画像生成AI『Midjourney 』でオリジナルヒーローカードを作ろう
ASCII.jp / 2023年6月23日 11時0分
こんにちは! 画像生成AIを研究しているじょじお(ネコ大好きおじさん)です。
今回の記事のテーマは、Midjourneyで「オリジナルの特撮ヒーローカードを作ろう」です。
Midjourney を利用してオリジナルの特撮ヒーローのキャラクターを生成し、フリーのデザインツール「Figma」を使って「昭和っぽいレトロ調」、「最新の令和風」の2種類のトレーディングカード風のデザインを作ります!
■この記事で紹介するステップ ● Midjourneyでオリジナル(仮面ライダー風)ヒーロー生成 ● Midjourneyでキラカード用の背景素材生成 ● Figmaで画像のフィルタ適用(レトロ調に) ● Figmaでデザイン完成
生成した画像に無料デザインツール「Figma」を使ってレトロ調フィルタを適用する方法もお伝えしています。是非最後までご覧ください!
オリジナル特撮ヒーローを生成しよう
まずはMidjourneyで画像を生成していきます。
手始めに「特撮のスーパーヒーロー」を下記のプロンプトで生成してみました。日本の特撮は、海外でも「tokusatsu」という言葉で広く親しまれています。
■プロンプト
superhero, tokusatsu, photo real --ar 2:3 --v 5.1
良い感じです! ヒーロースーツが日本の特撮の雰囲気ありますね~。 1個アイアンマンっぽいのがありますけど(笑)。
ただ、ちょっとデザインが私好みではなかったのでプロンプトを変更してみます。デザインのベースに「仮面ライダー」を取り入れてみようと思います。世代を超えて愛される特撮ヒーローといえばやっぱり仮面ライダーでしょう!
仮面ライダーは英語で何と呼ぶのだろうと思い、WikiPediaの英語版を見てみると、英語でも「Kamen Rider」と呼ぶようです。
英語版Wikipediaの表示方法 英語版Wikipediaを見る方法は、日本版Wikipediaの仮面ライダーのページを表示したら、ページ内の右上の「Languages」のプルダウンリストから「English」を選択します。
■プロンプト
kamen rider, photo real --ar 2:3 --v 5.1
photo realは「リアルな写真」、「--ar 2:3」は縦長画像にするためのパラメーターです。
生成してみたのですが、あれ……なんか違う。
日本の特撮っぽい要素はあるけど、ライダーというより怪人っぽくなってしまいました。
もっと具体的なワードを入れて生成してみます。
■次のプロンプト
kamen rider, photo real, masked rider 1, maked rider 2, masked rider v3, super hero --ar 2:3 --v 5.1
実際のライダー名前であるmasked rider 1(仮面ライダー1号)、masked rider 2(仮面ライダー2号)、masked rider v3(仮面ライダーV3)という文言を入れてみます。また、先ほど怪人っぽかった反省点をふまえてsuperhero(スーパーヒーロー)というワードも入れて生成してみました。
ツノが消えたけど仮面ライダー感がないなぁ。口元はなんかウルトラマンな気が(笑)。
この後、色々ワードを変えてみたのですが、なかなか仮面ライダーっぽいヒーローを生成することができません。
Midjourneyのコミュニティフィードからヒントをもらう
一旦、Midjourneyのコミュニティフィードを確認してみることにしました。Midjourneyのコミュニティフィードでは、他のユーザーの生成した絵を確認することができます。仮面ライダーは海外でも放映されている人気キャラクターなので、きっと私以外にも生成しているユーザーは多いはず。
フィード上部の検索ボックスに「Kamen rider」と入力してヒントを探します。
やはり、それなりの数の画像がヒットしました。が、なんだかどれも私と同じような微妙な画像ばかり。中にはポツポツと似ている画像もみつかるのですが、それらはイメージプロンプトとして実際の写真をベースに生成しているものでした。うーん、私はテキストだけで生成したいのだ。
