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【現地取材】軽いけど、大画面。15インチMacBook Airの奇妙な感想

ASCII.jp / 2023年6月12日 11時30分

WWDCの会場で、初登場のMacBook Air 15インチモデルに触れることができた

 MacBook Airに15インチモデルが登場した。MacBook Airといえば、2008年にスティーブ・ジョブズがマニラ封筒から取り出して見せたイメージが強く、「薄い」「軽い」のが特徴だ。だから、15インチのMacBook Airが登場すると聞いた時、私はその意義について、懐疑的だった。

 しかし、実機を取材してきた今はまったく違う感想を抱いている。

なぜか親しみやすいファミリアな15インチ

 M2搭載のMacBook Air 13インチは、非常にシャープな存在だ。薄く、軽く、高性能。デキるビジネスマンが持っているイメージ。小さくてもM2は、メディアエンジンを搭載しているから動画編集もサクサクできる。

ディスプレーサイズに以外のファクターは、13インチモデルとほぼ同じ

 対して、併売されているM1 MacBook Air 13インチは、非常にリーズナブルで高性能。たとえば、資金に余裕のない学生さんに向いている。M2とM1の差はそれほど大きくない(その前のインテルMacとの差に較べれば、誤差範囲)。多くの人にとってはM1 MacBook Airで十分だ。

 さらに、同じM2を搭載するMacBook Air 15インチは、13インチに較べてもっと間口が広い感じがする。ファミリーで使うとか、それこそ実家のご両親が使うとか。それなりに高性能だし、間違いなくなんでもできる。

 ディスプレーの大きさはちょっと老眼が入ってきても優しいし、家族でリビングで使っていても、シビアな感じがしない。

WWDCのKeynoteでも、iPhoneからのコピー&ペーストが紹介されるなど、間口の広さを強調する演出が効果的だった

 例えて言うなら、地方の実家などで14インチの古いWindowsマシンが使われていたりするのだが(画面が大きく、見やすくて、おそらく安かったのだろう)、あれのリプレイスにちょうどいいのではないかと思うのだ。

スラットでワイドなボディ。キーボードの左右に大変余裕がある

大きいからお買い得!?

 不思議なもので、人には大きい方が得という心理がある。デジタルデバイスの場合、小さい方がコストがかかることが多いのだが、人は大きい方にお金を支払いやすい。

 たとえば、iPhone 13とiPhone 13 miniを較べると、使ってる部品はほとんど同じなのに、人は「iPhone 13 miniの方が安価であるべき」と思ってしまう。アップルとしてはかかるコストは、A15 Bionicや1200万画素のデュアルカメラを含めて、あまり両者に差はないと思う。だが「mini」は安く売らないといけないということなのだ。

 「ならば……」ということでは、iPhone 14世代では、iPhone 14と、iPhone 14 Plusという大型のモデルが用意された。「その方が素直にお金を出してもらえる=アップルの収入は増える」ということだ。「私は高くてもminiを買う」という人もいるが、そういう人ばかりではない。

 つまり、大きなMacBook Air 15インチは、13インチより多少値段が高かったとしてもお買い得感を感じてしまうのだ。

 さらに、重さに関しても1.24kg→1.51kgと270g重くなってるが、見た目に対してはむしろ「軽っ!」という印象を生んでいる。ちなみに、15インチあるのに14インチMacBook Proより、90~120g軽いのだ。

大きさとサイズは比例しないMシリーズMac

 従来、大きい方が熱容量の関係もあってハイパフォーマンスである場合が多かった。しかし、熱をあまり発生しないApple Siliconのおかげで、「大小どちらも同じ性能」を持つマシンを作れるようになっている。

 事実、MacBook Proも14インチと16インチはほぼ同じ(バッテリー持続時間だけが違う)性能になっている。大きい方が高性能だという時代ではなくなったのだ。

M2 MacBook Air 15インチは、13インチMacBook Airと同様2つのThunderbolt 4ポートの他にMagSafe 3アダプターを持ち、実質活用できるポートが増えいてる

 筆者などはMacBook Air 13インチを持ち歩いて、家では外付けディスプレーに繋げばいいと思うのだが、MacBook Air 15インチのユーザーイメージは、家に外付けディスプレーなんかない……という人。ならば15インチの大きな画面は魅力的だ。

広がったスペースにフォースキャンセリングウーファーを含む6スピーカーが内蔵されている

19万8800円の大画面は 外付けディスプレーを使わない人にお勧め!

 大画面は欲しいが、MacBook Pro 16インチほどの性能は要らないという人は、少なくないはずだ。なにしろ、MacBook Pro 16インチはM2 Pro/Max搭載で超高性能だし、ディスプレーもLiquid Retina XDRディスプレーで美麗過ぎ。拡張性もあり過ぎる。そして34万8800円~という値段も迫力だ。

 性能はほどほどでいいから大画面が欲しいという人が、19万8800円から購入できるというMacBook Air 15インチは十分にニーズがあると思う。

 MacBook Airの13.6インチ(2560×1664ピクセル)に対して、15.3インチ(2880×1864ピクセル)というサイズ感は実に手ごろだ。

MacBook Air 15インチには、シルバー/スターライト/スペースグレイ/ミッドナイトの4色が用意される

 さらに、映画も楽しめるように、MacBook Air 13インチモデルの4スピーカーサウンドシステムから、フォースキャンセリングウーファーで低音を増強した6スピーカーを搭載しているというのもよく分かった仕様だといえるだろう。大画面の迫力には、大迫力の低音を持つサウンドシステムが必要なのだ。

 大きいのに、軽くて安いMacBook Air 15インチ。お勧めである。

 

筆者紹介――村上タクタ  趣味の雑誌を30年間に600冊ほど作ってきた編集者・ライター。バイク雑誌「ライダースクラブ」で仕事を始め、ラジコン飛行機雑誌「RCエアワールド」、海水魚とサンゴ飼育の雑誌「コーラルフィッシュ」、デジタルガジェットの本「flick!」の編集長を約10年務めた後退職。現在フリーランスの編集者・ライターであり、ウェブメディアThunderVoltの編集長。HHKBエバンジェリスト、ScanSnapアンバサダー、mmhmmヒーロー。iPhone、iPadなどのデジタルガジェットや、バイク、クルマ、旅、キャンプ、絵画、日本酒、ワインと家族を愛する2児の父。

 

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