昨秋の22H2のリリース後もWindows 11には新機能が小出しに登場している
ASCII.jp / 2023年6月25日 10時0分
Windows 11 Ver.22H2になって、機能アップデートは四半期に1度という話もあったが、詳しく調べていくと、このところ毎月のように小出しに新機能が登場している。今回はそのあたりについて紹介する。なお、本記事ではプレビュー版でないWindowsを「正式版」と呼んで区別する。
以下の表は、Windows 11 Ver.22H2における、これまでのアップデートの履歴である。
それぞれのアップデート情報に関しては、
●Windows 11 - release information https://learn.microsoft.com/ja-jp/windows/release-health/windows11-release-information
に記述がある。それぞれの「正式版」アップデートのリリースに対して、リリースノートのページがあり、そこに新機能があるかどうかの記述がある。
●Windows 11バージョン 22H2 更新履歴 https://support.microsoft.com/ja-jp/topic/windows-11%E3%83%90%E3%83%BC%E3%82%B8%E3%83%A7%E3%83%B3-22h2-%E6%9B%B4%E6%96%B0%E5%B1%A5%E6%AD%B4-ec4229c3-9c5f-4e75-9d6d-9025ab70fcce
リリースノートは、上記のページの左側にKB番号とビルド番号を並べたリンクリストがあり、ここから開くことができる。リリースノートで「New」と記述してある機能を数えたのが、前掲の表の「新機能」である。
これを見ると、昨年9月から配布が始まったWindows 11 Ver.22H2では、何回も新機能が入ったアップデートが実施されている。これを四半期ごとに分けて集計したのが「四半期」の列である。なお、四半期には、カレンダー通りの分割方法(1月から3月を第一四半期とする)分け方と、会計年度ごとの分割方法(会計年度の始まりから3ヵ月間を第一四半期とする)があるのだが、マイクロソフトの場合7月が会計年度の始まりなので分割時期自体は同じである。
どの四半期でも、複数回のアップデートで新機能が提供されており、四半期ごとというよりは毎月新機能が登場している。例外は12月だが、米国の12月は長期休暇期間であり、これまでもサポートが必要になるような大きなアップデートがなかった。逆に最大は今年2月末のビルド22621.1344で、13個もの新機能が提供された。大半の正式版アップデートは、「Bアップデート」(米国太平洋時間の毎月第2火曜日の午前10時公開)のタイミングだが、ほとんどの月でその2週間後に「Dアップデート」が配布されている。
Windows 11 Ver.22H2の新機能はリリースノートでは8つ。しかし、年間を通して新機能が追加されていくため、原稿執筆時点ではすでに41個に及ぶ。
Windows 11におけるプレビュー版と正式版の現状
Windows 11 Ver 22H2のプレビューには、「Dev Channel」「Beta Channel」「Release Preview Channel」の3つがある。さらにDev Channelからも先行した「Canary Channel」がある。このうち、Release Preview Channelには、正式版の配布開始前に同じビルドが先行配布される。またときどき、Beta版とも正式版とも異なるビルド番号を持つプレビューが含まれることがある。これは、Beta版の3~4回に1回の比率で配布される。
以下の表は、今年の4月以降のWindows Insiderのプレビュー版を列挙したものだ。正式版(表の右端)が出る前にBeta版が複数回プレビューされている。Windows 11 Ver.22H2では、Beta版のビルドが直接、正式版にならず、必ず異なるビルドが作られている。
新機能の中には、プレビューがなく、いきなり登場するもの(たとえば、ビルド22621.1778のBluetooth LE Audio)もあるが、大抵はBetaチャンネルを経てアップデートに搭載される。しかし、1つの機能が複数回ベータチャンネルに登場することもあり、機能によっては、登場まで時間がかかるものもあるようだ。
ベータチャンネルでプレビューされる新機能のほとんどは、過去にDev Channelでプレビューされている。ただし、Dev Channelでプレビューされたものの、ベータチャンネルにいまだに入らない新機能はかなりある。
Dev Channelでのプレビューでは、新機能は参加者全員に対して配布されず、Insiderごとに新機能の異なる実装がプレビューされるケースが少なくない(ABテスト)。このため、Dev Channelを選択していても、安定版に登場する新機能をプレビューできるとは限らない。筆者もWindows 10の時代には、英語版と日本語版など複数台で、Dev Channel版をインストールしていたが、現在では1台のみにしている。Windowsの今後を見るという点ではCanary版もある。
Windows 11 Ver.22H2に搭載されてきた新機能の大半は、今年3月始めまでに配布されてきたDev Channelの25000シリーズでプレビューされてきたもの。この25000シリーズは、2022年5月から配布が開始され、今年3月に23000シリーズと分岐した。分岐後は、25000シリーズは、Canaryチャンネルのビルド番号となっている。
つまり、今年3月までのDev Channelは、22H2に追加を予定していた機能のプレビュー(ただし、入らないものも含まれていた)だったことになる。逆に23000シリーズでプレビューされた中で、正式版に入った機能はそれほど多くない。新機能のプレビュー開始から正式版に搭載されるまでの時間はかなり長い。
この四半期の新機能ではBluetooth LE Audioに 「設定」でOneDriveの利用状況を表示など
プレビューされる機能の中では、Widgets関連、音声コマンド(Voice)関連、タクスバー検索機能の数が多い。現在の開発の中心はこのあたりにあるようだ。GUI関連では、スタートメニュー、System Tray関連で改良がある。ただ、いまだに、Windows 11スタイルへの適合(角の丸いウィンドウ)などもあり、新機能は言いがたいものも含まれている。
最近搭載された機能のうち、比較的大きいと思われるのは、以下の3つだ。他にもLAPS(Local Administrator Password Solution)といった大きな機能もあるのだが、ドメイン管理用のため、一般ユーザーには関係ないので含めていない。
Bluetooth LE Audio(ビルド22621.1778) Windows Update(ビルド22621.1702) OneDrive容量表示(ビルド22621.1778)
Bluetooth LE Audioは、Bluetooth Low Energy(4.0以降)に対応した新しいオーディオプロトコルである。従来のBluetooth Audioは、Bluetooth初期に作られたヘッドセット用の音声プロトコルか、Bluetooth 3.x用に作られたステレオ音声用のものだ。これに対してLE Audioは、電力効率が高いLow Energyを使い、オーディオを伝送できる。すでに対応製品がいくつか登場している。
Windows Updateの新機能は、セキュリティ以外のアップデート取得の優先度を上げ、配布開始後に短時間でアップデートをする設定だ(冒頭画面)。設定のWindows Updateページに新しいトグルボタンが追加されている。
OneDrive容量表示は、「設定」→「アカウント」に契約中のOneDriveの最大容量と利用量をグラフで表示するもの。OneDrive関連の新機能は、第1四半期でも容量アラートなどが新機能で追加されている。このほかには、ウィジェットのアニメーションなどがある。
なお、この四半期に導入された新機能は6つで、6月はまだ終わっていない。これまでのパターンからすると、今月の最終週には機能追加があると考えられる。
Windows 11 Ver.22H2では、新機能の追加がほぼ毎月あった。22H2が登場したとき、新機能があっさりしていて「マイナーアップデート」感が強かったが、段階的に機能が追加されVer.21H2との違いも大きくなってきた。反面、新機能に関する情報が分散して、わかりにくい状態でもある。「今月のWindows 11」的な機能があればいいのだが。
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