ついに独自開発DAC搭載に踏み切る、Astell&Kern「A&futura SE300」
ASCII.jp / 2023年5月15日 13時0分
とんがった機能を持つA&futuraシリーズ
5月12日にAstell & Kernから驚くような新製品のリリースがあった。
![](https://ascii.jp/img/2023/05/22/3540143/x/3359d08d6212f05e.jpg)
それは独自FPGAとDAC、さらにA級とAB級アンプの切り替えまで実現した新世代モデル「A&futura SE300」である。A&futuraは、Astell & Kernのラインナップでは新技術を率先して導入していくシリーズであり、過去にはESS Technologyと旭化成エレクトロニクス(AKM)のDACを別個に採用し、DACメーカーの違いによる音の違いを楽しめるSE200やDACモジュール交換式のSE180などがあった。
SE300は興味深いことにFPGAを含む、自社開発のDACモジュールを搭載したことになる。しかも、そのDACの形式は一般的なΔΣ(デルタシグマ)形式ではなく、R2R形式を採用している。R2R形式はデルタシグマの1bit形式との対比でマルチビット形式とも言われている。デルタシグマ形式のDACでは、内部処理の関係で、マルチビットのPCM信号を扱う際、1bitの形式に変換する処理が必須となるが、それがデジタル臭い音になる理由だという人もいる。R2Rではマルチビット信号のまま扱うので、この変換が必要ない。結果として「オーディオらしい豊かな音につながる」と言う人もいる。
反面、R2RはResistor-to-Resistorの略だが、この名称から分かる通り、たくさんの抵抗を組み合わせてD/A変換するので、抵抗の精度が問題となる。SE300のR2R DACはディスクリートで組まれており、48組96個(23×R、25×2R)ある抵抗を誤差0.01%と超精密なものとし、かつ選別品を使用している。
![](https://ascii.jp/img/2023/05/22/3540142/x/e627931b43a5efbf.jpg)
DAC側でオーバーサンプリング(OS)とノンオーバーサンプリング(NOS)モードの切り替えができるのも、R2R DACらしい仕様だ。オーバーサンプリング処理は、DAC内部のS/Nを高める効果が得られるが、その処理を省くNOSモードは「味がある音になる」とも言われており、オーディオマニアの間では支持者も少なくはない。OSモードは一般的だが、こちらはS/N感が高い端正な再生が期待できる。
筆者の想像とはなるが、おそらくOSモードではqdcの「Folk」のような「味系」の高性能イヤホンと相性が良いことだろう。NOSモードは同じqdcでいうと「TIGER」のようなモニター系の高性能イヤホンと相性が良いのではないかと思う。
まだ詳しくはわからないが、独自設計のFPGAはR2R DACの前段に置かれ、このモード切り替えにも関係していると考えられる。
A級増幅とAB級増幅が選べるアンプにも注目
また、A級増幅とAB級増幅を切り替え可能なアンプ技術を搭載した点も注目だ。
![](https://ascii.jp/img/2023/05/22/3540139/x/850365dcef05b32d.jpg)
一般的にA級増幅では滑らかな音が期待され、AB級では高出力が期待される。それを切り替えることができるわけだ。これは「AK PA10」で採用した、「カレントコントロール」の発展技術ではないかと推測している。これはA級アンプのバイアス電圧を可変にする機構だ。もちろんバランス出力に対応していて、バランス出力時には最大6Vrmsの高出力を実現しているという。
R2R DACとA級アンプの組み合わせはアナログ的で滑らかな音を期待させ、Astell & Kernが今後目指していく音の方向性が何かについて考えさせられる。Astell & Kernのサウンドポリシーは「A&Ultima SP3000」までは低ノイズを指向していたように思えたが、AK PA10以降は、アナログ的でオーディオらしい新しい音を目指しているようにも思われる。
最近のオーディオ業界では、DAC ICを作れるメーカーが限定されていたり、供給が世界的に不安定になっていたりする理由で、独自DACの開発に乗り出すメーカーが多くなってきた。パーツ選定の自由度が高く、こだわった音作りができるが、業界をリードするAstell & Kernまで独自開発を進めていたとは驚きだし、独自DAC採用の動きを加速していくのだはないだろうか。
こういった意味でも注目の製品となるのではないだろうか。
この記事に関連するニュース
-
株式会社MUSIN、「VGP2024 SUMMER」 取り扱いブランド製品受賞のお知らせ
PR TIMES / 2024年7月2日 10時45分
-
SHANLING、SACD・ハイブリッドディスクの再生に対応し、プリアンプアウト/ラインアウト出力を備えた、多機能SACDプレーヤー「SCD1.3」を発売
PR TIMES / 2024年6月21日 13時15分
-
スイッチサイエンス、Raspberry Pi RP2040搭載シリーズ「Picossci(ピコッシィ)」を拡充、ビデオ出力/オーディオ出力端子搭載の「NTSCボード」を2024年6月20日販売開始
PR TIMES / 2024年6月20日 13時45分
-
今売れている「ミニコンポ・セットコンポ」おすすめ3選&ランキング ハイレゾ音源に対応したセパレート型をピックアップ【2024年6月版】
Fav-Log by ITmedia / 2024年6月17日 6時10分
-
好きな音楽に丁寧に向き合う本気のCDコンポ、アーカム「A5」「CD5」 が「GREEN FUNDING」にて本日6月13日(木)より満を持してプロジェクト支援募集をスタート!
PR TIMES / 2024年6月13日 11時15分
ランキング
-
1「どう見てもセガのアレ」 コンビニうどんの容器トレーが「圧倒的既視感」「コントローラーの抜け殻」と話題
ねとらぼ / 2024年7月7日 17時0分
-
2「静岡40度」がトレンド入り「まだ梅雨明け前だってのに…」「そんな暑くなるところだっけ?」「酷暑日って初めて聞いた」
iza(イザ!) / 2024年7月7日 16時6分
-
3モトローラが日本市場で急成長している理由 1年で出荷台数2倍以上、「edge」「razr」の販路拡大がカギに
ITmedia Mobile / 2024年7月6日 11時45分
-
4「わろてる」 人気VTuberが部屋で“でかめのやらかし”をした様子を公開し話題に 「どうなってんのこれw」「想像以上」
ねとらぼ / 2024年7月7日 18時0分
-
5『ドラクエ』苦労して入手したのにガッカリ! 残念すぎた装備たち リメイク版で劣化も?
マグミクス / 2024年7月7日 15時25分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
![](/pc/img/mission/point-loading.png)
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください
![](/pc/img/mission/mission_close_icon.png)