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ドコモの新料金が話題だが、OCN モバイル ONEの実質終了が悲しい

ASCII.jp / 2023年7月1日 9時0分

UQ/ワイモバ対抗としてのirumoは価値あるサービスだが OCN モバイル ONEの後継となるものではない

 先週、大きな話題になったドコモの新料金プラン「irumo(イルモ)」、「eximo(エクシモ)」。

ドコモ新料金
基本的に※印付きの料金であるドコモ「irumo」

 このirumoとeximoについてはいろいろな見方があり、筆者の意見は別記事でまとめているので、そちらも参照いただきたいのですが、irumoの狙いと考えられるUQ mobile/Y!mobileへの対抗という意味では十分にインパクトがある内容で、(ドコモの充実したサポートなどを求める人の間では)「安くなった! 良かった!」と感じるケースは結構多くなりそうと感じています。

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 一方で取り残された感があるのは、OCN モバイル ONEのユーザーでしょう。既存ユーザーは今後も現状のサービス内容で使い続けられるとは言え(コース変更も可能)、irumoの発表から1週間も経たずに新規受付は終了。今後サービスのアップデートがある可能性は期待薄で、急ぐ必要はないとは言え、乗り換えを検討する人も多くなってくるはずです。

 ただ、irumoに移行すると、「ドコモ光」「home 5G」の固定回線セット割を適用しない限り、現状のOCN モバイル ONEと近い水準の料金にはなりません。また、通話定額オプションや通話料もドコモのサービスが基本になっているため、実質的に値上げ(かけ放題は1430円→1980円、定額外の通話料は30秒あたり11円→22円など)。また、そもそもOCN モバイル ONEユーザーの場合、「ドコモのフルサポート」をメリットと感じる人は正直少数派でしょう。

ドコモ新料金
3GBで月880円とOCN モバイル ONEの料金を下回るが、それはあくまで固定回線セット割などを適用した場合だ

 という状況にも関わらず、ドコモはirumo/eximo/ahamoの3つの料金プランで「すべてのスマホユーザーにぴったりの選択肢を」と表現しており、「えっ、自分たちは……」と感じてしまっても不思議ではありません。

ドコモ新料金
ドコモショップでのサポートなどを必要としないライトユーザー、これまでOCN モバイル ONEを使ってきたユーザーにとって、この3つの料金プランに当てはまるかどうかはやや微妙かもしれない

格安SIMウォッチャーとしては 大手MVNOの一角のサービス終了は単純に悲しい

 少し話は変わりますが、このOCN モバイル ONEの実質的な終焉には約8年半にわたり、格安SIM関連のニュースまとめ記事を毎週掲載してきた筆者にとっても、大変ショッキングな出来事と言えるものです。

ドコモ新料金
OCN モバイル ONEのサイトにも新規受付の終了を告知。ただし、現状のサービスは引き続き利用でき、コースの変更も可能。現行ユーザーは確認しに行くといいだろう

 この間、FREETELにDMM mobile、LINEモバイル、MVNO版の楽天モバイルと実質終了するサービスは多数ありました。それでもOCN モバイル ONEは「NTTグループのサービスだから安心して使える」と契約してきたユーザーも少なくなかったはず。それがこの結末では「MVNOの格安SIMってやっぱりね」といった影響があっても不思議ではありません。

 もちろん、IIJmio、mineo、日本通信、NUROモバイルなど、MVNO各社のサービスは引き続き元気ですし、中容量帯を求めるならahamo/LINEMOのMNOのオンライン専用プランが有力、povo2.0は独自性が強いサービスで魅力的と、選択肢はまだまだ多数あります。それでもやっぱり、OCN モバイル ONEのサービスが、こうしたまったく突然に急な形で実質的に終了したのは、「悲しい」という言い方が最適に感じるのです。

まもなく10周年だったOCN モバイル ONE 特徴的なサービスを振り返る

 さて、あまりネガティブな話ばかりしていても仕方ないので、OCN モバイル ONEのサービスについて、格安SIMウォッチャーの目線として、以下では振り返っていおきます。

今年の8月で10周年を迎えるはずだった 当初は1日30MBや70MBまでの日次コースが人気

 「OCN モバイル ONE」というブランドでサービスの提供が開始されたのは、2013年8月のこと(それ以前は「OCN モバイル エントリー d LTE 980」)。つまりまもなく10周年を迎えるところだった。

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OCN モバイル ONEとしての開始は2013年8月

 当初はデータSIMのみ。また、「30MB/日コース」「60MB/日コース」の日次タイプの通信量が他にはあまり見られないプランだった。30MB(その後、70MB、110MBと通信量は徐々に増加)を使い切ってしまうと200kbpsになってしまうものの、0時を過ぎると確実に高速に戻る点をメリットと考える人も多くいた印象だ。

通話定額オプションで「1回5分まで」を「1回10分まで」に ちょっと変わったオプションも用意

 通話定額が「1回5分まで」が主流だったのを、「1回10分まで」に拡大したのは、大手MVNOではOCN モバイル ONEが先頭を切った形(さらに早くはY!mobileも)。3大MNOはいまだに「1回5分まで」だが、MVNOやサブブランドの多くは「1回10分まで」と違いが発生している。

 「トップ3かけ放題」(月935円)も独自性のあるサービスだ。これは毎月の通話料の中からトップ3の電話番号を自動で判別し、その通話料は定額とするもの。実家の親や職場にだけ、長電話する機会が多いという人には便利だ。

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通話定額オプションの充実度では、他MVNOをリードしていた感。通話アプリを必要としない、オートプレフィックスでも先行した

goo SimsellerでのSIM契約前提の端末割引が人気

 OCN モバイル ONEと言えば、goo SimsellerでのSIM新規契約を前提にした端末の割引販売が話題になることが多かった。セールも頻繁に実施で、人気機種は早々に売り切れるケースも。逆に言えば、SIMフリー機が中心にスマホメーカーにとっては結構辛い状況かも?

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goo Simsellerでの端末割引販売は常に話題となっていた

2019年に新コースに移行 通信品質も改善

 2019年に新コースへの移行を発表。低速モードでは使い放題だった通信量に制限が加わるようになったが、一方で通信速度についてはどうしても混雑しがちな昼休みの時間帯を含めて、格安SIMの中でも高速な部類になるなど、通信品質が改善され、人気がさらに高まった。

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従来は低速モードでは速度は遅い代わりに使い放題だったが、新コースではその通信量を制限する代わりに、サービス品質が向上した

バッテリー消費問題はプライベートIPアドレス化で改善

 OCN モバイル ONEは他の多くのMVNOと異なり、グローバルIPアドレスが付与されていたことから、一部スマホにおいて、スタンバイ状態でのバッテリー消費が大きいことと関連性があるのではと言われていた。2022年6月にはプライベートIPアドレスがされるAPNが用意され、この問題が改善された。

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「OCN モバイル ONEのSIMではバッテリー消費が激しい」という声をネット上で見かけることが多かったが、プライベートIPアドレスへの対応で解決した
 

筆者紹介──岡本善隆

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アスキースマホ総研のリーダーとしても活動。ASCII.jpのスマホ担当として、日々取材や記事執筆を行なっているが、いわゆる「格安SIM」「格安スマホ」の登場以降はMVNOやサブブランド、ミドルクラスのスマートフォンなど、コストパフォーマンスに優れたサービスや製品を特に詳しくウォッチするようになっている。

 

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