の試聴ではあったが、その実力の片鱗が感じられた。

ラズペリーパイだけの会社ではない

 私自身も以前ラズベリーパイでVolumioをヘビーに使っていたこともあり、発表会ではCEOとそうした昔話に花を咲かせたりもした。しかし、この会話を通じてわかったのは、VolumioはもはやラズパイのOSの会社ではなく、オーディオメーカーとして大きく進化したということだ。その顕著な例がINTEGROである。

 さらにMichelangelo氏は将来の展望について「外にいてもVolumioを使えるようにしたい」と語っていた。また、「AIを使用してリコメンデーションし、『ヘビーなドラムスの80年代のロック』といった要望を伝えて検索できるようにしたい」という展望も語っていた。Volumioとその製品群には今後とも注目していきたいと思う。

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