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デスクトップ並の爆速! Core HXシリーズ採用のクリエイター向けノート「Creator Z17 HX Studio A13V」シリーズレビュー

ASCII.jp / 2023年5月10日 11時30分

 エムエスアイコンピュータージャパン(MSI)から、クリエイター向けノートPC「Creator Z17 HX Studio A13V」シリーズが発売された。17インチで解像度がWQXGA(2560×1600ドット)と広く、広色域タイプの液晶を採用。写真や映像、3DCG制作などクリエイティブな作業に適したモデルとなっている。今回は、そんな「Creator Z17 HX Studio A13V」シリーズをレビューしたい。

デスクトップPC向けCPUをノートPC用に最適化

MSI「Creator Z17 HX Studio A13V」シリーズはアルミ削り出しボディでカラーはルナグレー

 まずは、外観から見ていこう。ボディはCNCミルドによるアルミ削り出し筐体でカラーはルナグレー。シンプルなデザインながら重厚感があり、天板にはMSIのロゴが描かれている。本体サイズは382(W)×260(D)×19(H)mmとこの手の製品としては薄型で、重量は2.49kg。バッテリーは90Whr搭載で、最大駆動時間は公称6時間(JEITA 2.0計測)となっている。もちろん、「MIL-STD-810G」に準拠した高耐久性のボディだ。

17インチの大画面は、非常に大きく見える。縦方向に広い解像度というのもポイント

 天板を開くと、17インチの大画面が目の前に現れる。WQXGA(2560×1600ドット)の縦方向に長い16:10という縦横比は、クリエイティブな作業はもちろん、ビジネスアプリを使う際もより広い範囲をカバーできるため、非常に重宝する。165Hz駆動なのでゲームプレイにも十分対応できる仕様だ。

 色域はDCI-P3相当で色差 (⊿E) 2以下(およそ2つの色が離れた位置だと違いがわからないレベル)。プロフェッショナル向けキャリブレーションスイート「CalMan」の認証を取得しており、工場出荷時にキャリブレートを実施している。

色味の設定を切り替えられる。ブルーライト軽減モードも用意されている

 また、Microsoftの最新ペンプロトコル「MPP 2.6」採用のアクティブスタイラス「MSI Pen 2」を同梱。4096レベルの筆圧感度に対応し、ハプティックフィードバック機能もついていて、絵を描く人にもオススメ。USB Type-Cによる充電なので乾電池を入れ替える必要もない。

ホワイトボード機能を使って書いたが、滑らかな書き心地で追従性もいい。ヒンジが硬めなのでディスプレーが後ろに倒れにくいようになっている

 CPUはデスクトップPC用のHXシリーズをノートPC用に最適化したインテル Core i9-13950HXの24コア(8P+16E)32スレッドを搭載した「Creator-Z17HXStudio-A13VGT-3203JP」、もしくはCore i7-13700HXの16コア(8P+8E)24スレッド搭載の「Creator-Z17HXStudio-A13VFT-2903JP」の2ラインナップ。GPUはCore i9搭載モデルにはNVIDIA GeForce RTX 4070 Laptop GPU 8GB GDDR6、Core i7搭載モデルにはNVIDIA GeForce RTX 4060 Laptop GPU 8GB GDDR6が採用されている。メモリーは、それぞれ64GB DDR5、32GB DDR5でストレージは2TB、1TBだ。

Core i9モデルを「HWiNFO64」でシステム情報の表示
ストレージ性能は、ハイスピードクラスなので、読み書きも快適

 冷却用のファンが3つ搭載された「Vapor Chamber Cooler」を採用し、高性能なCPUとGPUを効率よく冷却するシステムになっている。冷却ファンの制御は、「MSI Center」アプリで設定でき、AIで最適な状態にコントロールできるほか、強制的に最大冷却する「クーラーブースト」も備えている。

「MSI Center」アプリにより各種設定が行なえる
「User Scenario」の「究極のパフォーマンスモード」には、ファンの設定に「クーラーブースト」が用意されている
キーボード上部とボディ底面は吸気用にメッシュ状になっていて、排気は背面と左右側面
天板を開くと下部が机上にあたり少しリフトアップする仕組み。空気を底面からより取り込めるようになっている

