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“時代劇”という切り口で掘り下げたことによって浮き彫りになる小椋佳の信念

ASCII.jp / 2023年7月10日 17時30分

©時代劇専門チャンネル

 6月12日に「第13回衛星放送協会オリジナル番組アワード」の最優秀賞が発表され、番組部門バラエティでは小椋佳、時代劇の仕事 特別番組「小椋佳の歌日記」前編/後編(時代劇専門チャンネル)が受賞した。

 同番組は、美空ひばりの『愛燦燦』などの名曲を生んだ稀代のシンガーソングライター・小椋佳の、「時代劇主題歌制作者」としての側面に焦点を当て、楽曲と共に知られざる活動の軌跡を辿るというもの。司会の徳光和夫が、小椋の楽曲制作秘話や好きな時代劇について、曲に込めた思いなどを掘り下げていく。

 小椋といえば、『愛燦燦』『シクラメンのかほり』『さらば青春』など数々の名曲を生み出してきた昭和を代表する稀代のヒットメーカーで、楽曲制作秘話だけを取り上げてもきりがないほど。そんな中、“時代劇”という切り口で迫った視点が面白い。もちろん、小椋の現在や歌作りの原点、歌作りで意識すること、歌作りにつながる日常など、シンガーソングライター・小椋の源につながる話も引き出しながら、具体的な曲にまつわるエピソードでは時代劇の曲と取り上げて、一歩踏み込んだトークを展開している。

 堀内孝雄と制作した1986年の年末時代劇スペシャル「白虎隊」の主題歌『愛しき日々』では、青春期に情熱を持って生きていた若者たちが自決するという“哀れさ”を表現したことや、「快刀!夢一座七変化」のテーマソングになった梅沢富美男の『夢芝居』では、聴き手の居心地の良さを狙って歌詞の全部の行が「い」で終わる“い音遊び”をしていることなど、知られざる制作秘話や裏話は大変興味深く観賞できるし、小椋の天才さを改めて感じることができる。

 そんな中で、“時代劇”という切り口で掘り下げたことにより、“時代劇ならではの部分”と“時代劇にまつわる曲とそれ以外の曲にも共通する部分”が明確になり、小椋の曲に懸ける信念が浮き彫りになっているところが特徴。“時代劇”という切り口でありながら、時代劇ファンはもちろん、そうではない視聴者も楽しめる内容になっているところがにくい。

 ほか、美空ひばりに意見したエピソードや『シクラメンのかほり』のうそなど、驚きの裏話が飛び出すなど、トークバラエティとしても完成度の高いものになっており、純粋に時間を忘れて楽しめる(前編/後編合わせて)1時間だ。

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