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【紛失防止 比較】アップル純正のAirTagと安価なEufy Security SmartTrack、お勧めはどっち?

ASCII.jp / 2023年5月6日 12時0分

左からAnkerのEufyブランド「SmartTrack Card」、「Eufy Security SmartTrack Link」、そしてアップルのAirTag

 「すべてのものの紛失を防げる!」と発売時に話題になったAirTag。みなさんはお使いだろうか? AirTagは1個4780円と少々高価。対して、後にバッテリーや充電アダプターで知られるAnkerから発売された「Eufy Security SmartTrack」シリーズ(以降、Security SmartTrack)は、ほぼ同等の機能を持ちながら、価格はよりお手頃な2990円~だ。ポーチ、バッグ、財布、スーツケース、自家用車など、身の回りの多くのものにAirTagやSecurity SmartTrackを入れて活用している筆者が解説する。

 なお、「探す」アプリはiOS 14.5以降のiPhone/iPadに対応しており、撮影はiOS 16.4.1搭載のiPhone 14 Proでしている。

「探す」アプリの3つのタブ

 アップルの「探す(Find My)」機能が大変便利で、筆者は全面的に使いまくっている。みなさんはこの機能の詳細をご存知だろうか?

 そもそも、これらの機能は「iPhoneを探す(Find My iPhone)」として2010年にiOS 4.2、Mac OS X 10.7.2 Lionから使用できるようになった。当時はiPhoneの位置をMacから確認できる機能としてお目見えした。この機能は現在では「探す」アプリの「デバイスを探す」タブとして、同じiCloudアカウントのiPhone、Mac、iPad、Apple Watch、AirPodsなどの位置を表示できるように進化している。

家族と位置情報を共有していると、なんとなく安心だ

 また、「人を探す」タブでは、位置情報を共有することができる。ファミリー共有で「位置情報を設定」しておけば、常に家族に位置を伝えることもできる。筆者は家族4人と位置情報を共有している。「それは困る」という人も多いようだが、待ち合わせている時に「ああ、まだ学校から出られていないな」などと把握できるので、便利なことの方が多い(いざとなれば、共有を切ることもできる)。

 そして「持ち物を探す」タブで使えるのがAirTagだ。従来、自分のiPhoneやMac、家族の位置などが把握できたのに加え、これでバッグなどの荷物の位置も把握できるようになった。

Eufy Security SmartTrack Card(左上)、同Link(左下)と、アップルのAirTag(右側)

 また、今回ご紹介するEufyのAirTagもこのアップルの「探す」機能に準拠してる。機能はほぼ同じだが、微妙に差違があるので、どちらを買うかの判断材料として、詳細に解説しておこう。

AirTagもEufy Security SmartTrack LinkもCR2032を内蔵しており、約1年持つとのこと。Eufy Security SmartTrack Cardは電池交換できないが、最大で約3年電池が持つとのこと

位置情報を暗号化しほかのアップルデバイス経由で伝える

 まずは、AirTagの仕組みをよく理解しておこう。

 AirTagは、搭載しているCR2032電池で「1年以上駆動できる」とアップルが説明してることから分かるように、使用しているのは消費電力の少ないBluetooth。それ自体ではGPSの位置情報を取得できるわけでもないし、セルラー通信もできない。10mほどの通信距離しか持たないBluetoothのみを搭載しているシンプルな仕組みだ。

 では、なぜ、紛失した時に位置が分かるかというと、世界中で数多くの人が持ってるiPhoneをはじめとしたアップルデバイスを経由して位置情報を伝える仕組みになっているのだ。

 たとえば、あなたがAirTagを入れたバックを駅のホームに忘れたとする。最初は、まずあなたのiPhoneのBluetooth圏内から離れた時に置き忘れの通知が来る。その後は、近くにある「誰かのiPhoneやiPadなどのアップルデバイス」を経由して、AirTagの位置情報は通知され続けるというわけだ。

空港で預けた荷物の位置が分かるのはなんとなく安心。おそらく空港のスタッフの方にiPhoneユーザーがいるのだろう

 もちろん、通信は完全に暗号化されているので、経由するiPhoneなどのアップルデバイスは感知しないし、誰のデバイスを経由してきたかは一切分からない仕組みになってる。また経由されるとはいえ、位置情報のデータなどはごくわずかなので、誰かの通信を担ってるというほどの負荷でもない。

 もちろん、国によって多少の密度の差はあれど、世界中にユーザーがいるiPhoneならではの方法で、AirTagは位置情報をユーザーに伝える仕組みになっているのである。

荷物の位置情報を把握できる安心感

 実際、筆者はポーチ、バッグ、財布、スーツケース、自家用車にAirTagとSecurity SmartTrackを入れており、その便利さを日々痛感している。スーツケースに入れておけば、移動先の空港にちゃんと着いてるかどうか分かるから安心だし、クルマを街角のコインパーキングに停めて打ち合わせ場所に急いだ時でも、あとで駐車位置を探すのに不自由しない。

駐車場に置いたクルマ、カウンターで預けたスーツケース、セキュリティチェックを超えてゲートに向かう自分の位置が分かる

 バッグ類は置き忘れたり、盗まれたりしたことがないので、その効果の程を実感したことはないが、コインロッカーに入れたり、会社に置いておいたりした荷物の位置を常時把握できるというのは安心感が高い。

