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Ryzen 7 7800X3DのゲーミングPC自作におすすめな価格抑えめのX670Eマザーボード

ASCII.jp / 2023年5月22日 11時0分

 AMDからRyzen 7000シリーズのX3Dモデルが登場した。先行して販売されていたXモデルがTDPを170Wに拡大して高クロックによる性能向上を目指していたのに対し、X3Dモデルは3D V-Cacheを搭載することでキャッシュヒット率を高めて性能向上を狙っている。クロックとキャッシュという方向性の違いから向き不向きというものがあるわけだが、X3Dモデルが得意としていると言うのがゲーミング。X3Dモデルを搭載したいならマザーボードもゲーミングモデルがよい。今回はRyzen 7 7800X3Dに組み合わせたいマザーボードとしてMSIの「MAG X670E TOMAHAWK WIFI」を紹介していこう。

MSI「MAG X670E TOMAHAWK WIFI」 実売価格は5万円前後

MAG X670E TOMAHAWK WIFIはハイエンド・デビューしたい方に最適な高機能モデル

 MAG X670E TOMAHAWK WIFIは、基本機能を中心としてコストを抑えつつ、ゲーミング向けの設計を持ち込んだ「MAG」シリーズのAMD X670チップセット搭載モデルだ。基本機能と言ってもAMD X670チップセットなのでかなり高機能。さらに「X670E」仕様なのでPCI Express x16スロットもM.2スロットもPCI Express Gen5に対応している。MAGシリーズには属するが、ターゲットはハイエンドゲーマー向けだ。

PCI Expressスロットは上から順にPCI Express 5.0 x16、PCI Express 3.0 x1(チップセット)、PCI Express 4.0 x4(x16形状:CPU)、PCI Express 4.0 x2(x16形状:チップセット※M.2_4と排他)
M.2スロットは上から順にPCI Express 5.0 x4、PCI Express 4.0 x4、PCI Express 4.0 x4、PCI Express 4.0 x4/Serial ATA 3.0(※PCI_E4と排他)
Ez M.2 Clipを搭載。1つは装着済みで、残り3つは同梱され交換式
M.2スロットのうち3基にヒートシンクが搭載されている
Serial ATA 3.0は4ポート。AMD X670ではPCI Express 3.0(最大8レーン)とSerial ATA(最大8ポート)は帯域を共有しつつ、その範囲でそれぞれの本数、ポート数を調整できる。本製品はバランス型構成だ

 AMD X670EとX670、B650E、B650の違いについても一応触れておこう。X670とB650の違いはチップセットのチップ数で、2チップならX670、1チップならB650。チップ数の違いで利用可能なスロット/ポート数もX670はおよそB650の倍と考えてよい。もちろん各マザーボードの設計によって違いはある。X670の拡張性を最大限まで使うかどうかはユーザー次第。必要なのかどうかは各自見極めていただきたいが、将来への余裕を求めるのがハイエンドユーザーだ。

 PCI Express x16ビデオカードについて言えば、現時点ではGen5対応のGPUが登場していないので、本製品は将来への備えだ。また、M.2 SSDではGen5対応モデルが登場しつつあるので、こちらのほうがひと足早く体験できる。ただし発熱は相当大きいようなので、ケース内エアフローに留意したいことと、場合によっては速度と安定性のトレードオフになるので導入についてそこを理解した上で望みたい。Gen5向けに大型ヒートシンク、あるいはファンを搭載するサードパーティ製のM.2ヒートシンクも登場しているので、そうした製品の導入も合わせて検討しよう。

ゲーミング向けの高信頼VRM回路に高性能ヒートシンク

 CPU電源回路は当然ゲーミング向けの設計だ。MAGシリーズとはいえAMD X670なのでここは高性能CPUとの組み合わせ、さらにその性能を引き出しつつ安定動作させるための設計である。まず電源端子はEPS12V×2系統。ここは当然だろう。そしてその下流に14+2+1フェーズのVRMがある。14+2+1フェーズというのはMSIのRyzen 7000シリーズ向けゲーミングマザーボードとしては標準的で、microATXモデルよりは2フェーズ多いもののたとえばAMD B650チップセット搭載モデルの「MAG B650 TOMAHAWK WIFI」も数の上では同じだ。そしてMOSFET(CPUコア用)に80A対応のSPSを使っているのもゲーミング向け仕様。ただこれもMAG B650 TOMAHAWK WIFIと同じである。

