デバイス3台に同時充電できるレトロPC風充電器「Retro 67」を衝動買い
ASCII.jp / 2023年4月27日 12時0分
フルセットで90万円以上したアップル Macintosh Plus(本体+プリンター+外付けFDD)を筆者が衝動買いしたのは、1986年ごろ。大卒初任給のおよそ6ヵ月分だった。当時から複数のMac系月刊誌などに、日本ではまだまだ珍しかった海外のPDS(Public Domain Software:今のフリーウェアに近い)の連載を友人と書いていたが、それほどローンの足しにはならなかった。
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MacintoshにオマージュしたPD対応のACアダプターの第2弾
あれから40年弱が経ち、あの頃の思い出深いMacintoshにオマージュした、極めてコンパクトな昨今流行のPD対応のACアダプターの第2弾が登場した。先発のオマージュモデルは昨年10月にこのコラムでもご紹介した「Retro 35 GaN充電器」。そして今回ご紹介する上位モデルは「Retro 67」だ。ブランドは同じ「SHARGEEK」で製造元は当コラムでもご紹介した「Storm2」や「Capsule Gravity」のSHARGEだ。
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Retro 67は現在のところ残り30日あまりを残して、クラウドファンディングのMakuakeで応援購入者を募っている。原稿執筆時の4月24日現在、まだ応援購入可能なRetro 67は早割限定40%オフのRetro 67 標準セット(本体+USBケーブル)の8199円からだ。商品のデリバリーは6月末までに実施される予定。
Indiegogoでプレッジを募集していた頃、商品のタグワードは以下のような紹介だった。「Max 67W Output、3 USB-C Ports、Ultra-Tiny、Retro Macintosh Look、All-GaN Technology」一方、国内のMakuakeのタグワードは「名作へのオマージュ。マッキントッシュの外観にマトリックスの要素を注ぎ込んだデザイン、電力の出力状況をパネルで可視化! ワクワクするような遊びごころが満載、コンパクトなのに最大67W、3つのType-Cポート搭載! 複数デバイスの急速充電もこの一台で!」と多少の差異がある。
グローバルなタグワードと日本国内専用に近いMakuakeでのタグワードには、全く同じ商品だがウェイトのかけ方に差異があっておもしろい。海外はハードウェアスペックとテクノロジー中心、国内はマッキントッシュというレガシーな名器に対するオマージュやビジュアルなどの遊び心を全面に押し出したデザイン・ガジェット商品的イメージがウリのようだ。
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Retor 67は、Retro 35とよく似た多少大きなキューブ状のオシャレなハードボックスで届けられる。日本にもファンの多い1999年に公開された映画「マトリックス」のグリーンのコードが上から下に流れるイメージをボックスの正面、天面、底面を除く3面にデザイン的に展開している。同梱物は筆者の場合、本体であるRetro 67以外にはType-C to Type-CのRetroケーブルと3ヵ国語(英語、中国語、日本語)対応の取説となる。
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分かる人には分かるMatrixイメージ。通常はプラグをACコンセントに挿した時に表示。またType-Cケーブルに挿抜があった時、再チェックのための時間に表示される
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出力最大67W、Type-Cポートを3つ搭載 出力をディスプレー画面上に表示と実用性もバッチリ
さて本体であるRetro 67のサイズだが、寸法H57×W39×D41mm、重量約120g(実測115g)と軽量だ。一方、USB Type-Cポートが1個、35WのRetro 35のサイズはH43.4×W31.7×D34.9mm、重量約56gなので体積的には1.9倍ほどになりType-C 3ポート 67Wを実現している。コンセントに挿すブレードは、Retro 35同様リトラクタブルな折り畳み形式だ。
Retro 35の背面は、スペック表記と法定情報のみの素っ気ないものだった。しかしRetro 67では大きく刷新され、マッキントッシュの背面にあるどこにも売っていないと噂されるバックアップバッテリーにアクセスするためのカバーや電源ボタン、3ピンのAC-INも再現されている。筆者がユーザーだった頃、フリーズする度に最も世話になった右側面奥の「INTERRUPT RESET」スイッチが付いていれば完璧な再現だったのに少し残念だ。
Retro 67で大きく変わったのは国内外の宣伝タグワードにもある最大67Wの出力、3つのType-Cポート搭載。そして出力状態の数値をリアルタイムでRetro 67に搭載したミニ・ディスプレー画面上に表示できることだ。3つのポートが全てType-Cポートで提供されることには抵抗を感じるユーザーもいるだろうが、筆者個人的には近未来に向かって全てのポートにType-C規格を採用したRetro 67の潔さを気に入っている。
