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NVMeエンクロージャーでゲーミングノートPCの容量不足を解消!?

ASCII.jp / 2023年5月14日 12時0分

 デスクトップPCと同じく、CPUとGPUのパフォーマンスがアップし、より快適にゲームを楽しめるマシンが増えているゲーミングノートPC。そんなゲーミングPCを使っていくうちに突き当たるのが、ゲームデータの大容量化にともなうストレージ容量不足だ。

 GIGABYTEやMSIといったメーカーのなかには、メインストレージを容易に換装できるモデルや、サブストレージ用M.2スロットを備えているモデルも増えているが、基本、増設や換装を行なうとメーカー保証が効かなくなることが多いのがネックだ。

 もちろん、メーカーの無償保証期間を過ぎており、有償でのメーカー修理もしないと割り切って分解、増設するのもありだが、分解時の破損などのリスクはある。

 リスクゼロ&手軽にストレージを増やせるのが、USB外付けストレージだ。なかでもUSB4/Thunderbolt 4(Type-Cポート)は、実装するノートPCが増え、最大40Gbpsの高速転送を可能にする。ゲームパフォーマンスへの不安なく、ゲームデータの保存先にできる可能性大。

 値下がりが止まらないNVMe M.2 SSDに、実測3000MB/s台のパフォーマンスをサクッと発揮するUSB4/Thunderbolt 4接続に対応するNVMeエンクロージャーと、高速外付けストレージを自作するのに悪くないタイミングが到来している。

 先日筆者がAmazonで購入し、そのパフォーマンスを試したSAN ZANG MASTERのNVMeエンクロージャーを使って、ゲーミングノートPCのゲームデータ用外付けストレージとしての可能性を探っていくことにした。

SAN ZANG MASTERのNVMeエンクロージャーを活用した
NVMe M.2 SSDには、SUNEASTの格安PCIe4.0×4 NVMe「SE900 NVMe 70」を使用。標準装備のヒートシンクを取り外している

最新ゲーミングPCに接続してテストスタート

 GIGABYTEの最新ゲーミングノートPCとなる「AORUS 15X ASF-B3JP654JP」(実売価格36万3000円)に、NVMeエンクロージャーを取り付けた。USB4/Thunderbolt 4外付けストレージのゲームデータインストール先としての可能性をみていこう。

GIGABYTE「AORUS 15X ASF-B3JP654JP」を用意
「AORUS 15X ASF-B3JP654JP」は、24コア/32スレッドCPUのCore i9-13900HXとGeForce RTX 4070 Laptop GPUを搭載する
USB4/Thunderbolt 4に対応するType-Cポートを1基備えている
デバイス マネージャー。SAN ZANG MASTER製NVMeエンクロージャーに取り付けた「SE900 NVMe 70」をしっかりと認識

ベースのストレージ性能を確認

 まずは、ベースのストレージ性能をチェックしていこう。メインディッシュは最大40GbpsのUSB4/Thunderbolt 4外付けストレージの可能性だが、実測1000MB/sのアクセス性能を発揮するUSB 3.2 Gen2での接続も試していこう。

 定番ベンチマークの「CrystalDiskMark 8.0.4」と、ゲーミングストレージのパフォーマンスをみる「3DMark Storage Benchmark」を使ってチェックする。

「AORUS 15X ASF-B3JP654JP」の内蔵ストレージ。PCIe4.0×4最速クラスのアクセス速度を発揮している
アクセス速度のわりにスコアが伸びていないが、2500超えなら十分高速と言える
USB4/Thunderbolt 4接続のNVMeエンクロージャーの結果。3000MB/sのリード・ライト性能を発揮
スコアは1990と大きくダウン。平均転送速度(Bandwidth)も100MB/sダウンの343.74MB/sになっている
USB 3.2 Gen2接続時。SAN ZANG MASTER製NVMeエンクロージャーは、USB 3.2 Gen2の限界性能を発揮している
USB4/Thunderbolt 4接続時のアクセス速度と同じく、スコアはだいたい3割ダウンしている

ゲームデータを移動してパフォーマンスをチェック

 ゲームデータをPC内蔵ストレージから、外付けストレージに移動、または再インストールを行なって、ゲーミングパフォーマンスの違いをみていこう。

 なお、「Steam」は複数のゲームデータインストール先を登録でき、ゲームデータを移動する機能も備える。複数のストレージを搭載する際は、非常に便利な機能だ。

「Steam」タブの「設定」を選択
「ダウンロード」の「STEAM ライブラリフォルダー」ボタンをクリックする
ゲームデータのインストール先を追加する
取り付けたNVMeエンクロージャー(D:\)を指定。「STEAMLIBRARY」フォルダーが作られる
ゲームのプロパティから、データの移動が可能だ
複数ゲームタイトルを、まとめて移動することも可能になっている

