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M.2 NVMe SSD対応の超小型「SHARGE Disk」をいち早く試した

ASCII.jp / 2023年9月29日 11時30分

今週からMakuakeで応援購入の始まった「SHARGE Disk」のエンクロージャーをウエスタンデジタルの2230 M.2 NVMe 1TB SSDを入れていち早く使ってみた

 米国クラウドファンディングであるKickstarterやIndiegogoで先行し、超人気の小型軽量のEDC(EveryDay Carry)デバイスに特化したSSDエンクロージャーが、国内のクラウドファンディングであるMakuakeで応援購入を開始した。EDCデバイスとは、現代人が日常持ち歩くことの多い標準的にUSBインターフェースを備えたスマホやモバイルPC、デジカメなどを指す。

 読者諸兄姉もご存じのように、クラウドストレージによるファイル共有や交換が進化普及しても、まだまだEDCデバイス間のデータのやり取りで活躍しているのは、セキュリティ管理の面で昨今やや世間の風当たりの強いUSBドライブだったりする。

 昔、某社で世界初のUSBドライブの商品企画に関わったこともあり、使い方を間違わなければまだまだUSBドライブは便利で有用な実用ガジェットのひとつだと思っている。ただ毎年のように小さく速く安くなるSSDの勢いに押され気味だ。

SHARGE Diskはクレジットカードの半分以下のサイズ、誰もが知ってる消しゴムサイズだ

Sharge Technology製 M.2 NVMe SSDを内蔵可能なエンクロージャーを試した

 今回ご紹介するSHARGE Disk(シャージディスク)は、そんなSSDの中でも最も小さなフォームファクターであるType2230(22×30mm)M.2 NVMe SSDを内蔵できて、ほんの数秒以内に挿抜・交換することもできるSharge TechnologyのM.2 NVMe SSD専用エンクロージャーだ。

専用のEDCキットのシリコンケースに収納することで耐衝撃性能や防水・防塵性能が向上する

 実際の商品はM.2 NVMe SSDの入った専用エンクロージャーと、それを保護するEDCキットと呼ばれる専用シリコンケースやストラップに変身するケーブル長20cm(コネクタ部分含まず)のUSB Type-Cケーブルを組み合わせて日常使うイメージだ。

同社の得意なUSBケーブルに変身するストラップも健在だ

 M.2 NVMe SSD専用エンクロージャーには、ケーブル接続時に強制クーリングをするための直径16mmほどで11枚羽根の小さな白いファンが付いている。クーリング機能を阻害しないために動作時にはエンクロージャーをシリコンケースから取り出すか、アクリルの透明カバーを開放することが必要だ。

 携帯時にはストラップとなり、使用時には10Gbps対応のUSB Type-Cケーブルとなるアイデアケーブルは、Sharge Technologyの既存の商品である本コラムでも紹介したCapsule GravityやStarship Seerなどのユーザーにはおなじみだろう。今回のケーブルもなかなかスムースに、ケーブルとストラップの2者をうまく変身してくれる。

EDCキットのケーブルを利用すれば、シリコンケースを外さなくてもキャップを開けてケーブルをつなぐだけで、EDCデバイスとの接続が可能だ

 SHARGE Diskのシリコンケースを装着したまま付属のUSB Type-Cケーブルで外付けの大容量SSDとして使用する時は、ケースから取り出すことなくSHARGE Diskのシリコンケースの上部のキャップをめくるだけでUSB Type-Cケーブルを接続可能だ。もちろん必ずファンのアクリル製カバーを開けることを忘れずに。

強制冷却のためにカバーは開けておこう。側面の空気取り込み口、その横にあるのは上書き消去防止スライドスイッチ

 EDCデバイスに直結する場合は、シリコンケースからSHARGE Diskエンクロージャー本体を取り出し、Type-Cポートを備えたデスクトップPCやモバイルPC、スマホなどに接続するだけで機能する。今回のSHARGE Diskのパートナーは、筆者のメインPCであるThinkCentre M630e TinyとThinkPad X1 Nano、Leitz Phone 2、Galaxy Z Fold4の4台だ。

