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第13世代Core搭載の新VAIO SX14/SX12の性能検証、スタミナ性能のアップが嬉しい

ASCII.jp / 2023年6月15日 12時0分

ついに登場した第13世代Core搭載モデル、シリーズ最高性能のCPUで試す

 既報の通り、VAIOはハイエンドモバイルシリーズの「VAIO SX12」と「VAIO SX14」を刷新する。第12世代Coreを搭載した現行モデルは2022年6月の発表。約1年でモデルチェンジしたことになる。スペック面で大きく変わったのはCPUでインテル第13世代Coreを新たに採用した。

 フォームファクターの違いで、VAIO SX12とVAIO SX14の2種類が選べるが、基本的な違いはディスプレーサイズのみだ。もちろん、画面サイズが変われば、本体サイズと重量も変わるが、バッテリー容量を含めて中身は同じと考えていい。自分のワークスタイルを考えて、どちらのモデルを選ぶかは携帯性を重視するか、画面の大きさを重視するかで決めればいい。

 新モデルのスペックは既報の通り。もちろんVAIOストアでカスタマイズすれば豊富な選択肢から必要なものを選べる。その中でこの記事のために試用したのはCore i7-1370P(2.2GHz、最大5.2GHz)を選べる「ALL BLACK EDITION」だ。Core i7-1370Pは高性能なPコアを6基、高効率なEコアを8基備えており、P型番の第13世代Coreでは最上位のCPUとなっている。P型番のプロセッサーはモバイル向けを想定したU型番のプロセッサーよりそもそも性能が高いが、さらにその中でも性能が高いものを搭載したモデルと言える。

 ちなみに、Core i7-1370PはVAIO SXシリーズの中でもSPECIAL EDITION、つまりALL BLACK EDITIONや限定生産の9周年モデルとして復活した勝色特別仕様モデルのみが選択可能となっている。高性能に加えて、標準モデルにはないボディカラーが選べるというメリットにも注目だ。

【合わせて読む】2023年版の「VAIO SX14」レビュー

VAIOの顔となるVAIO SX14。第13世代Core搭載で高性能化。使いやすさはそのままに「Teams」や「Zoom」といったウェブ会議時にバッテリーを節約する機能や美肌カメラなどを搭載。

軽量性やキーボード選択の多彩さなど、VAIOらしさを感じさせる

 最初に試用機の仕様を見ていこう。「VAIO SX12 ALL BLACK EDITION」と「VAIO SX14 ALL BLACK EDITION」で、VAIO SX12はFHD解像度、SX14は4K解像度となっている。プロセッサーは上述のCore i7-1370Pで、メモリーは32GB(DDR4)。ストレージは第四世代ハイピードSSD 512GB(PCIe 4.0対応NVMe SSD)、キーボードは日本語(隠し刻印)となっており、かなり高性能な仕様と言えるだろう。

 重量は選択するパーツによっても異なるが、VAIO SX12が約929g、VAIO SX14が約1.08kgと軽くできている。

「VAIO SX14 ALL BLACK EDITION」。14型ワイドディスプレーで約1kgという軽量かつ堅牢性の高いハイエンドモバイルマシン
「VAIO SX12 ALL BLACK EDITION」。12.5型ワイドディスプレーで約929gという軽さ。中身はVAIO SX14と変わらない

 次に従来モデルとの比較だが、外観上の変更点は少ない。立体成型カーボン天板を採用し、ロゴはALL BLACK EDITION仕様のブラック。オーナメント部分も同じブラックで引き締まったボディラインの美しさを継承している。

 薄く軽いボディーながら堅牢性についても配慮されている。米国国防総省の調達基準「MIL-STD-810H」に準拠するだけでなく、さらに過酷なVAIO独自基準の試験も実施している。

「VAIO SX14 ALL BLACK EDITION」の天板。ロゴもオーナメントもブラックで統一。立体成型カーボンにより強度と軽さを両立
「VAIO SX12 ALL BLACK EDITION」の天板。VAIO SX14よりひと周り小さく、カバンに入れてもかさばらない

