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驚異のリード12300MB/s!Crucial製PCIe 5.0対応SSD「T700」のサンプルを試す

ASCII.jp / 2023年4月28日 18時0分

 最新のPCIe Express 5.0(以下、PCIe 5.0)x4接続に対応したNVMe SSDは、発表はされたものの、現物をお目にかかる機会はなかなか訪れなかった。しかし今回、Crucialブランド初となるPCIe 5.0対応NVMe SSDの「Crucial T700 PCIe Gen5 NVMe SSD」(以下、T700)が編集部に到着。検証する機会に恵まれた。

 今回お借りしたサンプルはあくまでも、一部のパフォーマンス調整や環境への最適化が途中段階にあるエンジニアリングサンプル(以下、ES)だが、数少ないPCIe 5.0対応NVMe SSDを試せる機会とあっては、これを逃す手はない。

 今回は、PCIe 5.0対応NVMe SSDを導入するハードルがインテル環境よりも低めなAMD Socket AM5プラットフォームの環境で、T700のパフォーマンスをチェックしてみたい。

公称最大12400MB/sをうたうCrucial T700 PCIe Gen5 NVMe SSD

 T700のスペックとラインアップは以下の通りで、コントローラーは自社製ではなく、他社のPCIe 5.0 NVMe SSDでもおなじみのPhison「PS5026-E26」が採用されている。NANDフラッシュメモリーには、Micron製232層 TLC 3D NANDを採用し、PCIe 5.0×4接続により最大公称値は、シーケンシャルリードが12400MB/s、同ライトが11800MB/sに達するハイエンドNVMe SSDになる。

 容量は1TB、2TB、4TBの3モデルで、それぞれヒートスプレッダー有/無モデルを用意している。ESはヒートスプレッダーモデルも提供されたので、その冷却性能も試していきたい。

ES品は容量2TBで、チップは両面実装になっていた。なお、製品シールは基板裏面に貼られていた
「PS5026-E26」やDRAMキャッシュを備える側のシールには、冷却効果を高めるために、銅箔が使われているようだ
ヒートスプレッダー装着モデルのT700
ヒートスプレッダーは放熱面積を増やす構造で、全高は20.5mmになっている
CrystalDiskInfoで情報を表示した。ヒートスプレッダーモデルも同型番で認識され、ファームウェアも同じだった

AMD Ryzen環境でパフォーマンスを試した

 ここからはT700 ES品の実力を確認していこう。テストには、AMD Ryzen 7 7900X3Dと、AMD 650Eチップセットを採用するASUS「ROG STRIX B650E-F GAMING WIFI」などを、フロントからのエアフローがないボックス型PCケースに組み込んでいる。

 T700のパフォーマンステストには、マザーボード装備のM.2ヒートシンクよりも冷却効果が高そうなので、ヒートスプレッダーモデルを使用した。また、パフォーマンステスト中はサーマルスロットリングが発生しないようにファンを追加している。

ROG STRIX B650E-F GAMING WIFIに、ヒートスプレッダーモデルを取り付けて、テストした

 まずは「CrystalDiskMark 8.0.4」で、パフォーマンスをチェックしてみたい。ベンチマークは、「デフォルト」と「NVMe SSD」モードの両方で、テストサイズ「16MiB」「512MiB」「1GiB」「16GiB」「64GiB」を実行した。

 結果はESながら、シーケンシャルアクセスはほぼ公称値のリード12300MB/s台、ライト11700MB/s台のパフォーマンスを発揮。テストサイズでの速度差もみられず、安定した性能をみせている。

 ただ、ランダムアクセスの伸びはいまひとつに感じる。このあたりは、ESであることと、AMD環境なのが影響している可能性がある。実際、ランダムライトの最適化はまだ済んでいないとのことなので、ランダムアクセスに関しては製品版に期待したい。

CrystalDiskMark 8.0.4:デフォルトの結果
CrystalDiskMark 8.0.4:NVMe SSDの結果

 続けて、「ATTO Disk Benchmark 4.01.0f1」を実行して、ブロックサイズごとのシーケンシャルアクセス性能を確認すると、最大リード11.6GB/s、ライト11.07GB/sを記録した。ただ、ライトは128KBから10GB/sの性能をみせているが、リードは2MBまで10GB/sを下回ってしまっている。このあたりはエンジニアリングサンプルの影響だろう。

「ATTO Disk Benchmark 4.01.0f1」の結果

実アプリ系ベンチマークでテスト

 次は「PCMark 10」と「3DMark」のストレージベンチマークを実行していこう。

 まずPCMark 10の「Full System Drive Benchmark」を実行すると、総合スコアーは3927を記録した。同テストはAMD環境ではいまひとつスコアーが伸びない傾向にあるが、ESの段階で4000に迫るスコアーは悪くないだろう。

PCMark 10:Full System Drive Benchmarkの結果

 最後はゲーミング環境のストレージ性能をシミュレートしてスコアーで示す3DMarkの「Storage Benchmark」だ。

3DMark:Storage Benchmarkの結果

 最速クラスのPCIe 4.0 NVMe SSDでも3000台のスコアーが多いなか、本製品は4000スコアーを記録した。PCMark 10の「Full System Drive Benchmark」と同じく、AMD系ではスコアーがあまり伸びない点を考えると、かなり優秀と言えるだろう。ランダムまわりが最適化された製品版では、さらにスコアーが伸びる可能性もあるので、期待したいところだ。

エアフローの確保など冷却には配慮は必要

 PCIe 5.0 NVMe SSDは、10GB/sを超えるアクセス速度と引き換えに、発熱量が増加している。この点はT700も同じだ。ESの影響もあるだろうが、エアフローのない環境では「CrystalDiskMark」を行っているだけで、サーマルスロットリングが発生する80℃に達することもあった。

ここでは、120mmファンを500~700rpm前後の低速で回転させてテストしている
水冷環境&120mmファンなしといったエアフローのない状態では、テスト回数を9回にしたベンチマークで、サーマルスロットリングが発生してしまった
120mmファンで風を送ることで、サーマルスロットリングを回避。とは言え、最大温度は77℃とギリギリだった

 パフォーマンスチェックに使ったヒートスプレッダーモデルだけでなく、ヒートスプレッダー無しモデルにマザーボード付属の大型M.2ヒートシンクを使用した状態も試してみた。

マザーボード標準付属のヒートシンクでもテストした

 結果はファンで風を送った状態で、最大温度は81℃に達していた。「CrystalDiskMark」の結果に低下は見られなかったが、「HWiNFO64 Pro」を使ったアクセス速度のログには、80℃に達した時点で速度ダウンが発生していた。

マザーボード付属ヒートシンクの結果

 ESなうえ、両面実装の2TBモデルかつ、テスト環境が基板裏面からの冷却が行えない仕様、さらにM.2スロットへエアフローを生まない水冷クーラーの搭載といった点も影響しているが、やはり冷却面には注意が必要だろう。

 とは言え、今回テストしたT700はかなり期待できるパフォーマンスを発揮した。最速を目指すPC自作ユーザーにとって注目の製品になることは間違いなしだろう。ネックとなる冷却強化も、これまでのPCIe 5.0 NVMe SSDにはなかった基板のみモデルがラインアップされているので、かなり楽と言えるだろう。

 正確な発売日は未定だが、近いうちに店頭に並びそうなので、発売後に環境ごとのパフォーマンスや、キャッシュ枯渇時の挙動、温度推移などを、改めてテストしたいと思う。

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