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モバイルモニターを簡単に縦置きできる「WING BINDER」を衝動買い

ASCII.jp / 2023年6月16日 11時30分

使用目的も気にせず13.3〜14インチクラスのモバイルPCとモバイルモニターをスピーディにスタックできる「WING BINDER Special Edition」を衝動買いしてしまった

 2023年の春先に、国内のクラウドファンディングでバッカーを募集していた「WING BINDER」という、モバイルPCと外付けのモバイルモニターを上下に並べて縦置きできる、折りたたみスタンドを速攻でバックした。

 残念ながら国内クラウドファンディングの多くが取り扱いする商品は、代理店が目星をつけた海外製クラウドファンディング商品が大半だ。なので目新しさはほとんどない。唯一のメリットは出荷リスクの多い海外版クラウドファンディングとは違い、出荷遅延がなく供給が安定していることだ。

ThinkPad 30周年を記念した限定100個のモデルを クラウドファンディングでバックした

発送案内が届いてしばらくして届いたThinkPad 30周年記念の「WING BINDER Special Edition」(ウッドモデルと異なりアクリル製で少し重い)は、赤&黒のThinkPadカラー

 そんな国内版のなんちゃってクラウドファンディングが多い中、WING BINDERは珍しく国内で企画、生産される実用ガジェットのクラウドファンディング商品だ。筆者がバックしたのはThinkPad 30周年を記念した「WING BINDER Special Edition」と呼ばれる限定100個のモデルだ。

当てにしていた2〜3回しか使っていないThinkVision M14の液晶が割れてた!

 4月13日の発送案内メールからほどなくして、WING BINDER Special Editionが自宅に届いた。早速、筆者のモバイルPCメイン機のThinkPad X1 Nanoと組み合わせて、使ってみるつもりだった。早速ペアを組むモバイルモニターである「ThinkVision M14」(14インチ)を久しぶりに本棚から取り出して接続してみたら、なんと液晶が割れて表示が乱れていた。

WING BINDER Special Editionを誰かに譲ろうかとも考えたが、HDMI入力もある超安価なIPS液晶モバイルモニターをもう一度衝動買いした

 そんな訳で届いたばかりのWING BINDER Special Editionを誰かに譲るか、もう一度モバイルモニターを買うかの二択で悩んでしまった。そもそもThinkVision M14の出番も、今まで2〜3回しかない。いまさら4万円もする同じ製品をもう一度買い替えるのもしゃくなので、ThinkPad X1 Nanoと同じ13.3インチサイズでType-Cに加えてHDMI端子もある、IPS Portable Monitor(1920×1200)を、ThinkVision M14の半額以下の1万6800円で衝動買いした。

超軽量・薄型の液晶モバイルディスプレーの出現で 縦方向の配置が簡単に

 WING BINDER Special Editionが目指す、液晶パネルを縦に2段連結する拡張方法は、オフィスや自宅での省スペースマルティディスプレー方式としては特に目新しいモノではない。その起源は古くIBM PC/AT上のWindowsが、マルチディスプレーの拡張機能を搭載したWindows 98や2000の頃のはずだ。国内ではまず見なかったが、海外では大きな重いブラウン管のディスプレーを上下にスタックして使っているのを何度か見たことがある。

筆者のコラムでも以前ご紹介したタブレットスタンドを応用したディスプレー2台の縦連結

 マルチディスプレーを横並びではなく縦方向に簡単に配置できるようになったのは、超軽量・薄型の液晶モバイルディスプレーの出現によるところが大きい。筆者の2年半ほど前のコラム「楽しいテレワークを目指して「タブレット用伸縮アームスタンド」を衝動買い」でも、その使い方をご紹介した。実際の普及はコロナ禍により拡大したリモートワークの影響が大きいだろう。

伝統的な書見台のようなWING BINDER Special Edition。この形状にいたる試行錯誤は素晴らしい。オマケのThinkPadロゴも取り付けた

 WING BINDER Special Editionは、ほかのWING BINDERがMDF(中質繊維板)素材を採用し150gと軽量なのに対し、アクリル製で290gと約2倍ほど重くなっている。しかしブラックのアクリル素材を赤のテーピングでまとめた発想は、ThinkPadのテーマカラーでもあり、WING BINDER Special Editionに似合う素晴らしいアイデアとデザインだ。

関連するプロダクトのすべてがA4紙サイズに近く重ね合わせて持ち歩くにも便利

 今回のWING BINDER Special Editionには、ユーザーが自由に好きな場所に貼り付けられるデカールも付属する。貼り付け位置を何度も悩んだあげく、筆者はごくありきたりの場所に貼り付けた。折りたたんだ状態のWING BINDER Special Editionのサイズは、ほぼA4の紙サイズ。ThinkPadやモバイルモニターと一緒に重ねて置く時も持ち歩く時にも違和感のない手に馴染む大きさだ。

折り畳まれたWING BINDER Special Editionを開き、まず上段のモバイルモニターを載せ、続いてモバイルPCを載せてケーブリングをすれば完成だ

 実際のモバイルPCとその上段に設置するモバイルモニターの設置も簡単だ。WING BINDER Special Editionを適度な角度に開き、上段にモバイルモニターを乗せ安定させ、続いて下段にモバイルPCを搭載、ケーブル接続する。感覚的に13.3〜14インチのモバイルPCと同サイズのモバイルモニターのコンビネーションなら、液晶同士が重なることもなくまた大きく隙間が空くことも少ないだろう。

 14インチのThinkVison M14を使っていた時は、モバイルPCのThinkPad X1 Nanoがひと回り小さな13.3インチであったので見た目のバランスは少し違和感があったが、今回は13.3インチ同士の縦型スタックなので見た目も極めてバランスがとれている。

