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機能が足りない!? 思わぬリスクも…無料のiPad動画編集アプリを選ぶならここに注意すべし

ASCII.jp / 2023年10月26日 9時0分

 iPadは動画編集ツールとして非常に人気が高く、「App Store」には無数の動画編集アプリが存在している。魅力的なものが多く、どれを選べばいいか迷ってしまうだろう。特に、最近は無料で利用できる動画編集アプリも多い。

 だからといって、むやみに「おトクだ!」と飛びついてしまうのは禁物。無料アプリにはそれなりの制限があり、自分の求める機能が使えない可能性もあるし、場合によってはリスクすら存在する。つまり、無料アプリを選択する際は、冷静に見極めることが重要なのだ。

 本連載の第1回(「iPhoneで撮ってiPadで編集! まず動画制作にふさわしい機材とアプリを準備しよう」)で代表的な編集アプリについて少し触れたが、今回は、改めてiPad向けの無料動画編集アプリの安全性と選ぶ際のコツについて紹介していきたい。

アプリを選ぶときは利用規約をしっかりチェック

 動画編集アプリを選ぶ際、有料か無料かの選択は、ユーザーにとってけっこうな悩みどころだ。「あまりお金をかけたくない!」という人や、「まずは無料で始めたい!」という人も多いだろうし、「無料のアプリで十分に使えるなら、わざわざ有料アプリを選ぶ必要はない」とも考えるだろう。

 確かに無料アプリの中には、それなりに高機能なものもあるが、無料アプリには無料なだけの理由がある。これは割と重要なポイントなので、しっかりと確認しておきたい。具体的には、利用規約やプライバシーポリシーなどの情報だ。

●商用利用できないアプリが多い

 無料アプリの場合、利用規約によって商用利用を禁じているものが多い。個人利用やSNSにアップする程度なら問題にならないが、ビジネスで使う(収益を得る)場合はNGだ。

 微妙なのは「YouTube」への投稿。「YouTube」に投稿すること自体は商用利用に当たらないが、広告を付けたりPR案件の動画を投稿したりした場合はこの限りではない。商用利用に該当するとされて、規約違反になるおそれもある。最近は、SNSでも動画で収益を得る手段が増えており、この場合もNGになる可能性がある点は注意してほしい。

ある無料動画編集アプリのサービス規約には、「個人的かつ非営利的な用途のために提供されます」とある。つまり、営利目的で利用すると規約違反となるので注意が必要だ。

 また、「無料素材が豊富」をうたい文句にしているアプリも多いが、楽曲(音源)については注意が必要だ。無料とうたっていても、著作権フリーの音源ではないケースが多いので、アプリで提供されている楽曲を利用した動画を公開すると著作権侵害となることがある。

 さらに、著作権侵害で問題が起きても、アプリ提供会社は責任を回避することを規約に明記しているパターンが多い。そのため、トラブルが起きたら自分で対処しなければならない。

有料・無料問わずに、動画編集アプリが提供する音源は、著作権フリーでないことが多い。そのため、動画の公開を目的としている場合は利用しないほうが安全だ。

●作成した動画が自由に使われるおそれがある

 アプリの利用規約はあまりに長く、読まなければならないと思っていても、ほとんど読まずに同意してしまう人は多いだろう。しかし、利用規約には想定外の事が記載されていることもあるので注意したい。

 例えば、ある無料動画編集アプリには「本サービスを介してアップロードまたはその他提供するユーザーコンテンツの全部または一部を抽出して作成する可能性があることを了承します」という規約が掲載されている。

 これは、アップした素材を誰でも事前了承なく、かつロイヤリティ(対価)なしでダウンロードしたり、派生物を作成したりできるということだ。つまり、この動画編集アプリで編集した動画をアップロードした時点で、このアプリを使うほかのユーザーが、自分の作成したコンテンツを自由に利用できてしまう。

この規約は、自分がアップロードした動画をほかのユーザーが利用することを可能にするもの。第三者に使われたくない場合は注意したい。

 さらに驚きの規約としては、「編集動画の権利をすべて放棄」させるための記述が入っているパターンだ。あるアプリには、「お客様のユーザーコンテンツまたはその一部に関連するあらゆる一切のプライバシー権、パブリシティ権その他類似の性質の権利を放棄します」とある。つまり、このアプリで編集した動画は著作権フリーとして、第三者が自由に利用できてしまうのだ。

このアプリで作成した動画は、プライバシー権や人格権などの権利放棄をうたっている。つまり、動画に映っている人の情報が意図しない形で拡散されるおそれがある。

 これら以外にも、位置情報やIDなど、動画編集には不要と思われる情報を必要以上に収集するなど、疑問符のつく規約は少なくない。ただ、このような規約はSNSなどのサービスでも見受けられるもので、あくまでもサービス提供側の方針などとして設けられているものと思われる。

