ソニー、世界最高性能のノイキャン性能をアピール、完全ワイヤレス「WF-1000XM5」
ASCII.jp / 2023年7月25日 10時5分
ソニーは7月25日、完全ワイヤレスイヤホンの新製品「WF-1000XM5」を発表した。価格はオープンプライスで、店頭での販売価格は4万2000円前後になる見込み。発売は9月1日を予定している。カラーはブラックとプラチナシルバーの2色展開。
世界最高峰のノイキャン性能と小型軽量な本体
WF-1000XM5は、WF-1000XM4の後継機種で、ソニーの完全ワイヤレスイヤホンの中では最上位機種となる。従来機の特徴を生かしつつ、ノイズキャンセル性能のさらなる向上、本体の小型化と装着感の改善、マルチポイント接続への対応などユーザーの要望に応えた。
最大のポイントは“最高峰”をうたうノイズキャンセル性能だろう。従来機との比較で約20%向上し、JEITA測定基準に則った計測で世界最高性能を誇るという(4月10日時点)。また、後述するようにドライバーが大型化し、チップも高性能化しているが、バッテリー駆動時間を維持しながら本体が小型化、軽量化した。
耳と設置する面を小さく、耳からの飛び出しも抑える形状にして体積は約25%ダウン。従来は片側約7.3gあった重量も約5.9gと約20%軽量化している。従来機では外に出っ張っていたマイクを収め、ミニマルなデザインに。小型化と風切音の低減が可能となっている。また、ケースも小型化。容積が約15%ダウンし、厚みも3mmほど減っている。WF-1000XM4と比べると、かなり薄型になった印象で、ポケットに気軽に入れられるサイズになった。重量も3g程度減っている。
デザインも従来機種を踏襲しつつブラッシュアップ。耳に近い部分は光沢塗装、外側はタッチ操作がしやすいマットな質感にして変化を持たせている。質感を変えようと思った場合、別パーツに分ける場合も多いが、WF-1000XM5では一度全体を光沢塗装し、外側を削ってマットな質感を出すなど、ひとつのパーツに異なる処理を加えることで実現。継ぎ目を意識させない作りになっている。
振動板は低域再現を重視し大型に
高性能なノイズキャンセリングを実現できたポイントは、より大型化したドライバーの採用やデュアルチップによるリッチな機能を搭載したためだ。これらはサイズ増につながりそうだが、薄く設計した新ドライバーユニットと、メイン基板のSiP(System in Package)化によって小型できた。
再現性の高いドライバーと高性能なプロセッサーの組み合わせは、ノイズキャンセル性能の向上に大きく貢献した。ドライバーの直径は、従来の6mmから8.4mmに大口径化。中心部(ドーム部)に軽量/高剛性の硬い素材、周辺部に振幅を取りやすいやわらかい素材を使用し、低域の再現力とワイドレンジ再生を両立した。「統合プロセッサーV2」による24bitの信号処理とノイズキャンセリングプロセッサー「QN2e」が内蔵するDACやアンプ機能でしっかり駆動することでひずみの少ない再現が可能だという。
従来モデルは「統合プロセッサーV1」のみで処理していたが、改めてノイズキャンセル用のプロセッサーを追加することで、リアルタイムのノイズキャンセル処理への対応、複数マイクから得た情報に基づく正確な制御が可能となった。
デュアルノイズキャンセリングで使用するマイクの数も両側4基から両側6基に増加。フィードバック用マイクをデュアル構成にしたことで、低域のノイズ抑制効果が低減したとする。
新しいフォームタイプのイヤーチップを同梱
イヤーチップはWF-1000XM4と同素材だが、形状を変更。新しい「ノイズアイソレーションイヤーピース」はWF-1000XM4と同じ低反発のポリウレタンフォーム素材だが形状を変更して、フィット感を高めている。根本に近い部分の厚さを薄くすることで変形の自由度が上がり、圧迫感の低い装着性になったという。耳穴が小さな人に向けてSSサイズも追加。先端部をSサイズよりもシャープにしている。また、メッシュを追加しゴミの除去もしやすくなった。WF-1000XM5の発売に合わせ、実売価格2000円前後(各サイズ)で単体販売も開始する。
通話品質改善とマルチポイント接続で仕事も快適
テレワークやウェブ会議の浸透によって、音楽を楽しむだけでなく仕事(通話)にも完全ワイヤレスイヤホンを使いたいというニーズが高まっている。WF-1000XM5は、WF-1000XM4でも採用した骨伝導センサーに加え、LinkBuds Sが採用したAI処理(声と環境音の分離アルゴリズム)も取り入れている。風切り音も低減し、屋外での使用もしやすくなっている。
