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事業を整理するAmazon フィットネスデバイス「Halo」は日本上陸がないまま終了

ASCII.jp / 2023年5月6日 12時0分

 Amazonは4月27日(現地時間)、フィットネスバンドなどのヘルスケア専用デバイスブランドの「Halo」を終了すると発表した。Haloは日本市場では展開しておらず、市場のシェアも少なかったことから、大きなインパクトはなさそうだ。しかし、市場の競争の激しさを思わせるニュースではある。

リストラの話題が目立つAmazonだが、2020年に参入したヘルスケアデバイス「Halo」については、日本に上陸しないまま早くも終了

米国では️2020年8月にローンチした「Amazon Halo」

 Amazon HaloはAmazonが2020年8月に発表したフィットネスハードウェアブランドだ。最初に登場した「Halo Band」はディスプレーを搭載しないシンプルなリストバンドで、センサーからさまざまなデータを収集し、ユーザーはBluetooth経由で接続するスマートフォンでデータを確認できる。

 計測できるのはアクティビティー(歩数だけでなく、強度や時間などからスコアを割り出し表示する)、睡眠(時間、睡眠の質)など。目標を設定し、それに到達しているかどうかがわかるようになっている。

 Haloアプリのユニークな機能として、スマートフォンのカメラを使ってユーザーの体をスキャンするというものがある。自分の体の3Dモデルを作成して、体脂肪などのデータを得られる。また、「Tone」として、Halo Bandに搭載したマイクからユーザーの声のトーンを分析し、感情を分析するという機能も。Toneはプライバシーを考えるとちょっと気持ち悪い気もするが、オプトアウトすればマイクは無効化できる。

 Halo Bandを皮切りに、2021年12月にOLED画面を搭載した「Amazon Halo View」を発表。2022年9月には(体に装着するのではなく)ベッド横に置くデバイス「Amazon Halo Rise」を発表した。Halo Riseは照明、アラームなどの機能もあり、レーダーによりユーザーの呼吸や動きなど睡眠についてのデータを得るというものだ。

Halo Riseは朝に合わせて、徐々に明るくなるなど、ユーザーの睡眠をサポートするデバイスだった

 Amazon Halo Bandは99.99ドル、Halo Viewは79.99ドル、Halo Riseは139.99ドル。ビジネスモデルとしては、端末を購入した後のアプリのサブスク(月額3.99ドル)もポイントとなっていた。

️撤退の背景は? 市場の競争や経済状況

 Halo Riseの発表から半年もせずに、Amazonは同事業からの撤退を発表した。最初のBand発表からでも3年も経っていない。

 Amazonは4月27日付のブログで、「2023年7月31日にAmazon Haloのサポートを終了する」と発表、過去12ヵ月以内にデバイスを購入したユーザーに対して払い戻しをするこち、サブスクについては事前に支払っている未使用分を払い戻すとした(https://www.aboutamazon.com/news/company-news/amazon-halo-discontinued)。

 Haloのローンチはコロナ禍でのことだった。健康への意識が高まっていたと見ることもできるが、フィットネスをはじめとしたウェアラブル市場は2022年に縮小している。IDCは2023年はこの市場が回復すると予想しているが、それでも終了する背景には、Amazonの業績、熾烈なウェラブル市場の競争の2つから分析できそうだ。

 2022年後半からハイテク企業は軒並み不調となった。Amazonは1月に1万8000人規模の人員削減を発表。3月には追い打ちをかけるように9000人の人員解雇を計画していることを明らかにしている。Halo終了のブログでは「米国とカナダ地区の影響ある社員には(解雇の)通知をした」と書かれており、人員削減の対象となったことがうかがえる。

 Amazonのスマートホームとヘルス担当バイスプレジデントのMelissa Cha氏は、「このセグメントは競合が多く、市場環境も不透明」と記している。

成長するウェラブル市場でリストバンドが占める比率は縮小

 フィットネスバンドは、ゆくゆくはスマートウオッチに淘汰されると言われていた市場だ。住み分けがされて共存するようにも見えたが、IDCの見通しでは、ウェアラブルデバイスと定める3カテゴリ(イヤーウェア、スマートウォッチ、リストバンド)のうち、リストバンドは唯一2022年から2027年の年平均成長がマイナスとなっているカテゴリだ。台数ベースで2023年には6.5%を占める(イヤーウェアが62.1%、スマートウオッチが31%)ものの、2027年にはこの比率が4.9%に縮小すると予想されている。

 この分野を開拓したFitbitはグーグルに買収されたことを考慮すると、すでに市場の整理が進んでいると見ることができる。グーグルはFitbit買収の前(2019年)に、Fossilからスマートウオッチ技術を取得しており、Fitbitで2900万人以上のアクティブユーザーを手に入れた。当時、Googleはデータではなくデバイスを目的とした買収であることを強調していた。

 GoogleはPixelブランドでスマートウォッチを展開しているが、4月に入り、FitbitアカウントとGoogleアカウントを統合することを発表している。

 こうしたデバイスでは自分の健康に関するデータが絡むこともあり、撤退するとなるとデータの行方が気になるところだ。Amazonは、Haloで収集したヘルスデータをダウンロードできること、データは8月1日以降に削除されると告知している。

 

筆者紹介──末岡洋子

フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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