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年利4.15%のアップル預金、日本ではキャリアと連携して

ASCII.jp / 2023年4月26日 9時0分

Unsplash | blocks

 アップルが銀行口座をつくり、金利が「年4.15%」というのが話題となっている。

 といっても、アップル自体が「アップル銀行」を作ったわけではない。もともと、アップルはアメリカで2019年3月から金融大手のゴールドマン・サックスと組んで「Apple Card」というクレジットカードを提供している。

 このカードはiPhoneから申し込み、Apple Payもしくは金属製のカードで支払える。支払い状況などもアプリで確認できるようになっている。

 Apple Payで支払った際には特定の場所では3%、それ以外の場所でも2%のキャッシュバックが受けられるようになっている。

キャッシュバックの受け皿として機能する普通預金口座

 このキャッシュバックの受け皿として機能するのが、今回、提供開始された普通預金口座(Saving accout)サービスだ。

 普通預金口座はゴールドマン・サックスの支店に作られる。この際適用されるのが、4月14日現在で年4.15%というわけだ。

 雀の涙にもならない金利しかつかない日本から見れば、年4.15%はかなり魅力だ。アップルとしても全米平均の10倍以上であるとしている。しかし、アメリカの一部金融機関では5%程度の金利を設定している銀行もあり、必ずしも年4.15%が特筆すべきものではないようだ。

 とはいえ、Apple Cardならびに普通預金口座サービスを使ってみたいと思う。しかし、残念ながら、Apple Cardはアメリカ在住者向けのサービスで日本には上陸していない。

 アップルとしても、iPhoneユーザーが市場の半分を占める日本にApple Cardを投入すれば、アメリカに匹敵するほどの価値があるのではないか。

 だが、アップルが独自に日本で銀行を設立するというのはあまりに現実的ではない。日本でApple Cardのサービスを提供していくならば、どこかの銀行と手を組むのが近道だろう。

キャリアにとって「携帯決済」は得意分野

 「携帯電話を決済手段に」というアプローチは、携帯電話会社が得意な分野といえる。かつて、ケータイ全盛時代にはNTTドコモやソニー、JR東日本などが手を取り合い、端末にFeliCaを搭載し「おサイフケータイ」として発売。クレジットカード会社や電子マネー会社が参入したことで、非接触決済が広まった。

 スマホ全盛時代には、ソフトバンクがPayPayに注力したことで「QRコード決済」が普及した。ソフトバンクはQRコード決済だったPayPayブランドを銀行や証券、クレジットカードにも拡大して、金融事業を強化しようとアクセルを踏んでいる。

 キャリアのなかで最も早く金融事業の可能性に気がついていたのがKDDIだ。

 2008年三菱東京UFJ銀行(当時)とともに銀行免許を取得し「じぶん銀行」を設立。店舗を作らず、ケータイに特化した銀行としてスタートした。その後、KDDIは「auフィナンシャルグループ」として、クレジットカードやau Payといった決済サービスだけでなく、証券や損害保険、生命保険なども手がけるようになった。

楽天は経済圏を築いて携帯電話事業に参入

 逆に銀行や証券、クレジットカードなどを中心に経済圏を築き、携帯電話事業に参入したのが楽天だ。

 一方、金融事業への本格参入には慎重な構えを見せ、三菱UFJ銀行とのポイント連携などに留まるのがNTTドコモだ。2020年に起きた「ドコモ口座」の不正利用事件が尾を引いており、ドコモブランドでユーザーのお金を預かるということに二の足を踏んでいるようだ。

 いずれにしても、携帯電話の契約をしつつ、同じグループの銀行で口座を持つと、それだけで解約しにくくなる。

 アップルとしても銀行口座を提供することで、ユーザーの囲い込みに繋げたいという狙いはあるはずだ。

アップルの日本での提携先に期待

 個人的には、アップルが、日本でApple Cardを提供するのであれば、日本のメガバンクと組むよりも、4つのキャリアのどこかとタッグを組んだ方が面白いのではないかと期待している。

 KDDI、ソフトバンク、楽天であれば、クレジットカードと銀行、さらに証券を持っている。アメリカで提供されているApple Cardのサービスだけでなく、銀行口座を紐付け、さらにキャッシュバックされた金額を証券口座に移して投資するということも可能になるだろう。

 現在、各社ではQRコード決済で付与されたポイントを投資できるようなサービスを提供しているが、まさに同じことを「Apple Card」として提供できたりするのではないか。

 NTTドコモを含めた4キャリアでは、いずれもiPhoneを扱っているものの、キャリアならではの「iPhoneに向けた独自サービス」には乏しく、他社からiPhoneユーザーを獲得するのが難しくなっている。どうしても、MNPに対する「実質0円」といった割引施策に終始せざるを得ない状況だ。

 この状況を打開すべく、どこかのキャリアがアップルと手を握り、日本で独占的にApple Cardのサービスを提供し、「携帯電話の契約をしている人には金利を上乗せ」なんて特典を付与したら、多くのiPhoneユーザーが、こぞってキャリアを乗り換えるだろう。

 すでにどこかのキャリアがアップルと交渉しているのか、それとも手つかずなのか。いずれにしても、どの銀行でもいいので、アップルは日本でApple Cardのサービスを早期に始めるべきだろう。

 

筆者紹介――石川 温(いしかわ つつむ)

 スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)など、著書多数。

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