SHARGE Diskはシリコンケースを取り外すことでPCやスマホなどのEDCデバイスの多くとケーブルレスで直結も可能だ
スマホにバンパーやケースを取り付けている場合は直結が難しいことも多いので、ケーブル接続がお勧めだ
コンパクトなSHARGE Diskの両面は、内部が見える筐体を採用している。一方からは毎分1万3000回転する11枚羽根の白いファンが見える。反対側の窓には内蔵する2230 M.2 NVMe SSDが見える

ウェスタンデジタル製SN740 SSD(1TB)内蔵モデルをテスト

 今回、筆者が紹介するのはエンクロージャーにあらかじめウェスタンデジタル製の1TB容量のSN740 SSDを収納したモデルだ。Sharge Technologyでは先行する海外のクラウドファンディングでの販売と同様、SHARGE Diskの専用エンクロージャーを販売する。内蔵するSSDはフォームファクター2230(22×30mm)のM.2 NVMe SSDならメーカーは問わない。

ガラスのカバーはプッシュ&プルで簡単に取り外せて内蔵2230 M.2 NVMe SSDの取付・取外し・交換が簡単にできる

 EDCキットのシリコンカバーを取り去ったSHARGE Diskのエンクロージャーは、両面とも内部が見える構造になっている。片面からは前述した毎分13000回転でSHARGE Disk内の温度を最大マイナス20度に実現する白い強制ファンが見える。もう一方の取り外し可能なガラス窓からは、フォームファクター2230のM.2 NVMe SSDが見える。

 エンクロージャーはUSB Type-Cプラグと反対側のガラス面を少し押してプラグ側にスライドさせると、カバーが開く構造になっている。WD SN740 1TB SSDを固定しているゴムの支柱を回転させて、上側に浮き上がったWD SN740 1TB SSDを引き抜き、より容量の大きな2TBのWD SN740 SSDに交換や、今後種類が増えるであろう他社製の2230サイズのSSDとの交換も可能だ。

2230フォームファクター(22×30mmサイズ)のM.2 NVMe 1TB SSDは小さく軽く速い

 現在のところ筆者のWD SN740 SSDの価格は、1TBで1万5000円前後だ。実は筆者が生まれて初めて1970年代に触れたHard Diskは、IBMの3330というリムーバルディスク装置に入れるカートリッジ型の3336ディスクパックという製品だった。直径38cmのアルミニウムのディスクが12枚スタックされ、その高さは18cmほどで重さはなんと9kgもあった。

 しかし容量はたったの100MB。1970年代の当時に購入すれば1個100万円ほどした記憶がある。今回のSHARGE Diskは容量的には3336ディスクパック1万個分だ。普通の家にはとても入りきれない。そして単純計算すると1TBのSHARGE Diskの価格は従来価値に置き換えると何と100億円と言う計算になってしまう。

 読者諸兄姉にはご存じの方も多いだろうが、1970年代のディスクから1980年代にはより高密度な小型のディスクドライブが登場し、19990年代には高密度化はより加速、そして2000年以降にはSDカードなどのシリコンドライブが登場、現在主役のSSDがストレージの多くを占める時代となった。

1970年代〜2020年代はストレージ発達の歴史でもある。究極のSHARGE Disk Enclosure with 2230 M.2 NVMe 1TB SSDの実測重量はたったの25gだった(スペックは24g)

 今回ご紹介しているSHARGE Diskは、それら過去の製品とは格段の開きがある実測25gとウルトラ軽量だ。そして回っても回らなくても大昔からディスクストレージのキモは転送スピードであることは50年経った今もなんら変わっていない。

 今回は筆者の普段使いのSSDの中から一番最近入手して、今も現役のUSB3.1 Gen2(10Gbps)対応の「VAVA Portable SSD(1TB)」との比較テストをやってみた。VAVA Portable SSD(1TB)は過去に当コラムでもCrystal Disk Markでスピードテストしたが、リード540MB/sec、ライト480MB/secという好成績の製品だった。

USBメモリーに代わる筆者の昨日までのメインのSSD VAVA Drive 1TBと最新のSHARGE DiskとをCrystal Disk Markで比較してみたところSEQ READは最大230%も速かった

