春のヘッドフォン祭 2023で聴いた気になる新製品&参考展示まとめ(後編)
ASCII.jp / 2023年5月24日 8時5分
今年の「春のヘッドフォン祭 2023」を回って感じたことは、DAPの展示が少なくなったことだ。音源はサブスクのストリーミングが主流になり、スマホからイヤホン端子がなくなるのに伴い、イヤホンも完全ワイヤレスが増えている。
今後、DAPに求められるのは圧倒的な高音質で、接続は4.4mmバランス対応が必須となるだろう。ヘッドホンアンプはDAC内蔵でスマホやノートPCとUSB Cで接続できることが求められる。これから増える兆しがあるのは、スマホに接続する超小型DAC。次期iPhoneがUSB C端子を採用すれば一気に増加しそうな気がする。
10万円超えだがハイコスパなAsrell&Kern「A&norma SR35」
Astell&Kernのハイエンドモデル「SP3000」が採用したのが、AKM4499EXを4基搭載したQuad-DACである。「SR35」もシーラスロジック製「CS43198」を4基搭載したクアッド構成を採用。デュアルDACとクアッドDACの切り替え機能を備え、20時間の長時間再生と高音質を両立した。クアッドDACモードではバランス接続時にSN比130dB、クロストーク-145dBを実現したという。5月発売予定で直販価格12万9980円前後。カチカチと回るボリュームを上げていくとボーカルが浮かび上がる。なめらかで魅力的な音だ。低域の厚みが「SR25」よりも増えてピラミッドバランスがしっかり感じられた。インパクトのある音ではないが、正当進化と言える。
モバイルにもデスクトップにも使えるDAC/AMP Shanling「H5」
ハイコスパでなめらかな音を聴かせてくれるShanlingが、ギリギリで間に合ったというUSB-DAC/AMP試作機「H5」を展示。発売時期価格共に未定だが、ハイエンドモデルの「H7」より小さい型番なので、U10万円になりそうな気がする。ノーマークのモデルだったが、その音の良さに驚いた。ボーカルはなめらかで厚みがあり、明るく輝きのある高域、低域の量感も申し分ない。機能も充実しており、「H7」と同等であればデジタル入力はUSB Cと丸形光端子と3.5mm端子に対応、アナログ出力は3.5mm、4.4mm、6.3mmに加えて、RCAのライン出力を装備。LDAC対応のBluetoothでワイヤレス接続も使える。自宅では据え置きDACとしても使える。モバイルではmicroSDカードに入れた楽曲の再生機能を使ってDAP的な運用もでそうだ。
DITAの小型USB DAC「Navigator」は音も造りも一味違う
finalが扱うDITA Audioブランドから参考展示されたのが、「Navigator」と名付けられたスマホと接続するためのUSB DACである。夏に発売予定で価格は未定、400台限定となる。ボディはアルミマグネイシウム合金をCNC切削というハイエンドモデルによく使われる手法を採用。13個のパーツから構成されている。ハイレゾ音源を意識した音で、高域の粒立ちがよく解像度の高さが感じられた。iPhoneでこの音が楽しめるなら、有線接続のイヤホンを使ってみたいと思った。
Lotoo「Lotoo Mjolnir」は未だ発売時期価格未定
ポータブルとしても使えるLotooのハイエンドDAP「Lotoo Mjolnir」は2022年冬に初登場。今年も未だ詳細未定のままトップウイングサイバーサウンドグループのブースに姿を現したのだ。もちろん試聴可能で整理券が配られた。ボディはマグネシウム合金で充電池を内蔵したボディはズシリと重くショルダーストラップがあって持ち歩けるとは思えない。キャリングハンドルはデザイン的なものと確信していたら、今回は専用ケースが登場した。 本気で持ち歩くモデルなのか? どう考えても据え置き型のDAPに見えたのだが。
それはともかく、前回からの変更点としてはゲイン切り替えが2段階から4段階へ増える。独自の高音質ワイヤレス接続に対応予定。そして革製のケースが付属。4.4mmバランス接続で聴く音は、中低域の厚み、そして繊細で情報量の多い高域を両立させたLotooらしい音だった。入力はデジタルのみで、リアパネルにはRCAとXLRバランス出力も搭載、本格的な据え置き型DACとしての実力も相当なものに違いない。私は100万円ぐらいと予想するが、価格はさておき発売が楽しみな1台である。
Bluetooth対応USB DAC内蔵ヘッドホンアンプFiiO「K7BT」
FiiO「K7BT」はAKM4499SEQをデュアルで搭載したバランス設計で、4.4mmバランス接続に対応。今回はLDACとaptX Adaptiveに対応したBluetoothレシーバー機能を追加したモデルになる。2段階のゲイン切り替え、同軸、光、USBのデジタル入力、RCAのアナログ入出力を搭載してデスクトップのコアシステムとしての役割を果たす。ヘッドホンアンプはFiiOとTHXが共同開発した「THX-AAA 788+」を2基搭載。その音はFiiOらしく硬質で辛口、エッジが立ったもので音像定位にも優れていた。
ドイツのプロ機器メーカー、Violectricのヘッドホンアンプが心地好い
最近は純粋なヘッドホンアンプが少なくなったとお嘆きの貴兄にお勧めしたいのが、Violectricである。作っているのはドイツのレコーディングスタジオ向けのプロ機器メーカーで、ちょっとややこしいのだが、プロ機器のブランドは「Lake People」、コンシューマー向けが「Violectric」で、ハイエンドが「niimbus」と3つに分かれている。初めて聴いたブランドと思い込んでいたが、よく考えてみるとViolectric「V821」を聴いたことがあった。試聴したのは新しいシリーズで、ルーツは「V200」という同社の定番モデルである。
「HPA V202」(19万8000円)は、バランス入力に対応、出力はアンバランスだが、ヘッドホン端子は4.4mmと6.3mmを装備している。アナログ入力専用アンプで、全体に厚みのある心地好い音なのだが、高域は粒立ちがよく、やや尖った感じを受ける。バランス出力に対応したのが「HPA V222」(27万5000円)で入力はXLRとRCA、ヘッドホン出力はXLR 4pinが加わる。輪郭のハッキリした音で、メリハリ感がある。ここにDACを内蔵したのが「DHA V226」(30万8000円)でシーラスロジックCS43131を搭載、PCM32bit384kHz/DSD 256に対応する。またプリアンプとしても使える。ヘッドホン出力はバランス対応だ。音は最も鮮明でクリアー、ハイレゾ音源向きに仕上がっている。
3モデルに共通する項目は、同じサイズのケースを使い、φ38mmのアルミ合金製ボリュームノブを採用。アッテネーターは日本メーカーのアルプスRK27。トロイダルトランスを使った電源回路を内蔵。高出力電圧と高出力電力でどんなに鳴らしにくいヘッドホンも力強くドライブする。ノイズは可試聴範囲以下に抑えられている。さらなる上位モデルもあるのだが、この3モデルが分かりやすくViolectricの音を伝えてくれると思った。デスクトップで使える本格的なヘッドホンアンプを探している方はぜひ聴いてみていただきたい。
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