ついに復活したグーグル製タブレット「Pixel Tablet」は高性能で満足感が高い
ASCII.jp / 2023年6月20日 17時0分
グーグルのタブレット「Pixel Tablet」は、11型の大画面に「Pixel 7」シリーズと同じ高性能のチップセット「Tensor G2」に加え、専用の「充電スピーカーホルダー」に装着すればスマートスピーカーのような使い方も可能。ホームユースに特化し、高い利便性を備えたPixel Tabletの実力を探ってみよう。
第10世代iPadに近いサイズ感 電源キーはやや分かりづらさも
まず外観を確認すると、ディスプレーは10.95型でサイズは約169×258×8.1mm、重量は493g。競合とも言える、昨年新デザインになったアップルのiPad(第10世代)は、ディスプレーは10.9型でサイズは約179.5×248.6×7mm、重量はWi-Fiモデルで477gなので、かなり近いサイズ感であることが分かる。
それだけにタブレットとしてはベゼル幅も比較的狭く、視認性も良好だ。第10世代iPadよりやや厚く重いとはいえ、10~11型クラスのタブレットとして見れば十分持ち運びやすいサイズ感といえるだろう。
一方の背面は、カメラとグーグルの「G」マーク、そして後述する充電スピーカーホルダーに取り付けるための端子があるのみで、非常にシンプル。マットな加工が施されており触感はサラサラしいて、滑りにくく指紋も付きにくいので良好な印象だ。
また背面から側面にかけては丸くカーブがかかっており、手で持った時になじみやすい。このあたりは最近のiPhoneと同様に、角ばったデザインを採用している第10世代iPadとの大きな違いといえる。
その側面のインターフェースは、横にした状態で上部に電源キーと音量キー、左側にUSB Type-C端子が用意されている。なお電源キーは高さがフラットになっているため、使い始めた当初は電源キーを見失いやすかったのが気になった。
加えて電源キーは指紋センサーも搭載していることから、ロック解除画面などでは、電源キーの位置に矢印を表示して指紋センサーの位置を分かりやすく教える仕組みが備わっている。ボタンがフラットなのは押し間違いを防ぐ措置と見られるが、もう少し分かりやすい工夫がほしかった。
コンテンツ利用は満足 付属のホルダーの使い勝手は?
競合となるiPadシリーズはここ最近、ビジネスやクリエイティブ向けの機能拡充に力を入れている。だがPixel Tabletはそれとは異なる方向性を示しており、タブレットの主な利用用途である動画の視聴など、自宅で利用することに重点が置かれている。
それゆえ専用のペンやキーボードなどは用意されていない一方で、映像などを楽しむための機能には力が入れられているようだ。実際Pixel Tabletのディスプレーは液晶だが、解像度は2560×1600ドット(WQXGA)と現行のタブレットとして見ても高精細なクラスに入るし、左右にスピーカーを2つずつ搭載しているので、タブレットとしてはかなりの迫力のステレオサウンドが楽しめる。
加えてグーグルのDRMであるWidevineに関しても、セキュリティレベルがL1に対応しているので「Netflix」「Amazon Primeビデオ」などでもHD画質で視聴することが可能。Pixel Tablet単独でも動画視聴などの体験価値はかなり高いと感じた。
だがPixel Tabletにはもう1つ、先に触れた充電スピーカーホルダーが標準で同梱されている。これにPixel Tabletを取り付けることで、その体験をより向上させられるようになっているのだ。
Pixel Tabletと充電スピーカーホルダーには磁石が備わっており、端子部分を合わせるように近づけるだけで簡単に装着できる。装着すると充電ができるだけでなく、音も充電スピーカーホルダー側から音が流れるようになり、本体のスピーカーより一層低音が響く、迫力あるサウンドを楽しめる。
また充電スピーカーホルダーに装着し、Googleアシスタントを用いることにより、Pixel Tabletをスマートスピーカーのような感覚で利用することも可能になる。スマートホーム関連機器を導入しているのであれば、それらの機器を操作できるし、そうでなくても「Spotify」などの音楽アプリと連携し、部屋にBGMを流すのにも活用できるだろう。