自分所有でないAirTagが自分と一緒にあるていど長期間移動していると、不審なAirTagに追跡されているのではないかと通知が来る

 また、友人にAirTagを持って山手線内を移動してもらったことがあるが(周囲の電波を掴むかどうか確認するために、彼のiPhoneの電源は切ってもらった)、正確に彼の位置を把握することができた。ただし、ビルの何階にいるかは分からないので、都市部においては機能は限定的であるとも感じたが。

Security SmartTrackの方が安価だが非対応の機能も

 このように、非常に便利なAirTagだが、単体販売で1個4780円と安価ではないところが難点だ。また、実際に使おうとすると、本体にストラップホールなどが開いていないので、キーリングなどの別売りのアクセサリーが必要になる。純正のレザーキーリングは5580円と、本体と合わせると1万円を超える価格になってしまう。身の回りの品に多数仕込んでおきたいと思っても、この価格がそれを阻んでしまう。

 そこで、お勧めなのがAnkerの家電ブランドであるEufyのSecurity SmartTrackだ。

 こちらはほぼ同等の機能を持ちながらSmartTrack Linkと呼ばれるタグ状のタイプが1個2990円、4個セットで9990円と非常に安価だ。AirTagと違ってストラップホールも開いているので、一般的なキーホルダーがなんでも使える。財布に入れるのに便利なSmartTrack Cardでも3990円だ。AirTagは、白いツヤ感のあるプラスチックとステンレスで構成で構成されているのに対して、Security SmartTrackは黒く地味なプラスチック。しかし、目立たない方がいい製品なので、これで十分だ。

 機能はアップルの「探す」機能準拠ということで、ほぼ同等。AirTagと同じように、ほかのiPhoneなどアップルデバイスを経由して位置情報を伝えてくれる。置き忘れて荷物から離れた時に通知してくれる機能も、音色は違うがiPhoneから音を鳴らすことができる機能も同じだ。

AirTagは室内でもだいたいの方向と距離を感知することができる

 だがAirTagと違う点は、UWB(Ultra Wide Band)非対応のため、室内で使える「正確な位置を見つける」という機能は存在しない。これは、iPhone 11以降(SEは非対応)に搭載されているU1チップを使って室内での距離と方向を表示する機能だが、Security SmartTrackはこの機能には対応していない。

 ただ、室内では音を鳴らせばたいてい見つけられるので、「正確な位置を見つける」の機能は必ずしも必要だとは思わない。

Security SmartTrack側からスマホを鳴らすこともできる

 反面、Security SmartTrackの方にのみ存在する機能がある。Security SmartTrackにはボタンが用意されており、それを押すことでiPhone側で音を鳴らすことができるのだ。これで、たとえばキーホルダーにSecurity SmartTrackを付けておけば、そちらからiPhoneを探すことができる。

 どちらのデバイスも荷物を紛失した際に、所有者が「紛失モード」を設定することができる。紛失モードになっているAirTagにiPhoneやAndroid携帯をタッチすると、持ち主の情報が表示される。Security SmartTrackはNFC対応ではないが、裏面にQRコードがプリントされており、そのQRコードを撮影すると持ち主の情報が表示される。もちろん、どちらの場合も、情報を表示しないように設定することも可能だ。どちらにせよ、この機能を知っている人に拾ってもらわなければならないが。

 また、Eufy Security SmartTrack Cardという厚さ約2.4mmのカードサイズモデルも存在するので、財布や名刺入れなど、薄いアイテムに入れるのには便利。ただし、Eufy Security SmartTrack Cardはバッテリーが交換できないので、「最大3年」とされているバッテリー寿命が尽きると使い捨てになってしまう。AirTagとEufy Security SmartTrack Linkは、コイン型電池「CR2032」を交換することで使い続けることができる。

 なお、Security SmartTrackはEufy Securityというアプリを使うことでAndroidでも使えるとされているが、こちらは冒頭に説明したアップル製品のネットワークを使うことができないので、約10mというBluetoothの圏外に出ると位置は分からなくなってしまう。置き忘れた場所ぐらいは把握できるが、紛失したものが移動していると場所を把握することはできないので、注意したい。

アップルブランドにこだわらないなら Security SmartTrackでも十分

 筆者はあまりモノを紛失しないタイプだが、それでも身の周りのものにAirTag/Security SmartTrackを仕込んでおくと安心感が高い。

 数を揃えるとなるとSecurity SmartTrackの価格は助かるし、上記のように運用上さほど性能差があるわけではない。AirTagより厚さも薄いからいろんなところに入れやすいし、プラスチックボディは気軽に扱えるし、ストラップホールのおかげで簡単にぶら下げることもできる。

 アップルブランドにこだわるのではければ、Security SmartTrackで十分なので、それよりも数を揃えた方がいいと思う。

 

筆者紹介――村上タクタ  趣味の雑誌を30年間に600冊ほど作ってきた編集者・ライター。バイク雑誌「ライダースクラブ」で仕事を始め、ラジコン飛行機雑誌「RCエアワールド」、海水魚とサンゴ飼育の雑誌「コーラルフィッシュ」、デジタルガジェットの本「flick!」の編集長を約10年務めた後退職。現在フリーランスの編集者・ライターであり、ウェブメディアThunderVoltの編集長。HHKBエバンジェリスト、ScanSnapアンバサダー、mmhmmヒーロー。iPhone、iPadなどのデジタルガジェットや、バイク、クルマ、旅、キャンプ、絵画、日本酒、ワインと家族を愛する2児の父。

 

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