EPS12Vは2基
余裕のある14+2+1フェーズ構成
PWMコントローラはMonolithic Power Systemsの「MP2857」
MOSFETは80A対応のMonolithic Power Systems「MP87670」を16基
残り1基がMaxLinear「MxL7630S」

 同じTOMAHAWKのX670EとB650のCPU電源回路で何が違うかと言うと、そもそも基板自体が違うというのが大きい。AMD B650のMAG B650 TOMAHAWK WIFIは6層。もちろんサーバーグレード(IT-150GS)のものを採用し、2オンス銅箔層を挟んでいる高スペックのものだ。対してMAG X670E TOMAHAWK WIFIは8層のサーバーグレード(IT-170GR)かつ2オンス銅箔層を挟んだものを採用している。まあ、流す信号の配線数もAMD X670Eのほうが多いはずなので妥当ではあるが、そこをしっかりとよいPCBで作り込んでいると言えるだろう。

 ヒートシンクはMAGシリーズのデザインを踏襲している。ブロックタイプのアルミヒートシンクで、表面はフラットでも側面には大きな彫り込みを設けて放熱面積を拡大している。コストを抑えつつ(と言ってもヒートパイプを使わない程度で大型のぶん高価なはずだ)十分な冷却性能を発揮できる最適な設計と言えるだろう。MOSFETとの接触面にも7W/mkの高性能サーマルパッドを用いている。

 それではRyzen 7 7800X3Dを組み合わせた際のMOSFET温度を見てみよう。

Ryzen 7 7800X3D
実売価格は6万8000円前後

 まずはCPU負荷中心のCINEBENCH R23。今回、組み合わせた簡易水冷CPUクーラーの調子が悪く、制御を行なうUSB接続が一定周期で切断・接続を繰り返す状態で、CPU温度はあまり参考にならない点に注意いただきたい。室温は27℃だった。肝心のMOSFET温度はスタート時37.5℃で最大46.5℃。ベンチマーク負荷が抜けた後は43℃まで低下した。バラック状態かつケースファンなしでの計測だが、VRM温度の上昇はゆるやかで、負荷が抜けた後はすぐに2℃ほど下がり、あとはゆるやかに冷却されていく印象だ。通電状態のままアイドルを続けると38.5±1℃あたりに落ち着いた。この結果から、VRMの発熱もまずまず小さく(変換効率もよい)抑えられ、ヒートシンクからの放熱も信頼に足ると考えてよいだろう。

CINEBENCH R23 10分間実行時の各部温度

 一般的なCPU負荷のPCMark 10(Standard)では、VRM温度はまず気にしなくてよい。先と同様38℃からスタートしたが、おおむね40℃未満を行き来し、最後のスコア&ログ書き出し部分で最大41℃を記録したがそれは8カウント(≒8秒)程度だ。ベンチマーク負荷が抜ければここでも20カウント程度で1℃低下した。その後は39℃付近で落ち着いている。

PCMark 10実行時の各部温度

 もうひとつドラゴンクエストX ベンチマークソフト。設定は1920×1080ドット、低品質。こちらはゲームベンチマークで主に使われるのはGPUだが、フレームレートが高い分、CPUもそれなりに負荷がかかる。こちらはスタート時39℃で1分後には40℃に達した。ただしそこからは大きな温度上昇はなく最大でも40.5℃だった。

ドラゴンクエストX実行中の各部温度(1920x1080ドット、低品質)

 今回、ビデオカードを用意せずRyzen 7 7800X3Dの統合GPU機能を利用しているのであまり参考にはならないが、ベンチマークスコアも提示しておこう。まあ、Ryzen 7000シリーズの統合GPU性能を使ったベンチマークというのも少なく、ただしビデオカードにトラブルが生じた際などでは使うこともあると思われる。

 PCMark 10 Standardは、Overallが6827。統合GPUではとくにDigital Content Creationシナリオが6288とふるわなかったが、Essentialsが12192。Productivityが11268と十分に高いスコアを得られた。ここに現行ビデオカードが加われば、たしかに高性能ゲーミングPCになるだろう。

 CINEBENCH R23はMulti Coreが17701pts、Single Coreが1787pts。これは定格での計測だ。もうひとつCPUベンチマークとしてBlender Benchmarkを計測した。こちらはmonsterが125.706839、junkshopが80.176678、classroomが60.413791だった。なお、Blender BenchmarkではMOSFETの最大温度が39.5℃までにしかならなかった。

