サンレコフェスで見つけた、実力派プロ用ヘッドホン
ASCII.jp / 2023年10月1日 17時0分
サウンド&レコーディング・マガジンが主催するプロオーディオ機器の展示会「サンレコフェス 2023」が9月23日と24日の2日間にわたって開催された。場所は神田のKANDA SQUARE ROOM & CONFERENCEで、入場無料(登録制)だった。主に業務用スタジオ機器のイベントだが、筆者はコンシューマがリスニング目的にも使えるようなプロ機材を探しに出かけた。国内のヘッドホンイベントでも馴染みのあるメーカーも参加していて、その新製品も見られた。
FitEarは名無しのヘッドホン
FitEarのブースではいくつかの興味深い展示があった。名称未定の「名無しのヘッドホン」はヘッドフォン祭で過去に展示したものを製品版にしたものだ。西洋梨型のヘッドパッドが目新しい。業務用なので左片出しのケーブルだが、右側にもメクラ穴のような細工がなされているのが面白い。パンチがあって歯切れ良い音で、リスニング目的にも良いと思う。
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また、謎めいた試作イヤホンも展示されていた。きれいなスモークカラーのハウジングをまとったコンパクトなイヤホンで、ヴォーカルの再現力に光るものがあった。バックバンドとの距離感再現も良い。双方とも価格や発売時期は未定である。
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アユートはUltrasoneやAstell & Kernの新製品
アユートブースでは、Ultrasoneの「Signature Pure」が展示されていた。春のヘッドフォン祭でも参考出展していたが、プロ向けの「Signature」シリーズではエントリーモデルであり、価格3万3000円で9月末発売。S-Logic 3を搭載していて、Ultrasone伝統のDJモデルらしい低音の迫力と共に音の広がり感も良い。
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またAstell & Kernの完全ワイヤレスイヤホン「AK UW100」の後継機「AK UW100II」が本邦初公開された。ケースはオリジナルモデルよりも小型軽量になり、ポケットにも入れやすくなったと思う。音を聞いてみるとオリジナルより音の広がりが良くなり、全体的な音質も向上したように思う。
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完実電気はAUDEZEの新平面磁界型ヘッドホン
完実電気は、AUDEZEの最新モデル「MM-100」を先行展示した。これはプロ用モデルの「MM-500」(約30万円)の下位機種で、8万円前後に低価格化した。もちろんAUDEZE伝統の平面磁界型ヘッドホンだ。音質も極めて優れていて、パンチがあってクリアなサウンドが楽しめ、解像力も高い。MM-500よりも明るく伸びやかな音で能率も高いように感じられる。片出しのケーブルだが左右にケーブルの付け替えが可能だ(両方は使えない)。ちなみに、ソニー・インタラクティブエンタテイメントがAUDEZEを買収したというニュースがあったが、完実電気担当の販路はこれまで通りで影響がないということだ。
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Shure、Austrian Audio、Mackieのヘッドホン
Shureはいくつものヘッドホンを展示していたが、手頃な価格の「SRH840A」を聞いてみた。価格は2万7000円。モニター的というよりはリスニング目的にも使えるような音楽的な暖かみのある音場表現とサウンドの滑らかさ、女性ヴォーカルの音色再現が良い。やはりコンシューマ市場でも人気のブランドだけあって、リスニング用にも考えられているのかもしれない。
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Shureを国内で有名にした「E2c」というイヤホンの名称の「c」とはコンシューマ販路のことで、当時はプロ用とコンシューマ用を分けていた。いまでは特に明記することもなくどこでも買えるようになった。言い換えるとプロ機材をコンシューマ機材に転用する草分けがShureであったとも言えるかもしれない。
Austrian Audioは元AKGのメンバーが中心になって立ち上げたメーカーだ。5万円の「Hi-X60」は密閉型だが、こもり感が少なく音の広がりが良い。音もシャープだ。2万7000円の「Hi-X50」はオンイヤー型で、低域のパンチがよく、こちらは密閉型らしいサウンドだ。楽器の歯切れも悪くない。両者とも一般ユーザーが専門店などで購入できる。
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一般ユーザーにはあまり馴染みないが、Mackieのプロ向けヘッドホンがなかなか良かった。「MC-350」は密閉型のダイナミックドライバー機で、試聴してみるとヴォーカルが鮮明でウッドベースの解像度も高い。これは2万4000円という価格に驚いてしまうくらいだ。「MC-100」は軽量なエントリーモデルだ。MC-350に比べると甘い音だが、3700円という価格を考えると立派だと思う。両者とも一般ユーザーがアマゾンや量販店などで購入できる。
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安くて音のいいプロ用ヘッドホン/イヤホン
プロ用ヘッドホンは、操作性などの観点で左片出しのケーブルになっているが、それを気にしないのであれば、コストパフォーマンスのいいヘッドホンとしてリスニング目的に使える。サウンド傾向もいわゆるモニター的と言っても、そう無味乾燥というわけでもない。解像力が高い音傾向は好むユーザーも多いと思う。
昔ヘッドホンブームの当初はリスニング用のコンシューマモデルに良い機材がなかったので、プロ機材を使うのは半ば当たり前のことだった。モバイル用のヘッドホンは右片出しのゼンハイザー「HD 25」を普通に使っていたし、イヤホンも高性能イヤホンといえばShureのE2cや「E5c」、あるいはEtymotic Researchの「ER4」などだった。
最近はコンシューマ向けの高性能機も増えたが、安くて音の良いプロ機を探してみるのも良いと思う。
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