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やっぱりアトモスはいいぞ! ガールズ&パンツァー最終章 第4話は本日公開!

ASCII.jp / 2023年10月6日 13時0分

 作戦開始です!! 『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話の劇場上映が本日10月6日(金)に始まった。

 第3話であんこうチームを失った大洗女子学園。まさかの事態のその後はどうなるのか。見逃せないストーリーに大きな期待を寄せている読者も多いはずだ。そして、“ガルパンの魅力”とも言える、映像と音響は今回もスゴい! 作りこまれた戦車と戦車のバトル、そしてその凄さを引き出す音の世界は、ぜひ劇場で確かめたい。もちろんドルビーアトモスでの上映も決定している。

『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話
(C)GIRLS und PANZER Finale Projekt

『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話 2023年10月6日(金) 劇場上映 配給:ショウゲート、制作年度:2023年、上映時間:54分

『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話
3DCGI監督 柳野啓一郎さん(左)、音響監督 岩浪美和さん(右)

 そんなガールズ&パンツァーの映像と音響を一足先に体験できる機会が提供された。イマジカ・第2試写室で実施された『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話のドルビーアトモス上映試写会だ。その場で語られた3DCGI監督 柳野啓一郎さん・音響監督 岩浪美和さんのコメントを中心にレポートしよう。

待ってました! ガルパンのアトモス

 ドルビーアトモスの魅力は、映画において“イマーシブ”な体験(没入感)を提供する最高峰フォーマットのひとつであること。2012年に開発され、2013年の「ゼロ・グラビティ」など、さまざまな作品で採用されてきた。その勢いは増しており、現在はハリウッドのメジャー作品はもちろん、Netflixなどで配信されているオリジナル番組など、ハイクオリティをうたう映像作品では標準的なフォーマットとなっている。

『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話
あんこうチームは早々に戦線を離脱、大洗女子学園は絶体絶命!?

 アニメでは2017年の「BLAME!」が皮切り。ガールズ&パンツァーでは、2018年の『ガールズ&パンツァー 最終章』でアトモス版の上映が実施され、映画館全体が響く包み込まれるようなサウンド、位置が明確で臨場感あふれる効果音など、アトモスならではの音の世界を表現している。ガールズ&パンツァーのヒットはアトモスの普及を後押しし、体験の機会を広がるきっかけを作った。アニメのみならず、映像における音の重要性が改めて認識された結果だろう。

『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話
視界の悪い雪原での対戦

密度感の高い映像を生かす音響の演出

 先述の「BLAME!」から数えて、岩浪音響監督がドルビーアトモスを手掛けるのは11作品目。ある意味日本で一番アトモスを作っているクリエイターと言える。ただし、本作では従来手掛けてきたものとは少し異なるアプローチで作品作りに臨んだそうだ。

『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話
トークショーの様子

 その理由は映像にある。試写会後、岩浪音響監督が最初に口にしたのは「シナリオを見てどうなんだろう、コンテでもどうなんだろう。映像をみてぶったまげた。やりすぎでは?」という言葉。約54分の上映時間のうち、バトルシーンが占める時間は40分以上。普通ではあり得ない尺の長さに加え、内容がかなり詰め込まれた密度の高い映像になっていることに驚いたのだという。

 アクションシーンがウリのガールズ&パンツァーだが、それでもバトルシーンと日常シーンの割合は半々程度だった。「これまでは観客が落ち着いて観られるシーンと迫力のあるシーンでメリハリを付けた演出ができた」が、本作では「映像の密度がものすごいので、いままでのようにでしゃばってはいけない、映像の理解度を深めるような音作りを目指した」と岩浪音響監督は話す。BGMも最小限とし、音響的にも音量的にも、「対戦のクライマックスに向けた流れを重視するつくりになっている」という。こうした表現も「映像のすごさ」を生かすための配慮だ。