ローディング時間とフレームレートをチェック

 NVMeエンクロージャーを使ったゲーミング外付けストレージのパフォーマンスを確認していこう。「FORSPOKEN」や、「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」、オープンワールドの「ELDEN RING」を使って、内蔵ストレージ、USB4/Thunderbolt 4接続時、USB 3.2 Gen2接続時のローディング時間をチェックしてみた。

 「FORSPOKEN」は内蔵ベンチマークを利用し、WQHD解像度、最高画質で実行してシーンごとに計測されるローディング時間と、合計時間をチェック。計測結果はベンチマークを5回実行して、最も遅かった値と、速かった値を除いた値から平均値を出している。

 リード3000MB/sを発揮するUSB4/Thunderbolt 4接続だが、内蔵ストレージからは、わずかに遅くなる傾向がみられた。ただ、7つのシーンの合計で、1秒弱と体感できる差はないと言えるだろう。  USB 3.2 Gen2接続では、ローディング時間が2倍近く延びているが、これはストレージのアクセス速度の違いではなく、「FORSPOKEN」が対応するDirectStorage技術の影響だ。ゲームのロード時間を高速化するDirectStorageは、NVMe SSDでのサポートになる。今回使ったNVMeエンクロージャーのUSB4/Thunderbolt 4接続時は問題ないのだが、USB 3.2 Gen2接続時はサポート外になってしまうわけだ。

USB 3.2 Gen2接続時は、DirectStorageがサポート外になる

 次は「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」を使って、ローディング時間を確認した。ベンチマークはWQHD解像度、最高品質で実行し、ローディング時間を抽出した。結果は5回計測したうち、最も遅かった値と速かった値を除いた3回の値から平均値を出している。

 「FORSPOKEN」と同じ傾向がみられ、アクセス速度と同じく、内蔵>USB4/Thunderbolt 4接続>USB 3.2 Gen2接続の順になっている。内蔵とUSB4/Thunderbolt 4接続時は、シーン合計で1秒差がついているが、USB 3.2 Gen2接続時は2秒まで差が開いている。体感できる差ではないが、ストレージのアクセス速度が影響しているのは明らか。

 ローディング時間のチェックの最後は、頻繁にロードが発生する「ELDEN RING」を使って、ゲームタイトルからのロード(コンティニュー)や、ファストトラベル、リスポーンの時間をチェックしてみた。計測はストップウォッチを利用し、5回計測したうち、最も遅かった値と速かった値を除いた3回の値から平均値を出している。

 なお、リスポーンは崖から落ちた際で計測したため、落下、ライフ0まで減少、ロードといった流れになるため、計測時間は長くなっている。

 コンティニューとファストトラベルでは、差はみられなかったが、「ELDEN RING」で最も頻繁に行なわれるリスポーンでは、内蔵ストレージから1秒ほど延びていた。

 体感できるほどの差はないが、内蔵時と比べてローディング時間が延びている外付けストレージ。今回の本命となるUSB4/Thunderbolt 4接続対応のNVMeエンクロージャーなら、最大で1秒程度の差なので、ゲーミングノートPCのゲームデータストレージとして問題なく利用できる可能性がみえてきた。

フレームレートへの影響を確認する

 続けてフレームレートの影響をみていこう。ゲームタイトルは「エーペックスレジェンズ」、「FORSPOKEN」、「アトミック ハート」、「F1 22」を用意した。WQHD解像度、最高画質を選び、内蔵ベンチマークと「CapFrameX」を使ってフレームレートを計測している。

単位:fps
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単位:fps
単位:fps
単位:fps

 ゲームタイトルで、フレームレートの計測は異なるが、いずれも数fpsという誤差の範疇で、接続方法の違いと言える明確な差は、確認できなかった。

 フレームレート上限が60fpsのため、計測に使わなかったが、実際に「ELDEN RING」をプレイしてみた。広大なマップを霊馬に乗って20分程度移動すると、USB4/Thunderbolt 4接続は問題なかったが、USB 3.2 Gen2接続時はわずかにカクつくように感じた。とは言え、プレイ中にフレームレートに気になる低下はなかった。

 USB4/Thunderbolt 4接続対応のNVMeエンクロージャーをゲームデータのインストール先に使って、ゲーミングノートPCの容量不足を解消するのは、十分ありだろう。  「Steam」にあるゲームなら、ゲームデータの移動も簡単なので、主にプレイするゲームをメインストレージに、たまにプレイするゲームは、USB4/Thunderbolt 4対応外付けストレージに保存するといった使い分けも楽なので、おすすめだ。

USB4/Thunderbolt 4接続対応NVMeエンクロージャーは、ゲーミングノートPCのストレージ容量不足の解消にもイチオシだ
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