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カセットテープ世代の全俺が泣いた 昭和風ラジカセ「SCR-B7」実機レビュー

ASCII.jp / 2023年7月20日 18時0分

ドウシシャ/ORION「SCR-B7」直販価格2万1780円

「お母さん! 30分間喋んないでよ。これからガンダム録音するんだから。絶対だよ!」「うるさいわね、もう!」

 ……というのが、初めてコンテンツを記録した思い出のジャイアン鈴木です。そのときはまだ実家にビデオデッキはありませんでした。

 筆者が最初に購入してもらったAV機器と言えば「ラジカセ(ラジオカセットレコーダー)」。機種名は覚えていませんが、たしかシャープ製。そのような経緯からラジカセに対して郷愁を禁じ得ません。

 しかし、最近のラジカセって妙に現代的。白くて丸みを帯びていて、それはそれで可愛かったりするのですが、やはり昭和にキッズだった筆者としては、肩に背負ってウェイウェイするのが似合うラジカセがほしいのです。

 というわけで、今回レビューするのは「俺たちの青春ラジカセ」がキャッチフレーズのBluetooth機能搭載ステレオラジオカセット「SCR-B7」です。

パッケージはあんまり昭和っぽくないですね
ステレオラジオカセット「SCR-B7」
パッケージには本体、電源ケーブル、「注意書き」が同梱
カセットテープに関する注意書きが入ってました。AIチャットボットのChatGPTに「昭和のヤンキーっぽく要約して」とお願いしたら「ガラの悪いカセットテープ、持ち込むんじゃねえぞ。てめえの大事なヤツが壊れちまったって泣き言は聞かねえからな。こっちが何もかも面倒見るって話じゃねえぞ!」と返してくれました。まあそういうことです

ラジカセに加えて MP3録音・再生、Bluetoothスピーカー機能を搭載

 「SCR-B7」はドウシシャがORIONブランドから発売したステレオラジカセ。ラジオ、カセットの録音・再生機能に加えて、USBメモリーとmicroSDメモリーカードへのMP3録音・再生機能(128kbps)、Bluetoothスピーカー機能を搭載しています。

 単なるラジカセとしてだけでなく、カセット、ラジオ、AUX IN外部入力、本体内蔵マイクからUSBメモリーやmicroSDメモリーカードに録音したり、スマートフォンをBluetooth接続して外部スピーカーとしても利用できるわけです。

ステレオラジオカセット「SCR-B7」
本体サイズは425×118×235mm、重量は3.2kg。前面には電源ランプ、LED入力レベルメーター(左・右)、STEREOインジケーター、周波数表示、出力レベルメーター(左・右)、内蔵マイク、カセットホルダー、フルレンジスピーカー×2、ツイータースピーカー×2を配置
背面には電池ふたがあります
ステレオラジオカセット「SCR-B7」
上面にはロッドアンテナ、音量つまみ、BASSつまみ(低音域の調節)、TREBLEつまみ(高音域の調節)、PAUSEボタン、STOP/EJECTボタン、FFボタン、REWボタン、PLAYボタン、RECボタン、MODEスイッチ、BANDスイッチ、BASS BOOSTスイッチを装備
右側面にはチューニングダイヤル、USB端子、microSDメモリーカードスロット、MODE/FOLボタン、逆スキップボタン、順スキップボタン、再生/REC.ボタン、REP/DELボタン、動作インジケーター、左側面にはステレオイヤフォン端子、AUX IN外部入力端子、電源端子が配されています
ステレオラジオカセット「SCR-B7」
本体(電池なし)の実測重量は3275g
今回使用したAmazonブランドの単1型乾電池6本の合計重量は実測803g
電池はこのように入れます。なお、連続使用時間はボリューム30%で、ラジオ受信時約30時間、カセットテープ再生時約20時間、MP3再生時約20時間、Bluetooth接続時で約25時間とのこと。ちなみにAmazonブランドの単1型乾電池12本の価格は1241円。できるだけ家庭用電源で利用したいところですね

不便だからこそ気分が盛り上がる カセットテープの使い方

 前述のとおり「SCR-B7」はラジオ、カセットの録音・再生機能、USBメモリーとmicroSDメモリーカードのMP3録音・再生機能、Bluetoothスピーカー機能が搭載されています。今回はラジカセ未経験の方に馴染みがないであろう、カセットテープの再生方法をご紹介しますね。

ラジカセ
カセットテープを取り出す
ステレオラジオカセット「SCR-B7」
STOP/EJECTボタンを押してカセットテープをセットしてから、PLAYボタンを押す
青春ラジカセ
肩に乗せ……なくてもいいですが、気分が違います

 最近は私も「アレクサ、チェンソーマンの音楽を再生して」みたいな感じで適当に音楽を聴いておりますが、カセットテープを取り出し、ホルダーに収めて、PLAYボタンを押すという一連の流れがまるで「儀式」のようでいい感じ。これはポータブルレコードプレーヤー「サウンドバーガー」(レビュー記事)に通じる喜びがありますね。音楽に触れているような感覚というのが近い表現かもしれません。

ステレオラジオカセット「SCR-B7」
チューニングダイヤルでラジオを選局するのも懐かしいですね
USBメモリー、microSDメモリーカード内のMP3データを再生可能。再生中に長押しすればフォルダーを変更可能です
USBメモリー、microSDメモリーカードを使うより、Bluetooth接続したスマホから再生したほうがお手軽。ちなみにペアリングしていれば、「SCR-B7」から再生操作可能です
ステレオラジオカセット「SCR-B7」
出力レベルメーター(左・右)はアンプの出力レベルに合わせて動いて、懐かしさ大爆発。ただ、かなりボリュームを上げないと針が振れないのが難点です(つまりもっと頻繁に見たい)
カセットテープのたるみをひさしぶりに鉛筆で直しました。これ大事なんですよ

総合14W(7W+7W)の 2WAYステレオスピーカーは伊達じゃない!