3つのポートにUSBケーブル経由でパソコンやタブレット、スマホ、各種USB対応周辺機器などを接続すると今現在の出力(ワット)数値がディスプレー上にリアルタイムで表示される。急速チャージに対応していない筆者のデバイスであれば1桁、急速チャージ対応の製品であれば15W、筆者のThinkPadなら45Wとかの数字が表示される。もちろん3つのポートを全て並行利用しているケースでは、3ポートの出力合計の数値が表示される。
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最大出力をポート数で分けあって利用する製品は昨今は多い。Retro 67は最大出力の67Wをデバイスの要求量に応じて3つのポートで分け合って出力する形式となる。1ポートだけを使用する場合と2ポート、3ポートを同時に使用する場合とでは各ポートに対する供給量が変化するのが当たり前だ。1ポートだけを使用する場合には1〜3のいずれのポートであっても最大67Wを独占的に使用できる。
2ポートあるいは3ポートを併用する場合には、45W(PC駆動用)の出力を供給できるのはUSB-C1ポートとのみとなることを忘れないことだ。2ポート利用の場合のUSB-C 2ポートあるいはUSB-C 3ポートへの最大出力は20Wとなる。3ポート利用の場合はUSB-C 2ポートとUSB-C 3ポートへの出力は両方合わせて15Wとなる。各ポートの使用と出力の関係は「電力振り分け一覧」を参照してほしい。PC用のUSB-C 1ポートは単発で最大67W、併用でも最大45W出力を確保する仕様になっている。
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今回Kindle Scribeを単体充電したみたところ、ディスプレー上には常時9W〜10Wが表示された。同じく筆者のGalaxy Z Fold4を充電している時は14Wと表示され急速充電であることが分かる。そしてThinkPad X1 Nanoを充電中には44Wという出力値を表示した。最後に以上の3台を同時充電して見たら、Retro 67のディスプレーには56Wと表示されていた。最後にSHARGEのStorm2 Power Bankにも充電してみたが、いずれもスペック通り例外的なエラーや不都合はなかった。
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最大出力は67Wではあるが、Retro 67は製品温度を1時間あたり3600回検出する保護システムを採用している。充電中のスマホやパソコンの充電率が80%になったら、自動的に充電速度を下げることで過度な充電を押さえバッテリーの疲弊を避け最終的にはバッテリーの寿命を伸ばす仕組みが組み込まれている。
今回、3台のデバイスに同時充電をしたが、1本はRetro 67に付属したSHARGEの同色のRetroケーブル(Type-C to Type-C)を使用した。デザイン的には、レガシーなマッキントッシュのマウスケーブルやイメージライター用のケーブルカラーを思い起こすイメージのRetroケーブルのマッチングは最高だ。
そして今回同時に使ったほかの2本のUSB Type-Cケーブルは、筆者も複数本愛用している柔らかシリコン製のAnker PowerLine III Flow USB-C & USB-C ケーブル、そして意外と使い勝手が良く優秀なダイソーのeMarker内蔵USB Type-C(長さ1m・100W対応)のケーブルだ。価格が300円と言うのもありがたい。プアマンズパーフェクトUSBケーブルの最右翼だ。
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充電器というモノは主役であるスマホ本体やタブレット、モバイルPCなどと比べると一般的なカテゴリーとしては「脇役」や「裏方」プロダクトのひとつだと考えられている。しかしいつの時代にも主役を食ってしまう素晴らしい脇役や裏方は存在する。
筆者は長年モバイルPCの商品企画に携わってきたがその昔、主役を一気に食ってしまうカード型モデムに出会い大好きになって製作者にまで会いに行ったことがあった。そして最終的には自社製品と同じように販売することになった。
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どこにでもある同じ恰好をして普通の人には見分けすらつかないスマホやタブレット、モバイルPCより明らかにその特異な存在感を周囲に拡散するACアダプターの方が楽しくておもしろく自慢したくなる。令和な現代こそ「コスパ」なんて言う無粋な言葉は忘れて夢中になれるプロダクトが求められている。画一化された世の中ではなかなかお目にかかれないが、Retro 67は数少ないレアな楽しいプロダクトだ。
![T教授 T教授](https://ascii.jp/img/2011/06/22/1511551/x/f5fe44986d09d330.jpg)
今回の衝動買い
・アイテム:SHARGE 充電器「Retro 67」 ・購入:Indiegogo(終了済、現在はMakuakeで応援購入可能) ・価格:8199円〜(Makuakeでの応援購入エントリー価格)
T教授
日本IBM社でThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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