【現地取材】iOSやwatchOSの進化は? 秋に登場「新OS」注目ポイントまとめ
ASCII.jp / 2023年6月10日 11時30分
アップルが開催した2023年の世界開発者会議「WWDC」は、もっぱら初の“空間コンピュータ”「Apple Vision Pro」の話題で持ちきりになりました。でも、実際にはこの秋に正式リリースを迎える、主要なAppleデバイスのOSに関するエキサイティングな発表がたくさんありました。今回は次期OSのアップデートについて、押さえておきたい大事なポイントをおさらいします。
モバイルOS横断で「ヘルスケア」の機能が充実
iOS 17、iPadOS 17、wachOS 10。3つのモバイルOSには、横串を通して導入される2つのアップデートがあります。
ひとつは「ヘルスケア」がより便利になります。
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iPadOSには初めてヘルスケアアプリが投入されます。iPadの大きな画面表示に最適化されるヘルスケアは、ユーザーの健康データをチェックするモニターとしてとても視認性の高いツールになります。
Apple Watchのユーザーは、ペアリングしたiPhoneとiCloudを介して、心拍やワークアウトに結びつくデータをiPadで見られるようになります。
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ヘルスケア、フィットネス関連のデベロッパ向けフレームワーク「HealthKit」もiPadで使えるようになるので、秋以降には健康関連アプリのデベロッパが多数iPad対応を進めてくるでしょう。
近頃はiPadを導入する病院や介護施設も増えています。iPhoneやApple Watchで健康管理を行っているユーザーからの健康に関する相談を、医師やケア提供者がiPadを使って対応する機会も増えると思います。
iOS 17とwatchOS 10には、ユーザーの「心の健康ケア」をサポートする機能が付きます。iPhoneは「ヘルスケア」、Apple Watchは「マインドフルネス」のアプリに心の健康の機能が追加されます。
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アプリを立ち上げてから、ユーザーは画面上に様々な図形と色で表現される「その瞬間の感情」、または「日々の感情」を記録します。その感情がもたらされた理由について「家族」「仕事」などのタグを記録して振り返ることもできます。
ヘルスケアアプリに記録される感情の変化は、睡眠や運動など生活習慣に関連するファクターと関連付けられ、心の状態の変化に影響を及ぼしている可能性を深掘りしながら確認もできます。
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パーソナライゼーションをとことん楽しむ
もうひとつの横串テーマは「パーソナライゼーション」機能のリッチ化です。
iOS 17では「電話」アプリの連絡先ポスターの表示を自由にカスタマイズできるようになります。着信時に相手のスマホに表示される画面に自分の写真やミー文字を設定したり、フォントの種類や色などに工夫をこらせます。
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iPadOS 17では、ロック画面のカスタマイズが自由度を増します。フォトライブラリからお気に入りの写真を複数選んで、ロック画面の背景としてシャッフル表示にしたり、Live Photoを選ぶとiPadのスリープ解除時にスローモーションのエフェクトが再現される壁紙になります。ロック画面のフォントや色のカスタマイズも自由にできます。
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watchOS 10は色鮮やかな「パレット」とキャラクター系の「スヌーピー」の文字盤が追加されます。watchOSアプリの開発環境については、デザインの自由度が高くなります。デベロッパは情報の表示方法やレイアウトを自由にデザインしながら、Apple Watchのデジタルクラウンによる操作を積極的に採り入れることも可能になります。
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WWDCの会場が沸いた! iOS 17の2つの新機能
続いて便利に使えそうな各OSの新機能をピックアップします。
WWDCの基調講演、iOS 17のプレゼンテーションでは「ライブ留守番電話」とAirDropから派生した「NameDrop」が発表された時に大勢の観衆が沸きました。
ライブ留守番電話は電話アプリのAIを活用する新機能。誰かが留守電にメッセージを残すと、その瞬間リアルタイムで音声メッセージを文字に書き起こします。オンラインミーティング中など、すぐに電話に出られない場面で、テキストに書き起こされるメッセージの内容を確認しながら、すぐに折り返すべき案件か判断できます。メッセージは音声とテキストの両方が残せます。
筆者はiPhoneを使っている高齢の母に、これからは不明な着信はその場ですぐに応答せず、ライブ留守番電話を活用して相手の要件を確認してから落ち着いて対応するようにすすめたいと思います。
NameDropはAirDropの仕組みを元に開発された、ワイヤレス通信機能です。iOS 17を導入したiPhoneどうし、またはwatchOS 10を導入したApple Watchと近づけるだけで連絡先情報の交換をNameDropにより、素速く可能になります。電子名刺のような感覚で交換できそうです。