 タイピングがしやすいと定評があるキーボードも健在。静音性に配慮し、チルトアップヒンジによる無限パームレストの機構もそのままだ。キーストロークは約1.5mm、キーピッチは約19mm。国内ブランドの製品と言うこともあり、日本語キー配列も極めて自然だ。英語キーボードを無理やり日本語キーボードに乗せ換えるのではなく、日本人が打ちやすいものは何かを考えて設計されているため、キートップの一部が小さかったり、隙間がなかったりするといったデメリットを感じにくい。また、英語配列が好きという人は、英語キーボードにカスタマイズできる。さらにキートップの印字はかな表示なしやスタイリッシュな隠し刻印が選べる。特にキー配列は人によってこだわりがある部分であり、作業効率にも影響を与えるので、好みに合わせた選択肢が用意されているのは嬉しい。VAIOならではの配慮が継続しているポイントである。

「VAIO SX14 ALL BLACK EDITION」のキーボード日本語隠し刻印仕様。タイピングしやすいキー配置で、キートップは指紋がつきにくい塗装が施されている
「VAIO SX12 ALL BLACK EDITION」のキーボード日本語隠し刻印仕様。両サイドいっぱい使ってフルサイズを実現。通常刻印でも日本語かな文字あり/なし、英語通常刻印、英語隠し刻印と5種類のキーボードから選択できる
キーストロークはしっかり確保しつつ、静音性が高いので、静かな場所での利用でも問題ない

 タッチパッドはタイピングのホームポジションに合わせ、少し左寄りに配置。2ボタン独立タイプで、ほどよい抵抗のあるタッチ面は、細かな操作でもマウスカーソルの追従性か高い。

 電源ボタンには指紋センサーを内蔵。ログイン時は、搭載するカメラを使った顔認証(Windows Hello対応)も利用できるが、顔認証/指紋認証にはそれぞれのメリットがあるので、どちらも利用できたほうが便利である。

 インターフェースまわりは、前モデルから変化はない。できればUSB Type-C端子を左右両方に配置してほしいと、以前から言い続けているが、今回もそれは叶わなかった。USB Type-Aや有線LAN、HDMIを残している点は嬉しい限りだが、USB Type-Cを右側へ2つ配置するよりは、左右に分けてほしいところだ。

「VAIO SX14 ALL BLACK EDITION」のインターフェース
「VAIO SX12 ALL BLACK EDITION」のインターフェース

 また、ACアダプターがコンセント一体型のコンバクトタイプではなく、電源ケーブル分離型のタイプになった。このあたりは好みが分かれるところだが、筆者的には持ち運びやすいコンセント一体型のほうが好き。ただ、バッテリーの持ちがいいので、基本的に自宅へACアダプターを置きっぱなしにできるため、コンセントの差込口問題のない分離型のほうが使いやすいかもしれない。

ACアダプターの出力は65W。USB Type-C接続タイプで電源ケーブル分離型になった

 そのほか、VAIO Fシリーズで登場したVAIOオリジナルワイヤレスマウスがラインアップ。ブラックは同時購入で選択可能で、ネイビーブルーとウォームホワイトは単品販売のみの対応となる。

もちろん今までのVAIOと同じ……ではない(カメラの進化)

 これまでは従来モデルから継承した変わらぬメリットを中心に紹介してきたが、新しいVAIOはCPUを置き換えて性能を強化しただけのマイナーチェンジモデルではない。使い勝手はかなり進化している。

 大きく強化されたポイントが、オンラインコミュニケーションをより快適にするための機能だ。ここは従来機種でも力を入れていた部分だが、周囲の雑音を高度に排除するAIノイズキャンセリング機能や内蔵カメラを使った背景ぼかしなどに加えて、逆光補正の高画質化、美肌効果などユーザーの声を反映した機能を追加している。補正機能は不自然さがなく、美肌機能もさりげなく効くので、ウェブ会議などの印象を高めるのに役立つだろう。

