チャージャー王「Anker」の1790円超軽量キーボードを衝動買い
ASCII.jp / 2023年7月7日 11時30分
USBモバイルバッテリーやUSB PD充電器などの世界的キングであるAnker(以降、アンカー)が、軽量でコンパクトそして手頃な値段の充電式Bluetooth英語配列キーボード「Anker Rechargeable Wireless Keyboard (Y2641)」(以降、Y2641)を発売したというので、速攻でAmazon.co.jpで衝動買いしてしまった。
ヘアライン加工が美しく 同じ価格帯のキーボードと比較してコスパ感も素晴らしい
早速届いたパッケージは厚さこそないが、カラーリングは同社のUSB ACアダプターなどと同じ白と青のカラーリングで、一目でアンカーだと分かる。パッケージに書かれている「SERIES 3」という表記がいったい何か分からなかったのでウェブで検索したところ、「品質と価格のバランスのとれたベーシックなシリーズ」との記述を見つけた。しかし、コスパなのかベストバイなのか、ますます分からなくなってきた。
パッケージを開けてみたところ、キーボード表面に横ヘアライン加工をしたマットブラックカラーのキーボード本体と、充電用USBケーブル、日本語を含む多国言語対応の簡単な取説が出てきた。
USBケーブルの規格に好みのあるユーザーは一般的には少ないとは思うが、筆者はmicroUSBという台形の断面をしたプラグとポートが大嫌いだ。残念ながら今回のY2641の充電専用ケーブルは、そのまさかのmicroUSB仕様。筆者的には多少の価格アップやサイズアップがあっても、見た目プチゴージャスで操作性の良いType-C規格にして欲しかった。
Y2641のキートップ側は、ヘアライン加工が美しいマットなブラックカラー。底面は同じくマットなシルバーのアルミ仕上げだ。今回はコスト面を考慮しての英語版(US配列)のみの供給で多少残念だが、厚さ7mm、外形サイズは240×130×7mmとコンパクト。重量は実測177gとモバイル使用には便利なウルトラ軽量級だ。
キーピッチは18mmと一般的なフルキーより1mm小さいが、普段フルキーを使っている筆者でもすぐに慣れる差だ。キーの入力感覚は、静音系イメージの強いポメラ DM250やTrackPoint Keyboard系ほどではないが、安っぽくなく静かだ。キーストロークの深さや感触は、同系のキーボードの標準以上をクリアしており、個人的には合格点だと思っている。
ほぼ同じキーやスイッチのレイアウト、基本ハードウエア構成が類似したキーボードは、深セン、広州辺りのキーボードメーカーにはゴロゴロありそうな感じだが、Y2641は表面加工やデザイン的なカラーリング、パッケージなどの気配りが感じられる。
筆者は普段使いの原稿書き用にはデスクトップPCを使っているので、キーボードも一切の携帯性は必要がない。なので重量級のTEXの「Shinobi」というキーボードをメインで使っている。(以前、本コラムで紹介した「一目惚れしたTrackPoint付きキーボード「Shinobi」を衝動買い」)そしてTEXの「Shura」という少し小振りなキーボードとThinkPadのTrackPoint Keyboardの2台を予備として確保している。
筆者がメカニカルキーボードを好むのは、長く使っていたIBMのメカニカルキーボードで歴史的なバックリングスプリングの指先感触が、今も基盤にある特殊事情からだろうと思っている。
ペアリングが簡単で軽量、モバイルに最適
今回はそれらのキーボードとは全く異なるモバイル環境で、筆者のメインスマホであるGalaxy Z Fold4や最近入手したmoto g53j 5Gと組み合わせて、アウトドア環境で使うキーボードの有力候補として衝動買いした。Y2641は物理的にはiOS/Android/Mac/Windowsの全てに対応している。キートップ表記や配列に関しては、好みが分かれるので安価な分妥協が必要かもしれない。
スマホやタブレットとのBluetooth経由によるペアリングも、極めて簡単だ。最初にY2641の充電が終われば、Y2641右上のOFF/ONスライドスイッチをONにして、すぐ隣のConnectボタンを押す。Bluetoothインディケーターがブルーに点滅したところで、ペアリングしたいスマホの設定画面で表示される「Anker Rechargeable Wireless Keyboard」を選択しペアリングする。以降は電源オンだけで物理キーボードとして毎回自動接続される。
