【レビュー】MacBook Air 15インチ「大画面・薄く・軽い」3拍子が絶妙なバランス(石川温)
ASCII.jp / 2023年6月12日 22時0分
ノートパソコンを持ち歩く人にはかなり魅力的なスペック
2023年6月13日発売のアップル「MacBook Air 15インチ」を数日間、使っている。
ディスプレーのサイズは正確には15.3インチだが、「大画面」「薄く」「軽い」という3拍子が絶妙なバランスで保たれているノートパソコンとなっている。
筆者は普段、2021年発売の14.2インチのMacBook Proで仕事をしているが、やはり15.3インチというたった1.1インチの違いではあるが、やはり大画面はとても快適だと感じる。
MacBook Airということで、まずは薄さが強調されている。ディスプレーを閉じた状態の高さは11.5mmということで、15インチクラスのノートパソコンとしてはかなり薄い。アップルが「世界一薄い15インチのノートパソコン」と胸を張るのも理解できる。14.2インチのMacBook Proのキーボード面よりも薄いには驚きだ。
かつてのMacBook Airは「軽さ」をアピールしていたが、流石に15.3インチということで1.51kgもあり「めっちゃ軽い」というわけではない。しかし、ふだん、14.2インチで1.6kgのMacBook Proを持ち歩いている身としては、100g以下の差でしかないのに結構、軽く感じてしまう。この辺りは本体が薄く、投影面積が大きいことから、軽いという錯覚を抱くのだろう。
普段、持ち歩いているカバンに入れると、薄いのでほかに書類を入れてもかさばることはない。毎日、ノートパソコンを持ち歩いて仕事をしている人からすれば、かなり魅力的なスペックに仕上がっている。
ディスプレーはLiquid Retinaディスプレーで、とても美しくて見やすい。最近、老眼気味で小さい文字が厳しくなってきたが、15インチもあれば、複数のサイトを立ち上げつつ、小さな文字で原稿を書くというのも容易だ。実際、この原稿もMacBook Air 15インチで書いている。
本体が薄くても妥協しない音響面
本体が薄いということで、音響面で妥協があるかと思えば、決してそんなことはない。6スピーカーサウンドシステムにより、通常の音楽や空間オーディオなども実に立体的に音を奏でることができる。MacBook Proの場合、キーボード面にスピーカーの穴があるのだが、MacBook Air 15インチのキーボード面はツルツルだ。それでもしっかりと音が出ているのに驚いてしまう。
15インチでNetflixなどの映像作品を、ドルビーアトモスで聴けるのはかなり満足度が高い。
アップルではWWDCの基調講演で2年連続、日本のゲーム開発者を登壇させるなど、Macでやたらと「ゲーム推し」なのだが、確かにコントローラーを繋いでのゲームも快適だ。
拡張性に関しては、本体左側面に充電端子とThunderbolt / USB 4ポートが2つ、本体右側面に3.5mmのヘッドフォンジャックが備わっている。
これだけ市場にワイヤレスイヤホンのAirPodsが普及しているので、3.5mmのヘッドフォンジャックなんてなくてもいいような気がするが、ケーブルタイプのヘッドフォンを使う若年層やハイインピーダンスヘッドフォンを使いたいユーザーのためにヘッドフォンジャックを残しているようだ。
一般的なノートパソコンの使い方であれば、Thunderbolt / USB 4ポートが2つもあれば、十分ではないだろうか。ただ、2つのThunderbolt / USB 4ポートが左側に集中しており、右側からケーブルを繋ごうとする場合、配線がきれいにいかないというのが残念だったりする。MacBook Proの場合、左右側面にThunderbolt / USB 4ポートがあるため、左右どちらからでもケーブルを繋げるのが地味ながら便利だったりするのだ。
見た目としては左側に集中していた方がきれいなのだろうが、実際の利用シーンを考えると、もうちょっと考慮して欲しかった気もする。
訂正とお詫び:初出時、一部表記に誤りがございましたので、訂正いたしました。(2023年6月12日)
アップル独自開発「M2」チップにより高性能で低消費電力
MacBook Air 15インチを使って特に実感するのが、チップを冷やすためのファンがなく、実に静かだという点だ。
アップルが独自開発している「M2」チップにより、高性能ながら、低消費電力を実現。バッテリーも朝から晩まで仕事をしても持つし、熱を発しにくいため、空冷ファンが不要となるため、静かでありながら、本体を薄くすることができるというわけだ。
アップルが自社開発する「M2チップ」は現在、M2、M2 Max、M2 Ultraが存在するが、ノーマルのM2だからといって決して非力というわけではない。実際にYouTube動画の編集をアドビ「Premiere Pro」で実施してみたが、実に快適に動画を作ることができた。13分程度の動画も2分19秒で描き出せるなど実にスムーズだ。
複数の4K映像を編集するというのではなく「フルHD程度で商品を紹介する」「プレゼンで使う動画を編集する」「YouTubeに流す」といった映像であれば、M2チップで十分と言えるだろう。
普段、出先ではMacBook Proの14インチで編集作業を行なっているが、やはり15インチで動画編集すると、大画面というだけで細かな作業が捗るのは間違いない。
最新規格「Wi-Fi6E」に非対応なのが残念
MacBook Air 15インチを使っていて、細かいところながらも気になったのがWi-Fiの対応だ。最新の規格であるWi-Fi6Eには非対応となっている。Wi-Fi6Eは6GHz帯を利用しているため、混雑している2.4GHzや状況によっては通信が途絶える5GHzを使わなくてもいいというのが利点だ。
日本でも昨年、ようやくWi-Fi6Eが使えるようになり、対応のWi-Fiルーターが各社から発売され、iPad ProもアップデートによりWi-Fi6E対応になっていたのだった。
「Wi-Fi6E対応じゃないと困る」というわけではないが、自宅内でテレワークでビデオ会議に参加する場合、安定して通信ができると安心なのは間違いない。
個人的にはデジカメの画像をSDカードで吸い上げるという仕事があるため、SDカードスロットは必須であり、どうしてもMacBook Proが選択肢となってしまう。
とはいえ、薄くてデザイン性に優れたMacBook Airということで、幅広い人に勧められるノートパソコンと言えるのは間違いない。
ただし、最も安いモデルで19万880円なのだが、ストレージが256GBということで、少々、心許ない。将来的なことを考えると512GBで22万6800円以上のモデルを検討した方がいいかもしれない。
筆者紹介――石川 温
スマホ/ケータイジャーナリスト。「日経TRENDY」の編集記者を経て、2003年にジャーナリストとして独立。ケータイ業界の動向を報じる記事を雑誌、ウェブなどに発表。『仕事の能率を上げる最強最速のスマホ&パソコン活用術』(朝日新聞)、『未来IT図解 これからの5Gビジネス』(MdN)など、著書多数。
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