 キーボードはテンキー付きで、ゲーミングノートのようなLEDバックライトを搭載。MSI Centerの「Mystic Light」で点灯方法や色味を調整できる。キーピッチはメイン部分が実測で18.7mm、テンキー部分は同14.9mm。一部キーは狭まっており最初は慣れが必要かもしれない。

キーボードはテンキー付き。英語配列キーボードに日本語配列をはめ込んでいるのでどうしても一部幅が狭くなっている
ゲーミングマシンのようなカラフルなLEDバックライト
「Mystic Light」で点灯方法や色味の調整・設定ができる
キーストロークは実測で1mm程度と浅いが、静かにタイピングが可能だ

 タッチパッドは指触り滑らかで、個人的には少し抵抗があるほうが細かな操作には向いているかもしれない。また、本体左右幅のセンターに設置されていて、タイピング時のホームポジションからは少々ずれている。ただ面積が広いのでそれほど気にはならなかったのと、おそらく、クリエイティブな作業をするならマウスを使うと思うので、特に問題にならないはずだ。

タッチパッドはかなり広いので親指でクイクイっと操作しやすい

 タッチパッドの横には指紋認証センサーを搭載。顔認証にも対応しているので、マスク時など顔認証が通らないときは、指紋認証というように使い分けられる。

 インターフェースは、Thunderbolt 4 Type-C(USB PD対応)×1、Thunderbolt 4 Type-C(USB PD非対応)×1、USB3.2 Gen2 Type-A×1、HDMI×1、オーディオコンボジャック×1、SDカードリーダーを装備。Wi-Fi 6E/Bluetooth 5.3に対応しているので、インターフェース・無線まわりは申し分ない。また、サウンドは高級オーディオ「DYNAUDIO」とのコラボで開発された高音質サウンドシステムを搭載しており、音の広がりと明瞭感はかなりよかった。

右側面にHDMI×1、USB3.2 Gen2 Type-A×1、SDカードリーダー。左側面に電源端子とThunderbolt 4 Type-C(USB PD対応)×1、Thunderbolt 4 Type-C(USB PD非対応)×1、オーディオコンボジャック×1を備える

 電源は専用のACアダプターで出力は280W。さすがに大きく、持ち運ぶというよりは定位置に設置しておく感じだ。

ACアダプターは、iPhoneと比較しても大きくて厚い

Core i9+GeForce RTX 4070の実力を検証

 さっそく、今回お借りしたCore i9-13950HX+NVIDIA GeForce RTX 4070 Laptop GPU 8GB GDDR6にメモリー64GBを搭載したモデルでベンチマークテストを行なった。電源を接続し、Windowsの電源モードは「最適なパフォーマンス」にした上で、MSI Centerアプリの「User Scenario」で、AIによる最適なパフォーマンスにしてくれる「スマートオートモード」とGPUのコアクロックオフセットを100MHz(※)、ファンブースト状態にした「究極のパフォーマンス」の2種類で計測している。 ※手動操作によるGPUコアクロックおよびVRAMコアクロックの調整は動作保証対象外となりますのでご注意ください。

MSI Centerアプリの「User Scenario」で、動作の設定ができる
究極のパフォーマンスモードでGPUのコアクロックオフセットを100MHzにして計測。VRAMクロックオフセットは動作が不安定になる可能性がある

 まずは、定番のCPU性能を測る「CINEBENCH R23」から。デフォルトの10分まわしたときの値で、レンダリング一発の場合より低くなる。

「CINEBENCH R23」の結果

 結果は、さすがに32スレッドの威力を発揮してスマートオートモードでマルチコアが19670pts、シングルコアで2034pts。究極のパフォーマンスモードだとマルチコアが25817ptsと大きく伸ばしているがシングルコアは2062ptsとそれほど差がない。冷却がいかに重要かわかる結果となった。

 続いて、アプリの動作によるベンチマークテスト「PCMark 10」を行なった。こちらはスマートオートモードで7111、究極のパフォーマンスモードで7807とハイパフォーマンスぶりを見せつけている。