 今回は再度同様のテストをしてみたところ、リード458MB/sec、ライト453MB/secと従来より少し遅いが、なかなかのハイススピード性能だ。同様のテストを今回のSHARGE Diskにやってみたところ、何とリードは1057MB/sec、ライトは854MB/secとVAVAよりも188〜230%も高速だった。

 クラウドストレージが普通の昨今でも、PC内の大きなデータを身近にあるUSBメモリーにコピーして持って出かけ、目的地で別のPCにコピーするケースは比較的多いだろう。やはりベンチマークテストより実際のスピードが肝心だと言うことで、SHARGE Diskを大型データのキャリアとして利用する場合の実際のスピードを何度か測定してみた。

 筆者のThinkPad内蔵SSDに入っている動画ファイル113個、合計4.5GBをSHARGE Diskにコピーしてみたところ、最速9.8秒で100%終了した(VAVA SSDは15.8秒)。試しに筆者の普段使いのType-AとType-Cの両方のプラグのあるSP USBメモリー(64GB)に同様の動画ファイルコピーをやってみたところ、全部のファイルをコピーするまでに要した時間は7分48秒と50倍近くかかってしまった。

ついこの間まで使っていたType-Cプラグ付のUSBメモリーで同じことをやってみたら4.5GBの動画の書き出しに7分48秒も必要だった

 続いてコピーした動画ファイル(4.5GB)の入ったSHARGE Diskを筆者のGalaxy Z Fold4にEDCキットのUSBケーブルで接続し、すべてのファイルをコピーしてみたところファイルコピーに要した時間は最速21.2秒だった。いずれもスマホのストップウオッチで測定したので、運動神経の鈍い筆者の押し遅れを上下で5%くらいは見る必要がありそうだ。

 しかし以上の数字からThinkPad内のSSDにあった4.5GBのファイルを一度SHARGE Diskにコピーし、続いてGalaxy Z Fold4に再コピーするのに要した総時間は、合計でもたったの30秒程度で完結することとなる。人の操作の時間を入れても、確実に2〜3分以内には数ギガ程度のファイル転送は終結しそうだ。これは極めて快適なスピードだ。

実際の動画ファイル(113個)4.5GBの転送はたった9.8秒で終了した。そしてSHARGE Diskからスマホへの書き出しは21.2秒で終了した。これは筆者が今まで使った中で最高速だ

 ネットワーク環境に依存したクラウドストレージを介してのデータコピーや、共有ではないオフラインでの高速処理にSHARGE Diskは強力な助っ人だ。忙しくて時間がない時にPCから必要な大きなファイルをコピーして持ち出す場合や、デジタルカメラから高密度大容量の映像ファイルを移動させる時、そしてそれらをスマホに再移動させたりするときにもSHARGE Diskは極めて効果的だ。もちろん上書き誤消去防止スイッチも本体横に付いている。

SHARGE Diskは多少デリケートな精密機器ではあるがシリコン製落下衝撃耐用・防水・防塵のケースとUSBケーブルに変身するハンドストラップがあれば、どのようなモバイル環境でもアクティブに活用できそうだ

 たった24gの2230フォームファクターのSHARGE Diskは、EDCキットで提供される専用シリコンケースとケーブルを使って日頃持ち歩いている鞄やバックパックの持ち手やフックにぶら下げることが可能だ。専用シリコンケースに収納することで、落下はもちろんIP54規格の防塵・防水となり多少の雨でもホコリでも安心だ。先ずは現在開催中のクラウドファンディングを見て考えよう。

 
T教授

今回の衝動買い

・アイテム:Sharge Technology「SHARGE Disk 1TBセット」 ・販売:Makuake ・価格:2万2990円(300名限定・早割21%OFFを適用した価格)

T教授

 日本IBMでThinkPadのブランド戦略や製品企画を担当。国立大芸術文化学部教授に転職するも1年で迷走。現在はパートタイマーで、熱中小学校 用務員。「他力創発」をエンジンとする「Thinking Power Project」の商品企画員であり、衝動買いの達人。

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