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車製品メーカーのゲーミングキーボード!? ZETA DIVISION監修の 「ZENAIM KEYBORD」とは?

ASCII.jp / 2023年4月27日 22時30分

「ZENAIM KEYBORD」

 車のスイッチや鍵などを開発、製造、販売する東海理化が、eスポーツ向けのゲーミングギアブランド「ZENAIM」を立ち上げた。ZENAIMのゲーミングギア第1弾となるのが、ロープロファイルキーボード「ZENAIM KEYBORD」だ。4月27日にメディア向け発表会が開催され、製品がお披露目された。記事の前半ではZENAIM KEYBORDの概要や主な特徴を、後半は発表会について紹介する。

ZETA DIVISIONが監修 業界初の無接点磁気検知方式を採用

 ZENAIMの発表と同時に発表されたのが、同ブランドとZETA DIVISIONのスポンサー契約だ。そして、ZENAIM KEYBORDの開発にあたってZETA DIVISIONの所属選手と幾度となく議論したうえで試作を繰り返し、選手の要望を可能な限り反映させたのだという。

Laz選手、XQQコーチ、すでたきさんが製品を試用しフィードバック。試作機はLaz選手とcrow選手が大会でも使用

 ZENAIM KEYBORDは、自動車技術を応用したオリジナル磁気センサースイッチ「ZENAIM KEY SWITCH」を搭載する、業界初という無接点磁気検知方式(磁気センシング技術をスイッチングに応用した磁気検知方式)のロープロファイルキーボードだ。

オリジナル磁気センサースイッチ「ZENAIM KEY SWITCH」を搭載

 無接点磁気検知方式により、アクチュエーションポイントが0.1mm単位で可変可能なほか、各キースイッチごとの交換もできるという。加えて、押し込みと戻りの荷重がおぼ同じに設計されているので、キーの端や中央などどこを押しても同一の操作が可能なのもポイントとなっている。なお、発売時には展開されないが、今後は交換用のキースイッチも販売予定があるとのことだ。

今後は交換用のキースイッチも販売予定。ただし、販売開始時には交換用のキースイッチはないので、販売されるまで分解は推奨しないとのことだ

 また、同社はスイッチを押し込んで離すという単純な動作に大切な要素が詰まっていると考え、目を付けたのがストローク。ストローク量を極端に短くすると、そのぶん意図しない入力が発生してしまうということも起きかねないので、ストローク量と入力ミスが起きない最適な数値として、ストローク量を1.9mmに設定している。

ストロークは1.9mm

 こういったキーへのこだわりにより、キーを連続で入力する必要がある動作の反応を高速にし、よりプレイヤーが思った動作を思うがままに反映できるとしている。

 そのほか、プロシーンでの過酷な使用環境にも耐えるアルミ合金を採用し、堅牢性も実現している。デザインは表部分にロゴを表記しないシンプルなデザインで、キーキャップはマット加工が施してある。加えて、ライティングは文字のキー部分のみと控えめなのも、デザインと合っていて好印象だ。

アルミ合金を採用
表面はロゴがないシンプルなデザイン
サイドから見ると、あまりゲーミングキーボードらしくない形状をしているのがわかる
背面にはブランドロゴがある。また、スタンドも備えており、4度/8度の傾斜をつけることが可能
キーにはマット加工が施してある
ライティングは文字キーのみと控えめ

ソフトウェアにもこだわり わかりやすい設定変更が魅力的

独自のソフトウェア「ZENAIM SOFTWARE」

 また、ZENAIM KEYBORDと同時に開発されたのが、独自のソフトウェア「ZENAIM SOFTWARE」。こちらは、ユーザーの使いやすいを最大限に追求したというシンプルさが魅力で、1~2クリックで目的の設定までたどり着けるUI設計を採用している。

 加えて、最高の瞬間を逃すことなく録画できる「キルクリップ機能」や、0.1mm単位でアクチュエーションポイントが変えられる「アクチュエーションポイント可変機能」なども搭載。さらには、すぐにプロと同じ設定にできる「プロ設定機能」も特徴的で、会場で使用した際はraz選手とcrow選手の設定が用意されていた。また、アップデートでほかのプロ選手やストリーマーの設定も追加していく予定もあるとのことだ。そのほか、ライティングのカスタマイズも可能。色やエフェクトを選択することができる。