強力なAIノイズキャンセリング機能も健在。周囲の音を拾わずに、音声のみを抽出してくれる

 カメラモジュール自体も進化している。具体的にはノイズ除去の処理が改善されており、これまではSNR(Spatial Noise Reduction)というフレーム単位での処理だったが、TNR(Temporal Noise Reduction)という前後フレームを参照してノイズ除去の精度を上げる方式に変わった。ノイズ除去の処理はかけすぎるとメリハリ感が減るなど悪影響も出るが、TNRでは前後のフレームを見てノイズだけを判別して処理する(被写体が動いていないのにランダムに変化している点があるなど)。結果として、映像自体の鮮明さを失うことがなく、色再現性の向上にもつながるわけだ。

カメラは207万画素で、物理的なスライド式プライバシーシャッターを備える
カメラのノイズ除去が強化され、画質がよくなった。また、美肌効果も3段階でつけられるが、レベル3でも自然に少し肌が滑らかになる程度に抑えられている
左が美肌効果なし、右が美肌効果レベル3。シワを少々軽減する程度で、ノッペリした感じにならず、違和感なく表現される

ウェブ会議時のバッテリー駆動時間も改善

 モバイル環境でオンラインコミュニケーションをより長く利用できるよう、バッテリー節約設定を新たに追加した点にも注目。ウェブ会議はブラウジングや書類作成などの作業とは異なり、一定の速度で通信をし続ける必要があり、フルではないがCPU負荷も維持するという特徴がある。そこで、VAIO独自の制御を入れて、CPUの負荷が上がりすぎないように制限。さらに輝度も適切な範囲に抑える。さらに、ファンの動作も静かさ優先にし、電力消費と騒音のバランスも取っている。結果として公称10%ほどの消費電力低減を確認できたという。

「VAIOの設定」アプリで「バッテリー節約設定」の項目ができた。特にウェブ会議でバッテリー駆動時間を伸ばせる。

バッテリー駆動時間が従来モデルより伸びた

 新モデルのポイントとなるCPU性能の強化とバッテリー駆動時間について、各種ベンチマークテストで検証してみた。計測は「VAIOの設定」アプリで「パフォーマンス優先」に設定。ただし、最後のバッテリー駆動時間のみ、「静かさ優先」のモードにしている。

 まずは、CPU性能をチェックする「Cinebench R23」から。計測はデフォルトの設定で10分間回した時のスコアとなり、基本的にスレッド数が多く動作周波数がいかに長く保てるかがスコアの良し悪しを左右する。結果は、マルチコアのテストで1万超え(1万497pt)を記録。シングルコアも1800を超えた(1832pts)。第12世代のCore i7-1280Pを搭載した前モデルと比較した場合、シングルコアの性能はそれほど変わらないが、マルチコアでは1000pts以上の差をつけたことになる。

「Cinebench R23」の結果

 続いて、アプリの動作性能をチェックする「PCMark 10」を実行してみた。

 結果は、4K解像度で処理に負担がかかるVAIO SX14でも6000に迫る勢い(5964)。FHD解像度のVAIO SX12では6000超え(6041)を果たしている。差が出たのはアプリやWeb、チャットなどの操作をする「Essentials」と、ビジネス系アプリの操作をする「Productivity」のテスト結果から。ただ、写真やビデオ編集の「Digital Content Creation」の性能はVAIO SX14のほうが高かった。結果を細かく見ていくと、描画処理に関するテストは、概ねVAIO SX14のほうがいい。ここは単純にFHDと4Kという解像度の違いだけでは推し量れない要素のようだ。