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ユーザーの連絡先はNameDropを介してまるごと相手に伝わってしまうわけではありません。あくまで仕事上の関係だけに止めたい相手にNameDropによる連絡先交換を求められた場合、設定により自分のプライベートなメールアドレスや自宅住所は教えないことも可能です。iPhoneどうしでNameDropをする場合、コンテンツの共有にも使えるようです。試せる機会がいまから楽しみです。
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iPadのウィジェットがインタラクティブになる
iPadOSのホーム画面には、アプリの情報を常時表示できる「ウィジェット」ツールがあります。iPadOS 17以降は、ウィジェットからアプリの機能を直接操作できるようになります。
基調講演のプレゼンテーションを見ると、よく使うスマート家電の電源を「ホーム」アプリのウィジェットから操作したり、リマインダーの管理もウィジェットからできて便利になりそうです。
外部のデベロッパにも、インタラクティブウィジェットの開発環境はWidgetKitのアップデートが提供されます。ワイヤレスイヤホンなど、ポータブルオーディオのリモコン系アプリ、コンテンツのストリーミングアプリなどのウィジェットが出揃う機会が楽しみです。
iPadOS 17について、Apple Pencilに直接関連するアップデートが発表されなかったことが、今年のWWDCを取材した筆者には不満が残りました。秋以降、新しいiPadの誕生に伴ってApple Pencilの話題が盛り上がることを期待しています。
watchOSの文字盤選択の自由度を高める「スマートスタック」
iOS、iPadOSのウィジェットに搭載されている「スマートスタック」がwatchOS 10に登場します。watchOSの場合、スマートスタックは文字盤の上に情報を重ねて表示する機能を果たします。
watchOS 10の「スマートスタック」やアプリのデザイン変更を動画でご覧ください
文字盤が表示されている状態でデジタルクラウンを回すと、カレンダーやリマインダー、天気予報などユーザーが必要とする情報が入れ替わり表示されます。筆者はApple Watchの文字盤にひと目でたくさんのアプリ情報を表示したいので、「コンプリケーション」の豊富な文字盤を好んで使います。
でも本当は「写真」やデザイン性の高い文字盤を選びたい気持ちもあります。スマートスタックがあれば、コンプリケーションが少なめの文字盤を選んでも、情報量不足を感じることはなさそうです。
macOSの話題も盛りだくさん。ゲームモードがおもしろい
今年のWWDCは新しいMacが3機種も発表されて盛り上がりました。15インチのMacBook Airは筆者も試せる機会を楽しみにしています。
次期macOS 14は名称が「Sonoma」になりました。注目したい新機能を2つ挙げたいと思います。
ひとつはビデオ会議のプレゼンテーション中、コンテンツの上にMacのカメラでキャプチャしたユーザーの姿を重ねて表示する「プレゼンターオーバーレイ」です。サムアップなど、ユーザーによる手のジェスチャーをカメラが認識して紙吹雪や花火などの「リアクション」を映像に反映させる機能もあります。
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もうひとつはAppleシリコン搭載のMacに、macOS Sonomaを導入した環境で楽しめる「ゲームモード」です。Apple Arcadeで配信されているコンテンツを含む、macOS対応のすべてのゲームで使えます。コンテンツを立ち上げるとゲームモードは自動でオンになります。意図的にゲームモードをオフにすることも可能です。
ゲームモードが有効になると、MacのCPU/GPUのリソースをゲームコンテンツに多く割いて映像表示のフレームレートを安定化させます。同時にBluetoothで接続したAirPodsに対する音声伝送のサンプリング周波数を自動で上げて、音声伝送の遅延回避を行い、ゲームコントローラーの遅延も抑えます。
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アップルは人気のゲームタイトルをmacOSのプラットフォームに招き入れることにも、力を入れています。今年のWWDCでも、他社のプラットフォーム向けに開発されたゲームタイトルをmacOSベースに移植するための「Game Porting ToolKit」の提供、コジマプロダクションが人気タイトル「Death Stranding Director's Cut」を2023年の年末にMac版をリリースすることなどが、ゲーム関連のトピックとして発表されました。
新しいOSのパブリックベータテストは7月に開始を予定しています。筆者もまたそれぞれを実機で試してレポートしたいと思います。
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筆者紹介――山本 敦 オーディオ・ビジュアル専門誌のWeb編集・記者職を経てフリーに。取材対象はITからオーディオ・ビジュアルまで、スマート・エレクトロニクスに精通する。ヘッドホン、イヤホンは毎年300機を超える新製品を体験する。国内外のスタートアップによる製品、サービスの取材、インタビューなども数多く手がける。
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