【レビュー】新MacBook Air 15インチは「とにかく」実機に触って! 大画面、軽量、安価で魅力的
ASCII.jp / 2023年6月21日 9時0分
なんといっても、広くて明るいディスプレーは気持ちがいい。
アップルが6月6日に開催した世界開発者会議「WWDC23」の基調講演で発表、6月13日に発売となったMacBook Airの試用レポートをお届けする。
構成としては昨年のWWDC22で発表された薄型のM2搭載MacBook Air 13インチを15インチ化したモデル。MacBook Air 13インチのM1搭載機はインテル搭載機と同じボディを使っていたが、M2搭載機は発熱の少ないApple Silicon専用のファンレス設計。薄型モデルとはいえ、M2チップはビデオ処理能力も高く一般的な仕様では十分に高性能。15インチディスプレーの搭載で、さらに一般的な利用でも便利さを感じられるようになった。
大画面なのに実際に手にすると「軽い!」
2880×1864ピクセルの15.3インチディスプレーは、13インチモデルと同じクオリティの、最大輝度500ニトのP3色域のディスプレー。単体重量は、1.51kg。
2022年のWWDC22で発表したMacBook Air 13インチモデルの1.24kgよりは、数字でいえば270g重くなっているが、見た目のサイズ感からするともっと重いイメージなので、実際に手にすると「軽い!」と思う。
従来から大型のディスプレーといえば、MacBook Pro 16インチモデルがあるが、同機は2.15~2.16kgと重い。もちろん、それに応じた超高性能を持ってはいるのだが、「それほどの超高性能は要らないが、大画面は欲しい」というニーズもあると思う。
筆者のように、腰を据えて仕事をする場所には「外付けモニターがある……」という人ばかりではないだろう。会社でも、家でも、単体で使うという人にとっては、この大画面は非常にメリットが大きいに違いない。
13インチモデルと性能は同じ。でも十分高性能
早速、MacBook Air15インチをGeekbench 6でテストした。
当然のことだが、M2搭載MacBook Air 13インチとほぼ同じスコア。多少の違いはあるが、誤差範囲といっていいだろう。つまり、15インチのMacBook Airは、13インチのMacBook Airとほぼ完全に同性能ということなる。
これだけの性能を持ちながら、M2チップの発熱の少なさのおかげで、本機は冷却ファンを持たない。つまり、いくら負荷をかけても完全な静寂を保って動作するということになる。多くの人がノートパソコンからの排熱と、音に悩まされていることを考えると、これは信じられないことだ。
参考までに、M1世代のMacBook Airと、インテル時代の最後のCore i5搭載のMacBook Airのデータを掲載しておく。インテル世代からApple Silicon採用で、いかにパフォーマンスが劇的に向上したか、ご理解いただけると思う。
もし、あなたがまだインテル世代のMacをお使いなら、一番安価なM1搭載機でもいいから購入すれば、飛躍的に性能が向上することがお分かりいただけることと思う。
それに比べればM1とM2のスペック差は少ないが、それでもCPU性能で1.1~1.2倍、GPU性能で1.5倍の差がある。また、M2チップはメディアエンジンを搭載しているので、ビデオ処理の性能に優れている。
大画面と、M2チップの優れた処理能力を持ったMacBook Air 15インチモデルは、インテル世代Macからの買い替えにピッタリだといえるだろう。
大画面に追加される迫力のサウンド
2880×1864ピクセルの15.3インチディスプレーは、広々として使い勝手は良い。MacBook Proのコントラスト比に優れたLiquid Retina XDRディスプレーに較べれば、性能は劣るが単体で見る限りでは、広々としていて色も鮮やかで十分に便利なディスプレーだといえるだろう。
フォースキャンセリングウーファーを備えた6スピーカーサウンドシステムは、ディスプレーサイズ以外のMacBook Air 13インチとの唯一の違いだ。
フォースキャンセリングウーファーというのは、上下にウーファーを重ねて、大きな力でウーファーを動かしつつもお互いの動きで振動をキャンセルする仕組み。振動を本体に与えずに迫力のある低音を響かせることができる。Apple Musicの楽曲を聴いて試してみると、ノートパソコンとは思えないほどの迫力あるサウンドを楽しめる。
大画面に迫力あるサウンドということで、Apple TV+などの映像を楽しむのにも最適。
大画面で映像を楽しむことを想定したのか、大型化してスペース的に余裕があったからなのか分からないが、この音質の良さは魅力的。
店頭で触った人がその魅力に気付きそう!
円安でハードウェア全般が高くなる中、最安モデルだとギリギリ20万円を下回る価格で買えるMacBook Airは非常に満足感の高い商品だ。
本体のディスプレーを中心に使う(外付けディスプレーを使わない)人で、『圧倒的な処理速度』を必要としない人なら、本機はかなりお勧めできるモデルだ。M2単体のパワーでも一般的な業務はもちろん、多少のビデオ編集なら十分にこなすことができる。
サイズが大きいので持ち運ぶカバンは選ぶかもしれないが、ちょっとしたモバイル、家のいろんなところで使う宅内モバイルであれば問題ないだろう。
Vision Proの発表で、少し影に隠れた側面もあるが、実際に触ってみると、大画面なのに軽く、高性能、高音質の良さは理解されると思う。特にスペックを読み込んで物選びをするわけではない一般的な人にとって、店頭で見ると魅力的に映るモデルだと思う。販売が始まってからジワジワと人気が高まってくるモデルになるだろう。
筆者紹介――村上タクタ 趣味の雑誌を30年間に600冊ほど作ってきた編集者・ライター。バイク雑誌「ライダースクラブ」で仕事を始め、ラジコン飛行機雑誌「RCエアワールド」、海水魚とサンゴ飼育の雑誌「コーラルフィッシュ」、デジタルガジェットの本「flick!」の編集長を約10年務めた後退職。現在フリーランスの編集者・ライターであり、ウェブメディアThunderVoltの編集長。HHKBエバンジェリスト、ScanSnapアンバサダー、mmhmmヒーロー。iPhone、iPadなどのデジタルガジェットや、バイク、クルマ、旅、キャンプ、絵画、日本酒、ワインと家族を愛する2児の父。
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