スマホで肥大化する大容量データを外付けSSDに逃がすのが思いのほか便利だった件(2023)
ASCII.jp / 2023年6月5日 11時0分
SNSなどへの投稿のためにスマホで動画を撮影することは、現在では日常的なことになっている。しかし、現在市販されているスマホの多くがmicroSDカードスロットを備えておらず、内蔵ストレージの容量不足に苦慮している人も多いようだ。
そういったmicroSDカードスロットを備えないスマホの内蔵ストレージ容量不足を解消するには、過去にも紹介しているように、USB接続のSSDやUSBメモリーなどの活用が一般的だ。特にポータブルSSDはこのところ価格が大きく下落し、1TB超の大容量モデルも購入しやすくなったことで、広く利用されつつある。
ただ、動画などの大容量データをUSB接続のSSDやUSBメモリーなどに転送する場合、スマホ、SSD、USBメモリーなど、それぞれのUSBの仕様によって速度が大きく違ってくる。そこで今回は、USB 3.2 Gen2準拠のSamsungのポータブルSSD「T7」と、USB 3.1 Gen1準拠の「USBメモリ Type-C™」を用意し、スマホからの大容量動画データ転送にかかる時間をチェックしてみた。
さすが高速SSD、大容量動画データも短時間で転送可能
まずはじめに、ポータブルSSD「T7」の容量1TBモデルを利用した場合の転送時間をチェックしていこう。利用したスマホは、Samsungの最新モデル「Galaxy S23」。そして、Galaxy S23の内蔵ストレージに保存した撮影時間約25分、容量約14GBの動画ファイル(8K/24fps)を、Galaxy S23の標準ファイル管理アプリ「マイファイル」を利用して内蔵ストレージからT7に転送し、その時間をストップウォッチを利用して計測した。計測は3回実施し、平均を出している。
ところで、T7は高速なPCIe NVMe SSDを内蔵しており、USB 3.2 Gen2のインターフェースを組み合わせることで、リード最大1050MB/s、ライト最大1000MB/sの高速アクセスを実現している。この速度を最大限引き出すには、T7に付属するUSBケーブルを利用するか、市販のUSB 3.2 Gen2準拠USB Type-Cケーブルを利用する必要がある。
ただし、今回利用するスマホのGalaxy S23は、USBがUSB 3.2 Gen1準拠となるため、そもそもT7の最大限の速度は引き出せない。さらにそこで、市販のUSB 2.0準拠のUSB Type-Cケーブルを利用すると、ますます速度が引き出せなくなってしまう。この点もチェックするため、今回はT7付属のUSBケーブルを利用した場合と、USB 2.0準拠USB Type-Cケーブルを利用した場合とで転送時間を計測した。
結果は、T7付属のUSBケーブル利用時には約39秒で転送できた。実際の検証での体感も、十分スピーディーに転送できると感じた。これなら、大量の大容量動画データも短時間で転送でき、非常に快適に利用できるだろう。
それに対し、USB 2.0準拠USB Type-Cケーブルを利用した場合には約6分38秒と、約10倍も時間がかかった。はっきり言って、検証中も非常に遅いと感じるほどで、これだけ転送時間に大きな差があると利便性にも大きく影響してしまう。
利用するスマホのUSBポートの仕様によっても変わってくるが、近年のスマホでは、比較的安価なミドルレンジモデルでもUSB 3.2 Gen1(またはUSB 3.1 Gen1、USB 3.0)準拠のUSB Type-Cを備えるようになっている。そのため、もし高速なポータブルSSDを利用しているにもかかわらず、データ転送に時間がかかるという場合には、利用しているUSBケーブルに問題がある可能性が高い。スマホにポータブルSSDを接続して利用する場合には、適当なUSBケーブルを使わずに、必ず製品付属のUSBケーブルを使うようにしたい。
USB 3.1 Gen1準拠のUSBメモリーはSSDより遅いが USB 2.0ケーブル接続のSSDよりは速い
続いて、USB 3.1 Gen1(USB 3.0)準拠のUSBメモリーを利用した場合の転送時間をチェックしていこう。
利用したUSBメモリーは、Samsungの「USBメモリ Type-C™」。容量256GBの一般的な製品で転送速度が最大400MB/sと、SSDにも匹敵する速度を誇っている。また、接続コネクターがUSB Type-Cとなっているため、直接スマホに接続して利用できる点も便利だ。
検証は先ほどのT7の場合と同じで、Galaxy S23の内蔵ストレージに保存した撮影時間約25分、容量約14GBの8K動画ファイルを、ファイル管理アプリ「マイファイル」を利用して内蔵ストレージから転送し、その時間をストップウォッチを利用して3回計測し平均を出している。
結果は約3分47秒と、T7と比べて5倍以上の時間がかかってしまった。メーカー公称値の転送速度が最大400MB/sということを考えると、やや時間がかかりすぎている印象もある。
ただ実は、USBメモリーの多くは読み出し速度は速くても、書き込み速度が遅い場合が多い。USBメモリ Type-C™も書き込み速度は公表しておらず、おそらく公称の転送速度は読み出し時のもので、書き込み速度は遅いと考えて良さそうだ。
それでも、USB 2.0ケーブル接続時のT7と比べると3分速く転送できており、特別遅いわけではない。USBメモリーは同一容量のポータブルSSDと比べて安価に購入できることを考えると、コストを抑えたい場合には有効な手段となりそうだ。
ただし、その場合でも、必ずUSB 3.1 Gen1(USB 3.0)以上に準拠するUSBメモリーを使うようにしたい。USB 2.0準拠のUSBメモリーでは、USB 2.0準拠USB Type-Cケーブルを利用したT7と同様の遅さとなるので注意しよう。
価格下落もあり、T7はスマホのデータ転送用として大いに魅力あり!
T7は、SamsungのポータブルSSDの中でもメインストリームモデルとして位置付けられている製品。名刺サイズで58gの軽さながら、金属ボディの採用で高さ2mからの落下にも耐えられる優れた堅牢性を持っており、安心して利用できる。
また、高速なPCIe NVMe SSDを内蔵しており、USB 3.2 Gen2のインターフェースを組み合わせることで、リード最大1050MB/s、ライト最大1000MB/sの高速アクセスを実現。今回のテスト結果を見てもわかるように、スマホがUSB 3.2 Gen2に対応していないとしても、大容量の動画データを短時間で転送できる場合が多い。
しかも、このところのSSDの価格下落によって、大容量SSDも非常に買いやすくなっている。T7の場合でも、今回利用した1TBモデルは実売価格が1万1000円前後。性能面を考えても、非常にコスパに優れるSSDと言っていいだろう。
そのため、スマホの内蔵ストレージ容量不足に悩んでいる場合には、価格下落で購入しやすくなったT7の大容量モデルを強くお勧めしたい。
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