 さて肝心の音質ですが、総合14W(7W+7W)のハイパワーデジタルアンプと12.5センチ+3センチのコーンツイーターを採用した2WAYステレオスピーカーを搭載しているだけに、音はかなりよいと感じました。今回は手持ちのカセットテープ3本で試聴してみましたが、7106円で購入した某超大手メーカーのCDラジオ(1.1W+1.1W)より断然音はよかったです。なんだかんだ、最後にはスピーカーの出力が物を言いますね。

今回視聴したカセットテープは、「Bohemian Rhapsody」、「天声ジングル」、「Guardians Of The Galaxy」の3本です
今回の3本は、ツメの内側に凹みがないので「ノーマル」テープ。そもそも「SCR-B7」は、より高性能な「ハイポジション」、「メタル」には対応していません

 なお、QUEENの「Bohemian Rhapsody」をカセットテープとMP3(160kbps)で再生し、それぞれの周波数特性を「Audio Frequency Analyzer」というスマホ用アプリで測定してみたのですが、MP3のほうが微妙に低域がよく出ているなぁというくらいで、「カセットテープって意外と音がいいんだな」という驚きのほうが大きかったです。

 ちなみに、カセットテープは映画「Bohemian Rhapsody」のアルバムに収録されていた「Bohemian Rhapsody (2011 Remaster)」、MP3はCD「Greatest Hits」に収録されていた「Bohemian Rhapsody (2011 Remaster)」を160kbpsで変換したものです。MP3はもっと高いビットレートで変換すれば音はよくなります。今回の結果はあくまでも参考に留めてください。

相対性理論の「天地創造SOS」を最大ボリュームで再生したときの音圧は実測97.4dBA。最大ボリュームにすると言い逃れできないレベルで近所迷惑になってしまう音圧ですね
「Bohemian Rhapsody」をカセットテープとMP3(160kbps)で再生したところ、MP3のほうが低域はよく出ていました。特にピアノの音には明確に違いがありました

 著作権上、音声トラックをミュートしていますが、「Bohemian Rhapsody」再生中の測定表示を比較しました。最初の「Is this~」でタイミングを合わせてYouTubeの公式動画「Queen – Bohemian Rhapsody (Official Video Remastered)」を再生すれば、それぞれの違いを細かく確認できます。ただし、再生速度が微妙に異なるのか、終盤でカセットテープのほうの波形が遅れているようです。こちらもあくまでも参考に留めてください。

 最後にUSBメモリーへのMP3録音を試してみました。MP3録音は、USBメモリーまたはmicroSDメモリーカードを装着した状態で、右側面の「PLAY /REC.」ボタンを長押しすれば、カセットテープ、ラジオ、本体内蔵マイク、AUX IN外部入力からいつでも録音可能。試しに先ほどのカセットテープやラジオ番組をMP3録音してみましたが、「SCR-B7」のスピーカーで聴いたかぎりはほぼ同じクオリティーで記録されていました。前述のとおり状態にもよりますが、カセットテープの音源のMP3化には十分利用できるはずです。

青春ラジカセ
「PLAY /REC.」ボタンを長押しすればいつでもMP3録音可能。タイマー機能がほしいところですが、シンプルなデザイン、操作性とどちらを優先させるか悩みどころですね

懐かしさに浸れるだけでなく 現代の音楽プレーヤーとしても活躍してくれる

 さて、恒例の主観的評価の出し惜しみはやめました。「エモ度」は100点満点中95点、「レトロ度」は100点満点中100点です!

 エモ度については、使い方や、聴く曲によって変わるかな。実家の押し入れから学生時代に作ったドライブデート用のテープが発掘されたら、悪い意味であまりのエモさに悶え、失神するかも。レトロ度は文句なしに満点。「SCR-B7」を箱から出して初めて見たときには、数十年ぶりに旧友と会ったような懐かしさを感じましたよ。

 ラジカセはこのあと怒濤の進化を遂げ、ダブルカセット、オートリバース、頭出し、倍速ダビングなどの便利機能が搭載されました。しかし、やはり「昭和レトロ」を代表するのは「SCR-B7」のデザインです。そして、MP3録音・再生、Bluetoothスピーカー機能も搭載されているので、懐かしさに浸れるだけでなく、現代の音楽プレーヤーとしても実用的に活用できるわけです。

学生時代に聴いた「コスモスに君と」(戸田恵子様)を「SCR-B7」から再生したら、ホントに泣いてしまいました

この記事を書いた人──ジャイアン鈴木

 EYE-COM、TECH Win、TECH GIAN、PDA Magazine、DIGITAL CHOICE、ログイン、週刊アスキー、週アスPLUSと主にPC系メディアで勤務。2015年1月よりフリーの編集兼ライターとして活動を開始した。

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