岩浪「(過去には)結構無茶な音をいれたこともあったが今回はそうではない。音でドヤっとするものではないです(笑)」

アトモスだから、いま何が起こっているか、どういう状況なのかが分かる

 その意味するところは比較用に用意された5.1ch版を見ることでよく感じ取れた。

 ドルビーアトモスは、空間の狙った場所に音を自在に配置できるオブジェクトベースの技術である。横、縦、高さそれぞれの軸に対して約1000ポイント、全体で10億ポイント以上になる座標上に、音(オブジェクト)の位置をピンポイントで指定でき、爆発はここ、弾丸はこの位置からこの位置へなど、物体ごとに独立した音を動かせるのが特徴だ。5.1chや7.1chのサラウンドは現在の映画館における標準的なフォーマットであり、音の広がりや迫力という点では十分な表現力を持っているが、音の移動や方向感の再現という意味では、やはりドルビーアトモスにはかなわない。

『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話
継続高校の「白い魔女」ヨウコの狙撃に苦戦?

 ガールズ&パンツァーの魅力は戦車と戦車の激しい対戦だ。複数台の戦車が絡んだ乱戦になることも少なくない。その迫力を増すために、カット割りではアップや一人称の視点が多く用いられる。ここで問題になるのが、いま目の前で何が起こっているのか、各車両の位置関係はどうなっていて、誰が放った弾丸がどの方向から飛んできたのかといった情報の把握がしにくくなることだ。この情報を補うのが、音による演出だ。ドルビーアトモスを用いれば、右から放たれた弾丸が装甲に当たった、だから敵は右にいるはずだといった空間の把握を、画に加えて音を通じて効果的に補える。

岩浪「(戦車や弾丸の)フレームイン、フレームアウトの表現もすごく多いので、音の移動感をどう見せるかに配慮しました。観客に対して『映像のここを見てほしい』『ここですごいことがおきているよ』といった位置の情報が明確に伝わるようにし、鑑賞の助けになるような音作りを心掛けています」

『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話
(C)GIRLS und PANZER Finale Projekt

 ドルビーアトモスで制作した本作品の音響には、一皮むけたような抜け感の良さがある。特に効果音は明瞭で、戦車の車内のシーン、そして吹雪や砂塵が吹き荒れる屋外のシーンなど環境音による場面の変化、状況の変化も感じ取れる。また、音数があるのに、セリフや音楽がしっかりと分離して、まったく聞き取りにくくないというのも印象的な部分だ。これに映像を補完する音の演出が加わることで、シーンの理解度が高まり、まるでその場に立ち会っているかのような没入感が高まることになる。

 ガールズ&パンツァーと言えば、つかみのある音響=迫力のすごさが特徴のひとつだった。しかし、『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話では、こうした分かりやすいエンターテインメントの枠を超え、映像と音声が一体となることで、深く練り込まれた対戦自体、戦車とキャラクターが織りなすドラマを楽しめる、より新しい表現に挑戦しているのだ。

『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話
決勝戦に向けたもうひとつの戦いは、聖グロリアーナ女学院と黒森峰女学園の間で

世界的に見ても最高峰と誇れる アクションシーンの完成度

 『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話の総カット数は1000を超えたという。柳野3DCGI監督によると、そのうちCGが使われているカットは800を超えたそうだ。また、『ガールズ&パンツァー 最終章』では第3話から制作方法を変えており、コンテなどで描かれた情報を一度3Dに置き換えて戦車の挙動、コミカルな演技などをブラッシュアップしていく手法を取っているのだという。

 水島努監督の了承はもちろん取っているが、柳野3DCGI監督のほうで提案し、こうしたらより魅力的なシーンとして描けるという提案もかなり多くしているそうだ。

『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話
(C)GIRLS und PANZER Finale Projekt
『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話
黒森峰女学園と聖グロリアーナ女学院の対戦も、息もつかせぬ激戦に

柳野「戦車の細かい動きや発砲──仮に名前のないキャラクターが載っている戦車でも(戦っている以上は)本気で撃っているはずだという考え方で作ると、自然に演技ができてきます。映像の中で人物が生き始めると、ある意味勝手に動き始めるのです。これが今回できました」