そこで、Midjourneyは一旦諦めて、にじジャーニーで生成してみることにします。
Midjourneyとにじジャーニーでは、学習の方向性が違うので、Midjourneyで生成できないキャラクターでもにじジャーニーでなら生成できることがあります。とにかくアニメ風の絵でも生成したい。
にじジャーニーで生成
先ほどMidjourney で試したプロンプトを、にじジャーニーでもう一度実行してみます。
■プロンプト
kamen rider, photo real --ar 2:3 --niji 5 --s 400
お、かっこいい! デザインが私好みになってきましたのでこのプロンプトをベースにしていきます。
フルーツをモチーフにしたオリジナルの特撮ヒーローをつくる
ここで、今回のオリジナル要素として「スイカ」をデザインのモチーフにヒーローを作っていこうと思います。次のプロンプトをつくりました。
■プロンプト
kamen rider with Watermelon shaped mask, photo real, hyperrealistic, masked rider 1, masked rider 2, masked rider v3, on a beige, green and red --niji 5 --s 400
「Watermelon shaped mask(スイカの形をしたマスク)」を追加して、先ほどと同様に初期仮面ライダーの名前をデザインに取り入れます。
その他の言葉の狙いは次のとおりです。
● hyperrealistic(ハイパーリアリスティック):よりリアルに ● on a beige:ベージュ背景(土っぽい屋外になるんじゃないかなぁと予想) ● green and red:スイカの色である赤と緑を指定
生成した画像がこちら。
いいですね! 一気にイメージに近づきました。特に右上は特撮ヒーローとスイカの要素がうまく融合されている気がします。アニメ要素を消してもう少し写真風にしていきたいと思います。
次で最後のプロンプトです。
■完成プロンプト
kamen rider with Watermelon shaped mask, in the style of Showa Era, photo real, hyperrealistic, masked rider 1, masked rider 2, masked rider v3, on a beige, armor suit, green and red, retro tokusatsu film, hero pose, portrait shot, outdoor --ar 2:3 --niji 5 --s 400
レトロな雰囲気を追加し、アニメ要素をなくすためにいろいろ追加してみました。
● in the style of Showa Era:昭和風 ● retro tokusatsu film:レトロ特撮風 ● armor suit, portrait shot:腰から上のショットにするための調整ワード ● outdoor:屋外撮影 ● hero pose:ヒーローポーズ
狙い通り実写感が強まって特撮っぽくなりました。 スイカは持たなくてよかったのですが……、まぁ、わかりやすくていいでしょう(笑)。右下が気に入ったのでこれをアップスケールして保存します。
ちなみにですが、アニメ風に調教されたにじジャーニーでも、プロンプト次第でこのようなフォトリアルな画像を生成することができます。にじジャーニーには5つのスタイルがありますが、フォトリアルな画像にするには、デフォルトスタイルが写真風になりやすいです。
その他の仲間のヒーロー達も生成してみる
スイカヒーローが完成したので仲間のヒーローも何体か生成してみましょう。統一感を持たせたいので、スイカヒーローの印象を他のヒーローに引き継ぐために、スイカヒーローの画像をイメージプロンプトに使います。プロンプトは先ほどの完成形のプロンプトをベースにしつつ改造しながら生成していきます。
イメージプロンプトの詳しい使い方は本連載の第3回や第9回を参考にしてください!