マルチディスプレー環境では各モニターの解像度や拡大値が重要だ。今回はThinkPad X1 Nanoの解像度を1920×1200(拡大値150%)に落とし、モバイルモニターの解像度を1920×1200(拡大値100%)とした

 モバイルPCとモバイルモニターがサイドバイサイドの関係の場合でも、2台のモニターの解像度や拡大率は気になる重要な要素だ。特に縦に2台のモニターがほぼ隙間なく並んだ状況では、モバイルPCとモバイルモニターの解像度が異なると見ていて気持ちの良いモノではない。

 スクロールする画面が上のディスプレーに表示された瞬間に、Windowsの幅が極端に狭くなったり太くなったりするなら、縦連結ディスプレーを止めた方がマシなくらいのストレスだ。今回は2160×1350ピクセルが推奨値のThinkPad X1 Nanoと1920×1200ピクセルが推奨値のモバイルモニターを縦に連携するので、そのままでは前述したようなグッタリとする画面連携イメージになってしまう。

 今回はThinkPad X1 Nanoの解像度を1920×1200に落として、拡大縮小の値を150%とすることで上下2画面に表示がまたがってもまったく違和感のないように設定できた。これでテキストエディターを上下2面に展開している時もウェブを見ている時も、まったく違和感なく縦スクロール操作を安心してできる。

テキストエディターもブラウザーも上下2段のモニターを使って分断や重なることなく、快適に表示された。外付けキーボードを使えば、液晶画面と目との距離を確保することもできる。接続もたった1本のType-Cケーブルで極めてシンプルだ

 ウェブミーティングなどで2台の縦連携モニターを少し遠くに設置したい時や自由なキーボードレイアウトを望むなら、外付けのキーボードを追加するのが良いだろう。昭和な人ならWING BINDER Special Editionの床上げ角度でモバイルPCを置いてもキー入力には問題ないだろうが、令和な人の中にはキーボードの緩い傾斜角に納得のいかない人もいそうだ。残念ながらWING BINDER Special Editionでは解決のつかない問題なので、別の手段が必要だろう。

マルチモニター縦連結モバイルをコワーキングオフィスやカフェでドヤるなら、これだけ全部を持って移動する気合が必要だ。ケーブル&ACアダプタなしでこの重さなので、移動総重量は軽く2kg超だ

実際にモバイル環境で使用することを考えると 重量がかさむのが玉にキズ

 最軽量のThinkPad X1 Nano(実測936g)を使っている筆者のケースでも、WING BINDER Special EditionとモバイルPC、モバイルモニター、そして接続ケーブルや時にACアダプタのすべての総重量は間違いなく2kgを超えるだろう。

 しかし、それでもすべてを持ち歩いてでも、最適なモバイルPC環境をどこでも構築したい強者も中にはいるだろう。すべてをコワーキングオフィスやカフェに持ち込み、20秒以内に組み上げて30秒後にはキー入力を開始できるなら、無敵のドヤリングモデルとなるだろう。

 大昔、モバイルPCの商品企画と戦略に関わっていた頃、モバイルワークにはおよそ3種類のセグメントがあると考えていた。まず①はモバイルの王道である「On The Way」、そして②は会社や自宅でデスクトップPCの代わりにモバイルPCを利用し必要なら持ち出して使う「@In House Mobile 」、③が移動した先の目的地で使う「Destination Mobile」の3つだ。

 体力が低下しつつあり、多少コンサバティブな昭和生まれの筆者が考えるWING BINDER Special Edition活用のモバイルは、②か百歩譲って③かと思っている。昨今、原稿の文章だけは近所のガストで小さなポメラを使ってセコセコと打っている筆者と違って、体力も気力もある平成後期〜令和生まれのビジネスパーソンなら①もあり得るのかもしれない。

大きな37.5インチの曲面ワイドモニターに慣れてしまってる身には、残念ながら楽しそうなWING BINDER Special Editionの使うあてが見当たらない

 幸か不幸か昨今の筆者はOn The WayやDestination Mobile環境でパソコンワークをする必然性が低い。それゆえ、自宅ではデスクトップPCへの依存度が高い。自宅では原稿を書く時もパワポで資料を作る時もネットミーティングの時も37.5インチの曲面ワイドディスプレーと、それに接続されたコンパクトなデスクトップPCを使っている。広い画面にアプリや書式を横に広げてやることに慣れてしまっているので、自宅でWING BINDER Special Editionを使うチャンスは少なそうだ。

モバイルPCを中心にして活用しているモバイルピープルなら、気力と体力さえあれば何処でもマルチモニター環境を秒速で構築できる素晴らしいコンビネーションだ

 当然だがWING BINDER Special Editionは、大画面ディスプレーやマルチ画面ディスプレーを接続したデスクトップPCを持たないユーザー向けの商品だ。そして自宅やオフィスではモバイルPCを中心に拡張したワークスタイルを実践し時には、On The WayやDestinationにモバイルPCを持ち出して活用する、モバイルPC中心の人達にに向けたアイデア満載の便利ガジェットだ。

 残念ながら現在では、WING BINDER Special Editionを含む一連のWING BINDER商品の応援購入の募集や販売活動は終了している。ユニークなアイデアで極めて有用なアイテムなので、再度の募集や一般販売にも期待したい。

 
T教授

今回の衝動買い

・アイテム:NECパーソナルコンピュータ「WING BINDER Special Color Edition」 ・購入:machi-ya(現在は終了) ・価格:5500円

T教授

 日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

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