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単なる接着剤じゃない! 5分で固まる「プラリペア」の実力とは?

ASCII.jp / 2023年8月14日 18時0分

補修材キットの「プラリペア」

 組み立てや補修に欠かせない接着剤。接着する素材や用途によって最適なものが変わるため、「これがあれば万全」というのがないのが悩みです。

 最近は、素材を選ばず使える多用途接着剤の性能がかなり上がっていて、強度がそこまでいらない用途であればかなり使えるようになっています。しかし、割ってしまった樹脂の補修など、硬化後の強度が必要な用途には向いておらず、ちょっと力を加えるとスグに剥がれてしまうことも。

 こういった、力が加わる部分の樹脂補修に使えるのが、「プラリペア」(実売価格1260円)です。

補修材キットの「プラリペア」
補修材キットの「プラリペア」

どうやって使うの?

 プラリペアの特徴は、パウダーとリキッドの2つを混ぜると硬化し、アクリル樹脂になること。この時、接着対象の樹脂と化学結合、もしくは付着接着が起こるため、かなり強力にくっつきます。

 また、樹脂化するため欠損部分を埋めることも可能。元の強度近くにまで補強できるため、接着剤ではなく「造形補修材」となっています。欠けた部品が見つからなくても、同じ形の正常な部分で型取りし、欠けた部分を複製することだって出来ちゃいます。

 硬化時間は、約5分(25℃)。硬化後は削ることもできるので、ヤスリなどでサイズや形を整えれば完全に元通り……とまではいかなくても、機能的な復元は意外と簡単です。破断やひび割れの補修、ネジ穴やツメの復元などで活躍してくれること間違いなしです。

 対象物になるのは、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂、スチロール樹脂、FRP(ポリエステル樹脂)、アクリル樹脂、塩化ビニル樹脂。一般的にプラスチックとまとめて呼ばれるものの多くが対象。これ以外にも、アルミ、木、石、陶器などにもくっつきます。

2つの方法で、割れたプラスチックの補修にチャレンジ

 本当に偶然なんですが、ちょうどアーロンチェア(18年目)の背もたれ部分、ポスチャーフィットのプラスチック部品(ABS)が割れていたんですよ。普段、あまり背もたれを使わない座り方をしてるので放置していたのですが……。

補修材キットの「プラリペア」
3枚の板で構成されているうち、2枚が割れていました

 ここで、気づきました。これ、プラリペアの実力を試すチャンスなんじゃないか、と。接着剤では無理だろうと諦めていたけど、ついに補修をする時が来たんじゃないか、と。

 ということで、試してみましょう。

 プラリペアの使い方は大きく2つ。ひとつは「ニードル法」と呼ばれているもので、パウダー容器に少量リキッドを垂らし、球状になった塊を補修部へ充填するものです。もうひとつは「ふりかけ法」で、これは先に補修部にパウダーを載せ、そこにリキッドを垂らしていく方法です。

 プラリペアでの補修を試す前に、まずは下準備から。割れた口をそのままくっつけようとすると接着面積が狭く、強度が出ません。そこで、割れ口をヤスリやカッターなどで削り、V字になるよう加工します。

補修材キットの「プラリペア」
破断だけでなくひび割れもあったので、彫刻刀で削りました

 続いて、プラリペアのキットを開封し、リキッドと作業用の容器を取り出します。付属のスポイトで容器へとリキッドを移したら、キャップをしめ、ニードルを挿し込みましょう。

作業用の容器にリキッドを移し、ニードルを挿した状態

まずはニードル法を試してみます。

 パウダーの入っているカップのフタを開け、ニードルから1滴リキッドを垂らします。するとパウダーに染み込み球形になるので、それをニードルの先で掬い取り、補修部へ移動します。

補修材キットの「プラリペア」
ニードルの先で、球形にまとまったパウダーを掬います

 移動したら容器を押してリキッドを出し、球形のパウダーを溶かしながら補修部を埋めていきます。この時、時間をかけてしまうと球形のパウダーが固まってしまうので、なるべく手早く作業しましょう。また、リキッドをケチるとなかなか球形のパウダーが溶けてくれないので、少しシャバシャバになるかも、というくらい出す方がうまくいきました。

補修材キットの「プラリペア」
リキッドをさらに出してパウダーを溶かし、補修部を埋めます

 ニードルの先で伸ばしたり均したりして、ある程度形を整えればOKです。これを繰り返し、すべての補修部を埋めていきます。

 続いて、ふりかけ法です。

 こちらは、先に補修部をパウダーで埋めておくのが大きな違い。パウダーはものすごく細かく、そしてサラサラなので、ちょっとの振動で崩れ、わずかな風で吹き飛びます。ステンレスの耳かきなどで少量ずつ載せていき、小さなヘラで形を整えていくのがいいでしょう。自分は、手元にあった小さな薬さじを使いました。

