【現地レポ】高度なビデオ編集に最適なM2 Max/Ultra搭載のMac Studio、拡張性を加えたMac Pro登場!
ASCII.jp / 2023年6月9日 11時30分
米国・クパチーノのアップル本社で開催された世界開発者会議「WWDC23」で、M2シリーズの最高峰チップ「M2 Ultra」と、それを搭載するMacのフラッグシップ機であるMac ProとMac Studio、そして「M2 Max」を搭載したMac Studioが発表された。
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M2シリーズは動画編集能力に優れているから、「M2 Proを買うか」「M1 Maxを買うか」が悩みどころだった。高性能マシンを必要としている人が今さらM1世代を買うというのも納得のいかないところだし、M1 MaxやM1 Ultraを搭載するMac Studioでは買い控えが起きていたのではないかと思う。
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反面、Mac Proは同じボディで出てくるとは思わなかったので、ちょっと意外な感じ。この2台をご紹介しよう。
プロの仕事に最適な高性能Mac Studio 29万8800円から
Apple Siliconの戦略は、量産効果の大きなiPhone用に作った超高性能なコアを、iPhoneの約2倍の数乗せて、M2、その約2倍でM2 Pro、また倍でM2 Max……と数を増やして高性能チップセットを作っていくというもの。
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そのため、どうしても小さいものから販売開始になるし、性能設定にフレキシビリティがない。その戦略の成否が問われるのが、Mac StudioやMac Proというハイエンド機においてだ。全部一体で作られてしまうので、GPUだけ強化する、メモリーだけたくさん積む、拡張性だけ強化する……ということができないのだ。
とはいえ、圧倒的性能で多くの用途をカバーしてしまったのが、M1 MaxとM1 Ultraを搭載していたMac Studioだった。Mac Studioは、Mac miniとほぼ設置面積が同じながら、大きな冷却ファンを積み、チップセットの熱を適切に排気することで高性能を実現している。
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そのMac StudioにM2シリーズのチップセットが乗った。なお、M2 Max搭載機の価格は29万8800円から。12コアのCPU、30~38コアのGPU、16コアのニューラルエンジンを積み、32~96GBのユニファイドメモリーを搭載可能だ。
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一方、M2 Ultra搭載機の価格は59万8800円から。24コアのCPU、60~76コアのGPU、32コアのニューラルエンジンを積み、64~192GBのユニファイドメモリーを搭載可能だ。
この性能で、Mac Studioは、動画編集、プログラミング、大規模なCAD設計、3Dグラフィックスなどの処理に圧倒的な性能を発揮する。
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M2などの小さいサイズのMシリーズチップは、ポート数にも制限があるが、M2 Max搭載のMac Studioでは4つのThunderbolt 4ポート、2つのUSB-Cポート、M2 Ultra搭載機では6つのThunderbolt 4ポートほか、10Gbイーサネット、HDMI、2つのUSB-Aなど、ふんだんなポートが準備されている。
また、M2 Max搭載機は最大4台、M2 Ultra搭載機は最大6台の6Kディスプレイをサポートする。その処理能力は8K ProRes画像をなんと22ストリーム同時に扱うことができるほどだという。
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最高の性能に高い拡張性を備えたMac Pro降臨
Mac Studioは順当な進化だが、驚いたのは同じM2 Ultraを搭載したMac Proが出たことだ。
これまで、Mac Proだけ移行が遅れていたのだが(当初は昨年のWWDCですべてのラインナップの移行を完了すると宣言されていた)、なんとIntel CPU搭載モデルと同様のボディにMac StudioのM2 Ultra搭載機と同スペックのチップセットを積んでの登場となった。
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当初疑問に思ったのが、そもそもMac Proの異形とも言えるボディデザイン、大きな冷却ファン、エアフローを考えたMac Proの豪華な構造は、「発熱量の大きな高性能Intel CPU、グラフィックカードのためのものではなかったのか?」ということだ。
そこに、省電力で発熱量が少ないApple Siliconを積むというのは、コンセプトの一貫性に欠けるのではないだろうか?
そういう疑問をアップルに投げ掛けてみたところ、Mac StudioではなくMac Proを選ぶ価値は、PCle拡張スロットにこそあるとのことだった。Mac Proは7つのPCle拡張スロットを持ち、そのうち6つは以前より2倍高速なgen 4に対応する。
デジタル信号処理(DSP)カードが必要なオーディオのプロ、プロ向けのカメラやモニターへの接続のためにシリアルデジタルインターフェイス(SDI)入出力カードが必要なビデオのプロ、ネットワークとストレージを増設する必要があるユーザーなど、多くの超高負荷な処理を必要とするユーザーにとって、PCle拡張スロットを持つMac Proの登場は、非常に喜ばしいこと、とのことだ。
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とはいえ、以前のMac Proは最大1.5TBのメモリーを積めた。特定用途で大量のメモリーを必要とする作業には、新しいMac Proでは対応できないのではないだろうか? Mac Proの最大メモリーは192GBと、当然のことながら同じM2 Ultraを積むMac Studioと同じになってしまう。
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そもそも、ユニファイドメモリーなら192GBでも足りるという話なのか、現在のところ仕方がないということなのか? 現在質問中なので、回答があり次第、お知らせしたい。
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ついに「Intel CPU搭載Mac」終了
コンパクトなのに最高のパフォーマンスを持つMac Studioと、大きな拡張性を持ったMac Proの登場を、高負荷な処理をしがちなプロフェッショナルは喜んで迎えるだろう。
「お金は出すから、とにかく性能が欲しい」という業界はあるのである。ハリウッドの制作現場もそうだし、高度な科学技術計算を行う人たちもそうだ。アップルシリコンの登場が2020年のWWDCで公表されてから3年が経ち、ようやくMacの全ラインナップがApple Silicon搭載となった。
そう、このMac Proの登場は2005年にスティーブ・ジョブズが導入を公表したIntel CPUとの決別でもある。17年続いたIntel CPU搭載Macの時代はこれにて完全に終了する。そして、これにより、アップルはチップセットの開発の主導権を完全に掌握し、自社の望む通りに商品ラインナップをアップデートできるようになったのである。
すべてのMacはApple Silicon搭載となった。ひとつの時代が幕を閉じた。次にどのような動きがあるのか楽しみだ。
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筆者紹介――村上タクタ 趣味の雑誌を30年間に600冊ほど作ってきた編集者・ライター。バイク雑誌「ライダースクラブ」で仕事を始め、ラジコン飛行機雑誌「RCエアワールド」、海水魚とサンゴ飼育の雑誌「コーラルフィッシュ」、デジタルガジェットの本「flick!」の編集長を約10年務めた後退職。現在フリーランスの編集者・ライターであり、ウェブメディアThunderVoltの編集長。HHKBエバンジェリスト、ScanSnapアンバサダー、mmhmmヒーロー。iPhone、iPadなどのデジタルガジェットや、バイク、クルマ、旅、キャンプ、絵画、日本酒、ワインと家族を愛する2児の父。
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