moto g53j 5Gなど、アスペクト比が20:9前後である一般的なポートレイト型のスマートフォンでは、Eメールの送受信やWebブラウジングなどの用途では、縦画面での使用が適している。原稿を書いたりするのであれば縦でも横でも可能だろう。今回、筆者がBluetoothキーボードと組み合わせて使用を検討している「Galaxy Z Fold4」は、開いた状態で正方形に近い画面となるため、どちらでも良いだろう。
筆者は時々、近所のファミレスで朝ご飯を兼ねて原稿を書いている。毎回携帯して行くポメラ DM250が実測622g。今回のY2641+Galaxy Z Fold4+スマホスタンドの合計重量が、482gとなんと140gも軽い。もちろんポメラ持参の原稿書きの時もGalaxy Z Fold4(実測280g)は常に持ち歩いているので、実際には420gも重いことになる。加えてY2641のシュアな指先感覚の方が、筆者好みだ。
昨今の「コスパ」の使い方が気になる……
今回、アンカーのBTキーボードY2641を手に入れて、久し振りに「コスパ」という言葉の意味をいろいろ考えてみた。どうも最近は、一般的に単に「安価なモノ」のコトを「コスパが良い」と言ってしまっている傾向が強い。
そもそも、コスパとはAとBという2つの製品があった場合、どちらも製品としてのいくつかの客観的達成条件があり、両者ともそれをクリアした上で、Aの方が絶対価格が安い場合に「Aはコスパが良い」というのが普通のはずだ。
比較対象がない、客観性がない、達成条件や達成度が違う場合は、正しい比較ではないので単に「安い商品」であり、比較条件が少ないか達成度が低い場合は「単なる安物」だという表現が、正しいはずだ。好例が近頃のダイソーなどの超安価な商品に対する昨今のメディアの製品評価を読んでると、単に安いだけのものを「コスパが良い」と表現してることが多く感じられる。
誌面を読むだけで実体験をできない人に正しく理解してもらうには、言葉は正しく使うべきだろう。基本的に客観的な評価ではないこのコラムでは、単に筆者が「好き」という主観的なアイテムしか扱っていない。なので騙されて買わないことが重要だ。
私が好きな今回のY2641を敢えてコスパという形式で表現するなら、パソコンのメイン常設キーボードとして使うなら価格は絶対的に安いが、決してコスパが良いわけではない。筆者的に365日使うキーボードにはより多くの達成すべき条件があって、その多くをY2641は実現できていない。そもそも1790円の売価でそれらの実現は不可能だ。
今回の筆者のようにある一時期だけ、限られた時間だけモバイル環境で使用するスマホやタブレットのキーボードとしてなら「圧倒的なコスパ」だと言える。もちろん自宅や職場で使うメインデバイスのキーボードとしても限定された達成条件の数やその達成度の深さを妥協できるなら、常時使うより達成条件の多いWindowsやMacのキーボードとしてのコスパも変化する可能性はある。
コスパ(コスト・パフォーマンス)は、コストとパフォーマンスという両者のバランスを評価するモノであって、評価ポイントの定義とその尺度、合格ラインがウヤムヤなモノにコスパと言う評価はないはずだ。個人的感覚の依怙贔屓(えこひいき)点が大勢を占めるなら、それはコスパではなく「好き」と言うのが正しいだろう。
アンカーよ、なぜ滑り止めを付けるのを忘れた!?
軽くて、小さくて、安くて便利なY2641だが、唯一機能的に気になった点があった。実はこのY2641、底面が前述したようにマットなアルミ板がそのまま露出している。なのでほんの少し威勢よくキーボードを打っていると、実測たった177gのキーボード本体が前に前にと、滑って迫り出して行く。
昨今はダイソーや3COINSなどのキーボードでも底面のスリップ防止ストッパーが標準装備のモノが多い時代に、アンカーはどうして忘れたのだろう。止むなく筆者はいつものようにAmazon.co.jpで手に入れた、小さなシリコンゴム脚を4つの端と中央に1個貼り付けて快適に使っている。もちろんY2641をポシェットや鞄に頻繁に出し入れするなら間違いなくシリコンゴム脚はひっかるが、どっちが嫌かで決めるしかないだろう。
今回、ご紹介のBTキーボードY2641は筆者が朝早く目覚めて近所のファミレスに3点セットを携えて原稿を1本書き上げる目的で持って行くなら、間違いなく「圧倒的コスパ」であることは間違いない。WindowsやMacのキーボードとしても物理的には使えるが、コスパが良いかどうかは明らかに達成条件とその深さによるだろう。
今回の衝動買い
・アイテム:Anker「Rechargeable Wireless Keyboard」(Y2641) ・購入:Amazon.co.jp ・価格:1790円
T教授
日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。
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