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知らないと損! 格安飛行機LCC旅で驚きの節約テクニック

ASCII.jp / 2023年6月21日 7時30分

 コロナによる約3年の制限期間を経て、久しぶりに飛行機を使った旅行を計画したいといった人も多いはず。とはいえ、立ちはだかるのが航空券の高さです。特に国際線は燃料費の高騰もあり、コロナ前と比べて2倍以上かかる、なんてことも。  そこで、注目となるのが格安航空会社(LCC)です。世界60ヵ国・100都市以上の滞在経験がある筆者が、改めて脚光を浴びているLCCがどういったシステムなのか、利用する際のコツなどをお伝えします。

 LCC(Low Cost carrier)は、従来よりも低価格な料金でチケットを提供している航空会社です。バーゲン時なら片道 数百円といった驚異的な価格で販売されることも。日本では10年ほど前から就航しはじめ、現在では国内線・国際線を問わず就航するLCCの航空会社も路線も多くなっています。

ANAグループのLCC「ピーチ(Peach Aviation)」
手数料や空港利用税、燃油サーチャージなどもあり必ずこの金額とはならないが、ベースとなる価格が、数百円のセールもざらにあるのがLCCの魅力

格安と言っても、どのくらい安いのか

 LCCを利用する上でポイントとなるのが、従来の大手航空会社(FSC)が無料で提供している座席指定や受託手荷物、国際線なら機内食といったサービスが有料になること。毛布やマクラといったアイテムは、有料となるLCCが多く、「バーゲン価格で買ったのに、座席指定をして荷物を預けたら、最初に提示されていた金額の倍以上になった!」というケースも多々あります。それでも、最終的な価格は、FSCよりも割安なことがほとんどです。

 例えば、8月25日(金)成田発・8月28日(月)バンコク発のチケットだと、LCCのエアアジアは最安値の運賃が往復で4万2680円。これに、受託手荷物20kgとスタンダードシートの座席指定、機内食が往復で各1食付く「バリューパック」を選択すると、5万1579円になります。

マレーシアのLCC「AirAsia(エアアジア)」のように、それぞれのサービスを単品で購入するよりも、チケット購入時に各種サービスをセットにしたオトクなプランとして発売するLCCも多い

 座席指定や荷物を預けるだけで1万円近くも高くなるのか! という感じはしますが、同じ日程で検索すると、FSCの最安値は、タイ航空の8万9000円あたり。受託手荷物をつけて座席指定をしてもFSCよりLCCのほうが安いし、不要なサービスをカットして最安を狙えば、FSCの半額程度となります。

 というわけでLCCでは、ユーザー自身が必要に応じてサービスをチョイスするため、オトクに使いこなすにはちょっとしたコツが必要となります。例えば、受託手荷物は、料金を当日空港でチェックイン時に支払うよりも、航空会社の公式サイトから事前に支払った方が割安、といった具合です。機内食も、事前に申し込んでおいたほうが安いLCCが多くなります。

手荷物の重さ制限は7kg、これが結構苦労する

 受託手荷物は有料なので、荷物は預けず、すべて機内へ持ち込みたいところですが、LCCは機内に持ち込む旅行カバンの荷物の大きさや重量もしっかりとチェックしています。一般的なLCCの手荷物の重量制限は7kgまでですが、規定された重さを超える場合は受託手荷物となり、思わぬ出費となるので注意が必要です。

 ちなみに7kgと聞くと、十分な重さなのではという気もしますが、この7kgには旅行カバンそのものの重さも含まれるため、荷造りしてみると簡単にオーバーします。特に筆者の場合、仕事柄、パソコンやカメラ、スマートフォン(複数台)など、サイズの割に重いアイテムが多いため、この7kgの壁はかなり高いハードル。LCCを使うときには極力軽いカバンやリュックなどを使い、さらにポケットの多い服を着て、スマホやモバイルバッテリーはカバンに入れずに身につけてフライトに乗り込むといった工夫をしています。ケースをつけたスマホ3台とモバイルバッテリーで1kgは超えますから、それだけでも、かなりの減量になります。