最初は「桃」いってみましょう。
■桃モチーフの特撮ヒーローのプロンプト
スイカヒーローの画像URL, kamen rider-lady with peach shaped mask holding a gun, in the style of Showa Era, photo real, hyperrealistic, masked rider 1, masked rider 2, masked rider v3, on a beige, armor suit, pink and white, retro tokusatsu film, hero pose, portrait shot, outdoor --no hair, fruit --niji 5 --s 400 --iw 0.3
桃モチーフのヒーローは「kamen rider-lady」という言葉を使って女性のヒーローにしてみました。これは私が勝手につくった造語のハズですが、Midjourney ・にじジャーニーは自然言語処理が優秀なので意味を汲み取ってくれました。
何回か生成してみたところロングヘアーが露出してしまうのが気に入らなかったので、ネガティブプロンプトに「髪の毛」を入れました。それとイメージプロンプトに使用したスイカヒーローのスイカのイメージを消したかったので「フルーツ」もネガティブプロンプトに追加。
目の部分が桃のような曲線を描くデザインになっていてイイ感じです! 特撮の紅一点が誕生しました。
■ぶどうモチーフの特撮ヒーローのプロンプト
スイカヒーローの画像URL, kamen rider with themed grape holding a grape-shaped bomb, in the style of Showa Era, photo real, retro tokusatsu film, hyperrealistic, masked rider 1, masked rider 2, masked rider v3, on a beige, armor suit, purple and blue, Lots of grapes on the head, hero pose, portrait shot, outdoor --iw 1.4 --niji 5 --s 400
ぶどうモチーフのヒーローは紫と青のイメージ。「Lots of grapes on the head」はブドウをマスクのデザインに取り入れたかったのですが、意図が伝わらなかったのか背景の方にブドウがでてしまいました。でもカッコいいから採用。
■イチゴモチーフの特撮ヒーローのプロンプト
kamen rider with themed strawberry holding strawberry-shaped sword, in the style of Showa Era, photo real, hyperrealistic, masked rider 1, masked rider 2, masked rider v3, on a beige, armor suit, red, retro tokusatsu film, Many seeds on the skin, hero pose, portrait shot, outdoor --iw 0.3 --niji 5 --s 400
イチゴモチーフのヒーローには「holding strawberry-shaped sword」という言葉を加えてイチゴソードを持たせてみました。「Many seeds on the skin」は、「肌にたくさんの種」という意味で、イチゴのつぶつぶを表現。今回は指示通りのデザインになっています。
キャラメイク楽しすぎて止まらないので一旦ここでストップです(笑)。
キャラクターデザインのまとめ
キャラクターデザインに特定のモチーフを取り入れるときは、「themed △△」や「△△-shaped 」、「Inspired by △△」のようなプロンプトが使えます。
● Superhero with themed Watermelon:スイカをモチーフにしたスーパーヒーロー ● Superhero with Watermelon-shaped Mask:スイカの形をしたマスクのスーパーヒーロー
次項では、これら生成したニューヒーローをトレーディングカードの形に加工していきたいと思います。
AIでキラキラカード風ホログラム背景素材を作成する
次にトレーディングカードにありがちなキラキラ背景をMidjourneyで作成していきます。
と、その前に、キラカード風背景を英語でなんと表現するかわかりません。おなじみのDeepL翻訳を使って「キラキラ背景」をそのまま翻訳してみると「Glitter Background」とのことですが、これだけではAIに意図が伝わらない気がします。
そこで「ChatGPT」にヒントを求めることにします。ChatGPTは、明確な言葉が思い浮かばないときに便利で、私はよくプロンプト作成に利用しています。
■ChatGPTへの問い
「トレーディングカードやカードゲームのスペシャルカードはキラキラと光っています。このキラキラのフリー背景素材は英語で何と検索したらヒットしやすいですか? また、これらには一般的にどのような英単語がタグ付けされていますか? 可能な限り多くの例を提示してください。」