 3DMarkはFire Strikeが2317、Night Raidが11248、Wild Lifeが5155。スコアからも明らかだが統合GPUなのでゲーム向きではない。ベンチマークの所要時間が短いためあまり参考にならないが、PhysicsテストがあるFire StrikeでのVRM温度は38.5℃スタートで最大40.5℃(ただし15秒程度と短時間)。Wild Lifeに至っては最大39.5℃で温度変化は小さかった。

 ドラゴンクエストX ベンチマークソフトは、フルHDで統一しつつ高品質時が7493、標準品質時が9243、低品質時が11649。高品質時でも評価は「とても快適」で、低品質なら「すごく快適」にアップした。このくらい軽いタイトルなら十分にプレイ可能だ。

豊富に搭載、高速&ゲーミング向けインターフェース

 ゲーミングマザーボードではインターフェースも重要だ。ネットワークにUSBといったインターフェース類をまずはバックパネルから見ていこう。

 MAG X670E TOMAHAWK WIFIのバックパネルは組み込み済み一体型。組み込みの際にパネルをはめる手間が省ける。インターフェースでは、まずネットワークが2.5GbE(Realtek RTL8125BG)、無線はWi-Fi 6E(AMD Wi-Fi 6E)を搭載している。USBを見ると、まず2基あるType-CがUSB 3.2 Gen2x2とUSB 3.2 Gen2、さらにType-AはUSB 3.2 Gen2×2、USB 3.2 Gen1×4。映像出力がDisplay Port×1とHDMI×1。S/PDIFを含む6ポートのオーディオ入出力。そしてFlash BIOSボタンも備えている。

2.5GbEのLANチップはRealtek「RTL8125BG」
オーディオチップはRealtek「ALC1200」
バックパネル付近にはASMedia「ASM1464」リピーターチップを3つ並べて実装していた

 フロントUSBはUSB 3.2 Gen2 Type-C×1、USB 3.2 Gen1×4、USB 2.0×4。こちらのポート数も十分。ケースのType-C/AフロントUSBもバッチリ使え、USBヘッダーに接続するタイプの簡易水冷CPUクーラーも問題ない。

フロント用にUSB 3.2 Gen2 Type-Cを搭載
その付近にはASMedia「ASM1543」USB 3.1 Type-C−muxスイッチチップを搭載していた

 メモリスロットはAMD 600シリーズなので当然DDR5メモリ用。4スロットあり、スペック表には最大192GBとの表記がある。つまり、最近出始めた24GB/48GBモジュールにも対応を果たしているようだ。OCメモリのサポートはEXPOで、1DPC 1Rから2DPC 2Rまでどれも6000+とされている。それほど高クロックではないが、本製品はOC競技向けというわけでもなく、Ryzen 7000シリーズもDDR5-6000がスイートスポットとされているので、このくらいがベストだろう。なお、Ryzen 7000シリーズとEXPO OCメモリとの組み合わせで、過電流による熱損傷が報告されているが、MAG X670E TOMAHAWK WIFIには対応BIOSも上がっている。

メモリスロットは4基。最大192GBで最新の24GB/48GBモジュールにも対応している

X3D対応済BIOSだから新規に組む方の心強い味方になる

 MAG X670E TOMAHAWK WIFIはAMD X670チップセットをベースに、過度な機能は抑えつつもゲーミングに必須の回路設計やインターフェースでまとめたマザーボードだ。AMD X670のハイエンドマザーボードと言うと価格が気になる方も多いと思われるが、豪華機能のウルトラハイエンド向けモデルよりは抑えられている。また、あえて光らない&ブラック基板も、とくに国内ゲーマーの好みにマッチしているのではないだろうか。

 自作PCにおいて、パーツの組み合わせは自由だが、ハイエンドマザーボードのMAG X670E TOMAHAWK WIFIには、やはりRyzen 7/9グレードがマッチする。今ならとくに新登場のX3Dモデル。MAG X670E TOMAHAWK WIFIはリフレッシュモデルになるため、最初からX3Dモデルに対応したBIOSを搭載している。今から新規に組みたいといった方にとって、ここも安心材料になるだろう。

MSI MAG X670E TOMAHAWK WIFI詳細ページ 購入する MSIサイト

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