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シャープのカメラスマホ「AQUOS R8 pro」は1型センサーとバッテリー長持ちが最大の魅力

ASCII.jp / 2023年6月27日 12時0分

 シャープの新しいフラッグシップスマートフォン「AQUOS R8 Pro」は、ライカカメラ監修の1型センサーカメラを搭載した前機種「AQUOS R7」の特徴を引き継ぎながらも、新たに「14chスペクトルセンサー」を搭載するなどして、さらなるカメラ機能を強化したほか、そのカメラのリングから熱を放出して高いパフォーマンスを長く維持する「サーモマネジメントシステム」を備えるなどの強化がなされたモデルだ。発売前の実機からその進化ポイントを確認してみよう。

デザインは「AQUOS R7」を踏襲もリングは大きく

 まずは外観を確認すると、ディスプレーは約6.6型でサイズは約77×161×9.3mm、重量は約203gとなる。前機種のAQUOS R7がディスプレーと本体のサイズが同じで、重量は約208gであったことからやや軽くなっているものの、ほぼ同等のサイズ感といえるだろう。

「AQUOS R8 pro」の前面。画面サイズなどは前機種の「AQUOS R7」と大きく変わっていない

 ディスプレーもシャープ独自の有機ELを採用しており、クアルコムの「Qualcomm 3D Sonic Max」を採用した3D超音波によるディスプレー内蔵型指紋センサーも継続して搭載している。画面ロックの解除にはフロントカメラによる顔認証(マスク対応)も利用できるが、決済に利用する際にスピーディーな指紋認証ができるのはうれしい。

 それゆえ背面デザインも近く、最近のAQUOSシリーズに共通しているメインカメラ部分をリングで強調したデザインと、AQUOS R7で取り入れられたマットでサラサラした質感は共通している。ただ、リング部分は後述するサーモマネジメントシステムの影響からか、AQUOS R7と比べると一回り大きくなっておりより存在感を増している。

背面から見たところ。マットな質感などは変わらないが、カメラのリング部分がAQUOS R7より大きくなっている

 カメラ部分の出っ張りは3段構成になっていることから、2段構成だったAQUOS R7と比べると引っ掛かりにくくはなっている。ただ出っ張りの高さ自体はあまり変わっておらず、背面を下にして机などに置くと傾きが気になった。

本体上部から見たところ。カメラの段差は3段構成で滑らかにはなっているがそれなりの段差はあるので注意。なお上部には3.5mmイヤホン端子とSIMスロットがある

 側面もアルミ素材のマットな質感で、電源キーと音量キーは右側面に集中して配置。底面にはUSB Type-C端子、上部には3.5mmのイヤホン端子も備わっている。こうした点もAQUOS R7と共通しているようだ。

右側面には電源キーと音量キーが備わっている
底面にはUSB Type-C端子が用意されている

カメラは新たなセンサーの搭載で色合いを自然に

 続いてカメラを確認すると、背面のメインカメラは約4720万画素/F値1.9で1型のイメージセンサーを採用した、ライカカメラ監修カメラの1眼構成だが、距離測定用にもう1つ、約190万画素のカメラも備わっている。その内容自体はAQUOS R7と共通しており、他社のフラッグシップモデルのようにセンサーなどが大きく進化しているわけではない。

カメラはAQUOS R7と同じで、ライカカメラ監修による、1型センサーを採用したメインカメラの1眼構成。その左には距離測定用のカメラ、右には新たに追加された「14chスペクトルセンサー」が備わっている

 劇的な進化を期待した人には残念だが、1型センサーの性能の高さと、AQUOS R7で大幅に改善がなされたオートフォーカスはAQUOS R8 proでも継続しているので性能の高さは折り紙付きだ。では、どのような点が進化しているのかというと、新たに「14chスペクトルセンサー」を搭載したことである。

メインカメラ1つで幅広い画角をカバーする点も変わっていない。写真は0.6倍で撮影した写真
こちらは等倍で撮影した写真
1型センサーを生かしたボケ味のある写真も撮影しやすくなっている

 これは600種類もの光源を判定するもので、色の判別が難しい暗い場所などでも正確な色を判別し、見た目に忠実な色合いを再現するというもの。実際に夜や暗い場所で何度か撮影を試してみたのだが、暗さに引きずられることなく見た目と大きく変わらない色合いを実現できているようだ。

暗い場所に花を置いて撮影したところ。かなり暗い状況下ではあるが花の色も見た目に近いものとなっている
ナイトモードを使わずに夜に撮影した写真。街灯が当たっている葉っぱの色などは見た目に近く、やはり自然な写りを実現できている