ChatGPTからの回答はこちら。
検索キーワード候補に「Holographic background」、タグ候補に「Hologram」などを教えてくれました。そうだ、「Hologram(ホログラム)」だ! 腑に落ちる言葉を貰うことができました。
これらの言葉を参考にしながら、プロンプトを作ります。何度か生成してできたプロンプトがこちら。
■キラキラ背景素材のプロンプト
mosaic pattern seamless background image, in the style of holographic, light red and light green, colorful gradients, mirror effect --ar 2:3 --v5.1
スイカをイメージした緑から赤にかけてのグラデーションの画像がイメージ通りにできました。ホログラム背景はフリー素材を探せば簡単に見つけることができますが、スイカカラーはなかなか無いかと思います。ここでは左下の画像をアップスケールしました。
さて、次の項から無料デザインツール「Figma」で画像加工をしていきましょう。
AI画像を「Figma」の拡張機能でレトロ調に加工
この項では、レトロ調のカードデザインにするため、画像を加工して古ぼけた印象を追加します。今回はFigmaで完成デザインを仕上げていきますので、画像加工もFigma上でやっちゃいましょう。
Figmaは、Adobe Photoshopのような画像加工から、Adobe Illustratorのようなベクター作成までできるパワフルなデザインツールでありながら、ほぼ無料で使うことができます。
Figmaで、画像フィルタを適用するには「Filter / effects」というプラグインを使います。
■手順
Figmaを起動しデザインファイルを新規作成します。Figmaはデスクトップアプリケーション版とWebブラウザ版がありますがどちらでもかまいません。
ショートカットキー「Ctrl+Shift+K」を押すとファイルダイアログが表示されるので、生成したAI画像を選択してFigmaに画像を読み込みます。
読み込んだ画像を選択した状態で「プラグイン>プラグインをさらに検索」をクリックします。
「Filter / Effects」で検索して実行をクリックします。
「Filter / Effects」プラグイン が起動します。「Filters」という文言の右の「+」をクリックします(画像左)。「sepia」をクリックします(画像右)。
「Amount」のスライダーで好みの濃度に調整します。右にスライドするほどセピアが強くなります。「Back」をクリック(画像左)。もう一度「Effects」の「+」をクリック(画像右)。
今度は「Simplex Noise」フィルタをクリック(画像左)。「Amount」と「Scale」の2つのスライダーでノイズを自分好みに調整します(画像右)。
「Back」をクリック(画像左)、「Save as New Image」をクリックするとフィルタが適用された画像が元画像とは別に生成されます(画像右)。
適用後の画像を見ると、セピアフィルタで全体的にぼやけた色使いが、シンプレックスノイズフィルタで色ムラが加わり、古ぼけた印象になったかと思います。
「Filter / Effects」プラグインは、他にもフィルタがたくさんあるので興味がある方はいろいろと試してみてください!
デザインを仕上げる
最後に引き続きFigma上でカード風にデザインを仕上げていきましょう!
■昭和レトロ風カード
Figmaのワークスペースの中にフレームを追加し、レトロ加工した画像とテキストだけ追加して簡素に仕上げます。
■令和風カード
一旦、画像の背景を透過させます。背景透過はFigma上でも拡張機能を使えばできますし、Webツールを使ってもOKです。
背景を透過したヒーロー画像と、先ほど生成したキラキラ背景素材をFigmaに読み込みます。ヒーロー画像をレイヤー上、キラキラ背景をレイヤー下に配置。
このままだと背景だけがキラキラしてしまいキャラクターが浮いてしまうので、全体をなじませるために最前面にもコピーしたキラキラ背景素材を透明度10~20パーセント程度にして設置しました。あとはテキストとトレーディングカード風の装飾を加えて完成です(詳細は省略します。すいません)。
※Figma上で背景透過する方法は[筆者のブログ記事]を参考にしてください。
以上で昭和風・令和風の2種類のオリジナル特撮ヒーローカードが完成です。
いかがでしたでしょうか。やってみた感想としては、オリジナルキャラクターの生成をやりだしたら楽しくて止まらなくなってしまい、この後もいろいろな特撮キャラを何時間も生成していました(笑)。
皆さんもぜひオリジナルキャラクターを作ってみてください!
筆者紹介:JOJIO(じょじお)
AI プロンプト研究家・ネコ大好きおじさん。AI ART、NFT販売、Webデザインに関する情報サイト「BLOG CAKE(ブログケイク)」管理人。
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