 よって、悪用目的ではないと思うが、規約で明記されている以上、ここで説明したリスクが存在することは間違いない。そのため、魅力的に感じるアプリであっても、規約については特に注意して確認してほしい。

編集機能の有無や制限事項について要確認

 ここまで説明してきたリスクを踏まえたうえで、無料アプリを選ぶ場合に押さえておきたいポイントについて確認していこう。

●自分の使いたい機能があるかどうか

 まず、自分の使いたい機能があるかどうかの確認だ。どのアプリも、カット編集といった基本的な編集機能は使えるので、確認するのはトランジションやアニメーションといった高度な機能についてだろう。

 これらは、「App Store」での機能紹介を確認するだけではなく、アプリ名でウェブ検索をして、使い方解説のサイトなどを見るといい。無料版だと機能が制限されていることも多いので、制限の可否についても確認しておきたい。

「App Store」でアプリに必要な機能があるかどうかを確認する。また、アプリ名でウェブ検索して、使い方の解説ページを確認すれば、より詳しく機能を調べられる。

●ウォーターマークを消せるかどうか

 無料アプリでは、編集した動画を書き出すと、ウォーターマーク(著作権表示)やロゴが画面内に追加されることがある。自分だけで楽しむぶんには問題ないが、「YouTube」などで公開する場合は、けっこう見た目がよろしくない。ウォーターマークが削除できるアプリを選ぶか、最小限の表示で済むアプリを選ぶようにしよう。

無料アプリでは、書き出した動画にウォーターマークが入ってしまうケースが多い。

●アップグレードした場合にどんな課金方法になるか

 無料アプリの中には、有料版へアップグレードすることで、より高度な編集ができたり、さまざまな制限が解除されたりするものがある。お試しで無料版を使い、気に入ったら有料版にアップグレードするような使い方ができる。

 ただし、最近の有料版はサブスクリプション型のものが多い。一度の支払いで済む買い切り型と違って、サブスク型は毎月課金が発生するので、うっかり忘れて「何だ、この課金は?」と驚くことも少なくない。アップグレードする際は、料金体系についての説明をしっかりと確認しよう。

有料版へのアップグレードは、買い切り型またはサブスクリプション型となる。サブスクリプション型の場合、どのような支払方法があるのかもきちんとチェックしておこう。

 なお、初めてアプリを開いた際にサブスクリプションの案内が出る場合がある。このタイプは、アプリを使い始めて数日すると自動的に有料契約に移行してしまうので注意が必要だ。

●ユーザー評価や更新頻度はどのくらいか

 「App Store」や「Google Play」などのアプリストアでのユーザーレビューや評価を確認し、アプリの実際の性能や使い勝手を知っておくことも重要だ。また、レビューに対して、開発元がこまめに返信しているかもチェックしておくといいだろう。

 あとは、定期的にアプリが更新されているかも確認しておこう。定期的にアップデートされているアプリは、開発者がアプリの改善やバグの修正に積極的に取り組んでいる証拠だ。アップデートの履歴や内容を確認することで、アプリの信頼性や安定性を判断できる。

アプリが定期的にアップデートされているかも確認しておこう。長期間放置されているアプリは、不具合が起きても対処されない心配がある。

まずは「iMovie」から使ってみるのも一つの手

 無料アプリは、やはり費用がかからないのが大きなメリットだ。なので、とりあえず使ってみたいといった人も手を出しやすい。最も手っ取り早く使えるのが、iPadにインストールされている「iMovie」だ。

 「iMovie」は、ユーザーアカウントを登録する必要もなく、完全無料で利用できる。また、普通の動画編集アプリとしての機能だけでなく、選択した素材を自動でつなげて仕上げてくれる自動編集機能も備わっている。何よりアップルが提供するアプリなので、iPadに最適化されているのが大きなメリットだ。

iMovieの「マジックムービー」というモードなら、動画や写真を選ぶだけでいい感じの動画を自動作成してくれる。編集に慣れていない人でも簡単に動画を作れるのがポイント。

 ただし、「iMovie」の編集画面はシンプルで、できることの自由度は低め。そのため、動画編集のとっかかりとしてはいいが、本格的な編集作業をしていきたいと考えているなら、はじめから別のアプリを検討したほうがいいだろう。

タイムラインに映像を乗せてカット編集するなどの作業もできる。ただし、凝った動画を作るには自由度が低い。

 今回は、無料動画編集アプリの思わぬリスクや選び方について解説した。無料アプリの場合、多くの人が使いたいと考える機能は有料プランへのアップグレードが必要になるケースも少なくない。もし、目的の機能が無料版では使えないのなら、最初から有料のアプリを選択したほうがいいかもしれない。

 そこで次回は、おすすめの有料アプリを取り上げたい。安価ながら、本格的な編集機能を持つ「LumaFusion」を使った編集方法を紹介しよう。

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