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PowerShellで外部コマンドの出力が文字化けする場合の対処法

ASCII.jp / 2023年6月11日 10時0分

PowerShellで文字化けが生じる場合がある

 直接実行すると問題なく表示されるのに、PowerShellの変数に格納する、あるいはファイルに出力すると文字化けする外部コマンドがある。

一部の外部コマンドには、出力をリダイレクトしたとき、あるいはPowerShellの変数に格納すると、文字化けしてしまうものがある

 具体的には、wsl.exeやwinget.exeなどだ。文字化けするのは、PowerShellの変数への格納や、cmd.exeでファイルにリダイレクトしたあと、変数やファイルを表示したときである。

 先に結論から言えば、wsl.exeとwinget.exeの場合、標準出力にはバイトマークなしのUnicode(UTF-16LE)エンコードされた文字列が出力されているため、そのままでは文字化けしてしまう。

 画面に出力したときに文字化けしない理由は、標準出力とは異なる方法で画面表示しているからだと思われる。ソースコードを調べたわけではないが、たとえば、コンソールAPIなどを使って画面出力しているのではないかと思われる。このときの表示はコンソールや文字エンコード設定に関わらず、正しくなる。

 具体的に「wsl.exe -l」の場合で見てみることにする。まずcmd.exeで

wsl.exe -l >wsl-cmd01.txt

と出力した場合、ファイルにはバイトオーダーマークがない。このためにmore.exeなどで表示すると、文字化けしてまう。

たとえばwsl.exeでは、コマンド出力を画面に表示させても問題ないのに、ファイルにリダイレクトすると文字化けしてしまう

 cmd.exeには、バイトオーダーマークなしのUnicodeを読み込む機能はないが、PowerShell Ver.7または、Windows PowerShell Ver.5.1(以下両方をPowerShellと表記する)では、

Get-Content .\wsl-cmd01.txt -Encoding Unicode

とすることで、正しくファイルを読むことは可能だ。

cmd.exeのリダイレクトで文字化けするのは、出力のエンコードがUnicode(UTF-16LE)で、バイトオーダーマークがないため。そのため、PowerShellのGet-Contentコマンドでエンコードを指定すると正しく表示できる

 PowerShellの場合は、話はもう少し複雑になる。PowerShellで外部実行ファイル(外部コマンド)の出力は、シフトJIS(日本語版Windowsの場合)であることを想定していて、コマンドの出力に対してUnicode(UTF-16LE)への文字エンコード変換をする。

 本来Unicodeなのに、それをシフトJISだと思って文字エンコード変換するため、文字エンコードが正しくないものになり、その結果文字化けしてしまう。cmd.exeの場合とは、少し事情が違う。

 PowerShellでは、外部コマンドの出力を変換して受け取るため、これをリダイレクトしてファイルに書き込んでも、誤った変換がされたファイルになる。なので、cmd.exeのようにリダイレクトしたファイルをUnicodeエンコードで読んでも正しい結果は得られない。

PowerShellでは、外部コマンドの出力を読み込むときにシフトJISからUnicodeにエンコードを変換するため、誤った変換により、文字化けが発生する。このためコマンド出力をファイルに書き込んでエンコードを指定しても正しく表示されない

PowerShellで文字エンコードを正しく処理させる

 PowerShellで、Unicode出力を正しく受け取るためには、コンソールの出力エンコードをUnicodeにする。これで、PowerShellは外部コマンドの出力がUnicodeエンコードであることを理解し、変換しなくなる。

 そのためには、一時的にコンソールの出力エンコードをUnicodeにして、コマンドの実行後に元に戻す。具体的には、

$TempMyOutputEncode=[System.Console]::OutputEncoding [System.Console]::OutputEncoding=[System.Text.Encoding]::Unicode $x=wsl.exe -l [System.Console]::OutputEncoding=$TempMyOutputEncode

とする。

 最初の行は、現在の出力エンコードを変数($TempMyOutputEncode)に保存するもの。

 2行目は、[System.Console]::OutputEncodingを、Unicodeエンコード(Encodingオブジェクト)に変更している。ユニコードのEncodingは、最初からプロパティとして定義されているので、「[System.Text.Encoding]::Unicode」と指定できる。なお、シフトJISエンコードを使う場合には、以下のコマンドでエンコードを得ることができる。

[System.Text.Encoding]::GetEncoding('shift_jis')

 このGetEncodingで利用できるエンコード名については、以下のページに記述がある。これはPowerShell Ver.7.x用だが、Windows PowerShell用もページの中身はほぼ同じものである。

●Encoding クラス (System.Text) PowerShell 7.x  https://learn.microsoft.com/ja-jp/dotnet/api/system.text.encoding?view=net-7.0#list-of-encodings

 3行目がwsl.exeの実行である。ここで、標準出力にUnicodeを出力するコマンドを実行すればよい。

 4行目では、1行目で変数$TempMyOutputEncodeに保存したエンコードを使って出力エンコードを復元している。

外部コマンドへの出力エンコードを変更する

 PowerShellコマンド出力を外部コマンドにパイプで渡したとき、文字化けが発生することがある。このような場合には、システム変数$OutputEncodingに定義されているエンコードが、外部コマンドが想定しているエンコードと異なっている。

 たとえば、シフトJISのみ受け付けるといったように、特定の文字エンコードを想定した作りになっているからだ。Windowsの標準コマンドだと、文字列検索のfindstr.exeは、入力文字列のエンコードはシフトJISになっている必要がある。このとき、$OutputEncodingを「shift-jis」エンコードに変更する。

標準状態では、$OutputEncodingがUTF-8なので、findstr.exeは、UTF-8文字列を受け取り、検索ができない。$OutputEncodingをシフトJISエンコードに変更すると、シフトJIS文字列を受け取るため可能になる

 $OutputEncodingは、Windows PowerShellでは、「US-ASCII」(ASC383IIコード)、PowerShell Ver.7では、「UTF-8」になっている。つまり、findstr.exeに渡される検索文字列がUTF-8あるいはUS-ASCIIであるため、findstr.exeは、文字列を見つけることができない。

wsl.exeとwinget.exeの場合

 今回、文字化けするコマンドの例としてwsl.exeとwinget.exeを挙げたが、現実問題としては、どちらのコマンドも他の方法によりPowerShell内で情報を正しく扱える。

 wsl.exeの-lオプションと同等の情報は、レジストリから抜き出すことが可能で文字エンコードの問題はない。これについては、過去記事(「ストア版WSLをアップデートまたはダウングレードする」)で扱った。

 また、wingetに関しては、同等の機能を持つPowerShellモジュールの配布が開始されている。これについては、別の機会で解説の予定だ。

 コマンドの出力は文字化けしないのに、リダイレクトや変数への格納で文字化けが起こるのは、文字エンコードが原因の可能性が高い。特にPowerShellでは暗黙的に文字エンコード変換がなされているため、これを理解しておかないと苦労する。

 このような場合、cmd.exeで外部コマンドを実行して、ファイルにリダイレクトをし、これをバイナリエディタなどで見るとよい。cmd.exeはリダイレクト時にもエンコードのを変換などしないため、本来の出力を確認しやすい。

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