キルクリップを録画する用のキーが配置されており、即座に録画開始が可能
0.1mm単位でアクチュエーションポイントが変えられる
マクロ機能も
raz選手とcrow選手の設定が反映できる「プロ設定機能」
キーボードのライティングもカスタマイズできる
メモリー登録で設定を呼び出せる

 ZENAIM KEYBORDの価格は4万3800円で、5月16日20時に販売開始予定。

30代を中心とした若いメンバーが主導したプロダクト 75年磨き上げた英知を踏襲

東海理化電機製作所 代表取締役の二之夕 裕美氏

 発表会では、東海理化電機製作所 代表取締役の二之夕 裕美氏が登壇。二之夕氏はまず、「東海理化は、高度な技術を求められる車のスイッチを長い間作り続け、世界で16ヵ国へ展開し、世界No.1の製品もあるメーカーに成長しました。しかし、安定した時間が長く続けば続くほど、革新的な発想が生まれなくなります。そこで、30代を中心とした若いメンバーにプロダクトを依頼したところ、ゲーミングキーボードという私の中にはまったくない発想が生まれました」とZENAIM KEYBORDが生まれた経緯について説明した。

東海理化が75年以上培ってきた技術力が踏襲されている

 加えて、「ZENAIM KEYBORDには、我々が75年以上磨き上げてきた技術を踏襲していますが、それだけではゲーマーの方々には満足いただけないと思い、企業の枠組みを超えて、ZETA DIVISIONの方々に協力いただいたほか、さまざまな企業さんとも協力して、オープンイノベーションで本製品を開発してきました」と話した。

二之夕氏とGANYMEDE ZETA DIVISION 運営プロデューサーの佐橋 明氏によるトークセッション
オープンイノベーションで開発

 また、発表会では二之夕氏とGANYMEDE ZETA DIVISION 運営プロデューサーの佐橋 明氏によるトークセッションを実施。まずはゲーミングギア市場への参入について、二之夕氏は「会社では新しいプロダクトが立ち上がる際に、最初に企画書が出てくると思うのですが、ZENAIM KEYBORDの場合は最初から試作機を渡されました。私自身はキーボードやゲームの世界に詳しくないのですが、若手のエンジニアたちが説明してくれて、なるほどこれはうちの技術が使えるなと感じた程度です。そこからZETA DIVISIONの方々に監修いただき、どんどんよくなっていき、これはスゴいことになるかもと、驚きの1年間でした」とコメント。

 佐橋氏は「私が個人的に車が趣味なので、自動車のボタン1つの質感や押したときの体験の価値というものをたまたましっていて、だからこそ自動車製品メーカーさんがキーボードを作りたいというのは、今までにない製品ができるのではないかとワクワクしました。また、プロダクトを動かしている方々が、ゲーマーの目線に立って、しっかりと作られているなというのも感じましたので、ぜひご協力したいなと思いました」と話した。

 続けて佐橋氏は「プロトタイプが来て、選手たちからフィードバックを受けていたのですが、性能はもちろん、キーキャップの形状から塗装まで、細かく選手たちは気にしていて、一番最後の試作機の段階で、本来開発が終わってないといけないタイミングでも、選手的にOKがだせないということで、やり直してもらったこともありました。結構無理を言ってしまったなと感じていますが、それだけこだわって監修させていただいています」とコメントした。

 また、今後の展望について佐橋氏は「我々はゲームやeスポーツに関するノウハウを持っていて、東海理化さんはそのノウハウや想いを形にする力があるので、ゲーミングライフスタイルをより豊かにしていくような、新しい価値を提供していきたいです」と発言。

 二之夕氏は「今後はパソコンの周辺機器を広く展開していきたいと考えています。ただ、それは私どもだけでは絶対にできないので、オープンイノベーション、チームで進めていきたいと思っています。ZETA DIVISIONの方々にはぜひその先頭を走っていただきたいです」とコメントした。