「PCMark 10」の結果

 VAIO SXシリーズでは内蔵GPUを使った処理にはなるが、3DCG性能を測る「3DMark」も実行した。

 実行したのは、軽めのDirectX 12対応「Night Raid」とDirectX 11対応の「Fire Strike」、ちょっと重めのDirectX 12対応の「Time Spy」の3つだ。結果としては、今度は4KディスプレーのVAIO SX14のほうが全体的に上回った。PCMark 10のテストで4K解像度のVAIO SX14のほうが描画処理の結果がよかったが、その結果を反映するものなのだろう。CPU内蔵GPUのため、さすがにTime Spyは1948とかなり厳しいが、Night Raidでは19 335を記録するなど、軽めの3DCGゲームなら難なくこなせるレベルといえる。

「3DMark」の結果

 実際、「ドラゴンクエストX ベンチマークテスト」を実行したところ、グラフィックの設定をFHDのフルスクリーン表示で最高画質でも10292で「すごく快適」評価を得られた。

「ドラゴンクエストX ベンチマークテスト」の結果

 また、念のため「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」も実行してみたところ、グラフィックをFHDのフルスクリーン表示で高品質(ノートPC)設定で6624の「やや快適」評価。標準品質(ノートPC)設定で8866の「快適」評価だった。標準品質(ノートPC)では平均フレームレートが約63.2fps、最低フレームレートが31fpsだったので、意外とプレイできるかもしれない。CPU内蔵GPUでもグラフィック設定を調整すれば遊べるレベルまでいけるのは感慨深い。

「ファイナルファンタジーXIV: 暁月のフィナーレ ベンチマーク」の結果

 最後に「PCMark 10 Modern Office Battery Life」によるバッテリーベンチを行なった。「VAIOの設定」で、「静かさ優先」にし「バッテリー節約設定」はオフ。画面の輝度は20%で、キーボードバックライトはオフ、Wi-Fiはオンの状態で計測した。

 結果は、VAIO SX12が14時間27分、VAIO SX14でも12時間37分となった。この差は解像度の違い(パネルの違い)が影響しているのだろう。PCMark 10 Modern Office Battery Lifeにおいて、この時間はかなりよい結果と言えよう。実使用できる時間はここからもう少し減るとは思うが、外回りで1日使うレベルであれば、ACアダプターを持ち歩くことなく過ごせそうだ。

さらなる高みを目指したハイエンドモバイル

「VAIO SX14」のカラバリ。このほかに、ALL BLACK EDITIONと勝色特別仕様がある

 以上、VAIO SX12/SX14を試用してみた。感想としては、これまで追求してきたモバイルマシンの王道をしっかり踏襲しつつ、バッテリー駆動時間の向上やオンライン会議での快適性など、さらなる高みを目指した製品と言える。性能的にも正当進化しつつ、モバイル利用時のパフォーマンスもアップしたことで、モバイルマシンとしては揺るぎない地位を築いているのではないだろうか。

「VAIO SX12」のカラバリは、ローズゴールドが加わり6色。もちろんALL BLACK EDITIONと勝色特別仕様がある

 なお、検証は最上位モデルを使用したが、通常モデルでも十分な性能を発揮するはずだ。

 カラバリもVAIO SX14はファインブラック、ファインレッド、ファインホワイト、ブライトシルバー、アーバンブロンズと5色を用意。VAIO SX12は、5色に加えローズゴールドの6色構成になっている。アフターコロナの時代となり、オフィスと自宅の両方で利用する機会が増え、仕事はもちろんプライベートでも相棒として満足のいくVAIO SXシリーズ。夏のボーナスを使って自分へのご褒美として購入を検討してみるのはいかがだろう。

 アフターコロナ/ハイブリッドワークの時代が訪れる中、パソコンはオフィスと自宅の両方で利用する機会が増えている。仕事はもちろんプライベートの相棒として満足のいくVAIO SXシリーズ。夏のボーナスを使って自分へのご褒美として購入を検討してみるのはいかがだろう。

 なお、VAIOストアで購入すれば、8月1日までサマーキャンペーンを実施しており、最大8万2735円引きとなる。さらに新規会員登録で25万円以上の価格なら、2万5000円引きとなるクーポンもあり、ハイエンドモバイルマシンがお手頃価格で手に入るチャンスだ。 

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