「PCMark 10」の結果

 3DCGの性能を測る「3DMark」は、DirectX 11対応し解像度の異なるFire StrikeとFire Strike Extreme、Fire Strike Ultraを、DirectX 12対応で解像度の異なるTime Spy、Time Spy Extreme、さらにレイトレーシングのPort Royalを実行した。

「3DMark」の結果

 結果は、究極のパフォーマンスモードがスマートオートモードに差をつけ好結果を出していて、いずれもちょっと前のデスクトップPC並の性能を発揮している。クリエイター向けのノートPCではあるが、ゲーミングマシンとしても十二分に楽しめるスペックである。

 ゲーミング性能のベンチマークテストも行なってみた。1つは軽めの「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、もう1つはちょっと重めの「ファイナルファンタジーXV ベンチマーク」で、いずれもグラフィックスは最高品質(高品質)、解像度をそれぞれ1920×1080ドットと2560×1600ドット、1920×1080ドットと2560×1440ドットの2種類で計測している。

「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」の結果

 結果は、ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマークでは、1920×1080ドットだと20000超えで「非常に快適」評価、2560×1600ドットでも13000オーバーで、スマートオートモードは「とても快適」評価、究極のパフォーマンスモードは「非常に快適」評価となっている。ただ、究極のパフォーマンスモードだと、ファン音が大きすぎるためせっかくの良い音がかき消されてしまう。ヘッドホンは必須だ。

「ファイナルファンタジーXV ベンチマーク」の結果

 一方、ファイナルファンタジーXV ベンチマークでは、1920×1080ドットだといずれも「とても快適」評価だが、2560×1440ドットだと、スマートオートモードは「やや快適」評価、究極のパフォーマンスモードは「快適」評価となっている。若干グラフィックの設定を見直したほうが良さそうだ。

 レイトレーシングのベンチマークテストを「V-Ray5」を使って行なっている。こちらは、CPUを使ったレイトレーシングテスト「V-Ray」で究極のパフォーマンスモードだと19843にまで達している。一方V-Ray GPU RTXはNVIDIA GeForce RTX 4070 Laptop GPU 8GB GDDR6の性能を十分に発揮している結果となっている。

「V-Ray」の結果

 最後にクリエイティブ作業のテストも行なってみた。1つは、「DaVinci Resolve 18」で約22秒の4K動画にテロップを入れて、YouTube 4K出力を実行した時間を計測。結果は、スマートオートモードで約13.01秒。究極のパフォーマンスモードで約9.43秒となった。実時間の半分とかなり高速で、動画出力時は究極のパフォーマンスモードで実行するのがベストだ。

「DaVinci Resolve 18」で動画の書き出し時間の結果

 もう1つは、「Lightroom Classic CC」によるRAWデータの現像。色調補正やノイズ除去をした70枚の写真を出力するのにどれぐらい時間がかかるかを計測。写真1枚のサイズは9504×6336ドットで、圧縮したRAWデータのサイズは約60MBだ。

「Lightroom Classic CC」による現像時間の結果

 結果は、スマートオートモードで約135秒、究極のパフォーマンスモードで約118秒となった。1枚あたり2秒かからない速度でこなしており、これなら大量の写真を一気に現像しても苦にならないだろう。

爆速クリエイティブマシンで作業効率アップを

「Lightroom Classic CC」でも、画面が広いので作業しやすい

 クリエイティブ作業は、やはりパフォーマンス命。今回テストしたCore i9モデルなら32スレッドという威力をいかんなく発揮し、写真に動画、3DCGにとどんな作業でも満足がいくはずだ。

 さすがに重量約2.49kgはズシリとくる重さで、気軽に持ち運んで外出するにはつらい。だが、デスクトップPCのような固定した場所での作業にならず、気分に合わせて作業場所の移動や、人に作業結果を見せるのに移動するということができるのはノートPCの利点である。

 価格はCore i9モデルが実売価格49万9800円前後、Core i7モデルが39万9800円前後となっており、お値段は張るが、そのぶん得られる満足感はお釣りがくるほどだろう。NVIDIA StudioノートPCの認定製品でもあるので、仕事はもちろんプライベートで写真や動画、CG制作を趣味にしている人は、ぜひ検討してほしい製品だ。

Creator Z17 HX Studio A13Vシリーズ詳細ページ 購入する MSIサイト

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