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売上減もプレミアム路線で健闘するシャオミ 来年にはついにEVも発売か?

ASCII.jp / 2023年6月10日 12時0分

 スマートフォン世界シェア3位のシャオミが5月末、2023年第1四半期の決算を発表した。売上高は前年同期比18.9%減の595億人民元(約1兆1600億円)、売上総利益も前年同期比8.8%減の115億人民元(約2250億円)となった。調整後純利益は前年同期から13.1%増加して32億人民元(約630億円)。この中に、目下開発中のEVをはじめとした新しいプロジェクトに関連した支出も含まれているという。

その圧倒的なカメラ性能で世界的に注目を集めている「Xiaomi 13 Ultra」

メインのスマートフォン事業では売上減となっているが プレミアムモデルの強化で市場の中では健闘している方

 スマートフォン事業を見ると、2023年第1四半期の売上高は350億人民元(約6800億円)、台数は3040万台となった。

 シャオミはメインの「Xiaomi」ブランドと低価格帯の「Redmi」ブランドのデュアル戦略をとるが、メインブランドでは他の中国メーカーと同じく、プレミアム化を進めている。最新のフラッグシップ「Xiaomi 13 Ultra」はライカとのコラボを継続し、カメラにソニー「IMX989」を採用した4眼システム、可変絞り機能、75mm望遠レンズ、120mm超望遠レンズなど、高性能なカメラを特徴とする。

 このほか、この1年で「Xiaomi 13」シリーズに「Xiaomi MIX Fold2」、「Xiaomi 12S Ultra」などプレミアム端末を連続して投入した。それが奏功したのか、同期ASP(平均販売価格)は1152人民元(約2万2500円)、これは前年同期比2.7%の増加という。スマホ事業の売上総利益率は同期比11.2%増。これは前年同期の9.9%を上回る数字だ。

 シャオミはまた、自社スマホが搭載する「MIUI」の月間アクティブユーザー数(MAU)が、5月に6億を超えたことも発表している。2021年11月の5億から2年未満で1億を加えた格好だ。年間の成長率に直すと12.4%増となる。

 同社はクアルコムと共同開発した「Snapdragon 7+ Gen 2」チップセットを搭載した「Redmi Note 12 Turbo Series8」を中国で発表。ハリー・ポッターエディションなるものも登場している。

インド市場は苦戦、首位から4位に転落

 失速が目立つスマートフォン市場の現状からを考えれば、シャオミの業績は必ずしも悪くはないとも言える。Canalysの2023年第1四半期の世界スマートフォン市場は、出荷台数は2022年同期比で13.3%減少し、第1四半期としては2014年以来の最低レベルだという。

 シャオミの世界シェアは3位。とはいえ、実際の数字である11.3%は、1位サムスンの22.4%、2位アップルの21.5%とは大きな差がある。一方で後ろには1.4ポイント差でOPPOが4位につけている。

 グローバルでは3位のシャオミだが、ちなみに中国では、アップル、OPPO、vivoに次いでの4番目。欧州、アフリカ、中東、南米、東南アジアではいずれも3位だが、かつてトップに立っていたインドでは苦戦して4位となった。

 Canalysのグラフを見ると(https://www.canalys.com/newsroom/india-smartphone-shipments-Q1-2023)、2021年第2四半期までシャオミは圧倒的首位だったが、2022年第4四半期に一気に3位に転落。その代わりにサムスンが好調で2022年第4四半期と2023年第1四半期、2期連続でトップだ。現在、サムスンは21%、OPPOとvivoが18%で並び、シャオミが16%となっている。

 また、欧州でも前年同期から17%減となり3位。シェアは15%だ。なお、欧州では廉価なRedmiブランドが主流となっている。

シャオミ初のEVがついに2024年にも登場?

 多角化を図るシャオミだが、今でもスマホの売上は同社の6割を占める。目下の注目はEVだろう。2021年にEVへの参入を明らかにしており、プロトタイプも登場している。

 現在、シャオミの研究開発部門では約2300人がEVに取り組んでいるという。第1号はセダンタイプと推測されており、LiDARを搭載し、運転支援技術を備えるようだ。2024年の前半にも生産に入る計画という。

 第1四半期の決算では、「スマートEVビジネスおよびその他の新しいイニシアティブ」に関連した支出として32億人民元(約620億円)を計上している。

 

筆者紹介──末岡洋子

フリーランスライター。アットマーク・アイティの記者を経てフリーに。欧州のICT事情に明るく、モバイルのほかオープンソースやデジタル規制動向などもウォッチしている

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