Ryzen 7 7840U搭載の高性能ハンドヘルドPC「AOKZOE A1 Pro」の実力とは?
ASCII.jp / 2023年6月28日 13時0分
ハイビームはプロセッサーにAMD「Ryzen 7 7840U」を採用したポータブルゲーミングPC「AOKZOE A1 Pro」を8月上旬に発売する。すでに6月26日11時59分を期限とした「先々行予約」が公式オンラインストアで開始されている。
本製品で驚きなのが価格。Ryzen 7 7840U、16GBメモリー、1TBストレージで11万9800円という高コスパを実現している。ASUSの「ROG Ally」を当然意識した価格だろうが、どちらを購入すべきか非常に悩まされる、魅力的なモデルに仕上げられている。
今回は発売前の試作機をハイビームより借用したので、まずはファーストインプレッションをお届けしよう。なお試作機であるため、最大性能を発揮できていなかったり、製品版とは一部異なる外観、仕様が存在する可能性がある点には留意してほしい。
ポータブルゲーミングPCのなかではトップクラスのスペックを実現
「AOKZOE A1 Pro」はOSに「Windows 11 Home」、プロセッサーに「AMD Ryzen 7 7840U」(8コア、16スレッド、最大5.1GHz、28W)を採用。メモリーは16GB/32GB(LPDDR5X-7500)、ストレージは1TB/2TB(PCIe Gen4 x4接続SSD)を搭載する。
システム構成としては16GB/1TB版(11万9800円)、32GB/1TB版(13万9800円)、32GB/2TB版(14万9800円)が存在し、カラーはクォンタムブルー、ルナホワイトの2色を用意。つまり計6モデルがラインナップされているわけだ。なお、価格は6月26日11時59分までの先々行予約限定価格。以降は32GB/1TB版が14万9800円、32GB/2TB版が15万9800円となる。
Ryzen 7 7840UはZen4アーキテクチャーのCPUコア、RDNA3アーキテクチャーの統合グラフィックス「AMD Radeon 780M」を内蔵しており、6000シリーズのプロセッサーと比較してグラフィックス性能は20%向上していると謳われている。
またストレージはM.2 2280サイズのPCIe Gen4 x4接続のSSDが採用されており、読み込み速度は7109MB/s、書き込み速度は6240MB/sに達すると謳われている。ポータブルゲーミングPCのなかではトップクラスのパフォーマンスを発揮してくれそうだ。
ディスプレーは8型IPS液晶(1920×1200ドット、283ppi、350cd/m²、60Hz、タッチ対応、グレア)を採用。リフレッシュレートは60HzとROG Allyの半分だが、サイズは1インチ大きい8型だ。現在のポータブルゲーミングPCの性能を考えると、フルHD解像度で120Hzのリフレッシュレートはオーバースペック。画面サイズのほうがゲームプレイを快適にしてくれるはずだ。
個人的に歓迎しているのが充実したインターフェース。USB4×1、USB 3.1 Type-C×1、USB 3.0 Type-A×1、microSDメモリーカードスロット×1、3.5mmコンボジャック×1が装備されており、充電しつつUSBメモリーやドングルを接続可能だ。また無線通信はWi-Fi 6E、Bluetooth 5.2をサポートしている。
単独のゲーム機として使うだけならType-Cひとつでもいいが、せっかく高性能なのであれば「Windowsパソコン」としても使いたい。また外部ディスプレーを接続して、充電しながら大画面でゲームをプレイしたい方もいるだろう。インターフェースが充実していることは使い勝手で間違いなく有利だ。
本体サイズは約285×125×21~40mm、重量は約729g。65Whの大容量バッテリーを内蔵しており、バッテリー駆動時間はゲームプレイ時(TDP15W)で約5時間、ビデオ再生時で約7~9時間と謳われている。あとでバッテリーベンチマークも掲載しているが、最大パフォーマンスでゲームを長時間プレイする際には、充電器やモバイルバッテリーが必須なのは、現時点のポータブルゲーミングPCの課題だ。
試作機のため本来の性能を発揮できていない可能性が高い
それでは気になるパフォーマンスをチェックしてみよう。今回ベンチマークを実施するにあたって、統合ユーティリティー「AOKZOE Game Center」でTDP28Wなど最高パフォーマンスに設定している。
まずCPU性能については、「CINEBENCH R23」のCPU(Multi Core)は13149pts、CPU(Single Core)は1792ptsとなった。前世代のプロセッサー「AMD Ryzen 7 6800U」を搭載する「ONEXPLAYER 2」のCPU(Multi Core)は10982pts、CPU(Single Core)は1508ptsだったので、マルチスレッドで約120%、シングルスレッドで約119%相当のスコアを記録したことになる。
ただ「AOKZOE A1 Pro」のスコアを単体で見ると、シングルスレッドに比べてマルチスレッドが低くなっており、熱ダレしているように思える。今回借用した試作機は個体差などにより、Ryzen 7 6800U本来の性能を最大限に発揮できていない可能性が高い。
3Dグラフィックス性能については、「3DMark」のTime Spyは2967、Fire Strikeは6731、Wild Lifeは15449となった。「ONEXPLAYER 2」がTime Spyは2704、Fire Strikeは6813、Wild Lifeは15326だったので、Time Spyで約110%、Fire Strikeで約99%相当、Wild Lifeで約101%相当のスコアに留まっている。
こちらもプロセッサーのスペック差を考慮すると、「AOKZOE A1 Pro」が本来の性能を発揮できていないように思える。製品版で改めてパフォーマンスをチェックしてみたいところだ。
一方ストレージ速度はかなり高く、シーケンシャルリードは7009.88MB/s、シーケンシャルライトは6268.18MB/sというスコアを記録した。製品公式サイトでは読み込み速度は7109MB/s、書き込み速度は6240MB/sと謳われているので、ほぼスペックどおりのパフォーマンスを確認できたわけだ。
3Dゲームベンチマーク「FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION BENCHMARK ver 1.3」(標準品質、1920×1080ドット、フルスクリーン)のスコアは3558(普通)となった。さらに、解像度別のフレームレートを「MSI Afterburner」で計測したところ、HD(1280×720ドット)で平均53.3fps、フルHD(1920×1080ドット)で平均34.8fpsとなりました。FINAL FANTASY XVを「AOKZOE A1 Pro」でプレイするなら、軽量品質に設定したほうがよさそうだ。
バッテリーベンチマークについては、「PCMark 10」の「Gaming」を輝度40%で実行したところ、1時間27分という結果となった。やはり高負荷なゲームをプレイした場合には、ほかのポータブルゲーミングPCと同様に2時間には届かないようだ。
性能&価格面でROG Allyに対する強力なライバルと言える
発売予定が8月上旬ということで今回は試作機でのファーストインプレッションとなったため、「AOKZOE A1 Pro」本来の性能を確認できなかった可能性が高い。しかし、最新プロセッサー、8型ディスプレー、高速ストレージ、充実したインターフェースと非常に魅力的なモデルに仕上げられている。ROG Allyに対する強力なライバルとして、ポータブルゲーミングPC市場をさらに活性化してくれることに期待したい。
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