先に補修部にパウダーを載せておきます

 なお、関係ない部分にパウダーが広がってしまった場合は、筆でなでると簡単に除去できます。完全にやり直したいときはひっくり返し、風で吹き飛ばすのもいいでしょう。

 ふりかけ法のいいところは、時間を気にせずゆっくり作業できること。過不足ないよう、補修部にパウダーを載せていきます。

 パウダーを載せ終わったら、その上からリキッドを垂らしていきます。端から順番に、自然とパウダーに吸い込まれて広がっていくくらいの量を垂らしていくのがコツです。

補修材キットの「プラリペア」
端から垂らして、パウダーを馴染ませていきます
補修材キットの「プラリペア」
ちょっと多めかな、というくらい垂らすと馴染ませやすかったです

 パウダーがうまく行き渡っていない場所があれば、ニードルの先で整えます。ニードル法よりも時間的な余裕があるため、あわてずに済みます。

 補修部を埋め終わったら、5分以上そのままにして硬化を待ちます。30℃以上の室内で作業しましたが、ある程度硬化するまでは5分もかかりませんでした。ただし、削ったりできるほど硬くなるのはもっと後。最低でも10分、できれば30分くらい待つ方が無難です。

 練習しないままぶつけ本番で補修を行った結果、ニードル法はコツがうまくつかめず、あたふたしているうちに固まりかけたりして、かなり凸凹に。ふりかけ法はイイ感じに見えましたが、パウダー不足で凹みが残ってしまいました。

 このままでも強度はありますが、見た目が悪いし、何より引っかかって使い物になりません。硬化後にヤスリで平らに削り、凹みはプラリペアで再度埋めて、補修を完了しました。

(次ページ、ガラスクロスでさらに強度を高める方法)

ガラスクロスで補修強度をさらに高める

 手で軽く曲げても折れないことは確認したものの、更に力をかけてしまうと折れてしまう可能性があります。そこで、「ガラスクロス」(実売価格770円)を使って強度を高めることにしました。

 といっても、やることはシンプル。ガラスクロスを使いたいサイズに切り出し、パウダーをふりかけ、リキッドで湿らせてから、補強したい部分に貼り付けるだけです。

 なお、パウダーをふりかけるときは、下にポリエチレンシートを敷いておきましょう。そうじゃないと、下に貼りついてしまいます。

補修材キットの「プラリペア」
まずはガラスクロスを使いたいサイズに切ります
補修材キットの「プラリペア」
ガラスクロス全体に、うっすらとパウダーを振りかけます
補修材キットの「プラリペア」
リキッドを垂らし、全体を湿らせます
補修材キットの「プラリペア」
補強したい部分に貼り、全体が均一になるように指で押します
補修材キットの「プラリペア」
硬化するまで待って剥がしてもいいですし、待たずに剥がしてもOK

 ガラスクロスを樹脂で固めるというのは、FRP(Fiber Reinforced Plastics、繊維強化プラスチック)と同じ。軽くて強度のある、強化プラスチックです。

 とくに今回のように、力が大きくかかる部分の補修なら、ガラスクロスを使用したほうがいいでしょう。元々、割れるほど力が加わった場所ですからね。

最初は難しく感じるが、意外とすぐにコツがつかめる

 ニードル法を試したものの難しく、最初は「うまく広げられないしスグに固まるし無理ゲー」と思いましたが、2回、3回と補修経験を重ねるうちに、垂らして掬うパウダーの量、1度に埋められる範囲、どのくらい薄めると広げやすいか、などが分かってきて、急速に上達します。最初からうまくできるとは思わず、何度か練習してみるといいでしょう。

 ふりかけ法は最初からある程度うまくできますが、細かい部分の補修には向いていません。使った感触から判断すると、深い傷や小さな範囲の補修はニードル法、広い範囲や浅い傷の補修ならふりかけ法が向いていると感じました。

 接着剤では強度が足りず、修理を諦めていたものも、プラリペアならうまくいく可能性があります。樹脂製品が割れて困っているなら、試してみる価値はあるでしょう。そうそう、強度を出すには破断面V字に削ったり、ヤスリで表面を荒らすといった一般的なテクニックが必要となるので、そこは必ず忘れずに。

 なお、座面の横糸が一部切れてしまい、ほつれかけていたので、この部分を周囲ごとまとめてプラリペア(正確には、プラリペアと同成分の別物ですが)で固めてみました。糸だけくっつけるのは無理ですが、周囲ごと固めれば進行を食い止められるのではないか……という甘い考えです。

切れてしまった横糸を、周辺もろともガチガチに固めました

 10日ほど経過していますが、今のところ成功している様子。周囲の糸が切れやすくなりそうなので過信は禁物ですが、応急処置としては悪くなさそうです。

●お気に入りポイント●

・ガラスクロスの併用で、かなり強固になる

・後から削れるので、形を整えられる

・ホワイトだけでなく、クリア、ブラック、レッド、イエロー、ブルーの計6色ある

※十分な換気をし、ご自身の判断のもとで安全にご使用下さい。

この記事を書いた人──宮里圭介

 PC系全般を扱うフリーランスライター。リムーバブルメディアの収集に凝っている。工作が好きだが、最近あまり時間が取れないのが悩み。

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