LCCに乗るときは、ポケットの多いベストを着て、スマホやガジェット類をポケットにしっかり身にまとうなど、工夫を凝らして乗り込む筆者
シンガポール航空グループの「Scoot (スクート)」は、エコノミークラスでの機内持ち込みが最大10kg(左)。旅行者には、この無料の3kgが非常にありがたいのです
用語解説 LCC
 LCC( Low Cost carrier/ローコストキャリア)は格安航空会社ともいわれる航空会社。使用する飛行機を国内線・国際線にかかわらず同型でそろえ、整備にかかる費用を抑えたり、高頻度の運航や、機内サービスを有料にしたりシートピッチを狭めることで多くの乗客を乗せるといった取り組みで運航に関するコストを下げ、ユーザーに低価格でのチケット提供を実現しています。  航空機を運用するに際して一番重要な安全性関しては法的にも厳しい規定があり、それをクリアする整備や点検は行われているので、格安のLCCといえども一定の安全性は担保されています。
用語解説 FSC
従来の航空会社は、FSC(Full Service Carrier/フルサービスキャリア)やLC(Legacy Carrier/レガシーキャリア)とも言われています。「フルサービス」というネーミングから分かるとおり、LCCとの大きな違いは「サービス」で、一定の数量までは受託手荷物が無料だったり、国際線なら機内食やドリンクはアルコールも含めて無料で提供する航空会社がほとんどです。

座席位置はフライト時間を考慮して予約しよう

 LCCの座席に関しては、シートピッチが狭めです。ただし、身長176センチメートルの筆者でも、さすがに身動き取れないほどというわけではないため、3時間〜4時間くらいのフライトであれば、あまり気にならないと思います。これが東南アジア便になってくると、フライト時間も6時間〜7時間ほどになるため、こまめにカラダを動かせるように、立ち上がりやすい通路側の座席を指定するのがオススメです。

身長176cmの筆者が着座した場合、前の座席とは、こぶし1個ぶんくらいのスペース(写真はピーチ機内)

Wi-Fi接続や、移動中に映画を楽しむことはできる?

 LCCではシートモニターがない機材を使っているのがほとんどですので、座席でのエンターテイメントサービスはあまり期待しないほうが良いでしょう。なかには自身のスマートフォンやタブレットを使って機内のWi-Fiサービスに接続し、動画や音楽が楽しめるLCCもありますが、充電用の電源やUSB端子がないといったケースもあるので、LCC搭乗の際にはモバイルバッテリーを用意していったほうが安心です。

 機内にWi-Fiサービスがあったとしても、インターネットへの接続サービスは無料ではなかったりするので注意しましょう。インターネットへの接続サービスは、多くのLCCが有料で提供しています。ただし、日本航空系のZIPAIR(ジップエア)は無料でWi-Fiに接続できるため、フライト中もネットにつながっていたい! というユーザーにはオススメです。

 また、LCCによっては、スマートフォンやタブレットを機内Wi-Fiにつなぐことで、機内食やドリンク、お土産などをオーダーできるケースもあるため、いつでもサービスを満喫できるように、手元に置いておいたほうが良さそうです。

LCCは、シートモニターが付いていない機体がほとんど(写真はスクート機内)

遅延や欠航すると、どうなる?

 最後に、遅延や欠航に対してのサービスですが、これに関してはFSCのほうが上です。そもそもLCCは効率化のため最低限の機体数で高頻度の運航をしており、そのためどこかで遅れが出ると、そのあとのスケジュールもズルズルと遅れてしまいがち。遅延の理由は機体トラブルや天候など様々で読みにくいところですが、午前中の便のほうが、前のフライトスケジュールに影響されにくいので、遅延は少ない傾向です。

 また、遅延して他社便への乗り継ぎができなかったといったケースでも、補償などは基本的にありません。そのためLCCを使う場合は極力「直行便」を選んで、何かトラブルがあっても最低限の出費で抑えられるような旅程にしておくといいでしょう。これは欠航に関しても同じで、LCCでは、他社便への振り替えなどで欠航に対応してくれるケースなどは基本的にありません。予約したLCCでの別便や別ルート、別日への振り替えが一般的な対応となります。

 筆者の体験談として、沖縄から東京に戻るフライトが台風の接近で欠航になったことがあります。しかも夏休みのハイシーズンで、そもそも予約が一杯だったこともあり、その振り替え便は、なんと翌週以降という案内でした。結局、まだ欠航になっていなかったFSCのチケットを急遽購入して移動はできたのですが、思わぬ出費となりました。

 このように、ちょっとした予約・搭乗のコツや予備知識が必要なLCCですが、そのぶん、上手にはまれば激安で旅行ができるのは確かです。もしLCC未経験なら、まずは国内旅行で週末1泊2日の旅を体験してみたり、2時間から3時間ほどのフライトで行ける韓国や台湾へ、2泊3日程度の海外旅行にチャレンジしてみてはいかがでしょうか!

*記事内の航空券などの価格は原稿執筆時の調査結果によるもので、日々変動しています。

この記事を書いた人──中山智(satoru nakayama)

世界60ヶ国・100都市以上の滞在経験があり、海外取材の合間に世界を旅しながら記事執筆を続けるノマド系テクニカルライター。雑誌・週刊アスキーの編集記者を経て独立。IT、特に通信業界やスマートフォンなどのモバイル系のテクノロジーを中心に取材・執筆活動を続けている。

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