 戦車のディティールがシリーズを通じて少しずつブラッシュアップしている点も見逃せない。「テレビ版から久しぶりに登場する戦車も何かしらの手が入っている」と柳野3DCGI監督は言うが、戦車に使われているナットの形状を変えるなど、パッと見ただけでは分からない細部の変化も加えたという。

 細かさという意味では、背景の変化にも注目だ。これまでもジャングルの対戦でよく見たら草が折れているなど、気づく人には気づく、気づけたらちょっと嬉しいようなこだわりがふんだんに盛り込まれていた。

 『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話の舞台は先行カットから分かるように雪原と砂漠が中心だ。ジャングルのような複雑さがないぶん、楽そうにも見えるが、実はそうではないという。吹雪や砂塵の中、戦車の位置関係が分かりにくくならないよう、ワンカット単位での調整が必要で、水島監督からもハードな要求があったという。

 柳野3DCGI監督によると、『ガールズ&パンツァー 最終章』では一人称での主観やカメラの回り込みなど、カメラアングルの自由度を上げている。さらに「本来はこういう表現をしたかった」という演出の意図を3Dにコンバートして反映していく手法を取ることで、演出としての映像の完成度を高めている。一人称視点のカットでは、音による補足は効果的で画面外から撃たれた弾丸の衝撃を感じるなど、すぐには観客が付いてこれなさそうな部分も理解しやすくなるという。こうした音による分かりやすさが加わることで「これまで以上に映像と音の完成度が高まった」とする。

 これに対して岩浪氏は「今までは、おたがいがドヤっと主張しあっていた面もあった。でも、今回は寄り添って作るしかない」とコメント。音響には、映像で何を語りたいのか、どんな情報があるのかを解析した結果が反映されているのだという。作品の中には、アニメだからこそできる表現も含まれており、アクションシーンの完成度については、国内外を問わずある意味最高峰と言ってもいいできになったと、自信を示していた。

『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話
(C)GIRLS und PANZER Finale Projekt
『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話
視界の悪い雪原や砂漠での対戦の表現には苦労も多かったようだ。

 なお、柳野3DCGI監督は作品の中で特技演出も担当している。これは映像における足し算と引き算、つまり3Dの技術が最も効果的に生かせるように、不要な部分は削り、必要な部分のクオリティを上げるための判断をする役割だ。

 「3Dはものをいっぱい出せばいいというわけではない。絵としてどう見せるべきかを計算して、技術を効果的に使うにはどうするかを決める領域の仕事。師匠の板野一郎さんにもらったもの」なのだそうだ。また、ガールズ&パンツァーの現場は毎回大変で「全力を出し切って何とか納品を終えるという感じ」とコメントし、(本作でも)「結構な数のスタッフ、今まで以上の数のスタッフががんばってくれ、激しい戦いがあって何とか作りおえた感じです」と作業を振り返った。

『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話

これは絶対に映画館の大画面、そして最高の音響で楽しむべき

 最後にコメントを求められた柳野3DCGI監督は、「今までにないほど、アクション密度が高くなっています。初見で迫力というか流れというか戦いを楽しみ、2回目以降はひとつひとつが生きている感じ、それぞれの行動に意味を持たせている点を味わってほしい。見るたびに発見があると思います」と話していた。

 詳細を詳しく書けないのは残念だが、『ガールズ&パンツァー 最終章』第4話は、まさにその言葉に偽りがないと感じる完成度だった。息つく暇なく繰り広げられるアクションの迫力、細かく意図をもって描かれた緻密な細部、そして複雑に入り組んだ登場人物たちの意図。一度観ただけでは、とてもすべてを把握できないし、何度も繰り返して観たくなる。

 そして、ドルビーアトモスはこうした密度感の高い世界の理解をより一層深める効果がある。この素晴らしい世界を体験できるのはいまのところ劇場だけなので、ぜひとも脚を運んでみてほしい。 

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