本当に音の洗練度が増した! クリプトンの新ハイレゾUSBスピーカー「KS Gシリーズ」
ASCII.jp / 2023年5月12日 20時0分
クリプトンは5月12日、USB DAC機能を内蔵したアクティブスピーカー「KSシリーズ」を刷新。新しい“KS-Gシリーズ”として、「KS-11G」「KS-33G」「KS-55HG」の3機種5モデルを発表した。
![KRIPTON KS Gシリーズ](https://ascii.jp/img/2023/05/12/3535977/x/b2b36c6ce796df6a.jpg)
2010年の「KS-1HQM」に始まるKSシリーズ。現在のラインアップは型番の数字を2つに重ねた“ダブルシリーズ”として「KS-11」「KS-33」「KS-55Hyper」の3機種を中心に展開されている。Gシリーズは、これら3機種をベースとしながら、さらに高音質化した新世代機として展開する。
発売時期はいずれも6月中旬で、直販サイトでの限定販売。価格と特徴はそれぞれ下記の通りだ。
各製品の特徴
KS-11G 直販価格:6万5780円。チューンドバスレフ方式のバスレフポートを変更し、KS-33と同じ一般的なものとした。KS-11は金属製のエンクロージャーを採用しているが、バスレフの位相反転を強くかけすぎるとパネルに振動が載って音のにごりが生じるといった弊害もある。ここは調整が必要になる部分だが、KS-11Gではできるだけ強く低域を出す代わりにバスレフポートを変更した。また、左右のスピーカーをつなぐ付属ケーブルも3mと長くOFCの高品質なものとした。大画面化が進むテレビサイドなどに置く際の利便性を考えたものだという。カラーはブラックとホワイトが選べる。
![KRIPTON KS Gシリーズ](https://ascii.jp/img/2023/05/12/3535978/x/1103f252d91fa7dc.jpg)
KS-33G 直販価格:9万3280円。KS-33とは異なる周波数特性のウェイティングカーブを採用し、低音がよりよく響く形とした。ただし、単に低域を出すだけでは上の帯域にかぶるなどの弊害があり、特徴である中域の良さがスポイルされてしまう。この簡単ではない調整は、開発を指揮したオーディオ事業部の渡邉勝氏の念入りに取り組んだものだという。
KS-55HG 直販価格:12万6280円。3機種の中では唯一音質調整を変更しなかったモデルだが、代わりにBluetooth接続時に使用するコーデックにLDACが選べるようになった(ほかはaptX Adaptiveの48kHz/24bitのみ)。対応するウォークマンやAndroidスマホから最大96kHz/24bitの信号を伝送できる。こうしたスピーカー製品で、aptX AdaptiveとLDACの両方に対応する機種は世界初としている。屋外や移動中には電波状況が悪く中々その実力を発揮できないLDACの音を敢えてスピーカーで聴くことでその真価を感じ取ってほしいとする。カラーはシルバーとレッドが選べる。
![KRIPTON KS Gシリーズ](https://ascii.jp/img/2023/05/12/3535979/x/89336e0bf1212082.jpg)
なお、Bluetooth接続について補足すると、KS-11/KS-33はaptX HDに対応していたがKS-11G/KS-33GはaptX HDと同じ48kHz/24bitの伝送に対応しつつ若干低遅延なaptX Adaptive対応となっている。これに合わせBluetoothモジュールも変更しており、内蔵する基板も再設計したという。なお、KS-55Hyperは2ウェイ機でほかよりも若干筐体が大きいため、そのまま新しいモジュールを搭載できたという。
音質調整の効果は確かに感じる
KS-11とKS-33はともにデンマークのTymphany社製のフルレンジユニットを採用。コーンケーブ型のフルメタルコーンは質が高く、小口径フルレンジならではの定位の良さが感じ取れる。ユニット的にはGシリーズも同じものを使用しているが、緻密な音質調整を経て、傑作ユニットの潜在能力をより高く引き出せたとする。
![KRIPTON KS Gシリーズ](https://ascii.jp/img/2023/05/12/3535975/x/51fc588268a3c858.jpg)
ダイアナ・クラールの「California Dreamin'」を使ったデモを聴くことができた。KS-11とKS-11Gの比較では、一聴して抜け感の向上が違うと感じた。中域に寄ったウォームな表現がワイドレンジな雰囲気となり、子音など細かい音の表現も立つ。またボーカルと伴奏の音の対比が明確になり、音が横方向にさらに広がる。ただ、ダンプドバスレフにしないことで、低域の表現には差が出たが、高域は同じだし、周波数特性のウェイティングも変えていないという。バランスの重要性を改めて実感できた。渡邉氏によると「抜け感の改善によって、ステージイメージが明確になるので、定位の奥行き感も向上する」のだという。
試聴した中ではKS-11とKS-11Gの差が最も大きく、KS-33とかなり近い音の再現ができていたように思う。
KS-33Gはすでに述べたような周波数特性の調整を加えているが、低域の存在感や支えが良くなり、芯の据わった音の再現が印象的だった。KS-33は全体にクールな感じの表現だったが、低域とその悪影響をなくす上の帯域の調整によって、密度感があってニュートラル、素直なモニターライクな音の完成度が高まったと思う。シングルコーンでこれを実現するのは難しかったとのことで、チューニングの困難さを垣間見たような気がした。
ほかの2機種はUSB接続での試聴だったが、KS-55HGは基本的な音調を変えていないということで、Bluetoothコーデックの違いによる差を聞いてみた。新モデルでは唯一の2ウェイ機だ。押し出しアルミ材で作ったエンクロージャーは円形でさらに底面を斜めにカットしてスラントさせるという手の込んだつくり。フルデジタルアンプは各ユニットに独立して搭載している。クロスオーバーもデジタル領域での処理となるため、位相ずれなども原理的に生じない。
まず感じたのはLDACではないBluetooth再生でも相当に高い水準の音が聴けるという点だ。ただ、LDACはビットレートに余裕があることもあり、高域などに感じるちょっとした荒れや付帯音などが減り、より整った再現となるのが分かる。LDAC伝送自体は、Android 7搭載など比較的古いスマホでも利用できるので、再生のハードルがそれほど高くないのもいい。
ちなみに、ウォークマンでのデモもあったが、ソース機の違いによる差もあるようなので、ワイヤレスでもさらに高音質を追究したい場合にいろいろと試せるのも面白いところだ。
先駆者ならではの貫録を感じる、洗練された音
最近ではブックシェルフスピーカーにアンプや通信モジュールを追加して、ワイヤレス再生対応としたモデルが各社から盛んに発表されているが、KRIPTONとして取り組んでいるのはこうした既存モデルを無線化したものではなく、デスクトップ再生を主体に、小さな筐体で大きなスピーカーに匹敵する音、感動する音、住環境に合いライフスタイルに合った音を提供することなのだという。
特にデスクサイズの小型筐体と、定位感などその筐体の特徴を生かした音作りにこだわっている。当面はこうしたデスクトップ再生のスタイルを中心に展開していくということだが、長期間続くシリーズであるという点も納得できる音が、さらに進化した点を実感できた。
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