【写真家レビュー】お世辞抜きで欲しい「Pixel Fold」圧倒的に便利!
ASCII.jp / 2023年6月27日 2時0分
折りたたみを生かすために各種アプリを最適化
折りたたみで7.6インチのインナーディスプレーを搭載した、Google Pixel Foldをいち早く試すことができた。実は折りたたみタイプのスマートフォンを触るのは、このレビューが初めて。なので競合にあたるGalaxy Z Foldシリーズなどと比べることができないのだが、グーグル謹製の50以上のアプリが本機の大画面に最適化されているという。これがGalaxy Z Foldシリーズにも適用される可能性はあるが、今のところ折りたたみ大画面のメリットをもっとも享受できるのが本機ということは確かだ。
折りたたんだ状態でも5.8インチのアウターディスプレーがあり、さらに開くと7.6型のインナーディスプレーが広がる。アスペクト比は6:5のやや横長。同じ画面サイズのGalaxy Z Fold4は5:6のやや縦長で、ここが目立つ違いかもしれない。Chromeブラウザーでウェブを閲覧すると、パソコン用のサイトが表示された。サイトによっては横幅が足りなかったが、縦長の画面でスマホ向けサイトを見るより格段に楽だ。
スマホでマルチタスクやドラッグ&ドロップが可能に
インナーディスプレーでGmailアプリを開くと、表示が左右に分割され、左には通常のスマホで表示されるメールの一覧が現れる。そこから読みたいメールを選択すると、右に本文やスレッドが表示される。これは一度使うと便利でやめられない。入力時のQWERTYキーも左右に広がって表示され、両手の親指でピコピコ打つことができる。僕はスマホから長文のメールを送ることが多いので、これだけで本機が欲しくなった。
また異なるアプリを左右で開くマルチタスクも可能で、これも使ってみて革新的だと感じた。対応するアプリ間ではドラッグ&ドロップもでき、たとえばフォトアプリとGmailアプリを同時に開けば、片方で選んだ写真をもう片方のメール本文へ運んで貼り付けることができる。
さらに革新的なのが、Android 14で提供予定の「デュアルスクリーン通訳モード」だ。本機を持って話した言葉がインナーディスプレーに表示され、選択した言語に翻訳されたものが裏側のカバーディスプレーに表示される。1台に2つの画面が備わる点を見事に生かした機能だ。今後も両面をフル活用する機能はきっと追加されていくだろう。
折りたたみ最大の利点は「置ける」ということだった
当たり前ではあるのだが、「テーブルトップモード」がいろいろと便利なことも発見だった。YouTubeはディスプレーの上半分、立てた側の全面に動画が表示される。置いた側の下半分には動画リストが表示されるが、上半分からは独立。再生したままリストをスクロールできるのだ。8月にはさらに最適化されたユーザーインターフェイスが提供される予定とのことで、どんな風になるのか気になる。
インナーディスプレーの脇にもカメラが内蔵されているので、「テーブルトップモード」でビデオ通話やライブ配信も楽。また開いた状態でインナーディスプレーではなく、反対のアウターディスプレーと背面カメラをこちらに向ければ、高画質で自撮りやビデオ通話、ライブ配信ができる。これはGalaxy Z Fold4でもできるらしいが、折りたたみスマホの多様さを感じさせる。
フォトグラファー目線でいえば、折りたたみの開き方を工夫することで、三脚やスタンドが不要になる点に魅力を感じた。本機を置く場所があることが前提ではあるが、据え置きで動画を撮ったり、集合写真や夜景、星景を撮ることも簡単だ。
もちろん通常の撮影であれば、2つ折りを開くことなく、アウターディスプレーでこなすことができる。とはいえインナーディスプレーの大きな画面で撮影するほうが気持ちいいし、より正確なフレーミングができるのも確かだ。
Pixelシリーズならではのカメラ性能も光る
背面のカメラは48メガのメイン(広角)カメラを挟むかたちで、10.8メガの超広角カメラ(0.6倍)と望遠カメラ(5倍)がそれぞれ配置されている。以前ASCII.jpでレビュー(【写真家レビュー】マクロと30倍ズーム搭載 Pixel 7 Proは処理能力が向上、グーグルAIの底力を感じる)したPixel 7 Proと比べると、動画撮影時に背景をボカす「シネマティックぼかし」や擬似的に流し撮りの効果を加える「アクションパン」には未対応だ。そのほかマクロフォーカス未搭載や超解像ズームが20倍まで(Pixel 7 Proは30倍)といったカメラ回りの機能に違いがある。
ただし、画質はメリハリとディテールのバランスがとれた、Pixelシリーズ特有の美しさをしっかり継承している。
そのカメラ部分が本体からボコっと出っ張っている点は、もう少しダイエットを頑張ってほしかったが、この構造を考えれば致し方ないのかもしれない。というわけでデメリットは当然ながら、かさばることだろうか。また側面がラウンド状のため、たたむとスマホを2台を重ねているように見える。この点はGalaxy Z Fold4のほうがシャープでよい。
サイズに関しては横幅こそGalaxy Z Fold4のほうがスリム(67.1mm。本機は79.5mm)なものの、縦は本機が139.7mm(Galaxy Z Fold4は155.1mm)と短く、たたんだときの厚さは12.1mm(Galaxy Z Fold4は15.8mm)と薄い。実際に並べて比べたわけではないが、本機のほうが少しばかり小さく感じると思う。
最後にまとめると、折りたたみスマホがこんなに便利なものとは思わなかった。試用期間が短く、触ったアプリの大半はプリインストールされたグーグル謹製=本機に最適化されたものということもあるだろうが、ともあれディスプレーが広いことは操作性、そして老眼に悩まされる僕には視認性という点で大きなメリットを感じた。
折りたたみ部分の耐久性については、3日ほど使っただけなのでわかりようもないのだが、少なくとも不安や違和感を感じることはなかった。というか今回は借用期間が短くて本当によかった。これが1ヵ月や2ヵ月触れていたら確実に手放せなくなり、25万3000円を用意しなければならないところだった。もっとも買い替えがお得になる割引プログラムもあるらしい。僕はこれ以上調べると懐に危険が及びそうなので、各自ご確認ください。
筆者紹介――鹿野貴司
1974年東京都生まれ、多摩美術大学映像コース卒業。さまざまな職業を経て、フリーランスの写真家に。広告や雑誌の撮影を手掛けるかたわら、精力的にドキュメンタリーなどの作品を発表している。
写真、文章を手がけた著書『いい写真を撮る100の方法』(玄光社)、写真集に『山梨県早川町 日本一小さな町の写真館』(平凡社)など。公益社団法人日本写真家協会会員。
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