パソコンの周辺機器を広く展開していきたいとのこと

Laz選手、XQQコーチ、すでたきさんが製品を監修 Laz選手のコダワリが強すぎてオーダーメードモデルのよう

XQQコーチのビデオメッセージが流れた

 続いて、ZETA DIVISION VALORANT部門のXQQコーチのビデオメッセージが流れた。XQQコーチは「僕は普段からロープロファイルのキーボードが好きだったんですけど、これまで使ったモデルは、押し込みの幅など自分の理想とはちょっと違うなと感じる部分が少なからずありました。僕からはそういったフィードバックや、キーのくぼみがどれくらいいかといった提案をさせていただき、僕としてはいい製品が作れたと感じました。また、僕のほかにLaz選手とすでたきさんも携わっているのですが、思った以上にLaz選手のコダワリが強くて、自身のオーダーメイド品を作っているんじゃないかと感じるくらいの勢いでフィードバックしていたのも印象的でした」とコメントしていた。

 そして発表会の最後には、ZETA DIVISION GC部門のKOHAL選手、クリエイターの鈴木ノリアキさん、すでたきさんが登場。ZENAIM KEYBORDについてのトークセッションを実施した。

KOHAL選手、鈴木ノリアキさん、すでたきさんによるトークセッションも実施

 鈴木さんは「私の元にも、最終形態に近いプロトタイプが届いたんですけど、最初に見たときはゲーミング感があんまりなくて、遊びというよりはプロのツールだなという印象を受けました。実際につかってみると、正直反応速度が速すぎて、慣れるのに時間がかかりました。でも、今まではキーボードを変えたときにそう感じることはなかったので、本当に高性能なキーボードなんだなとそこで改めて思いました」と語った。

「Laz選手のコダワリが強くて、最後の方はLazモデルってイメージで試してました」と語る鈴木さん

 すでたきさんは「使っていて、自分の思い描いた操作がダイレクトに伝わるイメージですね。反応速度が高速というのはしっていましたが、押したときはもちろん、離したときの反応も速いのには、正直驚きましたね」と発言。

「ゲーミングキーボードはeスポーツ選手にとって、サッカー選手のスパイクくらい重要なものなので、かなりこだわらせてもらいました」と語るすでたきさん

 KOHALさんは「私はゲームプレイしていると手汗がすごくて、今までのキーボードだと滑ってしまうことがあったのですが、ZENAIM KEYBORDはまったく滑らないので助かっています。チームのメンバーもこのキーボードを使って、本当に違うねと話すことが結構あります」とコメントした。

「ぜひKOHALモデルも出してほしいです! ZENAIM KEYBORDはフォルムも好きですね」と語るKOHAL選手

 また、製品を監修したすでたきさんは「僕はデザインもそうなんですけどやっぱりプロとして活動していたので、ストレスなく自分のパフォーマンスを最大限に発揮できるキーボードを目指してフィードバックさせていただいていました。すると、最初に触ったときよりもはるかに進化したキーボードが出来上がったので、うれしいです」と語った。

 また、発表会終了後に鈴木さんにちょっとだけお話を伺うことができた。ZENAIM KEYBORDについて、慣れるのに時間がかかった理由としては、今まで使っていたキーボードよりストロークが短いほか、アクチュエーションポイントとリセットポイントをデフォルトの状態で使っていたので、反応速度が速すぎて誤入力がしばしば起きていたそうだ。

 しかし、W、A、S、Dキーは高速なまま、さまざまなゲームでスキルが割り当てられがちなE、R、Qといったキーのほか、ジャンプに使われるスペースキーのアクチュエーションポイントを深めにすることで、誤動作もなくなり快適に使えるようになったとのことだ。

 また、キーのタイプ音については「カチカチと音は鳴りますが、今の配信者はDiscordやNVIDIAのノイズキャンセリング機能を利用している人が多いので、配信時も音が入ることはないんじゃないかなと思います。実際に僕の配信では音は入っていないと思いますよ」と答えてくれた。

価格は結構ハイエンドだが、ZETA DIVISIONのコダワリと東海理化の技術が詰まっているので、かなり気になる

 ZENAIM KEYBORDは、4万円台とゲーミングキーボードとしてもハイエンドな価格帯だが、ZETA DIVISIONの方々の強いコダワリと、東海理化の技術が詰まっていると考えると、ゲーマーとしてはかなり気になる製品だということは間違いないだろう。

 また、日本初のゲーミングデバイスブランドという点も、個人的には気になるポイント。人気のゲーミングデバイスのほとんどが外資メーカーの中、ZENAIMがどこまで世界で評価されるのかも、期待したいところだ。

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