もう1つユニークな部分でいえば、充電スピーカーホルダーに装着している時はChromecastデバイスとしても利用できるので、ほかのスマートフォンで再生している動画をキャストしてPixel Tabletで視聴する……といった使い方も可能。充電スピーカーホルダーを用いることで、従来のタブレットにはないさまざまな使い方ができるのは大きなポイントといえる。
ただ、充電スピーカーホルダーはあくまでPixel Tabletを接続した時しか機能しないので、Bluetoothスピーカーとして使うことはできない。また、ACアダプターも端子が据置型デバイス向けの一般的な丸形端子で、USB PD対応ではないという点もモバイルデバイスにこだわる人には残念なポイントだ。
Tensor G2搭載で高性能 AI関連機能の活用も可能
続いて性能面を確認すると、Pixel Tabletはチップセットにグーグル独自の「Tensor G2」を搭載し、メモリーは8GB、ストレージは128GBまたは256GB(モデルによって異なる)で、microSDスロットは用意されていない。おおむね同社製のスマートフォンの「Pixel 7」、ストレージを除けば「Pixel 7a」とほぼ同じ性能といえるだろう。
それゆえCPU・GPUの性能も、これらとほぼ同等と考えてよさそうだ。発売前のモデルを使っていることもありベンチマークは実行できなかったが、「PUBG MOBILE」のグラフィック設定はクオリティが「FHD」でフレーム設定が「ウルトラ」、「原神」のグラフィック設定はデフォルトで「低」と、やはりPixel 7などと同等であった。
それゆえ、ゲーミングに関しては高い性能はあるものの、クアルコム製のハイエンド向けチップセットと比べれば劣る、ということになりそうだ。ただスマートフォンゲームの多くは外部コントローラーに対応していないことから、タブレットでは大きな画面上で操作しなければならず、そのポテンシャルを発揮しづらいことのが弱点でもある。
一方でTensor G2を搭載していることから、AI関連の処理には非常に長けている。Pixelシリーズでおなじみ「消しゴムマジック」などの高度な写真加工機能や、音声を直接文字起こししてくれるボイスレコーダーなども利用可能なので、そうした部分での満足度は高いのではないだろうか。
なお通信機能はWi-Fiのみで、バッテリー容量は27Whなので7300mAhくらいの容量となる。タブレットとしては大容量だがPixel Tabletのコンセプト的に外出先に持ち出すことは考えにくいので、よほどヘビーに利用するのでなければ、就寝前に充電スピーカーホルダーに接続するくらいの運用で十分足りるだろう。
最後カメラについてだが、前面・背面共に800万画素/F値2.0。自宅でのビデオチャットでの利用が主になることから重要性は低く、特段高い性能が備わっているわけではない。ただ、Pixelシリーズらしく「Googleレンズ」のほか、「夜景」「長時間露光」などは利用できることから工夫次第で楽しむことはできそうだ。
【まとめ】スマートフォンと比べるとコストパフォーマンスに課題
一時ハイエンドモデルが復活したかに見えたAndroidタブレットだが、現在も価格重視で低性能のものが多く、高い満足度が得られる製品が少ないという課題を抱えている。それだけにグーグルが、高い性能を持つTensor G2を搭載し、高い満足度が得られるPixel Tabletを投入したことには大きな意味がある。
もう1つの特徴となっている充電スピーカーホルダーも、使ってみると便利な存在だと感じる。タブレットは充電時の置き場や使い道に困るケースが多いだけに、Nest HubやChromecastのような感覚で利用できるのは意外と役立つシーンが多いと感じた。
ただ、それだけに値段が7万9800円と第10世代iPad(64GBモデルで6万8800円)と比べ高くなってしまったのは、円安による値上げが進む昨今では惜しいと感じてしまう。スマートフォンではコストパフォーマンスが非常に高く評価されているだけに、充電スピーカーホルダーを別売りにして料金を引き下げたモデルがあってもよかったのでは、と感じてしまうのが正直なところだ。
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