また、要望の大きかったマルチポイント接続(最大2台)や低遅延なLE Audioにも対応。専用アプリ「Headphones Connect」の機能強化による簡便な音質調整など、さまざまな部分で機能の追加/アップデートを実施した点にも注目だ。。
特に面白いのがイコライザー機能の「ファインド・ユア・イコライザー」だ。これはHeadphones Connectのアップデートで実現するもので、自分の好きな音楽を再生しながら、最適なEQ設定を簡単に選べる直観的なUIとなっている。カスタム設定を始めると、傾向の異なるEQの候補が何個か上がり、最も良いと感じるものをボタンで選べるようになる。この作業を何度か繰り返すことで最適なEQ設定を絞り込める仕組みになっており、よくあるプリセットの選択以上に精度の高い追い込みが可能だ。EQカーブや低音・高音の量を調節する方式に比べて、簡便に狙った音にカスタマイズできるのが特徴だ。なお、ファインド・ユア・イコライザーはほかのソニー製イヤホン/ヘッドホンでも利用できるようになる見込み。
また、タッチセンサーにアサインするタップ操作は4タップまで設定できるようになった。ノイズキャンセル/外音取り込みの切り替、再生/一時停止、通話開始/切断、次の曲へスキップ、曲の最初に戻るといった操作に加えて、音量調節も本体にアサインできる。スマホを取り出さず、イヤホン操作だけでより多くの操作ができるようになった。
ソニーが力を入れている360 Reality Audioに関しても個人最適化技術がアップデート。耳を撮影した画像をクラウドに上げ、耳の形状にあった音の再現にする技術だが、精度が高まり奥行き・距離感、定位感、広がり感などが向上するという。
うなずいて通話、首を振って通話終了
WF-1000XM5は、ヘッドトラッキング技術も搭載。一つ目のメリットは立体音響の臨場感アップだ。Androidヘッドトラッキングと360 Reality Audioのヘッドトラッキングに対応。画面の向きと自分の頭の向きに連動して、音の定位が変わり、空間の中に自然にいるような音響を楽しめる。もうひとつのメリットは、クイックな操作への応用だ。うなずいて通話開始、首を振って切断といったヘッドジェスチャーへの応用も可能となっている。
バッテリー駆動時間は本体のみで8時間、ケース充電併用で24時間とWF-1000XM4と同等。加えて急速充電機能が5分で1時間再生から、3分で1時間再生へと向上した。
IPX4相当の防滴仕様、Fast Pair 3.1/Swift Pair対応、Qi充電対応。BluetoothコーデックはLDAC、AAC、SBC、LC3などに対応する。DSEE Extreamに対応。AIを活用したDSEE Ultimateにより、圧縮音源やCD以下の品質の音源もハイレゾ品質にアップコンバートする機能も持つXperiaなどと組み合わせることで、バッテリー消費を抑えつつ、高音質な伝送も可能だ。
延長保証キャンペーンとして、9月19日までの購入/10月3日までの応募で保証期限が2年(通常保証+1年)に増える予約・早期購入者向けキャンペーンも実施中だ。
ソニーストアでの保証内容もアップデート
直販サイトソニーストアでは、WF-1000XM5の発売に合わせて“ヘッドホン ケアプランワイド”も用意。もともとソニーストアで購入した場合は、標準(追加料金なし)で3年保証と一般的な販売店より長い。さらに、有償のヘッドホン ケアプランワイドに契約すれば、落下/水濡れによる故障や片方のヘッドセットの紛失といった問題が発生した場合の修理金額が減額される。これまでも3年、5年の長期保証サービスや紛失安心サービスなどはあったが、年単位での更新とすることで、より短い期間で買い換えたいと考えるユーザーにも合ったプランにした。
ヘッドホン ケアプランワイドの料金はクーポン利用で初年度1650円、2年目以降3300円。サービス加入中にイヤホンの片側を紛失した場合は5500円で1年1回だけなくしたイヤホンを提供してもらえる(通常は1万2500円)、水没や破損などの修理は1回目が無料、2回目以降は50%オフとなる(通常1万7000円程度かかる修理が8500円程度になる)。
なお、ヘッドホン ケアプランワイドは、9月1日以降、他のソニー製イヤホンでも順次利用できるようにするそうだ。
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