 一方でセンサーサイズが大きいがゆえに、被写体に近づきすぎると背景がぼやけてしまいやすい点は従来と共通した弱点といえる。AQUOS R8 proはデジタルズーム(最大6倍)で撮影しても画質があまり劣化せず綺麗に写せることから、意図的に背景をぼかすなどの表現を加えたいのでなければ、被写体に近づく際にはズームを活用した方がよさそうだ。

センサーサイズが大きいだけに、被写体に近づきすぎるとボケが利きやすい。近い被写体を撮るならばズームを活用した方がいいだろう
最大の6倍ズームで鳩を撮影しても、かなり精細に写すことが可能だ

 なお、フロントカメラは約1260万画素/F値2.3と、こちらもカメラ自体は大きく変わっていない。ポートレート撮影時に背景ぼかしだけでなく、美肌・小顔などの細かな調整ができるのも、最近は対応機種が減っているだけに引き続きのメリットといえるだろう。

フロントカメラは約1260万画素で、ポートレート撮影時は美顔モードが引き続き利用可能だ

性能は非常に高く、放熱に新たな工夫が

 性能面を確認すると、AQUOS R8 proはチップセットにクアルコムのハイエンド向けとなる「Snapdragon 8 Gen 2」を搭載しており、RAMは12GB、ストレージは256GBでmicroSDでの増量が可能。性能は2023年のハイエンドモデルと同等で非常に高い。

 主要ゲームでの設定を確認しても、「PUBG MOBILE」のグラフィック設定は現行のAndroidスマートフォンでの最高設定が可能であるし、「原神」はグラフィックを最高水準に引き上げても快適なプレイが可能だった。毎秒120回表示の間に黒画面のフレームを補完する、シャープ独自のディスプレー240Hz駆動による滑らか表示もあいまって、AAAクラスのゲームを最高水準でプレイしても大きな不満が出ることはない。

「PUBG MOBILE」のグラフィック設定はクオリティーが「FHD」、フレーム設定が「ウルトラ」までと現行のAndroidスマートフォンでは最高水準に上げることが可能だ
「原神」のグラフィック設定はデフォルトで「中」。だが最高水準に設定してもプレイは快適だ

 長時間プレイで気になる発熱についても、AQUOS R8 proでは独自の「サーモマネジメントシステム」という機構を搭載している。これはカメラのリング部分に本体の熱を誘導し、そこから放熱するというもの。実際ゲームプレイ中にリング部分を測定してみると40度前後と、他の背面部分より熱くなっていることが分かる。

AQUOS R8 proはカメラのリング部分から放熱する「サーモマネジメントシステム」を採用。ゲームプレイ時にリング部分の温度を測定すると、40~41度と他の部分より熱くなっている

 ただ実際に触れてみると、リングだけでなく本体側面のフレームからも放熱がなされているようで、特定の場所が触れないほど熱くなるようなことはないが、両手全体にやや熱を感じる印象だ。それゆえ夏場など暑い環境でゲームプレイする時などは、手に汗をかきやすくなるなどやや不快感が出てくるかもしれない。

 バッテリー容量は5000mAhとハイエンドでは一般的な容量で、AQUOS R7に続いてQiによるワイヤレス充電にも対応。国内メーカー製ということもあって防水・FeliCaへの対応はもちろんなされており、安心感もある。

 また通信に関しては、物理SIM(nanoSIM)とeSIMのデュアルSIM機構で、執筆時点ではドコモとソフトバンクからのみの販売ということもあって、5Gの対応周波数帯は比較的充実している。実際、両社のモデルともにドコモの4.5GHz帯(バンドn79)に対応するほか、ドコモ版の「SH-51D」はミリ波(バンドn257)にも対応している。

 ただ1つ気になるのが、SIMトレイの強度にやや不安があること。これはAQUOS R7でも同様だっただけに、改善されていないのは惜しいと感じてしまう。

SIMはnanoSIMとeSIMのデュアルSIM機構。ただトレイは強度にやや不安があるので出し入れ時には注意したい

【まとめ】内容は満足だがフラッグシップらしい進化もほしい

 AQUOS R8 proは前機種の特徴を踏襲しながらも、ベースの性能を着実に進化させたモデルといえるだろ。カメラの高い性能はしっかり維持されているし、チップセットの進化と新たな放熱機構の採用によりゲーミングもより快適になっている。ハイエンドモデルとして完成度が高まり十分満足できる内容であることは間違いない。

 ただ裏を返せば、進化の度合いが少ない分フラッグシップモデルとしての先進性が薄いというのが、消費者の視点からすると惜しいポイントと言えるかもしれない。大きく変わっていないが故に接写の弱さやSIMトレイの強度など、前機種の弱みを引きずっている部分もいくつか見られるだけに、今後の大幅なアップデートにも期待したいところだ。

 

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